タイトル、音、言葉全てにおいて非常にミニマル。
バックトラックはエレクトリックだったり、オルタナティヴだったりするのですが、贅肉を落とされその姿は
とても引き締められている。
しかし、その音や言葉の末端まで全神経を尖らせ作り上げられた曲のクオリティーは凄まじい。
音のパーツが一つでも欠けたらガラガラと崩れ影も形も無くなりそうなピンと張った緊張感が全体に行き渡っ
てます。
現在のフリースタイルダンジョンのブームのような、言葉主体で胸倉掴まれるような作品とは真逆の、音と
言葉が一体となりながら日常に寄り添うような構成なので、カタルシスという点では低めではあるのですが、
その分大変に中毒性が高く、またアルバムの構成が凄く考えられてるので、聴いてると曇り空の下家のドア
を開けて出かけたらいつのまにか雲が切れ青空から太陽が見えてきたような、そんな爽快感があります。
最後の曲”めでたい”を聴き終えた後そう感じました。
届けるという気持ちが痛いほど伝わるラップも聴きやすい。
聴き手が手を引かれどんどん遠くへ歩いていくようなそんな、そんな語り。
ジャンル違うけどD.A.Nとかきのこ帝国とか、ヒップホップ外のアーチスト好きにも訴求するアルバムだと
思うのでもっと色んな人達に聴かれると良いなぁと思いました。
ジャケのデザインも含め、WARPレコードから登場するアーチストのようなワールドワイドな傑作です。