人類の進化において、天敵(本書で主な天敵とされるのはライオン)を威嚇するために、原人はポリフォニーを行なっていた。
モノフォニーのほうがポリフォニーより早かったんだ、という従来の説を覆すべく、著者は立論と推察を重ねてゆく。
さらに、人類が発達させた形質の数々をも、ポリフォニーを軸に一気に説明してしまおうとの強引さがちらりと見られる。
それでも、読んでいて不快感をもよおさないのは、第一に誠実な訳業のおかげである。
第二に、著者自身が本書の挑発性を意図し、ポリフォニーを愛し、読者や学者との議論を楽しもうとしているからだろう。
「いくら何でもそりゃ強引だろ!」との読者のツッコミもまた、計算のうちと見える。
音楽進化学の門外漢の読者(評者もそう)は、ていねいな「まとめ」と岡ノ谷氏の「解説」を先に読んでしまうと良い。
その上で、序論から第1・2章に進むべきだろう。ここは詳細な年表や研究史などが挟まれるから、何だったら読み飛ばしても構わない。
そして、本書の核心たる第3章をじっくり読まねばならない。
ここが本書の肝であり、あたかも漫談を聴くかのようにページを繰れる(笑)。
どのあたりが、学問的に「強引」かは、「解説」で注意が促されているから助かる。
それでも、岡ノ谷氏も認めるとおり、強引さはあっても、著者の業績にはすさまじい魅力がある。
一読の価値は大いにある。オススメ。
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人間はなぜ歌うのか? 人類の進化における「うた」の起源 単行本 – 2017/4/13
ジョーゼフ・ジョルダーニア
(著),
森田 稔
(翻訳)
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★各社書評より
「きわめて挑発的、かつ示唆深い仮説が豊富なエピソードとともに語られる本書は、音楽進化学の入門として非常に魅力的なものである」(本書「解説」より 東京大学大学院総合文化研究科教授・岡ノ谷一夫)
「音楽が社会の役に立つのかどうか、などというケチな疑問を吹っ飛ばす、恐るべき本だ」(『レコード芸術』2017年6月号「東欧採音譚18」より 大阪大学文学研究科教授・伊東信宏)
「こうした音楽の起源と進化をたどりながら、著者は無数の魅力的な問いの種を蒔まいていく。「なぜ、すべての言語で質問形は語尾を上げるのか」。「なぜ、言語によって吃音の発症率が異なるのか」。我々とは何か、新しい視点から悩ませてくれる一冊である。」(2017年6月4日付「読売新聞」より 東京工業大准教授・伊藤亜紗)
「人間はなぜ歌うのか。進化最大の謎だ。異性を惹きつける、遠距離通信、宗教儀礼、母子のコミュニケーション、など諸説ある。著者の説はもっと壮大で、音楽は人類進化の重要な鍵と結論付ける。……中略……挑発的だがいつのまにか説得されている。本質を突いているからではないか。」(2017年6月10日付「日経新聞」より ノンフィクション作家・最相葉月)
「彼によると、音楽の起源に関する関心は〈まともな音楽学〉の領域には馴染まないものと長年考えられてきたという。……中略……今あえてその問いへと立ち向かおうというのだから、非常に挑戦的な論考と言える。……中略……なぜ私たちはショッピング・モールやエレベーターですら音楽を流さずにいられないのか? 戦闘に出発する前の兵士はなぜ大音量でヘヴィ・メタルを聴くのか? そんな素朴な問いに対する答えも記されている。」(『MUSIC MAGAZINE』2017年8月号より ライター/編集者・大石 始)
★本書の紹介
人間はなぜ歌うのか?――音楽とは、人類の進化の過程で、私たちににいったい何をもたらしてくれたのでしょうか。かのチャールズ・ダーウィンは、音楽を「人間の通常の生活に直接の役には立っていない」と評しましたが、そうであれば、私たちはなぜこれほど音楽を、とりわけ「歌」を愛するのでしょうか。 本書は、その単純な疑問から出発した、しかし実にユニークで広大な「人類の進化」について語る本です。本書の著者は民俗音楽の分野における研究・活動を顕彰する国際的な賞「小泉文夫音楽賞」2009年度受賞者ジョーゼフ・ジョルダーニア氏であり、本書は氏の初の邦訳書となります。地図や図表を新たに加えた本書は、専門家のみならず「人類の進化」「音楽の起源」に興味を持つ全ての方々に分かりやすく、また読み物として楽しんで頂ける一冊です。 ぜひ、「音楽進化学」の一端に触れ、人類の太古の合唱歌唱に思いを馳せてみてください。
