たいへん良い本です。
トランプ支持層の約150人に丹念に直接取材をして
彼らの主観的な世界観を示したうえで、
米国のミドルクラスの没落(アメリカンドリームの終焉)について
統計データを用いた客観的な説明もしています。
さらにトランプ旋風の今後についてもある程度の予測を立てています。
レビューでは筆者の書き足りないことを言いたくなるものですが
本書ではそういう箇所がありません。
ぜひの一読をお勧めします。
なおKindle版で初めて岩波新書を読んだのですが
写真が全てカラーで良かったです。
本書を読んでいて思い出したのが
また民主党の泡沫候補だったころのビル・クリントンの演説です。
ビルはブルーワーカーたちの集会で
米国の製造業がもう駄目であることを語り始めます。
選挙スタッフは真っ青になり、頭を抱えます。
しかしビルは引き続いて、子供たちの教育に力を入れ、
新しい産業に対応するしかないのだと訴えたのです。
ブルーワーカーたちは頷いてその演説を受け入れたそうです。
とどのつまり、政治家の役割においては、
現実に即した形で希望を示せるかが重要になると思います。
トランプの政策はすぐに行き詰るでしょうし
トランプはその行き詰まりも、国内のエスタブリッシュメントや外国や移民のせいにするであろうことも
初めから目に見えています。
ではトランプ支持層がそんなトランプにどこまでついていくのか、そこが興味のあるところですね。
本書を読んで、彼らは意外に冷静に現実を見ている印象を受けましたが。
[追記]
本書ではヒラリーの「deplorable」(哀れな)発言が取り上げられている。
ヒラリーは単にトランプ(の発言やそ)の一部支持者のRacismについて、deplorableと発言したに過ぎないのだが
これがトランプ支持者の反感を招き、アンチヒラリーの言説に一気に火をつける結果となった。
本書ではヒラリーやオバマが社会的弱者のために働いてきたことが取り上げられている。
一方トランプが社会的弱者のために働いた形跡はない。
本書ではオバマが候補者時代に、トランプ真っ青の保護貿易を主張していたことが紹介されてるし
民主党のヒラリーは共和党よりも保護貿易論者であろう。
ではなぜ彼・彼女たちはヒラリーではなくトランプを支持したか。
それはヒラリーが競争の勝者であるからであろう。
NYのような沿岸部だけでなく中央部まで浸透しつつある厳しい競争社会であるアメリカにおいて
ヒラリーはそのエスカレーターを逆走するような競争に打ち勝った真の勝者である。
ヒラリーのdeplorable発言は、「競争に負けた哀れな人々」と
ヒラリーに見下されているものとトランプ支持者は解釈したのであろう。
他の方のレビューに、何の努力もせず能力もない人に誰が給料払うんだというような意見がありましたが、
それこそがヒラリーのdeplorable発言に反発した人が、
一番言われたくない言葉なのではないでしょうか。
また数%の富裕層(勝者)とその他大勢(the others)に二分化しつつする世の中にあって
自分がどう考えてもその他大勢のグループにいる現実を見つめた場合、
トランプ支持者を馬鹿にしたり見下したりできるだろうかという感じはします。
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ルポ トランプ王国――もう一つのアメリカを行く (岩波新書) 新書 – 2017/2/4
金成 隆一
(著)
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なぜトランプなのか? ニューヨークではわからない。アパラチア山脈を越え、地方に足を踏み入れると状況が一変した。明日の暮らしを心配する、勤勉なアメリカ人たちの声を聴く。そこには普段は見えない、見ていない、もう一つのアメリカが広がっていた。朝日新聞の人気デジタル連載「トランプ王国を行く」をもとに、緊急出版!
