アイスランドの新星アウスゲイル、3年ぶりのセカンドです。サイトの紹介文ではいろいろと変化したとありますが、音楽の根底は変わっていないと思います。彼が演奏するアコGやアコPのリフが、やはりコアにある。シンセやプログラミングが前面に出ている楽曲が目立ちますが、それは彼の音楽的な成長の証でしょう。楽器や作ったサウンドを一見不規則に投げ込んでくるその様は、自然界の様々な事象を表現しているようで、デジタルなのにどこか有機的な印象を受けます。
特に気に入ったものから。2、イントロのモチーフは非凡の一言、一気に引き込まれます。奇妙にねじれた一片の羽毛が、落ちそうで落ちずにフワフワと漂うようなもどかしさが良い。5、シンプルなhymnのような美しさと、そこに施されたモダンなアレンジの秀逸さに驚きます。アウスゲイルの音楽構築力を認識させる一曲。美しい9、トラッドな味わいと計算されたコーラス、アレンジには雄大な自然を感じる。その他にも、なめらかで優しい歌だが、ウラ打ちで入るノイジーで歪んだクラップ音がもたらす緊張感との綱引きが面白い1、本作中もっともポップな作りの3、陰陽が巧みに交差する美しい10、アイスランド語の歌詞と心が洗われるようなコーラスが印象的な11と、オリジナリティーのある作品ばかりです。美しいデザインの歌詞カードには、ボーナストラックの情報もあります。本編収録ものでは、シンプルなアレンジの16、17、アカペラが美しい19が気に入っています。美しいアコースティックバラードの15も素敵です。
今回は日本版を購入。ライナーがとても参考になりました。まだ24歳のアウスゲイル、今後どこまで成長するのか、本当に楽しみです。