1971年のファースト・アルバム「Sing Children Sing」からシングルカットされた「Help Me Jesus」を聴いて以来、彼女の限りなく優しく、それでいて凛々しい歌声に魅了されてきました。「Moon Bathing」は1975年にリリースされたレスリーの4枚目のアルバムですが、印象的な素晴らしい出来です。初期イーグルスを思い出す、「Rescue Me」のような軽快で、それでいて優しく可愛らしいポップソングや、「Heaven Knows」をはじめとする、エモーショナルで美しく、どこかに深い陰影を感じるバラッドは、彼女にしか作れません。ファースト・アルバムからずっと付き合っているクリス・スペディングがこのアルバムにも参加していますが、「Heaven Knows」での彼のソロは絶品です。このころクリスはブライアン・フェリーのツアーに参加したりして、それ以前のメガネをかけた達者なアコースティック中心のお兄ちゃん、というイメージから一転して、皮ジャンでオールバックのヘビーなギタリストに変身していたのですが、レスリーのアルバムでも「弾かない」ギターの妙技を聴かせてくれています。レスリーの作る曲も、4枚目になっても全くグレードは落ちず、素晴らしい曲が並んでいますし、とにかく彼女の声がいい!けっして上手いヴォーカルではないのですが、優しく透き通って媚びない不思議な魅力があります。
これまでファーストとセカンド「Earth Mother」しかCD化されていなかったので、もうダメかなと思っていたら、本当にうれしい驚きでした。3枚目の「Everything Change」、5枚目の「Maybe It's Lost」もとても良いアルバムなので、是非々々CD化してほしいです。