いとこの中では最年少、子どもがいる友人も少ないため、これまで赤ちゃんと触れ合う機会がほとんど無かった。苦手というほどではないが、抱っこの仕方もわからないくらい遠い存在。子育ては大変だという漠然としたネガティブイメージだけを持っていた。
そんな私も、3ヶ月前親になった。絶賛子育て中だ。抱っこ、授乳、オムツ交換を繰り返す日々はもちろん大変だが、子どもはめちゃくちゃ可愛い。
ふと、以前読んだ本書「なずな」のことを思い出した。40代独身男性の地方新聞記者である主人公が、止むに止まれぬ事情により生後2ヶ月の弟夫婦の子ども「なずな」を預かり育てる物語。ストーリーはぼんやりとしか覚えていないが、とても温かい気持ちになった記憶がある。せっかくだから読み返してみた。子育てを経験しながら読む本書はまた格別。2〜3ヶ月の赤ちゃんあるあるを存分に堪能した。
しかし、本書の解説文まで読み終えてから、この物語は他者である赤ちゃんを育てることの大変さや喜びだけを表現しているのではないと感じた。
本書の中で「なずな」は、寝て、泣いて、飲んで、出すことをひたすら繰り返す存在だ。周囲の大人がどんな事情を抱えていようとお構いなく。そして「なずな」はただそこにいるだけで、暖かい春風のような、新緑のような光を放っている。私は自分が0歳児だった頃の記憶がない。でも、まちがいなく私もかつては赤ちゃんだった。そして、赤ちゃんだった私もきっと「なずな」のように光を放つ存在だったのだ。
本書は、かつて赤ちゃんだった自分の存在、今を生きる命、かつて存在した命をまるごと肯定して抱きしめたくなる、そんな物語だった。
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なずな (集英社文庫) 文庫 – 2014/11/20
堀江 敏幸
(著)
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とある事情から弟夫婦の子、なずなを預かることになった私。独身で子育て経験のない四十半ばの私は、周囲の温かい人々に見守られながら、生後二ヶ月の赤ん坊との暮らしを始める。第23回伊藤整文学賞受賞作(解説/陣野俊史)
- 本の長さ464ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2014/11/20
- 寸法10.5 x 1.9 x 15.2 cm
- ISBN-104087452484
- ISBN-13978-4087452488
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2014/11/20)
- 発売日 : 2014/11/20
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 464ページ
- ISBN-10 : 4087452484
- ISBN-13 : 978-4087452488
- 寸法 : 10.5 x 1.9 x 15.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 40,656位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964(昭和39)年、岐阜県生れ。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年、『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』ほか。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年3月19日に日本でレビュー済み
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2020年12月14日に日本でレビュー済み
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これは、いつもの堀江敏幸の小説とはかなり雰囲気が異なります。ネタバレになるので内容は語りませんが、ほんわかして、そして、一途な生命の尊さをリアルに緻密に描いた作品です。また、周辺の人たちとの交流、他人からの手助けを厭わない主人公の素直な姿勢が愛おしいです。最後の残された二人のこれからを想像させる余韻をもった終わり方もいいです。堀江敏幸を難解だとかペダんティックだと思ってる人は、この作品を読むと印象が全く変わりますよ。
2020年3月24日に日本でレビュー済み
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『暮しの手帖』の書評からこの本を見つけました。まもなく第一子を迎える、父親見習いの私にとって、よい学びの読書となりました。そこに描き出された赤ちゃんの細やかな動きと確かな成長とともに、彼女を中心として広がっていく世界の描写が美しかったです。
2022年5月31日に日本でレビュー済み
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〇 産まれたばかりの赤ちゃんは可愛い。どうしようもないくらい可愛い。この小説は生後2か月から3か月過ぎまでの赤ちゃんの無垢なすがたを見事に写し取っている。久しぶりにわが子が生まれたばかりの頃の様子を思いだした。
〇 この赤ちゃん(なずな)が第一の主役ならば、伊都川という小さな田舎町のコミュニティはもうひとりの主役だ。伊都川には著者の別の作品に出て来る「雪沼」という町と同じ種類の人たちが住んでいてよく似た空気で満たされているようで、善人ばかりの地方ミニコミ紙伊都川日報の同僚や、近所の人たちとのやり取りが、赤ちゃんの描写と同じのどかさで描かれる。
〇 それに加えて、語り手の感想やら思い出やら知識の披瀝やらのモノローグがふんだんに差し挟まれて、全体を大きく引き延ばす。450ページにおよぶ全編にのんびりゆったりとした気分が横溢して、ゆったりしたテンポで平和な時間が進んでいくわけで、それはそれで良いのだけれど、読んでいてやっぱりちょっと退屈になる。短編ならばともかく、これだけの長篇となると、もう少し何か出来事とか山谷がないと、マンネリ感が漂ってくる。
〇 面白いと思ったのは文体である。堀江さんの特長は、なによりも比喩に満ち知的で抑制の効いた凝った造りの文章だと思っていたのだが、この作品の文体はとても素直である。文の構造もシンプルだし、ひねった比喩も使わないし、欧文から引き写したような構文も使わない。焦らしに焦らしてなかなか種明かしをしないということもない。堀江さんの香りがしないとは言わないとしても、とても薄いのだ。やはり長篇と短篇とで使い分けているのだなと思った。わたしはどちらかというと短篇の堀江さんの方が好きだ。
〇 この赤ちゃん(なずな)が第一の主役ならば、伊都川という小さな田舎町のコミュニティはもうひとりの主役だ。伊都川には著者の別の作品に出て来る「雪沼」という町と同じ種類の人たちが住んでいてよく似た空気で満たされているようで、善人ばかりの地方ミニコミ紙伊都川日報の同僚や、近所の人たちとのやり取りが、赤ちゃんの描写と同じのどかさで描かれる。
〇 それに加えて、語り手の感想やら思い出やら知識の披瀝やらのモノローグがふんだんに差し挟まれて、全体を大きく引き延ばす。450ページにおよぶ全編にのんびりゆったりとした気分が横溢して、ゆったりしたテンポで平和な時間が進んでいくわけで、それはそれで良いのだけれど、読んでいてやっぱりちょっと退屈になる。短編ならばともかく、これだけの長篇となると、もう少し何か出来事とか山谷がないと、マンネリ感が漂ってくる。
〇 面白いと思ったのは文体である。堀江さんの特長は、なによりも比喩に満ち知的で抑制の効いた凝った造りの文章だと思っていたのだが、この作品の文体はとても素直である。文の構造もシンプルだし、ひねった比喩も使わないし、欧文から引き写したような構文も使わない。焦らしに焦らしてなかなか種明かしをしないということもない。堀江さんの香りがしないとは言わないとしても、とても薄いのだ。やはり長篇と短篇とで使い分けているのだなと思った。わたしはどちらかというと短篇の堀江さんの方が好きだ。
2019年7月17日に日本でレビュー済み
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堀江敏幸さん、ラジオのトークを聞いて、ダンチュウのコラムを読んでからずっと気になっていた作家さん。これからじっくり他の作品も読みたいです。妊婦さんにも子育て中の人にもプレゼントにオススメの本!
2018年9月9日に日本でレビュー済み
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美しき日本の文書。
読み終えて得るもの、要した時間の価値はある。
読み終えて得るもの、要した時間の価値はある。
2016年8月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
素晴らしい商品をご提供くださりありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします
2019年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これといって何が起こるわけでもない。突然預かることになった生後2ヶ月の赤ちゃんと、それを取り巻く大人たち。子供、というより一つの生命体といった方がいいような成長の記録。暖かい作品でした。