2011年から雑誌「SAPIO」に掲載した記事を著者や手嶋龍一氏が言う"インテリジェンス"という視座から纏めた論考書。混迷する世界情勢の中で日本がどう対処すべきかを示そうとの意匠の様である。イベントやその分析には鮮度があるので、2015年以降の掲載記事の抜粋が目立ち、また、本書中の記事順は必ずしも時系列順にはなっていない。第一章「世界の『ルール』が変わった」、第二章「視えざる『テロ』との戦い」、第三章「東アジアの命運」、第四章「危機に備えよ」という構成になっている。情報の鮮度という意味で、「追記」として記事に対する最新の情報を付記しているものも幾つかある。
主にロシア(著者の専門)を扱った第一章、中東情勢やISを扱った第二章は中々読ませる。扱っている見掛け上のイベントは読者も周知の筈なのに、"インテリジェンス"の視座から見るとこういう事情だったのかと首肯させられる点が何箇所もあった。一番驚いたのはIS台頭の背景(理由)に関する著者の説明である。著者はアサド政権によるシリア及びマリキ政権によるイラクを主権国家と認めておらず、この隙に乗じてISが台頭したとの見解を示しているが、これは日本における中東研究の第一人者である池内恵氏「イスラーム国の衝撃」中の記述(<アラブの春>がシリア・イラクを初めとする中東諸国に<ungoverned spaces>を生んで、それにISが乗じた)とほぼ一致しており、著者の見識を再認識した。また、ロシアとトルコの特殊な関係、これまでは穏健派と見られていたサウジアラビアがこれからのキーマン(暴風の眼)となる(実際、サウジアラビアの主導によって世界原油安が導かれた)等、参考になる指摘が多かった。これに比べると、第三・四章の記述はやや精彩を欠いている感がある。
結論としては、日本にもイスラエルのモサドの様な"インテリジェンス"機関が欲しいというのが著者の本音であろう(これは明記されていない)が、そこまで行かなくとも、とかく外交オンチと言われる日本政府あるいは日本国民に対して、世界情勢に対する"インテリジェンス"機能を養って、自ら考え、分析・行動して欲しいとのメッセージが良く伝わって来る良書だと思った。
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世界観 (小学館新書 さ 18-1) 新書 – 2016/12/1
佐藤 優
(著)
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「知の巨人」が実践するニュースの読み方
トランプ大統領の誕生によって、世界が大きく動こうとしている。
いま日本人に必要なのは、無秩序な情報を論理的に組み合わせ、「見えざる敵」を炙り出す思考である。
本書は、この5年間に世界で発生した大事件に対して、佐藤優氏が正面から思考した記録である。
国際情勢分析は、同氏にとって外務省主任分析官時代からのライフワークだ。インテリジェンスや地政学、宗教的知見から事象の「本質」を導き出すアプローチは、大陸から隔絶された島国で暮らす日本人が国際社会で生き抜く術でもある。
【目次】
第一章 世界の「ルール」が変わった――欧米・ロシア
第二章 視えざる「テロ」との戦い――中東・欧米・日本
第三章 東アジアの命運――中国・韓国・北朝鮮
第四章 危機に備えよ――日本
地球規模の動乱を生き抜くために――。そのヒントは本書にある。
【編集担当からのおすすめ情報】
オバマ外交の失敗とトランプ現象、ヨーロッパ「移民問題」、英国「EU離脱」、中国軍「領海侵犯」、朝日新聞「誤報」、北方領土交渉、安倍政権と創価学会、金正恩「核外交」、パナマ文書、トルコ「クーデター騒動」、「イスラム国」テロ…といったテーマについて、佐藤優氏が正面から論じています。本書を読めば、傍目には、別地域、別次元で起きた事件ですが、見えない糸でそれぞれが繋がっていることがよく分かります。「これから」を生きる学生、ビジネスマンにおすすめです。
トランプ大統領の誕生によって、世界が大きく動こうとしている。
いま日本人に必要なのは、無秩序な情報を論理的に組み合わせ、「見えざる敵」を炙り出す思考である。
本書は、この5年間に世界で発生した大事件に対して、佐藤優氏が正面から思考した記録である。
