著者は、日本テレビの「特命リサーチ200X」、「恋のから騒ぎ」といった過去の名番組や、
今も続く「世界まる見えテレビ特捜部」、「躍る!さんま御殿!!」等の数々のヒット番組を手掛けた現役テレビマン。
これら番組は映画から着想を得たのだ、というのがこの本の内容である。
しかし、いわゆる業界人が書いた成功譚の自慢話ではなく、様々な切り口で読むことができるのが、
この本の面白いところ。
まず、映画本として読み応えがある。
とにかく、多種多様な映画が紹介されている。
映画の紹介・批評本として改めて別の本に書いてもいいくらいの分量が、文庫としてまとめられいる。
映画好きの方も十分に満足できる内容だろう。
また、ゴシップ本的な面白さもある。
華やかな業界に見えるテレビ業界だが、裏側ではどんなことが起きているのか、
この本を読み事で知ることができる。
特に「恋のから騒ぎ」のできた話や24時間テレビの担当したときの話は必見である。
最後にビジネス本と側面である。
各章の最後に映画のツボと題して、理系出身らしい分析力を基に映画のテーマに沿った要約が入る。
このような分析によりエンターテイメントの面白さを抽出して、成功(ヒット番組)を勝ち取っているのだろう。
ビジネスでの成功も、また同様のプロセスが必要であると感じている。
あまり名前が表に出ない方だが、帯に所ジョージ、ビートたけし、明石家さんま氏の名前が並び、
解説に鈴木敏夫と、簡単に見ることのできないメンバーが揃っているのは、信頼のあらわれと言えよう。
ただ、これだけの成功を収めていている人間が、社内の若手に対して開いている企画塾を実施するに際して、
「私なぞは失敗体験・試行錯誤の塊」、「私にも彼らから吸収したいこともある」
と言っている。
ヒット番組の要因は、先入観にとらわれない、この謙虚さ・貪欲さにあるのかもしれない。

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ヒット番組に必要なことはすべて映画に学んだ (文春文庫 よ 36-1) 文庫 – 2014/6/10
吉川 圭三
(著)
「特命リサーチ200X」「恋のから騒ぎ」「世界まる見えテレビ特捜部」など数々のヒット番組を手がけ、ビートたけしや明石家さんま、所ジョージが信頼するテレビマンが、古今東西の映画を腑分けし、「人間は何を見たいのか」を徹底的に分析する。映画からどうやってヒントを得て、テレビ番組づくりに活かすのかという発想法も満載。エンターテーメントの世界で働く人、クリエイターを目指している人は必読の、異色の映画論です。
- 本の長さ283ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2014/6/10
- ISBN-104167901315
- ISBN-13978-4167901318
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2014/6/10)
- 発売日 : 2014/6/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 283ページ
- ISBN-10 : 4167901315
- ISBN-13 : 978-4167901318
- Amazon 売れ筋ランキング: - 722,958位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 7,969位文春文庫
- カスタマーレビュー:
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2014年6月18日に日本でレビュー済み
著者の吉川圭三さんは、1957年東京都生まれ、早大卒業後、日本テレビに入社、世界まる見え!特捜部、恋のからさわぎ、
特命リサーチ200X、などのヒット番組を連発、現在は日本テレビ制作局専門局長を担当されています。
吉川さんは、ほとんど30年余り、TVの現場で試行錯誤しながら、夢中でTV番組を制作されてきましたが、
実は昔から生粋の映画狂なのだそうです。そして、幼いころから親しんできた映画のエッセンスが、テレビ屋としての今の自分の、
血や肉になっていることは間違いないそうです。そこで、本書では映画とTVの「過去・現在・未来」を時空を飛び超えて語りながら、
人間はどういうものを面白いと感じるのか、面白いものを分解してその要素、本質、視聴者心理を考えることで、
いわば“エンターテインメントのツボ”を明らかにしようとしています。
先ずは、映画のジャンルを ホラー映画、戦争映画(正・続)、自動車映画、恋愛映画、映画音楽、社会派映画、SF映画、
ギャング映画、飛行機映画、CG映画、に分類し、吉川さんが観て感銘を受けたり、記憶に残っている古今東西の映画を例に挙げ、
エンターテインメントの「過去・現在・未来」を見通そうとしています。
そして、各ジャンルは、テレビ屋の考える3つのツボで締めくくられています。
また、各ジャンルの映画にインスパイア―されて、それがどのようにTV番組の制作に応用されたかについても書かれています。
言い換えると、本書は吉川さんの観た映画論であると同時に、映画を通じてみた、自身の番組に関する発想法についての書でもあり、
また、映画に関する自身の自叙伝にもなっています。そして、最後は、今見ても面白い「私の忘れがたい10本」で締めくくられています。
なお、本書は、スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんに「呪い」をかけられて(本人の言です)、七転八倒しながら、
