本書は「WILL」に2014年3月号から2016年12月号まで連載された「遅の井の湧水」を発行者が「知の湧水」として改題し、渡部氏への追悼の意を込めて出版した書籍である。
「知の湧水」は渡部氏に相応しい、味わい深いタイトルである。
渡部氏の湧水の源泉は、神話の時代に続いて2677年の永きに渡り連綿として続いた皇統を有する日本の歴史にあると思う。ルーズベルトの戦争責任や、スターリンの指令を受けた日本、アメリカそして中国における共産主義者による日米戦争への誘引が明らかになった現在、大東亜戦争に対する日本人の考え方も徐々に変化してきている。大東亜戦争に対する日本人の歴史観の変化を考えると、敗戦時に昭和天皇がご退位なされなかったことは幸運であった。日本の歴史に傷がつかずに済んだ。
渡部氏の思想は、世界で最も古い国家日本に対する尊敬と誇りにある。多数の日本人が思う歴史は戦争を挟んで断絶している。何故なら、戦前の日本を全面否定し、GHQにより強制された戦後日本を肯定しているからである。日本はGHQにより民主主義を与えられたと言う者がいるが、聖徳太子の17条の憲法からも明らかなように、日本は古代から民主主義国家であった。西欧の市民を弾圧した王政と全く異なり、天皇が国民を弾圧したことはなかった。日本書記にある仁徳天皇の「民のかまど」にあるように、天皇は国民の生活が第一であると考えていた。日本書紀を編纂した当時の日本人の心が「民のかまど」にあったということである。
GHQは戦争に加担したとされる者を公職から追放した。当時の国会議員の80%が追放され、追放後の1946年(昭和21年)4月に行われた選挙による国会議員によりGHQにより起案され強制された日本国憲法が形式的に審議された。公職追放された者は、20万人と言われている。このような状況の中、当然に、GHQの占領政策に加担し、共産主義思想の傾向の強い者がマスコミ、大学、役人に多く現れ、彼等の思想が現在の日本を支配している。これが歴史観の断絶の原因である。渡部氏は、彼等のことを「敗戦利得者」という。
渡部氏が口癖にして言うことは、1951年にマッカーサーが上院軍事外交合同委員会で証言した結論、「したがって、彼らが戦争に突入した目的は、主として安全保障のため、余儀なくされたものであった」である。すなわち、自衛戦争であったということである。このマッカーサー証言を日本及び世界に広く知らせるべきであると言う。
また、渡部氏は、このマッカーサー証言は、東條英樹の極東国際軍事裁判において提出された宣誓供述書の結論、「断じて日本は侵略戦争をしたのではありません、自衛戦争をしたのであります」と同趣旨であると言う。なお、宣誓供述書は1948年のGHQ占領期に出版されたが、日本国を弁護するものとして直ちに発禁になっている。東條英樹の自衛戦争論は開戦責任者の言い訳と思う日本人も多い。しかし、一度読んでみて、開戦に至ったルーズベルトの行為も知った上で、再考しても良いのではないかと思う。
日本人は真の歴史を知るべきである。渡部氏の逝去は日本にとって大きな損失である。氏の志を継ぐ者が多く出ることを祈る。
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知の湧水 単行本 – 2017/6/5
渡部昇一
(著)
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「追悼緊急出版」渡部昇一の遺著
「知の巨人」ラストメッセージ
稀代の碩学珠玉のメッセージ
──将来の日本人に記憶される歴史の一貫性こそは、
意識下において愛国心にもととなり、
国民としての誇り、国の繁栄のもととなるであろう(本文より)。
I
レヴィジョニスト・マッカーサー
韓国の歴史認識/日韓関係は淡々と/「抗日戦勝記念」の意図/「修正主義者」のレッテル/日本を縛るのは誰か/マッカーサー証言を使え
シンガポールの話
巨星墜つ/英植民地の実像/白人の虚勢が敗因に/一種の「大東亜戦争肯定論」/敗れてなお成したこと
護憲派に見る知的貧困
曲学阿世の学者たち/敵性国家を信じられるか/隷従中の憲法制定/強制と自発は矛盾せず?/勉強が足りない護憲派
朝日と特高の共通点
岳父が思想弾圧対象に/凶悪な捏造記事/弾圧に耐える心術/戦前教育の素晴らしさ/美しい老人の姿
ヘイト・スピーチの今昔
「ヘイト」の原因/レシプロカルな関係/パキ・バッシングの例/白人の偽善的社会/動物的直観か
