終章 「絶望の中を、それでも生きる」は、各新聞社の退屈なワンパターンのプロパガンダを捉えていて秀逸。
無論、各章で多方面の「デタラメ」を追い、そのカラクリを丁寧に読み解いた大部の本である。
主な項目は、日韓合意、南京大虐殺、財政破綻、需要は伸びない、女性も男性とまったく平等に活躍すべき、TPPに代表される自由貿易はよいことだ、規制は壊すべきだ、農業は補助金漬けでありビジネスとして捉えなおすべき、英語教育を充実すべき、電力自由化は避けられない、自由・平等・博愛という近代の価値は普遍的だ、貧富の格差は資本主義社会である以上仕方ない、中国と日本は仲良くすべきだ、中国市場は巨大で魅力的、国会議員定数は削減すべき、一票の格差は是正されるべき、日本の民主主義はまあ安定している、婚外子にも平等な相続権がある、原発は危険だから再生可能なエネルギーに転換していくべき、知識人は学識があるから言うことはまあ信用しておこう等々である。
白眉は、締めというべき終章の聞いたふうなヘイト・スピーチと言う勿れのオールド・メディア批判である。
先ず、朝日新聞は売国新聞・愚民化新聞・嘘つき新聞・痴呆新聞・権威主義新聞
次は、毎日新聞は「朝日新聞の舎弟」新聞、プライバシー破壊新聞
次は、日本経済新聞は財務省御用達新聞、ウォール街隷属新聞、格差拡大推奨新聞
次は、読売新聞はポピュリズム新聞、押し売り新聞、疑似保守新聞、無思想新聞、「巨人・大鵬・卵焼き」新聞
次は、産経新聞は国家主義新聞、保守オヤジ道徳新聞
目の覚めるような警句の連続である。
具体的内容も書いてあるが、見出しだけでその特徴を掴んでいて秀逸である。それは、あまりに的確で言うべき言葉がない。
どうやら、オールド・メディアの終焉が見えて来た。
朝日新聞が激減中である。新卒の魅力的就職先からも外れた。それでも朝日は不動産屋で生きていける。
顧客は高齢層である。これは、選挙の反自民層と重なる。若者は、新聞は読まない。彼らは自民支持が多い。
どこから見ても終わっている。インターネットの登場がレジーム・チェンジの引き金となったのだ。
最近、これ程切れ味のある痛快な本にお目にかかったことはなかった。

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デタラメが世界を動かしている 単行本 – 2016/4/23
小浜 逸郎
(著)
ここ数年、いや、この半年だけを振り返ってみても、国内外の政治、経済、社会の動きには、どうにも解せないものが多い。それらの事象に対するメディアや知識人の「解説」にいたっては、なおさらの感がある。
2015年末に突如として発表された「日韓合意」、国連が日本に仕掛ける情報戦(歴史戦)、「グローバリズム」「国際平和」への妄信、海外要因にもかかわらず下がり続ける日経平均株価、不透明なTPP、既成事実であるかのように語られる消費増税、労働者派遣法改革、英語公用語化、発送電分離、くすぶる反原発ムード……。
かくも数多くのデタラメが現実に進行しているわけだが、それをただ愚劣だと笑って済ませるわけにはいかない。これらが愚劣どころか、日本国民にいかなる災難をもたらしかねないかを、客観的なデータを用いながら、「国民目線」でわかりやすく解説する。ケント・ギルバート氏とのガチンコ対談「日本外交というデタラメ」も収録!
2015年末に突如として発表された「日韓合意」、国連が日本に仕掛ける情報戦(歴史戦)、「グローバリズム」「国際平和」への妄信、海外要因にもかかわらず下がり続ける日経平均株価、不透明なTPP、既成事実であるかのように語られる消費増税、労働者派遣法改革、英語公用語化、発送電分離、くすぶる反原発ムード……。
かくも数多くのデタラメが現実に進行しているわけだが、それをただ愚劣だと笑って済ませるわけにはいかない。これらが愚劣どころか、日本国民にいかなる災難をもたらしかねないかを、客観的なデータを用いながら、「国民目線」でわかりやすく解説する。ケント・ギルバート氏とのガチンコ対談「日本外交というデタラメ」も収録!