本書「おわりに」より――
過去1年間のトランプ支持者の取材者リストを見返してみる。
トラック運転手、喫茶店員、電気技師、元製鉄所作業員、道路作業員、溶接工、食肉加工場作業員、ホテル客室清掃員、元国境警備兵、トレーラーハウス管理人、看護師、建設作業員、元家電製造ラインの従業員、郵便配達人――。
集会やバーなどで声をかけて取材した支持者は、数えてみると14州で約150人になっていた。本書に登場するのは、地方で暮らす普通のアメリカ人ばかり。彼らとの会話を振り返ると、日々の暮らしのために必死に働いている人、働いてきた人が多いことに気付く。
記者の取材を受けるのは初めてと言う人ばかり。彼らから見れば、私は海外メディアに過ぎない。それでも「オレに意見を求めてくれるのか」「長く話を聞いてくれてありがとう」と喜んでくれた。しばらくして、わかった。自分の声など誰も聞いていない。自分の暮らしぶりに誰も関心がない。あきらめに近い思いを持っている人たちが多かった。
私は、トランプではなく、問題だらけのトランプを支持してしまう現代アメリカに興味があった。あんな変な候補を支持する人は何を考えているのか? どんな暮らしぶりで、日本人の私にどんな話をするのか? 日本からトランプのニュースを見ている人もきっと首をかしげているに違いない。であれば特派員の仕事になるかもしれない、と考えた。
本書「おわりに」より――
過去1年間のトランプ支持者の取材者リストを見返してみる。
トラック運転手、喫茶店員、電気技師、元製鉄所作業員、道路作業員、溶接工、食肉加工場作業員、ホテル客室清掃員、元国境警備兵、トレーラーハウス管理人、看護師、建設作業員、元家電製造ラインの従業員、郵便配達人――。
集会やバーなどで声をかけて取材した支持者は、数えてみると14州で約150人になっていた。本書に登場するのは、地方で暮らす普通のアメリカ人ばかり。彼らとの会話を振り返ると、日々の暮らしのために必死に働いている人、働いてきた人が多いことに気付く。
記者の取材を受けるのは初めてと言う人ばかり。彼らから見れば、私は海外メディアに過ぎない。それでも「オレに意見を求めてくれるのか」「長く話を聞いてくれてありがとう」と喜んでくれた。しばらくして、わかった。自分の声など誰も聞いていない。自分の暮らしぶりに誰も関心がない。あきらめに近い思いを持っている人たちが多かった。
私は、トランプではなく、問題だらけのトランプを支持してしまう現代アメリカに興味があった。あんな変な候補を支持する人は何を考えているのか? どんな暮らしぶりで、日本人の私にどんな話をするのか? 日本からトランプのニュースを見ている人もきっと首をかしげているに違いない。であれば特派員の仕事になるかもしれない、と考えた。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日2017/2/4
- 寸法10.7 x 1.2 x 17.3 cm
- ISBN-104004316448
- ISBN-13978-4004316442
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商品の説明
著者について
金成隆一(かなり りゅういち)
1976年生まれ.慶應義塾大学法学部政治学科卒,2000年,朝日新聞社入社.大阪社会部,米ハーバード大学日米関係プログラム研究員,国際報道部などを経て,ニューヨーク特派員.教育担当時代に「「教育のオープン化」をめぐる一連の報道」で第21回坂田記念ジャーナリズム賞(国際交流・貢献報道)受賞.
著書─『ルポ MOOC革命 無料オンライン授業の衝撃』(岩波書店),『今,地方で何が起こっているのか』(共著,公人の友社)
1976年生まれ.慶應義塾大学法学部政治学科卒,2000年,朝日新聞社入社.大阪社会部,米ハーバード大学日米関係プログラム研究員,国際報道部などを経て,ニューヨーク特派員.教育担当時代に「「教育のオープン化」をめぐる一連の報道」で第21回坂田記念ジャーナリズム賞(国際交流・貢献報道)受賞.
