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アウシュヴィッツの図書係 単行本 – 2016/7/5
アントニオ・G・イトゥルベ
(著),
小原 京子
(翻訳)
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絶望にさす希望の光。それはわずか8冊の本――実話に基づく、感動の物語
1944年、アウシュヴィッツ強制収容所内には、国際監視団の視察をごまかすためにつくられた学校が存在した。そこには8冊だけの秘密の“図書館"がある。
図書係に任命されたのは、14歳のチェコ人の少女ディタ。その仕事は、本の所持を禁じられているなか、ナチスに見つからないよう日々隠し持つという危険なものだが、
ディタは嬉しかった。
彼女にとって、本は「バケーションに出かけるもの」だから。ナチスの脅威、飢え、絶望にさらされながらも、ディタは屈しない。
本を愛する少女の生きる強さ、彼女をめぐるユダヤ人の人々の生き様を、モデルとなった実在の人物へのインタビューと取材から描いた、事実に基づく物語。
著者略歴:アントニオ・G・イトゥルベ1967年スペインのサラゴサ生まれ。文化ジャーナリズムに携わって20年になる。日刊紙「エル・ペリオディコ」のテレビガイドのコーディネーター、映画雑誌の編集者などをつとめる。
1944年、アウシュヴィッツ強制収容所内には、国際監視団の視察をごまかすためにつくられた学校が存在した。そこには8冊だけの秘密の“図書館"がある。
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ディタは嬉しかった。
彼女にとって、本は「バケーションに出かけるもの」だから。ナチスの脅威、飢え、絶望にさらされながらも、ディタは屈しない。
本を愛する少女の生きる強さ、彼女をめぐるユダヤ人の人々の生き様を、モデルとなった実在の人物へのインタビューと取材から描いた、事実に基づく物語。
著者略歴:アントニオ・G・イトゥルベ1967年スペインのサラゴサ生まれ。文化ジャーナリズムに携わって20年になる。日刊紙「エル・ペリオディコ」のテレビガイドのコーディネーター、映画雑誌の編集者などをつとめる。
- 本の長さ448ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2016/7/5
- ISBN-104087734870
- ISBN-13978-4087734874
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対象商品: アウシュヴィッツの図書係
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2016/7/5)
- 発売日 : 2016/7/5
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 448ページ
- ISBN-10 : 4087734870
- ISBN-13 : 978-4087734874
- Amazon 売れ筋ランキング: - 178,917位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 65位スペイン文学
- カスタマーレビュー:
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5 星
<レビュー 「アウシュヴィッツの図書係」を読んで>
ビフォーアフター的に言うと、読む前は、テーマが少し重いのかなーと思ったがさにあらず。期待以上だったのですーっと一気に読んでしまった。アウシュヴィッツの悲劇を伝える本は数多くあれど、 「アウシュヴィッツの図書係」は一味違う。テーマは本、本によって命を繋ぐことができた、主人公の女の子ディタとその周りの人たちとの人間模様を、極限の光と影のはざまの中で描くヒューマンドラマだ。青少年のリーダー、フレディ・ヒルシュが密かに作った秘密の図書館。たった八冊だけの極小の図書館。先生たちに「授業」のための本を貸出し、一日の終わりに本を回収して秘密の場所に戻すという危険極まりない、ディタの ミッション・インポッシブル(命がけの任務)。まさしく、実話に基づく、感動の物語。 著者のイトゥルベさんはジャーナリスト出身で視点がとてもユニーク、そして、繊細な日本語を巧みに咀嚼しつつ、さらなる高みへと導いて行けたのは、訳者 小原京子さんの技量と情熱あってこそだろう。”ディタにとって「本を開けることは汽車に乗ってバケーションに出かけるようなもの」”というフレーズが、脳裏に焼き付く。自由であること、あきらめないこと、 この本を通じて、私たちにあらためて問いかけているのではないだろうか。最後に、映画化しても面白そう。キャストは、ディタさん役は俄かに思いつかないが、キャンプ内の青少年のリーダー、フレディ・ヒルシュに関しては、アンディ・ガルシアが似合う。また、絵本ていうアイデアはどうだろう?