野次の効能
野次将軍も今は昔/トゲトゲしい世論/壮大な野次合戦/野次をそのまま党名に/自由民主議会の華
ノロくて脆い民主主義議会
外郭環状線/中国と東京の場合/デモクラシーとは何か/あっという間にパリ陥落/独裁制の能率の良さ
II
「かがみ」のさまざま
天才と鬼才/殷鑒遠カラズ/歴史を「鑑」として……/欲しかった『新字鑑』/昔を書けば増鏡
日本人と鏡
神代からのご縁/近親結婚の理由/日本は神代から文明国/「鏡は御魂そのもの」/鏡は本性を映すもの
二宮金次郎の「がくもん」
「がくもん」をする金次郎/「本を読む父」の姿/天道と人道/「報徳仕法」はいまも/老化を防ぐ「がくもん」
座談の愉しみ
幸田露伴は「偉い人」/進藤克彦先生の導き/思い出に残る恩師の座談/対談、座談から始めよう/留学先に持って行った本
露伴の書と句
豪華メンバーの座談会/露伴色紙の行方/運命的な出会い/親獅子・露伴はいかに/わが家のロハン
宇宙船地球号と文科の時代
「成長の限界」と宇宙の旅/文科の学徒として/エドナイゼーションの貢献/連歌が示す平等社会/川柳が紡ぐ歴史
「征服者」になった難民・移民
米「感謝祭」の本当の意味/文化融合の難しさ/美しい同情の代償/日本人という「原住民」
III
鏡の東西
至人の心は鏡の如し/「鏡」と心術/動物と人間の差/人間の世界を写す鏡
祖母の膝の上で聞いた「哲学」
「切り口」の向き/不滅の霊魂と転生/死者たちの魂/プラトン哲学の深奥/宗教の理性と反知性
『神学大全』の翻訳
壮大な「全訳計画」/半世紀にわたる大事業/経国の大業、不朽の盛事/偉業を称える
聖トマスと聖アウグスティヌス
聖トマスを語る資格/ボロボロになるまで読んだ/聖人に倣った洗礼名/岩下壮一の恩恵/「本物を発見した」
「天才」の能力とは
一を聞いて百を知る/名誉の抜擢/間違いだらけの大成功/本人よりも本人に近い/いまも読み継がれる名著
帝国礼賛か、祖国愛か
ローマ愛の正体/ブーア人の土地愛/大英帝国衰亡の始まり/対照的な二人の作家/「白人の重荷」の傲慢
キリスト教国は減っている
「日本文明」の本質/信仰と離婚/〝結婚〟の重要性/ソドミストへの刑罰/日本文明を世界の手本に
IV
不思議な校名
校名の由来/伝記のパンフレット/徂徠学と朝暘先生/徂徠学はなぜダメか?/誉れを子孫に残さん
百科事典とウィキペディアの時代
事典と言えばブリタニカ/ネット事典の過不足/「論争」記述の誤り/生存中に読める伝記/立花隆氏との論争
賢者の健康法
長命でなければ……/「腹に〝の〟の字」/『荘子』に学ぶ/老いに逆らう
戦前を忘れるな
開戦後も呑気だった/子供も感じる社会の変化/戦前の「明るい」流行歌/惚れた腫れたの歌/夢の楽園、花の東京/戦前を忘れまい
象徴性の力
昭和/頼朝と出家/東の天皇・西の皇帝
悪魔の囁き
花柳界/敵薬(antidote)/生前葬
親に叱られる
かくれんぼ/贅沢貧乏
「知の巨人」ラストメッセージ
稀代の碩学珠玉のメッセージ
──将来の日本人に記憶される歴史の一貫性こそは、
意識下において愛国心にもととなり、
国民としての誇り、国の繁栄のもととなるであろう(本文より)。
I
レヴィジョニスト・マッカーサー
韓国の歴史認識/日韓関係は淡々と/「抗日戦勝記念」の意図/「修正主義者」のレッテル/日本を縛るのは誰か/マッカーサー証言を使え
シンガポールの話
巨星墜つ/英植民地の実像/白人の虚勢が敗因に/一種の「大東亜戦争肯定論」/敗れてなお成したこと
護憲派に見る知的貧困
曲学阿世の学者たち/敵性国家を信じられるか/隷従中の憲法制定/強制と自発は矛盾せず?/勉強が足りない護憲派
朝日と特高の共通点
岳父が思想弾圧対象に/凶悪な捏造記事/弾圧に耐える心術/戦前教育の素晴らしさ/美しい老人の姿
ヘイト・スピーチの今昔
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野次の効能
野次将軍も今は昔/トゲトゲしい世論/壮大な野次合戦/野次をそのまま党名に/自由民主議会の華
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外郭環状線/中国と東京の場合/デモクラシーとは何か/あっという間にパリ陥落/独裁制の能率の良さ
II
「かがみ」のさまざま
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神代からのご縁/近親結婚の理由/日本は神代から文明国/「鏡は御魂そのもの」/鏡は本性を映すもの
