まず、問題編と解答・解説編が別冊に分かれていることは、問題の該当ページと解答の対照ページを並置できるため、
学習上非常に便利かつ有効だと思います。
問題編は、細胞の構造など丁寧に基礎の盲点を押さえたうえで、酵素の作用機序とミカエリス・メンテン式など発展性は高いけれども、
いつどこで出題されてもおかしくない伝統的な問題群に加え、形質導入など近年ますます発展中のバイオテクノロジー関連の問題群も、
精選してカバーしてあり、好感の持てる問題集となっています。問題数は全部で105題と演習量としては十分でしょう。
発展性の高い問題群の特徴として、必ずしも難度が高いわけではなく、生物学的な思考力を求めている点、解答編の「精講」をみると、
基礎を解説するのと同じ調子で、こうした発展的な問題群についても思考のポイントが分かりやすく整理、明示してあるので、
受験生物界にとっては、まことに頼もしい演習書だと思います。
受験生物の特徴として、毎年どこかで新傾向の問題が出やすいということで、
それは遺伝生物学分野と分子生物学分野のリンクするあたりで盛んです。実際、競争の激しい生物研究界ですから、
バイオテクノロジーのイノベーションは日進月歩で、そうした新技法を応用した実験なり考察問題は難度の高いところほど、
大きな割合を占めると予想されます。ですから、この標準問題精講シリーズ生物を用いて、まさに「標準」知識と考え方を仕入れ、
受験生は近年の過去問にチャレンジすることで、補うことができると思います。
本書を、生物科目の受験生はじめ関心のある向きに幅広くオススメします。
最近の出題傾向として、重視されるようになってきたのは、進化生物学で、それはダーウィン以来かなり研究が進んで、
分野として具体化しつつあるからでしょうか。本書では第10章でおもにとりあげてあり、
特に96問(熱水噴出孔)は最近の沖縄方面での海底鉱床発見などとも関連し、いわば何でも呼吸基質になりうる可能性を示唆しています。
また、99問(鎌型赤血球貧血症)は集団遺伝的な現地適応のプールの代償形質として、致死率比較が為されており、
100問(ドリフト)でも集団サイズの遺伝効果が、頻度として扱われています。
101問(ツリー)では分子進化として、生物集団の分岐の仕方とかかる時間、本質変化かどうかなど現象スピードのばらつきも視野にあります。
102〜105問は最近の生物分類体系の変化を踏まえた新傾向となっています。
利用上の留意点を章ごとにまとめておきます。
1章(細胞と個)…単体(モナド)としてのセルと相互作用しあう群としての組織といった具合に眺めつつ、
細胞分裂過程におけるモーター蛋白(ダイニンとキネシンなど)が染色体を引っ張る様子などにも注意しましょう。
各種小器官(オルガネラ)の形、所在とおもな役割はとりあえず一度は整理しておくとよいでしょう。
2章(代謝)…これは大きく回路反応系なので、フィードバック機構といえ、結果が再び原因に作用して過程が調節されるしくみです。
ホルモンなどもそうして分泌され、局所に分布します。速度論は動的と静的に分けて考えるとよく、
細胞膜(メンブラン)を介したエネルギー授受は生命活動の基本としてよく理解に努め、光合成・呼吸についても回路ごとに分け、
ひいてはつないで考えてみるのもよいでしょう。
3章(遺伝と発現)…分子生物学のいろいろな技法を含む、実験を通じた考察問なので、
それらを通じて生命の増殖や多様化がどう進むかを理解しましょう。
4章(生殖と発生)…被子植物の重複受精が特に大事で、これも最近よく出ている前後軸や背腹軸決定因子としての位置取り裏打ち、
また関連因子の濃度分布など、突然変異(ミュータント)のしくみや、
細胞リセットによる全能性再獲得と再分化誘導による組織の再生(iPSなど)にも注意しましょう。
5章(遺伝)…メンデル系をよく復習しつつ、原則から例外へと流し、ハーディー=ワインベルクの法則を用いた計算問、
三点交雑による遺伝子地図の作成問などに注意しましょう。
6章(恒常性)…心血管系、腸肝循環、腎、血糖量、自律神経系、2つの免疫系などが重要です。
7章(動物)…神経伝達と筋収縮のしくみをよく理解し、最近よく出る眼と耳関連の問題もこなしましょう。
8章(植物)…植物ホルモンのまとめと植物の運動が大事です。LED照射方法とレタスの発芽などにも注意しましょう。
9章(生態)…いわゆるエコロジーですが、密度、種内・間関係、花粉分析、物質循環とエネルギー放射、個体数ピラミッド、
食物連鎖などを押さえておきましょう。
概略以上のような諸点に留意しながら、演習にじっくりとりくんでみるのもよいかと思います。

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生物[生物基礎・生物] 標準問題精講 五訂版 単行本 – 2014/7/8
本書は難関大学を目指す人のための演習書です。
問題編208ページ、解答・解説編264ページで、使いやすい別冊になっています。
受験指導で圧倒的な人気と信頼を得ている著者が、国公立大2次・私立大の入試問題を徹底的に分析し、難関大学の入試で合否の分かれ目になる問題を厳選して、それらを解くためにはどのように学習したらよいのかを示しながら丁寧に解説しました。