著書─『ルポ MOOC革命 無料オンライン授業の衝撃』(岩波書店),『今,地方で何が起こっているのか』(共著,公人の友社)
登録情報
- 出版社 : 岩波書店 (2017/2/4)
- 発売日 : 2017/2/4
- 言語 : 日本語
- 新書 : 272ページ
- ISBN-10 : 4004316448
- ISBN-13 : 978-4004316442
- 寸法 : 10.7 x 1.2 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 241,693位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,185位岩波新書
- - 40,051位ノンフィクション (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年3月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年2月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
朝日新聞の記者である著者が、トランプ現象を解明すべく、
支持者たちの元へ足繁く通い、彼らの声を丹念に聞き取って
行きます。
通った先の中心地は、結果として勝敗を左右したラストベル
トであり、「置き去りにされた」地域であるアパラチア山脈
の周辺となります。
時期は大統領選挙の一年前から始動し、当選後まで継続して
います。
同じ人の所へも複数回通い、丁寧な対応をすることで本音を
聞き出すことに成功しています。
その弱者に寄り添うような姿勢には、非常に好感が持てまし
た。
その中から見事に、米国におけるミドルクラスの崩壊と町の
荒廃を浮かび上がらせてくれます。
但し、著者自身のトランプ観は、朝日新聞の記者らしい、あ
りがちな姿に収まっており、その点は少し残念でした。
それでも、サンダース現象にも一章を割くなど、ミドルクラ
スの危機意識という視点には、一貫性を感じました。
支持者たちの元へ足繁く通い、彼らの声を丹念に聞き取って
行きます。
通った先の中心地は、結果として勝敗を左右したラストベル
トであり、「置き去りにされた」地域であるアパラチア山脈
の周辺となります。
時期は大統領選挙の一年前から始動し、当選後まで継続して
います。
同じ人の所へも複数回通い、丁寧な対応をすることで本音を
聞き出すことに成功しています。
その弱者に寄り添うような姿勢には、非常に好感が持てまし
た。
その中から見事に、米国におけるミドルクラスの崩壊と町の
荒廃を浮かび上がらせてくれます。
但し、著者自身のトランプ観は、朝日新聞の記者らしい、あ
りがちな姿に収まっており、その点は少し残念でした。
それでも、サンダース現象にも一章を割くなど、ミドルクラ
スの危機意識という視点には、一貫性を感じました。
2020年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
知らなかったアメリカの現状が分かり、勉強になりました。これからのアメリカの進路に注目したいと思います。
2018年2月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書が考察の対象としているのは言うまでもなくドナルド・トランプであり、この扇動者が大統領選を勝ち抜いた背景を探るものであるが、中流階級の没落をキーワードに、現在にとどまらずアメリカを歴史的に俯瞰する事で、この国の特質を鋭く抽出するものとなっている。
タイトルにある「ルポ」は文字通りルポルタージュで、徹底的に足を使って取材を重ね、トランプ支持者の声を丹念にすくい上げており、説得力がある。トランプ旋風については、外信記事を適当につなぎ合わせ繕ったかのような皮相的なテレビ新聞報道が多い中、本書はそれらとは一線を画している。また、今回の大統領選挙の一方の極であった民主党候補バーニー・サンダースにも目配りをするなどバランス感覚にも優れている。そして、「民主社会主義」を標榜するサンダースの人気もまたミドルクラスの没落が背景あると指摘するに際して、ドイツの社会学者ヴェルナー・ゾンバルトの論考に言及し、これまで社会主義が受け入れられてこなかったアメリカに起こりつつある大きな変化に着目している点は非常に興味深かった。
本書のもう一つの魅力はその文章力にある。相当の取材を重ね多くの素材を収集していたと思うが、新書版という制約の中でその多くをそぎ落とし、エッセンスだけを軽やかな文体で紡ぎ、読んでいて心地が良かった。本書の筆者である金成氏も新聞記者であるが、読むに堪えない悪文の新聞記事を目にすることが少なくない昨今、本書は新聞記者の手になる模範ではないだろうか。アメリカの現在を複眼的に眺める良書である。
