バブル期の野村証券の花形部署第2事業法人部で最もコミッションを稼いだ営業マンから、オリンパスによる有価証券報告書虚偽記載事件に伴い有価証券報告書虚偽記載のほう助や詐欺などで刑事被告人に転落した横尾宣政氏による書。
前半はバブル期の著者の武勇伝。上場企業が何百億円運用で損失を出しても、運用で何百億円取り戻す時代。それが可能であったのもまた事実だった。それに知恵を出すのが証券会社だった。横尾氏はその実体験を描く。『住友銀行秘史』よりも具体的な話で臨場感がある。
随所にほぼ実名で登場する野村幹部。自身の価値観に合う人は過剰に持ち上げ、そぐわない人は徹底的に辱める。例えば、野村ホールディングス副社長などを歴任した日本証券業協会会長の稲野和利氏らは称賛され、日本証券取引所グループCEOだった斉藤惇氏や、BNPパリバ証券などからオリンパス社外取締役に転じた林純一氏らはたたかれている側だ。野村関係者は買わざるを得ないだろう。
今のご時世では表向きご法度が当たり前だった時代。「回転売買」や「相場操縦」、「事業会社の財テク」など、現在同業で証券営業する人は反面教師として読んでおいて損はない。バブル世代の営業マンには懐かしい内容。何かにつけて、山一証券の「飛ばし」を批判したり、当時の住友信託の役員が損失補てんを約束していたなど他社を批判し、野村証券を正当化しようとする向きがある。真相はともかく、どっちもどっちである。
後半はオリンパス事件の刑事裁判でいかに検察の捜査がずさんであるか批判した内容。重要事実の日付を特定しないなど、オリンパス経営者の証言をベースにストーリーを作ったでたらめであるという。オリンパス側の証言も検察が作ったのが真相だろう。これは検察が厚生労働省の村木厚子氏の障害者郵便制度悪用事件などのでたらめな捜査をしていたのをみれば明らかだ。それでも、検察側は都合のいい事実で起訴、有罪にできてしまう権限があるのだ。
最大の驚きだったのは、当時の金融監督庁(現金融庁)が1999年秋のパリバ証券東京支店への検査で、オリンパスの損失を把握、東京支店のコンプライアンス担当部に質問状まで投げていたのだ。そこまでしといて中途半端な追及に終わって、結局オリンパスの粉飾はエスカレートしていった。すなわち粉飾を見過ごしていたことをズバリ告白している点だ。オリンパスは2006年秋には国税当局の税務調査も受けた。それでも11年の粉飾発覚まで長い時間がかかった。きちんと当局が検査、調査していれば、オリンパスの粉飾額は軽微なもので済んでいたのだろう。
横尾氏は保釈されるまで、刑務所で調書を取り寄せ、自身の無罪を訴え努力する姿勢は大したものだと思うが、オリンパスからコミッションをもらっていたのを棚に上げて冤罪を訴えるのはどうかと思う。日本の刑事裁判の有罪率は99.9%。起訴された時点でほぼ有罪は確定だ。オリンパス経営陣は検察の捜査に協力し、罪を認め執行猶予付きの有罪判決を受け入れた。これに対して、オリンパスに協力した立場にすぎなかった筆者らは罪を認めなかったために、詐欺罪や組織犯罪処罰法違反の罪で起訴。地裁・高裁で実刑判決を言い渡され、現在上告中の身である。
横尾氏の主張を聞いていると、2002年2月2000億円の年金資産を消失させ、金融商品取引法違反(偽計)と詐欺の罪に問われ、懲役15年の実刑判決を受けた、AIJ投資顧問社長の浅川和彦氏を思い出す。彼もまた野村証券のカリスマ営業マンだった。浅川氏は地裁判決後、詐欺罪については一貫して否認を続けた。保釈金を支払い、弁護士に任せてシャバで残された人生を満喫していたようだが、結局ほとんど努力しなかったので、最高裁までいっても量刑すら変わらなかった。これも単なる金商法違反に詐欺をつけられたケースだった。なんだか同じような結論になりそうだが、命運はいかに(・・?筆者の執念に敬意を表し、最高評価の「5」とさせていただく。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥2,000以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
新品:
¥1,850¥1,850 税込
ポイント: 37pt
(2%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon 販売者: アイダ商会
新品:
¥1,850¥1,850 税込
ポイント: 37pt
(2%)
無料お届け日:
3月31日 日曜日
発送元: Amazon
販売者: アイダ商会
中古品: ¥94
中古品:
¥94

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