したがって、基本的な学習を終了した上で本書にチャレンジすれば、大きな効果があるでしょう。
問題編208ページ、解答・解説編264ページで、使いやすい別冊になっています。
受験指導で圧倒的な人気と信頼を得ている著者が、国公立大2次・私立大の入試問題を徹底的に分析し、難関大学の入試で合否の分かれ目になる問題を厳選して、それらを解くためにはどのように学習したらよいのかを示しながら丁寧に解説しました。
したがって、基本的な学習を終了した上で本書にチャレンジすれば、大きな効果があるでしょう。
- 本の長さ208ページ
- 言語日本語
- 出版社旺文社
- 発売日2014/7/8
- ISBN-104010340339
- ISBN-13978-4010340332
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出版社より
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物理(物理基礎・物理)標準問題精講 | 化学(化学基礎・化学)標準問題精講 | 生物(生物基礎・生物)標準問題精講 | 物理 思考力問題精講 | 生物 思考力問題精講 | |
カスタマーレビュー |
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価格 | ¥2,145¥2,145 | ¥1,595¥1,595 | ¥1,595¥1,595 | ¥1,430¥1,430 | ¥1,430¥1,430 |
教科 | 物理(物理基礎・物理) | 化学(化学基礎・化学) | 生物(生物基礎・生物) | 物理(物理基礎・物理) | 生物(生物基礎・生物) |
レベル | 標準 | 標準 | 標準 | 思考力問題 | 思考力問題 |
(入試基礎) | |||||
(共通テスト) | |||||
(私大標準) | |||||
(国公立大標準) | ✓ | ✓ | |||
(私大難関) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
(国公立大難関) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
著者 | 中川雅夫,為近和彦 | 鎌田真彰,橋爪健作 | 石原將弘,朝霞靖俊,山下翠 | 中川雅夫 | 石原將弘 |
判型 | A5判 | A5判 | A5判 | A5判 | A5版 |
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数学Ⅰ・A 標準問題精講 | 数学Ⅱ・B 標準問題精講 | 数学Ⅲ 標準問題精講 | |
カスタマーレビュー |
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価格 | ¥1,430¥1,430 | ¥1,595¥1,595 | ¥1,760¥1,760 |
教科 | 数学Ⅰ・A | 数学Ⅱ・B | 数学Ⅲ |
レベル | 標準 | 標準 | 標準 |
(入試基礎) | |||
(共通テスト) | |||
(私大標準) | ✓ | ✓ | ✓ |
(国公立大標準) | ✓ | ✓ | ✓ |
(私大難関) | ✓ | ✓ | ✓ |
(国公立大難関) | ✓ | ✓ | ✓ |
著者 | 麻生雅久 | 亀田隆 | 木村光一 |
判型 | A5判 | A5判 | A5判 |
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英文 標準問題精講 | 英文法 標準問題精講 | 英語長文 標準問題精講 | |
カスタマーレビュー |
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5つ星のうち4.4
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価格 | ¥968¥968 | ¥968¥968 | ¥968¥968 |
教科 | 英文(英文解釈/精読) | 英文法 | 英語長文 |
レベル | 標準 | 標準 | 標準 |
(入試基礎) | |||
(共通テスト) | |||
(私大標準) | |||
(国公立大標準) | ✓ | ||
(私大難関) | ✓ | ✓ | ✓ |
(国公立大難関) | ✓ | ✓ | ✓ |
著者 | 原仙作,中原道喜 | 原仙作,中原道喜 | 中原道喜 |
判型 | B6変型判 | B6変型判 | B6変型判 |
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現代文 標準問題精講 | 日本史 標準問題精講 | 世界史 標準問題精講 | 政治・経済 標準問題精講 | |
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価格 | ¥1,280¥1,280 | ¥1,595¥1,595 | ¥1,595¥1,595 | ¥1,595¥1,595 |
