「日本の神学」として系統的かつ説得的・独創的に論じられたものとしては、
頂点に位置するのではないでしょうか。
また、海外の、意識と志向を同じくする他の神学との対話の可能性も十分に開かれています。
「ヒロシマ・ナガサキ」の神学は、まとまったものとしては残念ながら示されていないと私には思われます。
(気づいていないものがありましたら、すみません。)
日本の神学として北森の「神の痛みの神学」があげられることがありますが、
私にはどこが独創的なのかわかりませんし、
北森が生きた時代においていかにしてその神学を紡ぎだしたのか、
そしてその後の展開がいかなるものであったのか、
たいへん疑問です。
小山晃佑の「水牛神学」もユニークなものとして取り上げられますが、
これは日本の神学者による「アジアの神学」の範疇に入ると思います。
あまり詳細に読み込んでいないのでコメントは控えます。
栗林の問題意識の鋭さ、それは著者の生い立ちとその後の日本における差別体験にも由来しているのでしょう。
私自身は被差別部落出身ではありませんが、
被被差別部落があるといわれている(本当かどうか未確認)町でかなり長い期間過ごしました。
成人してかなり経ってから、ある書物によりその地に被差別部落があると知ったとき、
私は愚かな行動をとりました。
その書物にあるわずかな記述から、自分の育った場所が被差別部落に該当するかどうか確認し、
そして、どうやら該当しないことを知ったとき、
私は「安心」してしまったのでした。
ひとりの人間として、ひとりのキリスト者として、
忘れることのできない、忘れてはならない「恥」の体験です。
ですから、栗林のこの本は私にとって、
現在、そして今後の自分がどのようにあるべきかを考えさせてくれる作品なのです。
しかし、そういう私個人の事情をひとまず脇に置いたとしても、
この本は日本において神学しようとする人たちには
一回は読んでもらいたい、そういう本です。

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荊冠の神学: 被差別部落解放とキリスト教 単行本 – 1991/3/1
栗林 輝夫
(著)
- 本の長さ554ページ
- 言語日本語
- 出版社新教出版社
- 発売日1991/3/1
- ISBN-104400310582
- ISBN-13978-4400310587
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登録情報
- 出版社 : 新教出版社 (1991/3/1)
- 発売日 : 1991/3/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 554ページ
- ISBN-10 : 4400310582
- ISBN-13 : 978-4400310587
- Amazon 売れ筋ランキング: - 74,597位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 30位神学 (本)
- - 83位キリスト教入門
- - 121位キリスト教一般関連書籍
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著者について
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東京都生まれ。関西学院大学法学部教員・宗教主事。
専門はキリスト教神学。ポストコロニアルのアジア神学、フランクフルト学派の批判理論、ポストモダニズムなど、リベラル進歩主義の神学動向が研究テーマ。キリスト教学の他、平和学、アメリカ学、人権論などを講じる。
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