野村證券第2事業法人部 単行本 – 2017/2/22
横尾 宣政
(著)
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥1,850","priceAmount":1850.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"1,850","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"zPkiofM7tCmdays8WcVWgZ9YzZyC776yQwMMzgW9mNkfU3Y5ffm8AqlRcDBiq7p1FcPedPSu58SjukfDBfssKtNcKahe1gVshMJx%2FhX4eYXcNZK4O5XR5fltz2Ntn5CQ5OX%2F%2FCMbbuFdOb3pQAmMMScuUyvxVVLuZDY2csxiSeUl3Aee3ncdpiN0UaFMt20J","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥94","priceAmount":94.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"94","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"zPkiofM7tCmdays8WcVWgZ9YzZyC776y0t3fg8zz6ITAhv5y6%2FECLnhWFrmFu4gPBKBolmUEtgFnFWdEjqvGy2NFGiTYF2LeZn0rq1b0TxtR1qn3mf5p4jBM30H2wAqGfGsHZYZRYr3WeLsxVRvpmsUaYq9gHzPhvhmXqgoFhoza6uBpnThxXg%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
「ノルマ証券」と言われた厳しい社風ながら、一時は経常利益でトヨタを抜いた全盛期の野村證券。そのなかで著者は新人トップの成績を上げ、後の社長・田淵義久氏に抜擢され、第二事業法人部へ。待っていたのはアクの強い先輩たち。彼らとぶつかりながら、出世していった著者は、やがて退社、独立。ところが、その後、オリンパス巨額粉飾決算事件で「飛ばしの指南役」として逮捕されてしまう。野村時代と事件のすべてを実名で書く。
トヨタを上回る約5000億円もの経常利益を叩きだし、日本一儲けた会社だった野村證券。その黄金の日々を克明に描く。
厳しいノルマで次々と社員が辞めていくなか、飛び込み営業で新人トップの成績を上げ、「コミッション(手数料収入)亡者」とまで呼ばれるようになった著者。後に社長になる「小タブチ」こと田淵義久氏に抜擢され、第二事業法人部へ。待っていたのは個性派でアクの強い先輩たち。彼らとぶつかり合いながら、順調に出世していった著者は、役員の登竜門でもある新宿野村ビル支店長を最後に退社、独立する。
ところが、第二事業法人部時代に付き合いのあったオリンパスと仕事をするうち、巨額粉飾決算事件に巻き込まれ、刑事被告人に。「飛ばしの指南役」などと名指しされた著者が、激しくも懐かしい野村時代と人生を暗転させた事件のすべてを実名で書いた。
トヨタを上回る約5000億円もの経常利益を叩きだし、日本一儲けた会社だった野村證券。その黄金の日々を克明に描く。
厳しいノルマで次々と社員が辞めていくなか、飛び込み営業で新人トップの成績を上げ、「コミッション(手数料収入)亡者」とまで呼ばれるようになった著者。後に社長になる「小タブチ」こと田淵義久氏に抜擢され、第二事業法人部へ。待っていたのは個性派でアクの強い先輩たち。彼らとぶつかり合いながら、順調に出世していった著者は、役員の登竜門でもある新宿野村ビル支店長を最後に退社、独立する。
ところが、第二事業法人部時代に付き合いのあったオリンパスと仕事をするうち、巨額粉飾決算事件に巻き込まれ、刑事被告人に。「飛ばしの指南役」などと名指しされた著者が、激しくも懐かしい野村時代と人生を暗転させた事件のすべてを実名で書いた。
- 本の長さ418ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2017/2/22
- 寸法13.4 x 2.6 x 19.4 cm
- ISBN-104062204622
- ISBN-13978-4062204620
よく一緒に購入されている商品

対象商品: 野村證券第2事業法人部
¥1,850¥1,850