教科 | 現代文 | 日本史 | 世界史 | 政治・経済 |
レベル | 標準 | 標準 | 標準 | 標準 |
(入試基礎) | ||||
(共通テスト) | ||||
(私大標準) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
(国公立大標準) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
(私大難関) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
(国公立大難関) | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
著者 | 神田邦彦 | 石川晶康 | 松永陽子 | 昼神洋史,金城透 |
判型 | A5判 | A5判 | A5判 | A5判 |
登録情報
- 出版社 : 旺文社; 五訂版 (2014/7/8)
- 発売日 : 2014/7/8
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 208ページ
- ISBN-10 : 4010340339
- ISBN-13 : 978-4010340332
- Amazon 売れ筋ランキング: - 400,615位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 242位高校生物教科書・参考書
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年9月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いろいろ検討しましたが、やはり基礎的な学力と確認のためにはこれが最も適していると判断して購入しました。予想通りの内容でしたし、使い勝手も良好です。記述の基本対策には最適でしょう。
2014年7月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
標準問題精講シリーズの生物が、
ついに装いも新たに発売されました!!!
旧刊は柴山文雄先生が書かれていましたけど、
今回からは、石原先生、朝霞先生、山下先生が執筆。
中身を確認しましたが、
内容は完全に一新されていますね。
解説もかなり詳しくなって、
レイアウトも見やすく、文字も適度な大きさで、分厚さが半端無いです(笑)。
問題のレベルは旧帝一般学部受験者が生物を得意にするレベルから、
国公立医学部受験者が身に付けたい標準レベル位かと思われますね。
兎に角、買って損の無い頼もしい一冊です!!!
ついに装いも新たに発売されました!!!
旧刊は柴山文雄先生が書かれていましたけど、
今回からは、石原先生、朝霞先生、山下先生が執筆。
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解説もかなり詳しくなって、
レイアウトも見やすく、文字も適度な大きさで、分厚さが半端無いです(笑)。
問題のレベルは旧帝一般学部受験者が生物を得意にするレベルから、
国公立医学部受験者が身に付けたい標準レベル位かと思われますね。
兎に角、買って損の無い頼もしい一冊です!!!
2016年11月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
生物の問題集の中でも評判がいい本です。
とりあえず解決してみましょう。
とりあえず解決してみましょう。
2015年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
良問が多いと思いましたが、予想よりいささかハイレベルでした。
2015年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
センターのみならず二次試験にも役立ちます。何度も解き直すことをお勧めします。
2014年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もう少し、難敵仮名と購入してみましたが、以外と癖が無い?感じです。
2016年9月28日に日本でレビュー済み
様々な問題にあたって、教科書に詳しく載ってない内容や考察問題に慣れようと思って購入しました。
解説も詳しくよかったと思います。
問題は全く聞いたことがないという話題から考察させるというよりは、どこかで聞いたことあるという話を話題にしてそれに対して突っ込んでくるという問題が主だったとように思います。その為、全く新しい話題が頭に入るというより既知のことの理解が深まるという感じでした。
解説も詳しくよかったと思います。
問題は全く聞いたことがないという話題から考察させるというよりは、どこかで聞いたことあるという話を話題にしてそれに対して突っ込んでくるという問題が主だったとように思います。その為、全く新しい話題が頭に入るというより既知のことの理解が深まるという感じでした。