「ポスト高成長期の中国政治」に焦点をあて、分析の手法として、「エリート：共産党」と「大衆」といったアクターと制度・政策の連環を通じ。中国共産党を核とする中国のガバナンスを検討することを試みています。高度成長に依る生活水準の向上が不平不満を吸収できていた前政権までの時代が終わり、国民の不満を減らし、国家目標が必要になっています、ガバナンスを立て直す必要が生まれています。
習近平政権になってから、経済が安定成長期に入ったことを「新常態」として位置づけ、国家目標として打ち出した、「中国の夢」構想、要は世界一の大国となることを打ち出しています。現在、民主化なきガバナンス改善として、「中国的民主主義」と「中国的法治主義」を打ち出して、様々な飴(社会保障制度改革他)を与えながら、一党独裁体制の維持を図っているのが見て取れます。
読んでいて、共産党政権の元々のガバナンスの正当性がどこにあるのかという議論が足りないような気がしました。ガバナンスが効くかどうかはその正当性に左右されるものではないだろうか。傍から見ていると、この国にとって共産主義/マルクス主義がなぜ必要なのか、中国共産党は共産主義を標榜するのにふさわしい政党なのか、中国共産党流の共産主義が自由民主主義を本当に凌駕しているのか、という疑問点がクリアーではないです。そうした疑問に答えることも必要ではないかと感じました。
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