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上位レビュー、対象国: 日本
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2024年1月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても良い状態の本でうれしかったです。商品の到着も早くありがたかったです。
2023年12月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
正面から事実に向き合って下さい。感じるものが必ずあります。
2021年3月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小川洋子さんがラジオで紹介していたのを聴いて読んでみた。アウシュビッツ=ビルケナウ収容所での実話に基づいた小説。著者は主人公の「図書係」のモデルになった女性に偶然出会った。アウシュビッツの家族収容所のことを書いた小説『塗られた壁』を著者がネットで探し当てて購入する際のやりとりのなかで、メールを返信してきた女性がその本を書いた作家の妻であり、収容所の生き残りだった。彼女の案内でテレジーン・ゲットーを訪れ、彼女の口からその時代何があったのかを聞いてこの本が書かれた。小説というかたちではあるがその描写は頭のなかで想像したものではなく体験者の記憶をかなり忠実に再現したものである。
アウシュビッツに赤十字の目をごまかかす広報目的の家族収容所と子供たちのための31号棟があった。何年か前にアウシュビッツを訪ねたとき、子供だけが集められた棟を見た記憶があるが、あれがそうだったのだろうか。家畜小屋のような長屋に粗末なベッドが並んでいた。ガス室の跡や銃殺に使われた壁、事務棟として使われていたレンガ造りの建物も見た。ツアーに参加したのは秋晴れの一日で、広いキャンプ場のような場所をEU諸国から訪れた多くの学生や子供たちにまじって歩いていると、目の前の長閑な光景と人類の汚点ともいうべき史実があまりに乖離していて落ち着かない気持ちになったことを覚えている。
「絶滅収容所」に連れていかれた人々の、家畜にも劣るような極悪な環境の下、人としての尊厳を奪われ尽くし、明日殺されるのは自分かもしれないという恐怖のなかで毎日を過ごしていた様子がここには克明に描かれている。「移送」という名の命の選別。命令は突然やってきて、噂が飛びかい、考える暇も与えられず、家族や友人と引き裂かれ、殺された者は生き残った者の手でゴミのように捨てられる。本書を読みすすむにつれてこうした地獄のような場面の息が詰まるような描写が増えていく。人間を生きたまま解剖するという「死の天使」メンゲレに目をつけられているのではないか。「移送」で殺される側の列に並ばされるのではないか。31号棟の発案者にして守り神、エディタに図書係の仕事をくれたヒルシュはじつは裏切り者ではないのか。絶え間ない恐怖をさらに耐え難いものにするのが、他人の悲しみにウジ虫のようにたかってくる者たちもいるという現実だ。
読むのがつらい本だが、主人公エディタが幸せだった子供時代に読んだ本の回想や、図書係として管理している数少ない本の内容などがところどこにはさまれ、その部分を読んでいるときどこか少しだけほっとしている自分がいる。明日、いや今日かもしれない、どこからやってくるかもわからない「選別」の恐怖のなか、正気を保ち続けるためにはどうしたらいいのか。そんな極限状態では希望をもってはいけないという説もある。それがかなわなかったときのダメージが大きいからだ。この物語から感じたのは「使命感(役割ともいえる)と「逃避できる場所(脳内に)」をもつこと、これが精神の最後の砦ではないかということ。ただそれも一直線に事態が悪化していくなかでは意味を失っていく。