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り1点 ご注文はお早めに
¥1,500¥1,500
最短で3月31日 日曜日のお届け予定です
残り1点 ご注文はお早めに
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
横尾 宣政
横尾宣政(よこお・のぶまさ)/1954(昭和29)年、兵庫県出身。78年に京都大学経済学部を卒業後、野村證券に入社。金沢支店を皮切りに、第二事業法人部、浜松支店次席、営業業務部運用企画課長、高崎支店長、新宿野村ビル支店長などを歴任。98(平成10)年6月、20年にわたって勤務した野村證券を退社・独立した。
その後、コンサルティング会社グローバル・カンパニー・インコーポレートを設立し、社長に就任。ベンチャー企業の発掘、指導、投資などに携わる。2011(平成23)年に発覚したオリンパスの巨額粉飾決算事件では粉飾の「指南役」とされ、翌12年に証券取引法・金融商品取引法違反容疑で逮捕される。その後、詐欺、組織犯罪処罰法違反の容疑も加えられるが、当初から一貫して容疑を否認。1審・2審で有罪判決を受け、現在、最高裁に上告中
横尾宣政(よこお・のぶまさ)/1954(昭和29)年、兵庫県出身。78年に京都大学経済学部を卒業後、野村證券に入社。金沢支店を皮切りに、第二事業法人部、浜松支店次席、営業業務部運用企画課長、高崎支店長、新宿野村ビル支店長などを歴任。98(平成10)年6月、20年にわたって勤務した野村證券を退社・独立した。
その後、コンサルティング会社グローバル・カンパニー・インコーポレートを設立し、社長に就任。ベンチャー企業の発掘、指導、投資などに携わる。2011(平成23)年に発覚したオリンパスの巨額粉飾決算事件では粉飾の「指南役」とされ、翌12年に証券取引法・金融商品取引法違反容疑で逮捕される。その後、詐欺、組織犯罪処罰法違反の容疑も加えられるが、当初から一貫して容疑を否認。1審・2審で有罪判決を受け、現在、最高裁に上告中
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2017/2/22)
- 発売日 : 2017/2/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 418ページ
- ISBN-10 : 4062204622
- ISBN-13 : 978-4062204620
- 寸法 : 13.4 x 2.6 x 19.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 152,114位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 8,095位投資・金融・会社経営 (本)
- - 27,425位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
イメージ付きのレビュー

1 星
新品でこの状態?
配達員が、最近では普通に近隣の家の前に置いて帰るようになって、長時間湿気に置かれたことが原因なのか、元々新品じゃないのかは分かりませんが、、
フィードバックをお寄せいただきありがとうございます
申し訳ありませんが、エラーが発生しました
申し訳ありませんが、レビューを読み込めませんでした
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年3月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
株式投資をはじめて間もなく、本書を購入しました。大手証券会社は一般投資家に向き合わず、会社の利益を中心に行動することが実感できました。株をはじめる人は本書を熟読して、株での利益を上げてください。
2018年5月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半:野村のブラック営業
後半;オリンパス事件の言い訳
toCの営業マンは前半だけでも読む価値があります。
前半のキレッキレの営業マンが後半になると
知らなかった、考えなかった、そんなもんだと思った等の言い訳が続きうんざりします。
でも前半だけ読むのでも価値がある本です!
後半;オリンパス事件の言い訳
toCの営業マンは前半だけでも読む価値があります。
前半のキレッキレの営業マンが後半になると
知らなかった、考えなかった、そんなもんだと思った等の言い訳が続きうんざりします。
でも前半だけ読むのでも価値がある本です!