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豪華メンバーの座談会/露伴色紙の行方/運命的な出会い/親獅子・露伴はいかに/わが家のロハン
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聖トマスと聖アウグスティヌス
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一を聞いて百を知る/名誉の抜擢/間違いだらけの大成功/本人よりも本人に近い/いまも読み継がれる名著
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IV
不思議な校名
校名の由来/伝記のパンフレット/徂徠学と朝暘先生/徂徠学はなぜダメか?/誉れを子孫に残さん
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事典と言えばブリタニカ/ネット事典の過不足/「論争」記述の誤り/生存中に読める伝記/立花隆氏との論争
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長命でなければ……/「腹に〝の〟の字」/『荘子』に学ぶ/老いに逆らう
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開戦後も呑気だった/子供も感じる社会の変化/戦前の「明るい」流行歌/惚れた腫れたの歌/夢の楽園、花の東京/戦前を忘れまい
象徴性の力
昭和/頼朝と出家/東の天皇・西の皇帝
悪魔の囁き
花柳界/敵薬(antidote)/生前葬
親に叱られる
かくれんぼ/贅沢貧乏
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社ワック
- 発売日2017/6/5
- 寸法18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- ISBN-104898314619
- ISBN-13978-4898314616
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商品の説明
著者について
渡部昇一(わたなべ・しょういち)
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。昭和5年(1930年)、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr. phil., Dr. phil. h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「日本の歴史」1〜7』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラーが多数ある。平成29年(2017年)4月17日、逝去。
上智大学名誉教授。英語学者。文明批評家。昭和5年(1930年)、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了後、独ミュンスター大学、英オクスフォード大学に留学。Dr. phil., Dr. phil. h.c.(英語学)。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞。著書に『英文法史』などの専門書、『文科の時代』『知的生活の方法』『知的余生の方法』『アメリカが畏怖した日本』『「日本の歴史」1〜7』『読む年表 日本の歴史』などの話題作やベストセラーが多数ある。平成29年(2017年)4月17日、逝去。
登録情報
- 出版社 : ワック (2017/6/5)
- 発売日 : 2017/6/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4898314619
- ISBN-13 : 978-4898314616