家族収容所は赤十字から派遣される監視団の目をごまかすためにつくられたが彼らが別の収容所にいったとわかるやいなや閉鎖が決まった。エディタたちは移送されることとなる。移送は多くの人にとってそのまま死を意味し、残った者にとっても死に近づくことを意味する。気丈に生き抜いてきた主人公もこのときに至っては神様を冒涜するような言葉を口にする。友人に「地獄に落ちるわ」と戒められるとこう言い放った「何言ってるのよ、マルギット。私たち、もう地獄にいるじゃない」。エディタはテレジーンからアウシュビッツ=ビルケナウへ、そこからベルゲン=ベルゼンへと移送されたのち生き延び、結婚し、家族を持ち、夫とともにアウシュビッツの語り部となった。人間は際限なく他者に残酷になれるが、どんな逆境からでも立ち直る強さももっている。この振れ幅を試すような出来事は繰り返してはならない。
小説というかたちをとることによって、主人公エディタとその家族だけでなく、収容所のさまざまな人々の声が重なって聞こえてくる。それは人間の聖性と獣性がいりまじった不気味な旋律である。
アウシュビッツに赤十字の目をごまかかす広報目的の家族収容所と子供たちのための31号棟があった。何年か前にアウシュビッツを訪ねたとき、子供だけが集められた棟を見た記憶があるが、あれがそうだったのだろうか。家畜小屋のような長屋に粗末なベッドが並んでいた。ガス室の跡や銃殺に使われた壁、事務棟として使われていたレンガ造りの建物も見た。ツアーに参加したのは秋晴れの一日で、広いキャンプ場のような場所をEU諸国から訪れた多くの学生や子供たちにまじって歩いていると、目の前の長閑な光景と人類の汚点ともいうべき史実があまりに乖離していて落ち着かない気持ちになったことを覚えている。
「絶滅収容所」に連れていかれた人々の、家畜にも劣るような極悪な環境の下、人としての尊厳を奪われ尽くし、明日殺されるのは自分かもしれないという恐怖のなかで毎日を過ごしていた様子がここには克明に描かれている。「移送」という名の命の選別。命令は突然やってきて、噂が飛びかい、考える暇も与えられず、家族や友人と引き裂かれ、殺された者は生き残った者の手でゴミのように捨てられる。本書を読みすすむにつれてこうした地獄のような場面の息が詰まるような描写が増えていく。人間を生きたまま解剖するという「死の天使」メンゲレに目をつけられているのではないか。「移送」で殺される側の列に並ばされるのではないか。31号棟の発案者にして守り神、エディタに図書係の仕事をくれたヒルシュはじつは裏切り者ではないのか。絶え間ない恐怖をさらに耐え難いものにするのが、他人の悲しみにウジ虫のようにたかってくる者たちもいるという現実だ。
読むのがつらい本だが、主人公エディタが幸せだった子供時代に読んだ本の回想や、図書係として管理している数少ない本の内容などがところどこにはさまれ、その部分を読んでいるときどこか少しだけほっとしている自分がいる。明日、いや今日かもしれない、どこからやってくるかもわからない「選別」の恐怖のなか、正気を保ち続けるためにはどうしたらいいのか。そんな極限状態では希望をもってはいけないという説もある。それがかなわなかったときのダメージが大きいからだ。この物語から感じたのは「使命感(役割ともいえる)と「逃避できる場所(脳内に)」をもつこと、これが精神の最後の砦ではないかということ。ただそれも一直線に事態が悪化していくなかでは意味を失っていく。
家族収容所は赤十字から派遣される監視団の目をごまかすためにつくられたが彼らが別の収容所にいったとわかるやいなや閉鎖が決まった。エディタたちは移送されることとなる。移送は多くの人にとってそのまま死を意味し、残った者にとっても死に近づくことを意味する。気丈に生き抜いてきた主人公もこのときに至っては神様を冒涜するような言葉を口にする。友人に「地獄に落ちるわ」と戒められるとこう言い放った「何言ってるのよ、マルギット。私たち、もう地獄にいるじゃない」。エディタはテレジーンからアウシュビッツ=ビルケナウへ、そこからベルゲン=ベルゼンへと移送されたのち生き延び、結婚し、家族を持ち、夫とともにアウシュビッツの語り部となった。人間は際限なく他者に残酷になれるが、どんな逆境からでも立ち直る強さももっている。この振れ幅を試すような出来事は繰り返してはならない。