- 本の長さ382ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2016/4/23
- ISBN-104569830404
- ISBN-13978-4569830407
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商品の説明
著者について
批評家、国士舘大学客員教授
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2016/4/23)
- 発売日 : 2016/4/23
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 382ページ
- ISBN-10 : 4569830404
- ISBN-13 : 978-4569830407
- Amazon 売れ筋ランキング: - 868,522位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 104,786位ノンフィクション (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年12月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ノーベル賞の本庶教授もおっしゃっています~『教科書を信じない、有名科学雑誌に書いてある9割は嘘、常に疑いを持つ、そして簡単に信じない』ことが肝要だと。直近の現象に対して、したり顔で過去の銘文を引用したは良いが、銘文の意図を全く理解せずに己の意に沿うような新解釈を押し付けて悦に入る新聞の姑息さと不勉強の極み。“安倍首相が決めたことだから正しかった!”はずの慰安婦合意が戦勝国への反日言質を与えてしまった現実。“アベノミクスは成功している!” ならばなぜデフレは続き給料は減り続けているのか? “グローバリズムは良いこと!” ならばなぜ日本国は瓦解へと向かうのか、現与党は「日本を取り戻す!」はずじゃなかったのか? 国際平和!デモクラシー!戦後知識人!はいかにも胡散臭いが、平気で嘘を無知ぶりをさらしながら叫び続ける人々が多いこと。さすがに反原発は一理あると思うが、資源のない技術立国が生存するための現実的視点からの論理はなぜ軽視されるのか? 現政権・“外交の安倍”はよくやっていると思うが本当に良い方向に向かっているのか?~マスコミや評論家、文化人などを本庶先生のおっしゃる権威や世の教科書的模範解答だと見立ててみれば、どうも世の常々は落とし穴の連続であるようだ。私は疑り深い性格ではあるが、前進の為にはさらに高感度のレーダーを導入し起動すべきであると悟った次第だ。
2016年9月4日に日本でレビュー済み
著者の本を長年愛読してきており、今回もこの著書が書いた新刊という理由だけで購入したが、全くの期待外れ。
過去の著書の本に記載された内容と似たり寄ったりで新たな視点は少ない。
何よりも経済関連の主張が、事実の把握時点で誤り誤が多く、そのために全く説得力のない主張となっている。
過去の著書にある、適格な事実認定と現実の仕組みに対する深い理解、それらを結びつける著者ならではの深い思想が全くない悪書となっている。
第二章 アベノミクスというでたらめ
「国債をこれ以上増やすと、国の借金がますます膨らみ、日本は財政破綻をきたす」という大うそ。P54
「日本国債の場合、政府の子会社である日銀が買い取れば、その分政府との間で連結決算によりチャラにできますから、いくらでも減らすことができます。」「現に毎年80兆円の国債買い入れを行っており、政府の負債はすでに300兆円ほど減っている」P59
「政府は負債ばかりではなく650兆円という莫大な資産をもっています」P60
「国の借金の中には特殊法人の負債160兆円と建設国債250兆円が含まれています」P61
「財務省が主張する1000兆円の借金は、1000-300-650-160-250<0 と霧散霧消します」P61
特殊法人の負債をはずずのであれば、特殊法人に対する貸付金(資産)もはずすべきでしょう。建設国債をはずすのであれば、建設国債により調達して購入した固定資産もはずすべきでしょう。すなわち資産・負債と両建てになっているうちの負債のみをはずすという主張をしています。
また650兆円の資産とは取得原価主義の会計ルールに基づいて計算されたものであり、その価格で売却できるという数値ではありません。むしろこの価格で購入した資産を持っていますという意味合いです。従って売却すれば負債を返せるという理論に使用することのできない数値です。
何よりも唖然とさせられるのは、日銀が買い取れば国の借金がなくなるという主張です。
著者は日銀と国は実質一体と考えているのですから、言わんとすることは「国が必要とする資金はその分の日銀券(通貨)を発行して賄えばよい」ということになります。このような対応をすれば、通貨の価値が暴落して大混乱が発生することは過去の歴史が証明しています。
現在国の借金問題で悩ましいのは、毎年の収支が合っていないことにあります。税金収入の2倍の支出をしており、その収入不足分を国債発行により補っているため、毎年国債残高(借金)が増加している点です。
この収入以上の支出が慢性的となっている状態について著書はどのように考えているのでしょうか。
「大幅な財政出動に打って出るべきときなのに」P65などと他力本願なことを力説していますが、その財源も国債に頼るのでしょうか。
