私は、昨年、恵比寿のパシフィックファニチャーサービスで開催されていた著者の岡本尚文さんの個展で
この写真集を買いました。
A&WやPIZZA IN などをはじめとした英語表記のサインや看板、店舗。
また夜空を頻繁に行き来する米軍機や、延々と続く基地のフェンスなど...。
沖縄に存在しつづけているアメリカとその痕跡が、写真家の意志と視点で丁寧に切り取られていて、
そこに変な郷愁や感傷などが加えられずに、淡々と撮影された風景写真です。
昼間の太陽のもとでは、沖縄の風景としてすっかり馴染み、
善くも悪くも見慣れてしまったそれら「アメリカ」が、夜の暗闇の中で不思議な存在感を放っていて、
なにか、こころが、ざわざわっとしました。
また、この写真集に寄稿されている、社会学者の岸政彦さんの文章がとても素敵です。
私は岸政彦さんをこの写真集で初めて知り、『断片的なものの社会学』をすぐに購入して読みましたが、
この写真集に描かれている文章は、まるで『断片的なものの社会学』の中の一編のようで、
やさしく、せつなく、そして読んだあとに何かがザラッと残ります。
以下は、その『彼方と過去 ― 存在すべきではなかったものたちの存在』からの一節です。
“「沖縄のアメリカ」の痕跡は、その多くが、1950年代に残されたものだ。
だからそれは、はるか遠い彼方からやってきたというだけでない。
それははるか遠い過去からやってきたものだ。
彼方と過去。ここにはふたつの距離がある。
これは、そこにあってはいけなかったものの存在の物語、
出会ってしまってはいけなかったものたちの出会いの物語である。”
この写真集の沖縄の夜の風景には、数点の写真をのぞいては、まったく人影がありません。とても静かです。
なのに、写真を見ていると、何故か不思議とアメリカンミュージックや米兵でにぎわっていた
当時の喧騒までもが聴こえてくるような気がしてきます。
まさに岸さんが書いている「はるか遠い彼方」と「はるか遠い過去」が、
一枚一枚の写真の中に凝縮されているように感じました。
そして私は、この「現在」の写真たちはまた、「はるか遠い未来」へと続いていると思うのです。
私はこの写真集と出会って、あらためて沖縄で起きていたことについて考えたし、またそこから、
私たちが生きているなかで抱えている答えの出ない様々な矛盾のようなものについても、
考えるきっかけとなりました。
久しぶりに、とても素敵な写真集と出逢えました。
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岡本尚文写真集『沖縄02 アメリカの夜 A NIGHT IN AMERICA』 ムック – 2016/12/15
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岡本尚文写真集『 沖縄02 アメリカの夜 A NIGHT IN AMERICA 』
沖縄。
オレンジ色の夜景。
そこには基地のゲートやフェンスというはっきりとした形が出現したり、古びた建物の看板など、かつて沖縄とアメリカが交わした蜜月の痕跡も浮かび上がる。
写真には、よく見ると光の航跡となって写り込んだ米軍ジェット機やオスプレイ、またはフェンスの前でたむろする沖縄の子ども達の姿がある。
どれもが沖縄の日常として今、存在している。
『アメリカの夜』というタイトルはフランソワ・トリュフォーの映画から想起した。
古い映画では昼間に夜のシーンを撮るためにブルーのフィルターを装着して「夜」を撮影する。
フェイクな「夜」、フェイクな「アメリカ」。
そのことを浅川マキは『アメリカの夜』という曲で歌った。
私は音楽をきっかけにアメリカの文化に強く影響を受けた。
それは「格好の良い」フェイクなアメリカでもあるが、この島の深淵には別の顔が潜んでいる。
沖縄とアメリカ、日本、そして自分との関係。
それが何なのか、答えを探している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2008年に発刊した『沖縄01 外人住宅』に続く2冊目の写真集。
引き続き、沖縄とアメリカ、そして日本についての写真。
今回の写真は、2009年から2016年の間に沖縄本島で撮影された。
沖縄の夜に浮かび上がる「アメリカ」がテーマだ。
いまは寂れてしまった大通り。
かつて、多くの米兵が街に繰り出した。コザや砂辺、金武周辺にはその残り火がいまも微かに燃えている。
夜9時過ぎの夏の晴天、浦添上空をゆっくりと流れて行く雲。オスプレイが一筋の光を残し、低周波の音を立てて通り過ぎていく。
また、辺野古の海上に写る赤い軌跡。 いわゆる辺野古のフェンス、砂浜と海、そして海を照らす月明かりが写っている。 今では、コンクリートで固められたフェンスがこちら(日本)とあちら(アメリカ)を隔てているが、 そこは数年前まではフェンスは鉄条網であり、反戦の意思表示のリボンが結びつけられていた。
凪いだ海の上の赤い点線が左右に写し込まれている。この赤い点は、夜の10時過ぎに辺野古の海上を行く米軍ヘリの軌跡。
言葉で言われなければそれは綺麗な軌跡でしかない。
写真と、言葉について考える。
望んだ訳ではなく戦争によってアメリカと出会ってしまった沖縄。
その歴史のなかの愛と憎悪。
ノスタルジーや美しさと反基地。
歴史から消えていくもの。
嫌悪する中で、それでも尚、美しさやノスタルジーが浮かび上がるということは、どういう事なのか?