国際情勢分析は、同氏にとって外務省主任分析官時代からのライフワークだ。インテリジェンスや地政学、宗教的知見から事象の「本質」を導き出すアプローチは、大陸から隔絶された島国で暮らす日本人が国際社会で生き抜く術でもある。
【目次】
第一章 世界の「ルール」が変わった――欧米・ロシア
第二章 視えざる「テロ」との戦い――中東・欧米・日本
第三章 東アジアの命運――中国・韓国・北朝鮮
第四章 危機に備えよ――日本
地球規模の動乱を生き抜くために――。そのヒントは本書にある。
【編集担当からのおすすめ情報】
オバマ外交の失敗とトランプ現象、ヨーロッパ「移民問題」、英国「EU離脱」、中国軍「領海侵犯」、朝日新聞「誤報」、北方領土交渉、安倍政権と創価学会、金正恩「核外交」、パナマ文書、トルコ「クーデター騒動」、「イスラム国」テロ…といったテーマについて、佐藤優氏が正面から論じています。本書を読めば、傍目には、別地域、別次元で起きた事件ですが、見えない糸でそれぞれが繋がっていることがよく分かります。「これから」を生きる学生、ビジネスマンにおすすめです。
- 本の長さ286ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2016/12/1
- 寸法10.9 x 1.4 x 17.3 cm
- ISBN-104098252872
- ISBN-13978-4098252879
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2016/12/1)
- 発売日 : 2016/12/1
- 言語 : 日本語
- 新書 : 286ページ
- ISBN-10 : 4098252872
- ISBN-13 : 978-4098252879
- 寸法 : 10.9 x 1.4 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 876,858位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 473位小学館新書
- カスタマーレビュー:
著者について
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元外交官で文筆家。ロシア情報収集・解析のエキスパート。魚住昭/ジャーナリスト。ノンフィクションに著作多数。青木理/ジャーナリスト。元共同通信記者。『日本の公安警察』『絞首刑』など著作多数。植草一秀/経済学者。日本経済、金融論が専門。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 誰が日本を支配するのか!?政治とメディアの巻 (ISBN-13:978-4838721566)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2016年12月7日に日本でレビュー済み
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2018年6月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大新聞マスコミは事実を報じない媒体であるということがとても良く分かった。
2016年12月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
月刊誌『SAPIO』におけるインテリジェンスに関する連載、
2011年12月28日号から2016年12月号までの、35本の論稿を
集めています。
国際情勢分析の優れた記録が、5年分も纏まっているので、
迫力があります。
章立ては、欧米・ロシア、中東・欧米・日本、中国・韓国・
北朝鮮、日本が其々関係する4章構成です。
地域情勢毎に分類されていますが、時系列とはなっていませ
ん。
現在の観点からの補足が、15本「追記」として記載されてい
ます。
著者独自の情報が多数あることの貴重性も然ることながら、
国際情勢の流れを、多角的な視点で分析し判断して行くとい
う、思考の力をこそ、ここから学び取りたい処です。
2011年12月28日号から2016年12月号までの、35本の論稿を
集めています。
国際情勢分析の優れた記録が、5年分も纏まっているので、