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 2.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 442,919位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,470位エッセー・随筆 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年7月23日に日本でレビュー済み
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2017年7月23日に日本でレビュー済み
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とても勉強になる書籍でした。
何度も繰り返して勉強させて頂いております。
何度も繰り返して勉強させて頂いております。
2017年6月12日に日本でレビュー済み
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本書を読んで改めて思うことは、著者はなんと守備範囲の広い学者だろうかという深い感慨である。各章は4つのテーマに分けられており、マッカーサー証言に始まり、二宮金次郎の学問、トーマス・アクイナス、荘子、親に叱られるで閉じる。しかもいずれも深みがある純度の高い珠玉の文章である。ただ著者本人の序文がないのが大変寂しい。
今にして思えばということになるが、文章の中に「巨星墜つ」、「生前葬」など著者のその後を予感させるような文言があることに気づく。さらに、「私も近頃『逆順』は『迎順』でよいと思うようになった。順当に馬齢を重ねて『入仙』、つまり『仙ニ入ル』は『遷に入る』ことでよい。センは『仙』でも『遷』でもよく、同じく『この世からどこかに移る』話なのである」という言葉も見える。逆順を意図してラテン語の文言を暗記し始められたということであったが、ここではむしろ運命に順うという気分が見て取れるのである。
本書は英語で言えばa posthumous work(遺作)ということになろうが、まだどこかに一般読者の目に触れていないエッセイが多々あることと推察する。今後引き続き出版されることを期待したい。そしてその際は是非相応しい執筆者の序文がほしい。読者の興味が深まること請け合いである。
今にして思えばということになるが、文章の中に「巨星墜つ」、「生前葬」など著者のその後を予感させるような文言があることに気づく。さらに、「私も近頃『逆順』は『迎順』でよいと思うようになった。順当に馬齢を重ねて『入仙』、つまり『仙ニ入ル』は『遷に入る』ことでよい。センは『仙』でも『遷』でもよく、同じく『この世からどこかに移る』話なのである」という言葉も見える。逆順を意図してラテン語の文言を暗記し始められたということであったが、ここではむしろ運命に順うという気分が見て取れるのである。
本書は英語で言えばa posthumous work(遺作)ということになろうが、まだどこかに一般読者の目に触れていないエッセイが多々あることと推察する。今後引き続き出版されることを期待したい。そしてその際は是非相応しい執筆者の序文がほしい。読者の興味が深まること請け合いである。
2017年8月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
渡部先生は今年、惜しくもこの世を去られました。私も最近先生の御考えに共感を持つようになり、改めて日本の良さを感じ、この国に生まれたことを喜び、且つ誇りに思っております。いま我が国は左翼の元凶たる朝日のいわれなき虚言によって、その存在を否定されています。またそれに連なる弁護士や大学教授というばかげた存在によって葬り去れようとしています。その矢先渡部先生はこの「知の湧水」という遺言書を残して去られました。誠に残念の極みですが、残る我々は精神的、知的にも真の日本人としてこの国を守り、愛する子孫や日本を心から愛してくれる人々に遺さねばなりません。そのための書として本書を老若男女すべてを問わず日本を心から愛する人たちに読んでいただきたいと願っています。
2017年11月2日に日本でレビュー済み
故 渡部昇一氏の著書・対談は既にもう50冊以上は読んでいる。
どの本も、流れるような文体で、広く深い学識に裏打ちされた、滋味あふれる内容であった。
ただ著作数があまりに多く、内容の重複(ネタの使い回し)やこちらの関心の濃淡はあり、
アマゾンレビューでは☆3~5(平均は4以上)を付けてきた。
で、最後の随筆集である本書ですが、読み始めてすぐ☆5つを直感し、