「癒しの島」沖縄の日常になぜ今もアメリカが浮かび上がるのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テキストは『同化と他者化ー戦後沖縄の本土就職者たち』で沖縄と日本について鋭い考察を行い、『断片的なものの社会学』で紀伊国屋じんぶん大賞を受賞した社会学者の岸政彦さんにお願いした。
書き下ろし。届いた原稿は7000字。
私も岸さんも内地の人間として沖縄と関わっているという自覚のもとに、沖縄とアメリカ、また、日本について、真正面から向かい合った。
テキストが単なる写真の解説ではなく、相互に響き合い、ノスタルジーや美について思いを巡らす、それを形にしてみようと思った。
装幀はシンゴジラ公式記録集『ジ・アート・オブ・ゴジラ』、昨年度大きな話題になった蔡國強展の図録など、美術関係の書籍の装幀を数多く手がける松永路さん。
今回の写真集は所謂上製本の写真集は敢えて目指さずに、1960年代後半、活発に出版された日本の写真集を意識して作成された。
沖縄02 アメリカの夜 A NIGHT IN AMERICA
定価 2160円(税込)
並製 60ページ A4
発行日 2016年9月22日
著者 岡本尚文
編集 ライフ・ゴーズ・オン
装幀 松永路
テキスト 岸政彦
翻訳 栗田知左子
リライト 山本和生
沖縄。
オレンジ色の夜景。
そこには基地のゲートやフェンスというはっきりとした形が出現したり、古びた建物の看板など、かつて沖縄とアメリカが交わした蜜月の痕跡も浮かび上がる。
写真には、よく見ると光の航跡となって写り込んだ米軍ジェット機やオスプレイ、またはフェンスの前でたむろする沖縄の子ども達の姿がある。
どれもが沖縄の日常として今、存在している。
『アメリカの夜』というタイトルはフランソワ・トリュフォーの映画から想起した。
古い映画では昼間に夜のシーンを撮るためにブルーのフィルターを装着して「夜」を撮影する。
フェイクな「夜」、フェイクな「アメリカ」。
そのことを浅川マキは『アメリカの夜』という曲で歌った。
私は音楽をきっかけにアメリカの文化に強く影響を受けた。
それは「格好の良い」フェイクなアメリカでもあるが、この島の深淵には別の顔が潜んでいる。
沖縄とアメリカ、日本、そして自分との関係。
それが何なのか、答えを探している。
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2008年に発刊した『沖縄01 外人住宅』に続く2冊目の写真集。
引き続き、沖縄とアメリカ、そして日本についての写真。
今回の写真は、2009年から2016年の間に沖縄本島で撮影された。
沖縄の夜に浮かび上がる「アメリカ」がテーマだ。
いまは寂れてしまった大通り。
かつて、多くの米兵が街に繰り出した。コザや砂辺、金武周辺にはその残り火がいまも微かに燃えている。
夜9時過ぎの夏の晴天、浦添上空をゆっくりと流れて行く雲。オスプレイが一筋の光を残し、低周波の音を立てて通り過ぎていく。
また、辺野古の海上に写る赤い軌跡。 いわゆる辺野古のフェンス、砂浜と海、そして海を照らす月明かりが写っている。 今では、コンクリートで固められたフェンスがこちら(日本)とあちら(アメリカ)を隔てているが、 そこは数年前まではフェンスは鉄条網であり、反戦の意思表示のリボンが結びつけられていた。
凪いだ海の上の赤い点線が左右に写し込まれている。この赤い点は、夜の10時過ぎに辺野古の海上を行く米軍ヘリの軌跡。
言葉で言われなければそれは綺麗な軌跡でしかない。
写真と、言葉について考える。
望んだ訳ではなく戦争によってアメリカと出会ってしまった沖縄。
その歴史のなかの愛と憎悪。
ノスタルジーや美しさと反基地。
歴史から消えていくもの。
嫌悪する中で、それでも尚、美しさやノスタルジーが浮かび上がるということは、どういう事なのか?