タイトルにある「ルポ」は文字通りルポルタージュで、徹底的に足を使って取材を重ね、トランプ支持者の声を丹念にすくい上げており、説得力がある。トランプ旋風については、外信記事を適当につなぎ合わせ繕ったかのような皮相的なテレビ新聞報道が多い中、本書はそれらとは一線を画している。また、今回の大統領選挙の一方の極であった民主党候補バーニー・サンダースにも目配りをするなどバランス感覚にも優れている。そして、「民主社会主義」を標榜するサンダースの人気もまたミドルクラスの没落が背景あると指摘するに際して、ドイツの社会学者ヴェルナー・ゾンバルトの論考に言及し、これまで社会主義が受け入れられてこなかったアメリカに起こりつつある大きな変化に着目している点は非常に興味深かった。
本書のもう一つの魅力はその文章力にある。相当の取材を重ね多くの素材を収集していたと思うが、新書版という制約の中でその多くをそぎ落とし、エッセンスだけを軽やかな文体で紡ぎ、読んでいて心地が良かった。本書の筆者である金成氏も新聞記者であるが、読むに堪えない悪文の新聞記事を目にすることが少なくない昨今、本書は新聞記者の手になる模範ではないだろうか。アメリカの現在を複眼的に眺める良書である。
2019年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常に面白く、すらすら読めました。
面白いだけでなく、マスメディアが置き去りにした現地の人の声を直接届けたものであり、非常に有意義なのも良いです。
面白いだけでなく、マスメディアが置き去りにした現地の人の声を直接届けたものであり、非常に有意義なのも良いです。
2019年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本は、滅多に報道されない、アメリカの中西部をレポートした優れたルポルタージュです。
しかしこの本には、二つの残念なところがあります。
ひとつは、この取材が折角大統領選挙の最中に行われたにも関わらず、その最中には、まったく報道されなかったことです。おそらくトランプ大統領が生まれなければ、このルポルタージュも出版されなかったでしょう。これが選挙期間中に報道されていれば、識者の99パーセントが、大統領選挙を見誤るなどという大失態をしなったとでしょう。(マスゴミたる朝日新聞らしい結果ですね。折角特派員を派遣し、しかも取材てながら、まったく無駄でした。)
さて、もうひとつの残念な箇所は、「第7章アメリカンドリームの終焉」の後半部で、アメリカの民主主義の危機だとか、主張しているいる箇所は読む必要がありません。東海岸と西海岸の左翼の主張で、折角の良いレポートを、トランプ的表現を借りれば、クソまみれにしています(w)。
実際は、トランプがアメリカの民主主義を機器に落としいれたのではありません。日本のマスコミは殆ど報道していませんが、ヒラリーとその支持者が、司法省(FBI)とい共謀してロシアゲート疑惑でっち上げるという、民主主義の破格行為を行ったのです。このあたりのことは、藤井厳喜氏の最近の著作なり、Youtubeなりをご覧ください。
しかしこの本には、二つの残念なところがあります。
ひとつは、この取材が折角大統領選挙の最中に行われたにも関わらず、その最中には、まったく報道されなかったことです。おそらくトランプ大統領が生まれなければ、このルポルタージュも出版されなかったでしょう。これが選挙期間中に報道されていれば、識者の99パーセントが、大統領選挙を見誤るなどという大失態をしなったとでしょう。(マスゴミたる朝日新聞らしい結果ですね。折角特派員を派遣し、しかも取材てながら、まったく無駄でした。)
さて、もうひとつの残念な箇所は、「第7章アメリカンドリームの終焉」の後半部で、アメリカの民主主義の危機だとか、主張しているいる箇所は読む必要がありません。東海岸と西海岸の左翼の主張で、折角の良いレポートを、トランプ的表現を借りれば、クソまみれにしています(w)。
実際は、トランプがアメリカの民主主義を機器に落としいれたのではありません。日本のマスコミは殆ど報道していませんが、ヒラリーとその支持者が、司法省(FBI)とい共謀してロシアゲート疑惑でっち上げるという、民主主義の破格行為を行ったのです。このあたりのことは、藤井厳喜氏の最近の著作なり、Youtubeなりをご覧ください。
2020年2月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカを扱ったルポは掃いて捨てるほどあると思うが、本書でユニークなのは、取材対象が、いわゆる普通のアメリカ人であることだ。メディアでよく取り上げられるアメリカ人といえば、セレブ、政治エリート、ITエンジニア、そして移民であるが、本書の主役は、これまで半ば忘れられつつあった、白人のミドルクラス、しかもラストベルトやアパラチア地方に住む白人たちである。