小説というかたちをとることによって、主人公エディタとその家族だけでなく、収容所のさまざまな人々の声が重なって聞こえてくる。それは人間の聖性と獣性がいりまじった不気味な旋律である。
2023年2月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
区切りが細かいので、毎日30分とか1時間読書の習慣がある人にはいいと思います。
内容はアウシュヴィッツ強制収容所の話なので確かに残酷ですが、全体的に物語風なのでマイルドになってます。
内容はアウシュヴィッツ強制収容所の話なので確かに残酷ですが、全体的に物語風なのでマイルドになってます。
2018年7月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「アウシュビッツ=ビルケナウに秘密の学校を開き、こっそりと図書館を運営するために命を危険にさらす人間がいたということを聞いても、感銘を覚えない人もいるだろう。絶滅収容所でもっとも差し迫った問題があるときに、それは無駄なことだと考える人もいるだろう。本では病気は治らないし、死刑執行人たちを打ち負かす武器として使うこともできない。空腹を満たすことも、喉の渇きを癒すこともできない。人間が生き残るために必要なのは、文化ではなくパンと水だ。しかし、ただそれだけでは、人間性は失われる。もしも美しいものを見ても感動しないなら、もしも目を閉じて想像力を働かせないなら、もしも疑問や好奇心を持たず、自分がいかに無知であるかに思いが及ばないなら、男にしろ女にしろ、それは人間ではなく、単なる動物にすぎない。」
これはこの本の「著者あとがき」に書かれた文章である。題名からも想像できるように、ナチのアウシュビッツ収容所に実在した、たった八冊しか蔵書のない小さな図書館の図書係を主題として、収容所内で精一杯生きた人たちのことを描いている。著者はスペイン人の作家である。アウシュビッツ収容所の取材をしている時に、実際に図書係として働いていた、ディタ・クラウスに出会い、彼女からの聞き書きでこの本を書いたのだった。事実に基づいて組み立てられ、著者の作家としての想像力で肉付けされた作品である。
私はナチの収容所や第二次大戦時のユダヤ人のことを書いたいくつかの小説や実録誌を読んでいる。印象深かった作品としては、Tatiana de Rosnayの「Sara’s Key」とか、ジュデイ・ピコールの「The Storyteller」がある。特に、「The Storyteller」の収容所内の話に衝撃を受けて今でもその内容を覚えている。中でも印象的な描写は、列車で収容所に到着したばかりのユダヤ人達の中に、結婚式場からそのまま連れて来られたと思える白無垢の結婚衣装を着て花束を手に持った花嫁が、プラットホームの上で必死に夫の名を呼び叫ぶ姿だった。の記述である。
一方で、この本の収容所の記述も凄まじい。よくぞこんな環境下で人間が生きていられるものだと思い、ナチの監視兵は人でありながら、人が人を悲惨な環境に閉じ込めておいてよくも平然としていられるものだと、片方では人間の生きる力を信じ、一方では人間不信感に陥ってしまうのだった。
感慨深いのは、だからこの本を読もうと思ったのだが、ある種の人たちの読書に対する飽くなき要求と渇望である。この本はそのことを強く印象付けてくれる。日本でも、応仁の乱の真っ只中で、三条西実隆という公家が地方大名に本を送り、その代償として生活費を稼いでいたという話がある。今から五百年以上も前に既に読書欲の旺盛な(文人ではない)武人達が地方にいたと言うことに驚いたものだった(読書と日本人、津野海太郎)。また、第二次世界大戦時のアメリカ合衆国は、戦場に本を送り続け、それが兵士にとって大きな楽しみだった、と言う事実があり(戦地の図書館、モリー・グプティル・マニング松尾恭子訳)この著作にもそれらしい表現が出てくる。