借金をすればその時は資金が得られますので、生活が楽になります。
しかしその借金を返済する時は、その返済分は他の支出に回せなくなりますので、その分貧しくなります。
将来人口が急速に減少することば分かっており、常識的に考えれば、人口が減少すれば税収も減少することとなりますが、そのような中過去の借金を減らすどころか、「大幅な財政出動」という借金を増やすことを推奨するなど論理的ではないと考えます。
最後に、不況の時に財政出動をして需要を作り、景気が回復したら税収も増加するので財政出動をした時の借金を返すというのが教科書に記載されているケインズ政策と記憶しています。しかしあのバブル期でさえ国の借金は総額が増加し続けていました。増加した税収を過去の借金返済に回すことは事実上できないのです。(返済する分だけ他の支出にまわせなくなるため)それを前提として物事を考えるべきではないでしょうか。
過去の著書の本に記載された内容と似たり寄ったりで新たな視点は少ない。
何よりも経済関連の主張が、事実の把握時点で誤り誤が多く、そのために全く説得力のない主張となっている。
過去の著書にある、適格な事実認定と現実の仕組みに対する深い理解、それらを結びつける著者ならではの深い思想が全くない悪書となっている。
第二章 アベノミクスというでたらめ
「国債をこれ以上増やすと、国の借金がますます膨らみ、日本は財政破綻をきたす」という大うそ。P54
「日本国債の場合、政府の子会社である日銀が買い取れば、その分政府との間で連結決算によりチャラにできますから、いくらでも減らすことができます。」「現に毎年80兆円の国債買い入れを行っており、政府の負債はすでに300兆円ほど減っている」P59
「政府は負債ばかりではなく650兆円という莫大な資産をもっています」P60
「国の借金の中には特殊法人の負債160兆円と建設国債250兆円が含まれています」P61
「財務省が主張する1000兆円の借金は、1000-300-650-160-250<0 と霧散霧消します」P61
特殊法人の負債をはずずのであれば、特殊法人に対する貸付金(資産)もはずすべきでしょう。建設国債をはずすのであれば、建設国債により調達して購入した固定資産もはずすべきでしょう。すなわち資産・負債と両建てになっているうちの負債のみをはずすという主張をしています。
また650兆円の資産とは取得原価主義の会計ルールに基づいて計算されたものであり、その価格で売却できるという数値ではありません。むしろこの価格で購入した資産を持っていますという意味合いです。従って売却すれば負債を返せるという理論に使用することのできない数値です。
何よりも唖然とさせられるのは、日銀が買い取れば国の借金がなくなるという主張です。
著者は日銀と国は実質一体と考えているのですから、言わんとすることは「国が必要とする資金はその分の日銀券(通貨)を発行して賄えばよい」ということになります。このような対応をすれば、通貨の価値が暴落して大混乱が発生することは過去の歴史が証明しています。
現在国の借金問題で悩ましいのは、毎年の収支が合っていないことにあります。税金収入の2倍の支出をしており、その収入不足分を国債発行により補っているため、毎年国債残高(借金)が増加している点です。
この収入以上の支出が慢性的となっている状態について著書はどのように考えているのでしょうか。
「大幅な財政出動に打って出るべきときなのに」P65などと他力本願なことを力説していますが、その財源も国債に頼るのでしょうか。
借金をすればその時は資金が得られますので、生活が楽になります。
しかしその借金を返済する時は、その返済分は他の支出に回せなくなりますので、その分貧しくなります。
将来人口が急速に減少することば分かっており、常識的に考えれば、人口が減少すれば税収も減少することとなりますが、そのような中過去の借金を減らすどころか、「大幅な財政出動」という借金を増やすことを推奨するなど論理的ではないと考えます。
最後に、不況の時に財政出動をして需要を作り、景気が回復したら税収も増加するので財政出動をした時の借金を返すというのが教科書に記載されているケインズ政策と記憶しています。しかしあのバブル期でさえ国の借金は総額が増加し続けていました。増加した税収を過去の借金返済に回すことは事実上できないのです。(返済する分だけ他の支出にまわせなくなるため)それを前提として物事を考えるべきではないでしょうか。
2016年4月29日に日本でレビュー済み
十数年来の小浜さんの読者である私としては、パッと見「保守・反動」的な文体に戸惑うところはあるけれども、脱原発や安保法制などの諸問題に対する自分の考えを相対化する契機にはなりました。歴史認識(南京大虐殺ほか)については異論がありますが、TPP等グローバリズムに対する著者の危機感は共有しています。
2016年4月29日に日本でレビュー済み
「パナマ文書」問題にみられる国際金融資本の暴走の一方では、世界的な不景気が続き、格差がますます拡大していく。政府は、グローバル化が当然であるかのような政策を取り続けている。ウォール街の意向ではなく、いい加減、民の声に耳を傾けてほしいものだ。
政府の無策に輪をかけた知識人たちの無能ぶりにも腹が立つ。現在の日本が抱えた問題を網羅した良心的な著作だ。
政府の無策に輪をかけた知識人たちの無能ぶりにも腹が立つ。現在の日本が抱えた問題を網羅した良心的な著作だ。