アメリカ通を自認する者であっても、ラストベルトやアパラチア地方に行ったことがある人、ましてやそこに住む人たちにここまで幅広く話を聞いた人はこれまでいなかったのではないか。彼らは貧しいと言われているが、実際に住んでいる家は、日本の水準からすると豪邸であり、あらためてアメリカのミドルクラスの豊かさを思い知った。他方で、これは製造業や石炭業で栄えた過去の産物であり、父母の代より自分たちが豊かになることはなく、ミドルクラスから転落するのではないかとの強迫観念に、多くの白人が襲われているという。ミドルクラスの白人は数で言えば依然として多数派であり、彼らをターゲットとするトランプ大統領の選挙戦略は、本人がどこまで意識していたかは別にせよ、極めて合理的だったと言える。
アメリカのエリートは誰一人として、トランプの勝利を予想していなかったとされる。それは、彼らが、これら一般のアメリカ人と接する機会が無いからである。これほどまでにアメリカ社会が分断されているのかと驚かされた。
アメリカ通を自認する者であっても、ラストベルトやアパラチア地方に行ったことがある人、ましてやそこに住む人たちにここまで幅広く話を聞いた人はこれまでいなかったのではないか。彼らは貧しいと言われているが、実際に住んでいる家は、日本の水準からすると豪邸であり、あらためてアメリカのミドルクラスの豊かさを思い知った。他方で、これは製造業や石炭業で栄えた過去の産物であり、父母の代より自分たちが豊かになることはなく、ミドルクラスから転落するのではないかとの強迫観念に、多くの白人が襲われているという。ミドルクラスの白人は数で言えば依然として多数派であり、彼らをターゲットとするトランプ大統領の選挙戦略は、本人がどこまで意識していたかは別にせよ、極めて合理的だったと言える。
アメリカのエリートは誰一人として、トランプの勝利を予想していなかったとされる。それは、彼らが、これら一般のアメリカ人と接する機会が無いからである。これほどまでにアメリカ社会が分断されているのかと驚かされた。
2017年2月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
① 米国鉱工業の心臓部であった五大湖~アパラチア山脈の北部~中部にかけて、産業労働者とその家族へのインタビューが中心です。
真面目に働き続けていた人々が放り出される現実とその人々の怒りを丁寧なインタビューで追い続けます。普通の日本人が付き合うことが殆どない人たちの話なので、改めて感じることが多々ありました。
② 失業した鉄鋼労働者や、製鉄所の閉鎖で荒廃した工場城下町が克明に描き出されます。小生の知るところでは、米国鉄鋼業の衰退の原因は一般的なグローバル化ではなく、経営者が競争環境の変化に対応しなかった事にあると思います。豪州やブラジルの辺境に大規模鉱山が開発され、15万トン積の大型鉱炭船で安価な原料を入手できる臨海製鉄所が世界の主流になる中では、内陸部で地元の資源にたよる米国の製鉄所が不利になるのは当たり前です。
立地を変えずに生き残る為には、研究開発や設備技術を磨いて、高付加価値品にシフトするしかないのに怠った。1990年代には、経営者と全米鉄鋼労組は、ウエストバージニア(本書の舞台)の労組員をワシントンに動員し米国政府に圧力をかけ、日本に鉄鋼輸出自主規制や、30%以上のアンチダンピング関税を課したものの、米国製品では性能・品質面で代替不可と言う米国内需要家の声で例外を設けざるを得なかった。本書に出てくる人々には知られていない事なのでしょう。
③ とは言え、本書の最後の部分に出てくるように、日本でも普通の人が真面目に働き続ければ、家も車も持てて、子供を大学にやれる時代が終わっているとすれば、本書の内容は対岸の火事では済まされない事だと思います。
真面目に働き続けていた人々が放り出される現実とその人々の怒りを丁寧なインタビューで追い続けます。普通の日本人が付き合うことが殆どない人たちの話なので、改めて感じることが多々ありました。
② 失業した鉄鋼労働者や、製鉄所の閉鎖で荒廃した工場城下町が克明に描き出されます。小生の知るところでは、米国鉄鋼業の衰退の原因は一般的なグローバル化ではなく、経営者が競争環境の変化に対応しなかった事にあると思います。豪州やブラジルの辺境に大規模鉱山が開発され、15万トン積の大型鉱炭船で安価な原料を入手できる臨海製鉄所が世界の主流になる中では、内陸部で地元の資源にたよる米国の製鉄所が不利になるのは当たり前です。
立地を変えずに生き残る為には、研究開発や設備技術を磨いて、高付加価値品にシフトするしかないのに怠った。1990年代には、経営者と全米鉄鋼労組は、ウエストバージニア(本書の舞台)の労組員をワシントンに動員し米国政府に圧力をかけ、日本に鉄鋼輸出自主規制や、30%以上のアンチダンピング関税を課したものの、米国製品では性能・品質面で代替不可と言う米国内需要家の声で例外を設けざるを得なかった。本書に出てくる人々には知られていない事なのでしょう。
③ とは言え、本書の最後の部分に出てくるように、日本でも普通の人が真面目に働き続ければ、家も車も持てて、子供を大学にやれる時代が終わっているとすれば、本書の内容は対岸の火事では済まされない事だと思います。