本好きの私としては、小さな図書係の少女が八冊の本がナチの監視兵に見つからないように慎重に秘密の場所に収納し、破れた箇所をいとおしみながら修繕する様子に胸を打たれ、愛惜と共に大いなる感動を覚えるのだった。
話は悲惨な情景だけではない、これからこの本を読む皆さんは結末を期待して我慢して読み続けることを勧める。決して最後のページを先に読んだりしないように。
これはこの本の「著者あとがき」に書かれた文章である。題名からも想像できるように、ナチのアウシュビッツ収容所に実在した、たった八冊しか蔵書のない小さな図書館の図書係を主題として、収容所内で精一杯生きた人たちのことを描いている。著者はスペイン人の作家である。アウシュビッツ収容所の取材をしている時に、実際に図書係として働いていた、ディタ・クラウスに出会い、彼女からの聞き書きでこの本を書いたのだった。事実に基づいて組み立てられ、著者の作家としての想像力で肉付けされた作品である。
私はナチの収容所や第二次大戦時のユダヤ人のことを書いたいくつかの小説や実録誌を読んでいる。印象深かった作品としては、Tatiana de Rosnayの「Sara’s Key」とか、ジュデイ・ピコールの「The Storyteller」がある。特に、「The Storyteller」の収容所内の話に衝撃を受けて今でもその内容を覚えている。中でも印象的な描写は、列車で収容所に到着したばかりのユダヤ人達の中に、結婚式場からそのまま連れて来られたと思える白無垢の結婚衣装を着て花束を手に持った花嫁が、プラットホームの上で必死に夫の名を呼び叫ぶ姿だった。の記述である。
一方で、この本の収容所の記述も凄まじい。よくぞこんな環境下で人間が生きていられるものだと思い、ナチの監視兵は人でありながら、人が人を悲惨な環境に閉じ込めておいてよくも平然としていられるものだと、片方では人間の生きる力を信じ、一方では人間不信感に陥ってしまうのだった。
感慨深いのは、だからこの本を読もうと思ったのだが、ある種の人たちの読書に対する飽くなき要求と渇望である。この本はそのことを強く印象付けてくれる。日本でも、応仁の乱の真っ只中で、三条西実隆という公家が地方大名に本を送り、その代償として生活費を稼いでいたという話がある。今から五百年以上も前に既に読書欲の旺盛な(文人ではない)武人達が地方にいたと言うことに驚いたものだった(読書と日本人、津野海太郎)。また、第二次世界大戦時のアメリカ合衆国は、戦場に本を送り続け、それが兵士にとって大きな楽しみだった、と言う事実があり(戦地の図書館、モリー・グプティル・マニング松尾恭子訳)この著作にもそれらしい表現が出てくる。
本好きの私としては、小さな図書係の少女が八冊の本がナチの監視兵に見つからないように慎重に秘密の場所に収納し、破れた箇所をいとおしみながら修繕する様子に胸を打たれ、愛惜と共に大いなる感動を覚えるのだった。
話は悲惨な情景だけではない、これからこの本を読む皆さんは結末を期待して我慢して読み続けることを勧める。決して最後のページを先に読んだりしないように。
2019年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"『これが君の図書館だよ。ささやかだけどね』彼女の反応をそっと見ながらヒルシュが言った。図書館と言えるほどのものではなかった。本は八冊しかなく、ずいぶん傷んだものもある。でも本は本はだった"アウシュビッツに存在した図書館の話を描く本書は人の尊厳について考えさせてくれる。
個人的には刑務所図書館について調べている中で本書と出会ったのですが。【アンネの日記】や【夜と霧】とはまた違った視点、強制収容所に囚人たちによってひっそりと作られた"学校"、そこにあった8冊だけの秘密の"図書館"を舞台に、図書係として奮闘する実在の少女ディタ、そして重圧に苦しみながらリーダーとして振る舞うヒルシュの姿を軸に、ジャーナリストである著者が、膨大な関連資料を背景に、それでも描けない部分を【真摯なフィクション】で補っていて、本の与えてくれる【希望としての生きる力】を感じることができました。