2020年6月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半は大いに楽しめました。営業マンとしての優秀さが伝わってくる。
後半は一方、金融犯罪に加担したことの責任回避を繰り言のように書き続ける。読んでいて疲れた。
企業人として、ファイナンスや会計については自分で知識をつけないと犯罪者になってしまうと理解した。
後半は一方、金融犯罪に加担したことの責任回避を繰り言のように書き続ける。読んでいて疲れた。
企業人として、ファイナンスや会計については自分で知識をつけないと犯罪者になってしまうと理解した。
2017年5月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前半は古い時代の自慢話。若い頃は客に損をさせても売買手数料を稼いでいたのに、
それなりの地位になった時に株は長期投資と言うようになったことが興味深い。
今の時代から見ると野村證券の過去の恥や隠しておきたい話を自慢している。
興味あるなら読むのもありと思う。
後半は無実の主張。
最終的な司法の判断は分からないが、いろいろな人物の行動や発言を自らの都合のいい風に
解釈し、書くことが不適切と思われる刑務官とのやり取りを記載することに必死さを感じた。
頭の切れる著者が怪しい人物との関係を断ち切らずにいたことに違和感がある。
若い頃に散々大勢の客に損をさせてきての得た栄光のツケを人生の後半に家族と
家族の人生を巻き込んで払っている。
著者に損をさせられた投資家は著者の現状に溜飲を下げていると思う内容だった。
野村マンの今の時代には全く通じない過去の栄光と挫折の本である。
それなりの地位になった時に株は長期投資と言うようになったことが興味深い。
今の時代から見ると野村證券の過去の恥や隠しておきたい話を自慢している。
興味あるなら読むのもありと思う。
後半は無実の主張。
最終的な司法の判断は分からないが、いろいろな人物の行動や発言を自らの都合のいい風に
解釈し、書くことが不適切と思われる刑務官とのやり取りを記載することに必死さを感じた。
頭の切れる著者が怪しい人物との関係を断ち切らずにいたことに違和感がある。
若い頃に散々大勢の客に損をさせてきての得た栄光のツケを人生の後半に家族と
家族の人生を巻き込んで払っている。
著者に損をさせられた投資家は著者の現状に溜飲を下げていると思う内容だった。
野村マンの今の時代には全く通じない過去の栄光と挫折の本である。
2017年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
色々な裏話は興味深いが、前半は、①投資家軽視のノルマ営業、②ファイナンスに絡む株価操作などやりたい放題の武勇伝。
著者は今もって個人投資家のことなどどうでもよいのだろう。そして後半はオリンパスの不正会計事件の真相の暴露。
言うなれば、前半は自己顕示で、後半は自己擁護ということか…。
業界の暗部の一端が文字化されたことを評価する一方、今もって個人の株式投資への関心が思ったほど高まらず、
「貯蓄から投資へ」の動きが進まないのは、結局は、証券業界の自業自得なんだろうという思いを強くさせる書であった。
それにしても証券会社のみならず事業会社もひどいな…。監査法人さえもあやしいし、株式市場で何を信じればよいのだろうか?
著者は今もって個人投資家のことなどどうでもよいのだろう。そして後半はオリンパスの不正会計事件の真相の暴露。
言うなれば、前半は自己顕示で、後半は自己擁護ということか…。
業界の暗部の一端が文字化されたことを評価する一方、今もって個人の株式投資への関心が思ったほど高まらず、
「貯蓄から投資へ」の動きが進まないのは、結局は、証券業界の自業自得なんだろうという思いを強くさせる書であった。
それにしても証券会社のみならず事業会社もひどいな…。監査法人さえもあやしいし、株式市場で何を信じればよいのだろうか?
2018年8月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他の方が書かれている通り、とても「面白い」です。
さまざまな裏話、スピード感のある展開。金融業界に詳しくなくてもエンターテイメントとして楽しく読めるものでした。
ただし、ノンフィクションとして読むと、前半はただの武勇伝、オリンパス事件については自己擁護に終わっているので、小説として読んだ方がいい本かもしれません。
さまざまな裏話、スピード感のある展開。金融業界に詳しくなくてもエンターテイメントとして楽しく読めるものでした。
ただし、ノンフィクションとして読むと、前半はただの武勇伝、オリンパス事件については自己擁護に終わっているので、小説として読んだ方がいい本かもしれません。