熱風に連載されたものをまとめたもので、そのため、比較的最近の作品、ジブリ関連の映画もたくさん取り上げられています。
以上のようないきさつから、解説は鈴木敏夫さんが担当されています・・・・これが結構面白いです!!・・・・・
また、所ジョージさん、ビートたけしさん、明石家さんまさんが推薦文を書かれています・・・豪華ですね!!・・・・・
特命リサーチ200X、などのヒット番組を連発、現在は日本テレビ制作局専門局長を担当されています。
吉川さんは、ほとんど30年余り、TVの現場で試行錯誤しながら、夢中でTV番組を制作されてきましたが、
実は昔から生粋の映画狂なのだそうです。そして、幼いころから親しんできた映画のエッセンスが、テレビ屋としての今の自分の、
血や肉になっていることは間違いないそうです。そこで、本書では映画とTVの「過去・現在・未来」を時空を飛び超えて語りながら、
人間はどういうものを面白いと感じるのか、面白いものを分解してその要素、本質、視聴者心理を考えることで、
いわば“エンターテインメントのツボ”を明らかにしようとしています。
先ずは、映画のジャンルを ホラー映画、戦争映画(正・続)、自動車映画、恋愛映画、映画音楽、社会派映画、SF映画、
ギャング映画、飛行機映画、CG映画、に分類し、吉川さんが観て感銘を受けたり、記憶に残っている古今東西の映画を例に挙げ、
エンターテインメントの「過去・現在・未来」を見通そうとしています。
そして、各ジャンルは、テレビ屋の考える3つのツボで締めくくられています。
また、各ジャンルの映画にインスパイア―されて、それがどのようにTV番組の制作に応用されたかについても書かれています。
言い換えると、本書は吉川さんの観た映画論であると同時に、映画を通じてみた、自身の番組に関する発想法についての書でもあり、
また、映画に関する自身の自叙伝にもなっています。そして、最後は、今見ても面白い「私の忘れがたい10本」で締めくくられています。
なお、本書は、スタジオジブリのプロデューサー、鈴木敏夫さんに「呪い」をかけられて(本人の言です)、七転八倒しながら、
熱風に連載されたものをまとめたもので、そのため、比較的最近の作品、ジブリ関連の映画もたくさん取り上げられています。
以上のようないきさつから、解説は鈴木敏夫さんが担当されています・・・・これが結構面白いです!!・・・・・
また、所ジョージさん、ビートたけしさん、明石家さんまさんが推薦文を書かれています・・・豪華ですね!!・・・・・
2014年7月13日に日本でレビュー済み
映画マニアの手による私的映画ガイド。
幅広いジャンルから古今の名作を紹介しています。
ものをつくる人だけあって、文章は上手です。
掲げられた作品を見たくなります。
タイトルからは、テレビ番組の企画や演出技法を解説した本、
あるいは制作の舞台裏を描いた本という印象を受けますが、
ぜんぜん違います。テレビと映画をつなぐ説明はほぼありません。
ただし、番組制作者ではないほとんどの読者にとって
つなぐ部分の説明は無用なので、無いのが正解です。
(テレビは殆ど観ないので、裏話にもとくに興味ない)
一部に、恋のから騒ぎの企画が生まれた経緯などが
書かれていますが、その前段にある映画の解説とは
内容的にリンクしていません。おそらく、その部分は
言葉にいわく言い難い創作の秘密なのでしょう。
著者としては、とにかくたくさんの映画を見て、感じろ
ということではないかと推測しました。
映画マニアのテレビ人による映画ガイドとして、おすすめ。
幅広いジャンルから古今の名作を紹介しています。
ものをつくる人だけあって、文章は上手です。
掲げられた作品を見たくなります。
タイトルからは、テレビ番組の企画や演出技法を解説した本、
あるいは制作の舞台裏を描いた本という印象を受けますが、
ぜんぜん違います。テレビと映画をつなぐ説明はほぼありません。
ただし、番組制作者ではないほとんどの読者にとって
つなぐ部分の説明は無用なので、無いのが正解です。
(テレビは殆ど観ないので、裏話にもとくに興味ない)
一部に、恋のから騒ぎの企画が生まれた経緯などが
書かれていますが、その前段にある映画の解説とは
内容的にリンクしていません。おそらく、その部分は
言葉にいわく言い難い創作の秘密なのでしょう。
著者としては、とにかくたくさんの映画を見て、感じろ
ということではないかと推測しました。
映画マニアのテレビ人による映画ガイドとして、おすすめ。
2016年5月3日に日本でレビュー済み
私も大変な映画好き。大変面白く読ませていただきました。
最近のCG映画に対する評論や、それに関連した近年のアカデミー賞受章作品の傾向等、確かにと頷く箇所あり、コンセンサスを覚えました。
ただ、1箇所記述に間違いがありました。本書141頁の「映画音楽論」の中で、「2001年宇宙の旅」に使われた音楽の項で、『ヨハン・シュトラウスのワルツ「ツァラトゥストラはかく語りき」』とありましたが、正しくはリヒャルト・シュトラウスで、この曲はワルツではなく交響詩です。おそらく同映画に使用されたヨハン・シュトラウスのワルツ「青き美しきドナウ」と混同されたのでしょう。
最近のCG映画に対する評論や、それに関連した近年のアカデミー賞受章作品の傾向等、確かにと頷く箇所あり、コンセンサスを覚えました。
ただ、1箇所記述に間違いがありました。本書141頁の「映画音楽論」の中で、「2001年宇宙の旅」に使われた音楽の項で、『ヨハン・シュトラウスのワルツ「ツァラトゥストラはかく語りき」』とありましたが、正しくはリヒャルト・シュトラウスで、この曲はワルツではなく交響詩です。おそらく同映画に使用されたヨハン・シュトラウスのワルツ「青き美しきドナウ」と混同されたのでしょう。