この本が成立するまでの、周辺事情がいい。
企画は糸井重里。「死というものが、いま、あまりに蓋をされ過ぎている」と彼は思い、
死についての書籍の企画を始める。
物語(文章)を依頼したのが、谷川俊太郎。
谷川氏は言う。
「ぼくは、死で何かが終わるのではないと思っている。
それは自分にとっては、楽しみである」と。
だが、かれは、死んだことがない。
だから死について書くのは、非現実的なこと、絵空事になってしまう。
それでは説得力がない。では、どうするか。
自分の死についての実体験を書く。
「知り合いが死んだことを自分が経験した」。
それを彼は書いていく。
かないくん。
「かないくん」というのは、実在の人物。
谷川氏の人生に関わった、クラスメート。
彼について書いていく。しかし、そのかないくんの死で、詩人のペンは止まってしまう。
「知り合いの死」から先。死そのものへは、ペンは届かない。
そこから先に、まだ行くことができない。
「ここから先は書くことができない」と
そういう自分(絵本の中では老人の絵本作家)を書く。
そこに、孫娘との会話をはさむ。
主語が、物語の主役が、小さな少女になる。
この本は、かないくん・・老作家・・少女という順に、
死がリレーされていく。
人が、順番で死ぬ。残されたものは、亡くなったものの死、喪失を受けとめて、
生き続けていく。自分の生を続けていく。
この物語の「絵」を託されたのは、松本大洋。
絵本ができるまでにもうひとり、重要な役目を果たしたのが、装幀家。
彼は色校正を前に、「重要なのはここ」と、何も絵が描かれていない場所を指さす。
そこに雪が降る。
雪は、ただの白ではなく、「雪だけの白さ」を持たなくてはならない。
そのために、特別な印刷技術が施されている。
通常の4色刷りの他に2色、白系特色が使われた6色印刷。
最後の場面、本の中で、雪が降る。
この本は、その「雪の白さ」に、心底こだわっている。
通常カヴァー裏面に印刷されているバーコードは帯に印刷され、
それを取ってしまうと、カヴァー裏面には何もない。
そしてよく見ると、汚れ防止に施されるつやつやのPP加工は、右端手前で途切れ、
白いドットと、マットな紙面になっている。これと同じことが、カヴァー前面の折り返しにも成されている。
それと、この本には、周辺に貴重な情報が2つある。
1つは、「ほぼ日」のサイトの中にアップされている
谷川俊太郎と松本大洋の対談。読み応えのある内容とボリューム。
たとえば、こんなことが語られる。上記した3人の主人公の他に、
この物語には隠れた主要登場者がいる。それは「うさぎ」。うさぎを登場させたのは、松本大洋。
もう1つの貴重情報は、「ほぼ日」サイトで、この本を買った場合についてくる”特別副読本”。
そこに、松本大洋が最初に描いた、全体のラフスケッチ+ページ構成が掲載されている。
絵で物語を作ってきた作家ならではの構成力が生きていて、さすがの松本ワールドになっている。
このヴァージョンでは、ラストシーンで、女の子がゲレンデをすべっていく先に、大きな月が昇っている。
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かないくん (ほぼにちの絵本) 新書 – 2014/1/24
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ある日、ともだちのかないくんが学校を休んだ。
かないくんは親友じゃない。ふつうのともだち。
日常に訪れた、はじめての“死”。
死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと?
詩人、谷川俊太郎が、一夜で綴り、
漫画家、松本大洋が、二年かけて描いた絵本。
年齢を問わず、時代を問わず、場所を問わず、
長く読み続けられてほしい一冊です。
企画監修は糸井重里。
ブックデザインは祖父江慎。
松本大洋の原画の「白」を再現するために
凸版印刷とタッグを組んで試みた
本邦初となる「特殊6色印刷」にも注目。
かないくんは親友じゃない。ふつうのともだち。
日常に訪れた、はじめての“死”。
死ぬって、ただここにいなくなるだけのこと?