「きわめて挑発的、かつ示唆深い仮説が豊富なエピソードとともに語られる本書は、音楽進化学の入門として非常に魅力的なものである」(本書「解説」より 東京大学大学院総合文化研究科教授・岡ノ谷一夫)
「音楽が社会の役に立つのかどうか、などというケチな疑問を吹っ飛ばす、恐るべき本だ」(『レコード芸術』2017年6月号「東欧採音譚18」より 大阪大学文学研究科教授・伊東信宏)
「こうした音楽の起源と進化をたどりながら、著者は無数の魅力的な問いの種を蒔まいていく。「なぜ、すべての言語で質問形は語尾を上げるのか」。「なぜ、言語によって吃音の発症率が異なるのか」。我々とは何か、新しい視点から悩ませてくれる一冊である。」(2017年6月4日付「読売新聞」より 東京工業大准教授・伊藤亜紗)
「人間はなぜ歌うのか。進化最大の謎だ。異性を惹きつける、遠距離通信、宗教儀礼、母子のコミュニケーション、など諸説ある。著者の説はもっと壮大で、音楽は人類進化の重要な鍵と結論付ける。……中略……挑発的だがいつのまにか説得されている。本質を突いているからではないか。」(2017年6月10日付「日経新聞」より ノンフィクション作家・最相葉月)
「彼によると、音楽の起源に関する関心は〈まともな音楽学〉の領域には馴染まないものと長年考えられてきたという。……中略……今あえてその問いへと立ち向かおうというのだから、非常に挑戦的な論考と言える。……中略……なぜ私たちはショッピング・モールやエレベーターですら音楽を流さずにいられないのか? 戦闘に出発する前の兵士はなぜ大音量でヘヴィ・メタルを聴くのか? そんな素朴な問いに対する答えも記されている。」(『MUSIC MAGAZINE』2017年8月号より ライター/編集者・大石 始)
★本書の紹介
人間はなぜ歌うのか?――音楽とは、人類の進化の過程で、私たちににいったい何をもたらしてくれたのでしょうか。かのチャールズ・ダーウィンは、音楽を「人間の通常の生活に直接の役には立っていない」と評しましたが、そうであれば、私たちはなぜこれほど音楽を、とりわけ「歌」を愛するのでしょうか。 本書は、その単純な疑問から出発した、しかし実にユニークで広大な「人類の進化」について語る本です。本書の著者は民俗音楽の分野における研究・活動を顕彰する国際的な賞「小泉文夫音楽賞」2009年度受賞者ジョーゼフ・ジョルダーニア氏であり、本書は氏の初の邦訳書となります。地図や図表を新たに加えた本書は、専門家のみならず「人類の進化」「音楽の起源」に興味を持つ全ての方々に分かりやすく、また読み物として楽しんで頂ける一冊です。 ぜひ、「音楽進化学」の一端に触れ、人類の太古の合唱歌唱に思いを馳せてみてください。
- 本の長さ318ページ
- 言語日本語
- 出版社アルク出版企画
- 発売日2017/4/13
- 寸法19.8 x 13.2 x 2.4 cm
- ISBN-104901213598
- ISBN-13978-4901213592
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商品の説明
著者について
ジョーゼフ・ジョルダーニア Joseph Jordania
1954年に旧ソヴィエト連邦所属グルジア共和国に生まれる。1987年にトビリシ音楽院大学院民族音楽学科で博士号を取得。1984年、トビリシでの第一回「伝統的ポリフォニーに関する国際会議」開催に深く関わった。また、この国際会議を引き継いで2002年に新たに開催された「伝統的ポリフォニーに関する第一回国際シンポジウム」、およびユネスコと日本政府の助成を受けた「国際伝統ポリフォニー研究センター」の組織・設立にも携わり、現在所長を務めている。これらの功績と、2006年に出版された『誰が最初の質問を発したか? 人類の合唱歌唱、知性、言語、発話の起源』(Logos)によって、2009年に「小泉文夫音楽賞」を受賞。
