江戸時代から終戦前まで、日本と世界の歴史がまとめられ、非常に詳細で面白くて一気に読めます。自転車雑誌に連載されたものを加筆修正したものです。
終戦前までの歴史なので、三国志というより春秋戦国時代です。明治の殖産興業、富国強兵、世界恐慌、為替政策、軍国主義と時代に翻弄されながらたくましく生きていく人達が描かれています。国内では、チェーンは勿論、原材料の鉄も製造機械もねじも調達できず、製造ノウハウもなく、刀・鉄砲鍛冶や木工の技術を生かしてきた先人の苦労が、過去の粗悪日本製品から、現在の高品質高性能の自動車や産業機械につながっているのを実感します。現在の堺(シマノ)や中京(トヨタその他)の産業の歴史もわかります。
自転車を国内だけで製造するためには、金属精錬、フレーム、ねじ、ワイヤなどの金属材料成形加工、飛行機用も含めた車輪、タイヤゴム、チェーン、ベアリング、ショックアブソーバー、塗装、プラスチック材料成形、蓄電池、発光装置など、ちょっと考えても様々な技術が関係しますので、国全体の工業力がないと高品質は達成できません。戦前戦中の日本製自転車には、綺麗に塗装されているように見えても、箱から出した新品にさびがあることもあったそうです。品質管理に劣った安物は、原材料の組成も塗装材料も仕上げ技術も違うので、当然でしょう。
現在、産業の空洞化が心配されています。日本の将来を考えるなら、肝心な技術はブラックボックス化して、海外生産による技術流出は避けるべきだし、将来日本の産業に貢献できる人材を育てるために、全ての技術分野でコア部分は、民間、官営を問わず国内の機関で管理するべきだと思います。

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自転車物語 スリーキングダム 戦前篇 (ヤエスメディアムック450) ムック – 2014/10/2
角田安正
(著)
世界最古の自転車をつくった江戸の日本人、自転車をステイタスにした財界人、業界の崩壊を支えた経営者…。中国の史書「三国志」になぞらえて描く、戦前の自転車興亡史。『CYCLE SPORTS』連載を大幅加筆。【「TRC MARC」の商品解説】
- 本の長さ307ページ
- 言語日本語
- 出版社八重洲出版
- 発売日2014/10/2
- ISBN-104861443539
- ISBN-13978-4861443534
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登録情報
- 出版社 : 八重洲出版 (2014/10/2)
- 発売日 : 2014/10/2
- 言語 : 日本語
- ムック : 307ページ
- ISBN-10 : 4861443539
- ISBN-13 : 978-4861443534
- Amazon 売れ筋ランキング: - 931,988位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 548位自転車・サイクリング (本)
- - 110,056位ノンフィクション (本)
- - 176,935位雑誌 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年12月28日に日本でレビュー済み
自転車の歴史を俯瞰でき企画自体は面白いのだが、なぜ小学生向け程度の文体の物語風にする必要があったのだろうか。
「何が参考文献からの引用で、何が著者の推測なのか」が明示されないため、内容の客観性と正確性が担保されず「読み物」以上のものにはなっていない。
自転車メディア全般に感じる、ある種の幼稚さから推測するに、おそらくノンフィクション的な硬めの文体だとサイスポ読者にアピールしないという編集サイドの判断があったような気がするが、そもそも「歴史や文化に興味のない層」がストーリー仕立てにしたところで読むわけもないので、そんな無駄な事をするより「正確性と客観性に基づいたノンフィクション」にして欲しかった。企画は良いだけに残念。
この本をノンフィクションとして評価するレビューもあるが、冒頭から真偽不明のエピソードが、おそらく意図的に真偽を検証しないまま語られ「ノンフィクションではない。物語だよ」と宣言しているのに、なんでそうなるんだろ。
そんな行間を読む想像力と読解力に欠けるヤツらばかりがターゲットだからか、この本に限らず日本の自転車本って大体が半端な感じでセンスを感じず、どうも編集サイドが余計な事をしてくれちゃってる気がしてならないから、いつも残念なんですけどね…。
「何が参考文献からの引用で、何が著者の推測なのか」が明示されないため、内容の客観性と正確性が担保されず「読み物」以上のものにはなっていない。
自転車メディア全般に感じる、ある種の幼稚さから推測するに、おそらくノンフィクション的な硬めの文体だとサイスポ読者にアピールしないという編集サイドの判断があったような気がするが、そもそも「歴史や文化に興味のない層」がストーリー仕立てにしたところで読むわけもないので、そんな無駄な事をするより「正確性と客観性に基づいたノンフィクション」にして欲しかった。企画は良いだけに残念。
この本をノンフィクションとして評価するレビューもあるが、冒頭から真偽不明のエピソードが、おそらく意図的に真偽を検証しないまま語られ「ノンフィクションではない。物語だよ」と宣言しているのに、なんでそうなるんだろ。
そんな行間を読む想像力と読解力に欠けるヤツらばかりがターゲットだからか、この本に限らず日本の自転車本って大体が半端な感じでセンスを感じず、どうも編集サイドが余計な事をしてくれちゃってる気がしてならないから、いつも残念なんですけどね…。
2014年10月31日に日本でレビュー済み
おそらくは誰も知らないであろう日本の自転車の歴史。主として作り手からみた歴史が記された書です。それも工学ではなく、産業・ビジネスとして、どういう時代に、どういう状況で、誰がどういう決断をしてきたかを客観的に叙述しています。客観的と言っても、随所に著者の隠しきれない思いが透けでるのは、自転車一筋に歩いた著者の人生が背景となるからでしょう。
一般書籍としてこの分野をあつかった物は、他になく、、自転車を愛する者が身につけるべき教養の書として、手元に置くべきです。
一般書籍としてこの分野をあつかった物は、他になく、、自転車を愛する者が身につけるべき教養の書として、手元に置くべきです。
2014年10月30日に日本でレビュー済み
自転車歴15年。自転車のデザイン、性能、機能を追求してきましたが、自転車の歴史を知ってますます自転車に興味がわきました。
よくこれだけの情報を集めたものです。「戦後編」を楽しみにしています。
よくこれだけの情報を集めたものです。「戦後編」を楽しみにしています。