詩人、谷川俊太郎が、一夜で綴り、
漫画家、松本大洋が、二年かけて描いた絵本。
年齢を問わず、時代を問わず、場所を問わず、
長く読み続けられてほしい一冊です。
企画監修は糸井重里。
ブックデザインは祖父江慎。
松本大洋の原画の「白」を再現するために
凸版印刷とタッグを組んで試みた
本邦初となる「特殊6色印刷」にも注目。
- 本の長さ48ページ
- 言語日本語
- 出版社ほぼ日
- 発売日2014/1/24
- 寸法18.2 x 0.5 x 25.7 cm
- ISBN-104865011072
- ISBN-13978-4865011074
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対象商品: かないくん (ほぼにちの絵本)
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登録情報
- 出版社 : ほぼ日 (2014/1/24)
- 発売日 : 2014/1/24
- 言語 : 日本語
- 新書 : 48ページ
- ISBN-10 : 4865011072
- ISBN-13 : 978-4865011074
- 寸法 : 18.2 x 0.5 x 25.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 130,734位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,196位新書
- - 11,705位絵本・児童書 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1948年、群馬県出身。
コピーライター。ほぼ日刊イトイ新聞、主宰。
作詞、ゲーム制作など、多岐にわたり活動。
1998年6月に毎日更新のウェブサイト
「ほぼ日刊イトイ新聞」を立ち上げてからは
同サイトでの活動に全力を傾けている。
最新刊に、早野龍五氏との共著『知ろうとすること。』(新潮文庫)
『ぼくの好きなコロッケ。』(東京糸井重里事務所)などがある。
1931年、東京生まれ。詩人。詩集『二十億光年の孤独』を刊行以来、詩やエッセー、翻訳、脚本など幅広く活動する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 かずのえほん いくつかな? (ISBN-13: 978-4774317434 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2015年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年7月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
静かな絵がずっと記憶に残っていて、今回購入しました。思った通り、ゆっくり染みこむように言葉が入ってきて、生きていることをもう一度考えました。
2014年3月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まだ1回しかひらいていませんが、
んー難しいですね。
ドラマのmotherの方が感動しました。
想像力の不足でしょうか?
んー難しいですね。
ドラマのmotherの方が感動しました。
想像力の不足でしょうか?
2014年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現時点で24件ものレビューがあるとは驚き。
新刊の絵本としてはかなりの反応数なので。
好評価が多いものの、手放しで受け入れるに
はどこか抵抗がありました。少数ながら批判
的なコメントにも共感できる部分があるので。
そんな複雑な読後感は、死というテーマを扱
っているせいもあります。子どもにも死を感
じとりやすく描いた良書は数多く出ているだ
けに、着地点がないとも言える本書は戸惑い
ながら考え込んでしまいました。
注目したいところは絵本ならではのやり方で
死を体現したところ。淡々とした始まりから
すぐに感情移入するのは難しかったものの、
途中で一転!ぐいっと本の中へ引き寄せられ
ました。死がすぐそばにやってきます!
特殊印刷を使った絵としての生々しさが効い
てますね。白い絵の具から命の脈動がじわじ
わと胸に染入ってくる。他にも細部まで気を
配った作り込みで、装丁がテーマと連動する
ことの可能性をみせてくれました。
新刊の絵本としてはかなりの反応数なので。
好評価が多いものの、手放しで受け入れるに
はどこか抵抗がありました。少数ながら批判
的なコメントにも共感できる部分があるので。
そんな複雑な読後感は、死というテーマを扱
っているせいもあります。子どもにも死を感
じとりやすく描いた良書は数多く出ているだ
けに、着地点がないとも言える本書は戸惑い
ながら考え込んでしまいました。
注目したいところは絵本ならではのやり方で
死を体現したところ。淡々とした始まりから
すぐに感情移入するのは難しかったものの、
途中で一転!ぐいっと本の中へ引き寄せられ
ました。死がすぐそばにやってきます!
特殊印刷を使った絵としての生々しさが効い
てますね。白い絵の具から命の脈動がじわじ
わと胸に染入ってくる。他にも細部まで気を
配った作り込みで、装丁がテーマと連動する
ことの可能性をみせてくれました。
2023年9月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
購入した本はとても良かったのですが、配達が良くなかったです。
本なのでポストインなのはわかりますが、雨が降っている時は手渡しして欲しかったです。
ポストの中で封筒がびしょびしょになり、中の本も濡れてヨレヨレになってしまっていてせっかく楽しみにしていたので残念でした。
本なのでポストインなのはわかりますが、雨が降っている時は手渡しして欲しかったです。
ポストの中で封筒がびしょびしょになり、中の本も濡れてヨレヨレになってしまっていてせっかく楽しみにしていたので残念でした。
他の国からのトップレビュー

JF Vaillant
5つ星のうち5.0
Masterpiece
2019年4月3日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Poetry illustrated by Matsumoto, the author of Sunny, Number 5, etc... A masterpiece of emotion about frienship, remorse, passing time and death as seen thru the eyes of a young child... Brilliant...