迫力があります。
章立ては、欧米・ロシア、中東・欧米・日本、中国・韓国・
北朝鮮、日本が其々関係する4章構成です。
地域情勢毎に分類されていますが、時系列とはなっていませ
ん。
現在の観点からの補足が、15本「追記」として記載されてい
ます。
著者独自の情報が多数あることの貴重性も然ることながら、
国際情勢の流れを、多角的な視点で分析し判断して行くとい
う、思考の力をこそ、ここから学び取りたい処です。
2017年2月26日に日本でレビュー済み
正直言って、半分もわかりませんん。読んでいて頭が痛くなってきます。
たぶん、私が国際情勢にさほど興味がないせいでしょう。
それでも、結果を現した情報から、思惑を読み取る、という著者の姿勢に感服させられたのは確かです。
たぶん、私が国際情勢にさほど興味がないせいでしょう。
それでも、結果を現した情報から、思惑を読み取る、という著者の姿勢に感服させられたのは確かです。
2016年12月13日に日本でレビュー済み
本書は、この5年間に世界で発生した大事件に関し、著者が『SAPIO』の「インテリジェンス データベース」で連載していた事項をまとめたものですが、その後、現在までに動きのあったことが[追記]として記されているので、現時点での世界の動きが良くわかります。
それにしても変化が多く動きの速い時代です。本書が発行された後でも12月9日に韓国の朴大統領の弾劾訴追案が可決されるなど大きな動きがありました。
米国の大統領選挙でトランプ氏が新大統領に当選したことは、辛うじて追記で間に合いました。
いずれにしても「インテリジェンス データベース」は今後も見落とさないように見ていきたいと思います。佐藤優氏の国際事件に対する思考は、どうしたら日本が国際社会で生き抜けるかという観点でアプローチしているからです。
第1章 世界の「ルール」が変わった・・・・・・欧米・ロシア
第2章 視えざる「テロ」との戦い・・・・・・中東・欧米・日本
第3章 東アジアの命運・・・・・・中国・韓国・北朝鮮
第4章 危機に備えよ・・・・・・日本
どれも見落とせません。今後も佐藤優氏の国際情勢分析を大いに期待しています。
それにしても変化が多く動きの速い時代です。本書が発行された後でも12月9日に韓国の朴大統領の弾劾訴追案が可決されるなど大きな動きがありました。
米国の大統領選挙でトランプ氏が新大統領に当選したことは、辛うじて追記で間に合いました。
いずれにしても「インテリジェンス データベース」は今後も見落とさないように見ていきたいと思います。佐藤優氏の国際事件に対する思考は、どうしたら日本が国際社会で生き抜けるかという観点でアプローチしているからです。
第1章 世界の「ルール」が変わった・・・・・・欧米・ロシア
第2章 視えざる「テロ」との戦い・・・・・・中東・欧米・日本
第3章 東アジアの命運・・・・・・中国・韓国・北朝鮮
第4章 危機に備えよ・・・・・・日本
どれも見落とせません。今後も佐藤優氏の国際情勢分析を大いに期待しています。
2016年12月27日に日本でレビュー済み
ニュースや時事問題には、テレビや新聞で一通りの基本情報を掴んだあとの「もう一歩濃い話」というものがあるけれど、本書は世界情勢について、まんべんなくそうした情報の入り口に立たせてくれる本。「SAPIO」に連載されていた記事をまとめたものなので、前提知識の少ない読者でも、すんなりと濃い話へ入っていきやすく、万人向けでおすすめ(もちろん、例外的に、一部のマニアックな人々から見れば、あまり濃い話ではなかったり、タイムラグで情報が少し古くなったと感じるかもしれないが)。新書として、高い質の情報をまんべんなく広く一般読者に提供している点で、非常に良書。
2016年12月6日に日本でレビュー済み
最近は対談本が多かった印象だけど、彼の本業は世界情勢分析にあると実感! トランプやプーチンへの言及には当然興味がそそられる。けど、なにげに最後の村上春樹の作品を紐解きブラック企業批判するくだりが、佐藤さんらしい。書かれたのは数年前だけど、昨今の過労死問題にも敷衍する論考。佐藤さんといえばインテリジェンスが注目を浴びるけど、この本を読めばわかる通り、文学や思想への造詣も深い。テロや領土問題、反地政学から創価学会まで、幅広いイシューを料理する著者に、末恐ろしさを感じる。