ペコスブーツは、レッド・ウィング社の開発した、ウエスタンブーツ・タイプのワークブーツです。元々スペインの乗馬靴に由来するウエスタンブーツは、左右両側に縫い目のあるサイドシームの筒を持つプルオンブーツです。その多くは、つま先がやや尖った形をして高めのヒールがついていますが、これは乗馬の際に鐙(あぶみ)にスムーズに足を入れて踏ん張るのに適していたからです。 レッド・ウィング社はかつてテキサスに拠点を持ち、1930年代にはウエスタンブーツも販売していました。このウエスタンブーツに、レッド・ウィング社が得意とする機能本位のワークブーツのデザイン手法を用いて、シンプルかつ頑丈で、様々なワークに使えるブーツとしたのがペコスブーツです。 レッド・ウィング社はペコスブーツを商標登録した上で一連の品揃えをして、1959年に発売しました。その当時は全てのペコスブーツがヒール付きのものでしたが、2年後の1961年にワークブーツで高い評価を得ていたトラクショントレッド・ソールを付けた#866をラインナップに加えました。白くて厚い、クッション性に富んだ底の平らなこのソールは、どんな地面でも履きやすく、疲れにくいものでした。本来ハンティングブーツとしてつくられたアイリッシュセッターに使われ、ワーカーにも評判になっていたものです。 やや短めの筒、ウエスタンタイプのブーツとしては丸みを帯びたつま先、そして高い機能性を持つソールの組み合わせにより、この#866も着実に評価を高め、ロングセラーとなり、今日でもアメリカ南西部やテキサスといったウエスタンブーツカルチャーを持つエリアで作業靴としても履かれています。 #8866は、1990年代半ばの赤みがかったブラウンレザーでできていた頃の#866を、当時のレザーを想わせるオロラセット・ポーテージで再現したものです。