1954年に旧ソヴィエト連邦所属グルジア共和国に生まれる。1987年にトビリシ音楽院大学院民族音楽学科で博士号を取得。1984年、トビリシでの第一回「伝統的ポリフォニーに関する国際会議」開催に深く関わった。また、この国際会議を引き継いで2002年に新たに開催された「伝統的ポリフォニーに関する第一回国際シンポジウム」、およびユネスコと日本政府の助成を受けた「国際伝統ポリフォニー研究センター」の組織・設立にも携わり、現在所長を務めている。これらの功績と、2006年に出版された『誰が最初の質問を発したか? 人類の合唱歌唱、知性、言語、発話の起源』(Logos)によって、2009年に「小泉文夫音楽賞」を受賞。
登録情報
- 出版社 : アルク出版企画 (2017/4/13)
- 発売日 : 2017/4/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 318ページ
- ISBN-10 : 4901213598
- ISBN-13 : 978-4901213592
- 寸法 : 19.8 x 13.2 x 2.4 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 324,527位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,348位音楽理論・音楽論
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年4月12日に日本でレビュー済み
1.内容
人間がどうして歌うようになったか、そしてそこからどう「質問」(第4章)や「発話」(第5章)に進化したかを論じた仮説。人間社会が危機に陥った時に、他の動物(静寂を保って存在を目立たなくする)とは違い、集団で声を上げて人間社会を守ったことが受け継がれている。このことなどから、歌唱は、通説とは異なり、ポリフォニーからモノフォニーへ発展したものだが、その発展の度合いは地域によって異なり、モノフォニーの盛んなところは、例えば吃音が少ないのだという。
2.評価
レビュアーは専門の学者ではないので本書の妥当性はわからないが、面白い仮説であった。ポリフォニーの始まりが人間社会を守るためだというのは思い浮かばなかったし、ポリフォニーのほうが古いというのも思い浮かばなかった。また、歌について考えさせられる本だった。一例を挙げると、他の文化の旋律を入れたり(p80)、初期のポリフォニーで歌詞がなかったり(p194)と言ったことから、外国の音楽を聴いても感動できるものだと思ってしまった。以上、興味深い仮説と、歌について考えられる本なので、星5つとする。
人間がどうして歌うようになったか、そしてそこからどう「質問」(第4章)や「発話」(第5章)に進化したかを論じた仮説。人間社会が危機に陥った時に、他の動物(静寂を保って存在を目立たなくする)とは違い、集団で声を上げて人間社会を守ったことが受け継がれている。このことなどから、歌唱は、通説とは異なり、ポリフォニーからモノフォニーへ発展したものだが、その発展の度合いは地域によって異なり、モノフォニーの盛んなところは、例えば吃音が少ないのだという。
2.評価
レビュアーは専門の学者ではないので本書の妥当性はわからないが、面白い仮説であった。ポリフォニーの始まりが人間社会を守るためだというのは思い浮かばなかったし、ポリフォニーのほうが古いというのも思い浮かばなかった。また、歌について考えさせられる本だった。一例を挙げると、他の文化の旋律を入れたり(p80)、初期のポリフォニーで歌詞がなかったり(p194)と言ったことから、外国の音楽を聴いても感動できるものだと思ってしまった。以上、興味深い仮説と、歌について考えられる本なので、星5つとする。