「癒しの島」沖縄の日常になぜ今もアメリカが浮かび上がるのか?
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テキストは『同化と他者化ー戦後沖縄の本土就職者たち』で沖縄と日本について鋭い考察を行い、『断片的なものの社会学』で紀伊国屋じんぶん大賞を受賞した社会学者の岸政彦さんにお願いした。
書き下ろし。届いた原稿は7000字。
私も岸さんも内地の人間として沖縄と関わっているという自覚のもとに、沖縄とアメリカ、また、日本について、真正面から向かい合った。
テキストが単なる写真の解説ではなく、相互に響き合い、ノスタルジーや美について思いを巡らす、それを形にしてみようと思った。
装幀はシンゴジラ公式記録集『ジ・アート・オブ・ゴジラ』、昨年度大きな話題になった蔡國強展の図録など、美術関係の書籍の装幀を数多く手がける松永路さん。
今回の写真集は所謂上製本の写真集は敢えて目指さずに、1960年代後半、活発に出版された日本の写真集を意識して作成された。
沖縄02 アメリカの夜 A NIGHT IN AMERICA
定価 2160円(税込)
並製 60ページ A4
発行日 2016年9月22日
著者 岡本尚文
編集 ライフ・ゴーズ・オン
装幀 松永路
テキスト 岸政彦
翻訳 栗田知左子
リライト 山本和生
- 本の長さ60ページ
- 言語日本語
- 出版社有限会社ライフ・ゴーズ・オン
- 発売日2016/12/15
- 寸法29.7 x 21 x 0.6 cm
- ISBN-104990443713
- ISBN-13978-4990443719
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商品の説明
著者について
1962年生まれ。
1983年和光大学人文学部芸術学科卒業。
1985年東京綜合写真専門学校第2学科卒業。
1990年よりエディトリアルを中心にフリーランスとして撮影を担当。
1978年以来東京と沖縄を往復する。
2003年「外人住宅」の撮影を開始。
2008年12月写真集『沖縄01 外人住宅 OFF BASE U.S. FAMILY HOUSING』発行。
2013年9月 D&DEPARTMENT OKINAWA に於いて、写真展「外人住宅 岡本尚文の写真」開催。
2013年9月 D&DEPARTMENT OKINAWA に於いて、 美術家・真喜志勉、評論家・仲里功氏と ともにトークイベント『戦後のLOVE&HATE』開催。
2016年9月 PACIFIC FURNITURE SERVICE に於いて、写真展「沖縄02 アメリカの夜 A Night in America」開催 。
2016年9月 PACIFIC FURNITURE SERVIC代表 石川洋平氏、雑誌「& Premium」Executive Director 柴田隆寛氏とともにトークイベントを開催。
2016年9月 写真集『沖縄02 アメリカの夜 A Night in America』発行 。
「外人住宅」「アメリカの夜」「沖縄建築」シリーズなどで、沖縄を撮り続ける。
1983年和光大学人文学部芸術学科卒業。
1985年東京綜合写真専門学校第2学科卒業。
1990年よりエディトリアルを中心にフリーランスとして撮影を担当。
1978年以来東京と沖縄を往復する。
2003年「外人住宅」の撮影を開始。
2008年12月写真集『沖縄01 外人住宅 OFF BASE U.S. FAMILY HOUSING』発行。
2013年9月 D&DEPARTMENT OKINAWA に於いて、写真展「外人住宅 岡本尚文の写真」開催。
2013年9月 D&DEPARTMENT OKINAWA に於いて、 美術家・真喜志勉、評論家・仲里功氏と ともにトークイベント『戦後のLOVE&HATE』開催。
2016年9月 PACIFIC FURNITURE SERVICE に於いて、写真展「沖縄02 アメリカの夜 A Night in America」開催 。
2016年9月 PACIFIC FURNITURE SERVIC代表 石川洋平氏、雑誌「& Premium」Executive Director 柴田隆寛氏とともにトークイベントを開催。
2016年9月 写真集『沖縄02 アメリカの夜 A Night in America』発行 。
「外人住宅」「アメリカの夜」「沖縄建築」シリーズなどで、沖縄を撮り続ける。
登録情報
- 出版社 : 有限会社ライフ・ゴーズ・オン; A4版 (2016/12/15)
- 発売日 : 2016/12/15
- 言語 : 日本語
- ムック : 60ページ
- ISBN-10 : 4990443713
- ISBN-13 : 978-4990443719
- 寸法 : 29.7 x 21 x 0.6 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 973,971位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 6,922位アート・建築・デザイン作品集
- - 184,724位雑誌 (本)
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