また、本書では前述の2人とは別に、様々な人物たちが登場し、SSとユダヤ人少女の恋愛、脱獄計画の実施と目まぐるしく場面転換しながら、さながら群像劇の様に小さな物語が展開していくのですが【強制収容所の残虐さ、悲惨さ】の中でも、それぞれに【生き延びる為に葛藤する】姿が息遣いすら感じるかの様に細かく描写されていて印象に残りました。
最後に著者の後書きから抜粋。
"もしも美しいものを見ても感動しないなら、もしも目を閉じて想像力を働かせないなら、もしも疑問や好奇心を持たず、自分がいかに無知であるかに思いが及ばないなら、男にしろ女にしろ、それは人間でなく、単なる動物にすぎない"
人は【パン(とサーカス)のみに生きるべからず】個人的な意見で恐縮ですが、国内では貧困や格差で不満がたまる中、まるで【目を背けさせるかの様に】オリンピックや万博を盛り上げる記事が喧伝されている様にも感じられる今だからこそ。警鐘を鳴らす意味でも多くの人に本書を手にとってもらいたいと思いました。
本のもつ力、人間の尊厳について考えたい誰かに、また強制収容所について、残虐さや悲惨さとはまた別の視点から考えたい誰かにオススメ。
個人的には刑務所図書館について調べている中で本書と出会ったのですが。【アンネの日記】や【夜と霧】とはまた違った視点、強制収容所に囚人たちによってひっそりと作られた"学校"、そこにあった8冊だけの秘密の"図書館"を舞台に、図書係として奮闘する実在の少女ディタ、そして重圧に苦しみながらリーダーとして振る舞うヒルシュの姿を軸に、ジャーナリストである著者が、膨大な関連資料を背景に、それでも描けない部分を【真摯なフィクション】で補っていて、本の与えてくれる【希望としての生きる力】を感じることができました。
また、本書では前述の2人とは別に、様々な人物たちが登場し、SSとユダヤ人少女の恋愛、脱獄計画の実施と目まぐるしく場面転換しながら、さながら群像劇の様に小さな物語が展開していくのですが【強制収容所の残虐さ、悲惨さ】の中でも、それぞれに【生き延びる為に葛藤する】姿が息遣いすら感じるかの様に細かく描写されていて印象に残りました。
最後に著者の後書きから抜粋。
"もしも美しいものを見ても感動しないなら、もしも目を閉じて想像力を働かせないなら、もしも疑問や好奇心を持たず、自分がいかに無知であるかに思いが及ばないなら、男にしろ女にしろ、それは人間でなく、単なる動物にすぎない"
人は【パン(とサーカス)のみに生きるべからず】個人的な意見で恐縮ですが、国内では貧困や格差で不満がたまる中、まるで【目を背けさせるかの様に】オリンピックや万博を盛り上げる記事が喧伝されている様にも感じられる今だからこそ。警鐘を鳴らす意味でも多くの人に本書を手にとってもらいたいと思いました。
本のもつ力、人間の尊厳について考えたい誰かに、また強制収容所について、残虐さや悲惨さとはまた別の視点から考えたい誰かにオススメ。
2021年3月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
雑誌で見かけて、どうしても読んでみたくなりました。映画や小説では知っているアウシュビッツだけど、違った視点から見えるものがありました
2020年1月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
多くの魂が収められた、心に刺さる作品です。
読み応えのある長編ですが、文章がとても読みやすく、作家と翻訳者の力量を感じます。
ディタと同じ歳のアンネ・フランクの運命も、
収容所生活の中で一瞬 交差します。
本の力に共感すると同時に、ホロコーストを改めて想起します。
毎日を大切に生きよう、と思えました。
読み応えのある長編ですが、文章がとても読みやすく、作家と翻訳者の力量を感じます。
ディタと同じ歳のアンネ・フランクの運命も、
収容所生活の中で一瞬 交差します。
本の力に共感すると同時に、ホロコーストを改めて想起します。
毎日を大切に生きよう、と思えました。