写真を趣味にしていると「子どもの写真は作品にならない」と言われることが多々あった。確かに全くの他人が子どもの写真を見せられても反応に困るだろうし、あまり子どもが好きでない人にとっては感想を述べるのも苦痛だろう。
だから自分が親になった時、どうやって子どもの写真を撮るべきか分からなかった。しかしそうやって迷っている間にも子どもの「今」はどんどん過去になっていく。きれいに撮ることは出来るけど、それには何かが欠けている気がした。
次第に私は写真家のプライベート写真を探すようになった。完璧すぎて真似出来ない写真もあれば、案外フツーの写真もあり、写真家の書いた子ども写真の本もいくつか読んだ。
そうして出会ったのが千倉志野氏の写真だった。泣き顔、泥んこ、鼻ちょうちんも全肯定、子ども達に振り回される自分にとって、こんなありふれた日常こそ残したい、親にしか撮れない写真だと思った。
この本はそんな氏の初の写真集。子ども写真だけでなく、一瞬の光を愛おしみ、そっと宝物箱にしまうように撮られたスナップ達も見逃せない。
千倉氏にはとても及ばないけれど、私もまたシャッターを切ろう。「今」の子ども達へ、そして未来への「present」のために。
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