通読後の感想もその通りであった。
まず、これまでの著書とネタのかぶるものはあるものの、語り直しされアレンジされ新情報も追加されているので、
常に新鮮味があった。
特にウィキペディアの自分の項目への訂正は、ファンには必読であろう。
ハードカバーで堅牢重厚な造本も、遺作という意味で相応しい感がある。
どの本も、流れるような文体で、広く深い学識に裏打ちされた、滋味あふれる内容であった。
ただ著作数があまりに多く、内容の重複(ネタの使い回し)やこちらの関心の濃淡はあり、
アマゾンレビューでは☆3~5(平均は4以上)を付けてきた。
で、最後の随筆集である本書ですが、読み始めてすぐ☆5つを直感し、
通読後の感想もその通りであった。
まず、これまでの著書とネタのかぶるものはあるものの、語り直しされアレンジされ新情報も追加されているので、
常に新鮮味があった。
特にウィキペディアの自分の項目への訂正は、ファンには必読であろう。
ハードカバーで堅牢重厚な造本も、遺作という意味で相応しい感がある。
2018年1月18日に日本でレビュー済み
幸田露伴の話で『努力論』をkindle(無料)で入手し、アウグスティヌスとトマス話で山田晶による『世界の名著 16 アウグスティヌス』を購入しと、渡部先生の著書は読む度毎に読書欲をものすごーーく刺激する。
逝去を受けてさまざまな論者が渡部先生の著書や業績について文章/動画を公開しているが、私が目を通している限りでことごとくが歴史認識や国際関係や知的生活に係るものばかりで甚だ不満だ。本書で披露しているように、先生の主著は『英文法史』『英文学史』『イギリス国学史』なのだ。よく知られているベストセラーやロングセラーではなく、大学人・研究者としての公的な業績表に掲載されている専門書にこそ私は一番影響を受けて感銘したし、そうした業績についての追悼文をぜひ読んでみたいものだ。
専門の言語学(フィロロギー)の研究を先鋭化していって辿り着いたのは、現在の一般的な学問水準からはオカルトと呼ばれかねないものだったと私は確信している。先生の人生を大きく変えた本3冊のうち1冊はオーエン・バーフィールドの『英語の中の歴史』だが、バーフィールドの語源研究の論理的帰結は、通時的にだんだん個別化・具体化していく単語の意味の起源すなわち汎化された集合的無意識とでもいうしかない「内面を持った自然」であったし、上智大学最終講義のテーマは「科学からオカルトへ A・R・ウォレスの場合」であった。私はここに、栗本慎一郎との接点を見てもいる。
ぜひ主著の読書もオススメしたい。
逝去を受けてさまざまな論者が渡部先生の著書や業績について文章/動画を公開しているが、私が目を通している限りでことごとくが歴史認識や国際関係や知的生活に係るものばかりで甚だ不満だ。本書で披露しているように、先生の主著は『英文法史』『英文学史』『イギリス国学史』なのだ。よく知られているベストセラーやロングセラーではなく、大学人・研究者としての公的な業績表に掲載されている専門書にこそ私は一番影響を受けて感銘したし、そうした業績についての追悼文をぜひ読んでみたいものだ。
専門の言語学(フィロロギー)の研究を先鋭化していって辿り着いたのは、現在の一般的な学問水準からはオカルトと呼ばれかねないものだったと私は確信している。先生の人生を大きく変えた本3冊のうち1冊はオーエン・バーフィールドの『英語の中の歴史』だが、バーフィールドの語源研究の論理的帰結は、通時的にだんだん個別化・具体化していく単語の意味の起源すなわち汎化された集合的無意識とでもいうしかない「内面を持った自然」であったし、上智大学最終講義のテーマは「科学からオカルトへ A・R・ウォレスの場合」であった。私はここに、栗本慎一郎との接点を見てもいる。
ぜひ主著の読書もオススメしたい。
2017年6月4日に日本でレビュー済み
渡部さんのエッセイを読むのもこれが最後になるのか? 雑誌に連載されていたエッセイをまとめたもの。おそらく口述ではなく、手書きで書かれていたのだろう。晩年、連載が中断したのも、手で書けなくなったからだろう(そのあとも、「口述」でなら、雑誌に登場していたようだったから)。それだけに、渾身の一冊という思いがする。
週刊誌に連載されていた『古語俗解』は、文庫化されていないのではないか? 慈しんでよみたい。
週刊誌に連載されていた『古語俗解』は、文庫化されていないのではないか? 慈しんでよみたい。