1番はもちろん五分後の世界である。
本作は五分後の世界に勝るとも劣らない面白さだった。
一応、希望の国のエクソダスの続編ということになっているが、前作を読んでいなくても問題ない。
五分後の世界とヒュウガ・ウイルスの二作のように、設定だけ引き継いで話自体に繋がりはほとんどない。
わずかだが、前作の登場人物の名前が出てくる箇所があるので前作を読んでいるに越したことはないが。
村上龍節炸裂の本作なのだが、以前より娯楽性が増している気がした。
読みにくい、と思う部分が全くなかった。エンターテイメントに徹していると言ってもいい。
非常に読みやすく、村上龍を初めて読む人にもすすめられる。
いい意味で村上龍らしくないと感じた。
ただやはり、回想がくどい。同じシーンを何度も回想するのである。
これは連載が長期に及んだので、読者に対する配慮であろうか。
だとすれば、単行本化する際に削るべきであった。
筆者ももう65歳なので、このような刺激的な大作はこれで最後かも知れない。

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オールド・テロリスト ハードカバー – 2015/6/26
村上 龍
(著)
怒れる老人たち、粛々と暴走す。
「年寄りの冷や水とはよく言ったものだ。年寄りは、寒中水泳などすべきじゃない。別に元気じゃなくてもいいし、がんばることもない。年寄りは、静かに暮らし、あとはテロをやって歴史を変えればそれでいいんだ」
後期高齢者の老人たちが、テロも辞さず、日本を変えようと立ち上がるという物語のアイデアが浮かんだのは、もうずいぶん前のことだ。その年代の人々は何らかの形で戦争を体験し、食糧難の時代を生きている。だいたい、殺されもせず、病死も自殺もせず、寝たきりにもならず生き延びるということ自体、すごいと思う。彼らの中で、さらに経済的に成功し、社会的にもリスペクトされ、極限状況も体験している連中が、義憤を覚え、ネットワークを作り、持てる力をフルに使って立ち上がればどうなるのだろうか。どうやって戦いを挑み、展開するだろうか。(著者「あとがき」より)
唯一無比の最新長編!
「年寄りの冷や水とはよく言ったものだ。年寄りは、寒中水泳などすべきじゃない。別に元気じゃなくてもいいし、がんばることもない。年寄りは、静かに暮らし、あとはテロをやって歴史を変えればそれでいいんだ」
後期高齢者の老人たちが、テロも辞さず、日本を変えようと立ち上がるという物語のアイデアが浮かんだのは、もうずいぶん前のことだ。その年代の人々は何らかの形で戦争を体験し、食糧難の時代を生きている。だいたい、殺されもせず、病死も自殺もせず、寝たきりにもならず生き延びるということ自体、すごいと思う。彼らの中で、さらに経済的に成功し、社会的にもリスペクトされ、極限状況も体験している連中が、義憤を覚え、ネットワークを作り、持てる力をフルに使って立ち上がればどうなるのだろうか。どうやって戦いを挑み、展開するだろうか。(著者「あとがき」より)
唯一無比の最新長編!
- 本の長さ568ページ
- 言語日本語
- 出版社文藝春秋
- 発売日2015/6/26
- ISBN-104163902392
- ISBN-13978-4163902395
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登録情報
- 出版社 : 文藝春秋 (2015/6/26)
- 発売日 : 2015/6/26
- 言語 : 日本語
- ハードカバー : 568ページ
- ISBN-10 : 4163902392
- ISBN-13 : 978-4163902395
- Amazon 売れ筋ランキング: - 254,486位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,522位ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1952年長崎県生まれ。
七六年『限りなく透明に近いブルー』で第七五回芥川賞受賞。『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、『半島を出よ』では野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。『トパーズ』『KYOKO』で映画監督も務めた。最新作は『新 13歳のハローワーク』『13歳の進路』。日本の金融・政治経済の問題を考える メールマガジン『JMM』を主宰し、経済トーク番組『カンブリア宮殿』(テレビ東京)のホストも務める。
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2017年3月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2022年7月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
表題が面白そうなので買って、長い間積んであった本、村上龍は「限りなく透明に近いブルー」「海の向こうで戦争が始まる」「コインロッカーベイビーズ」の3作しか読んでいない。1970年代の作品、この3作は出来がいい。当時感動して読んだ(こちらも若かったしね)。余談だが今では「限りなく透明に近いブルー」をエロ本だという人もいて世も末だと思っている。
50年の間に作者がどのような思考をしてきたのか知らないで読みだす。
意外と面白い、皆さんのレビューを読むと、続編らしいが、それまでの知識がなくてもドンドン進む。
かくいう僕も70を越えたオールド世代になる。別に表面上の不平不満はない。ただ50年前に描いていた日本の姿かと問われれば全くそうではない。
この際「リセット」すべきか?
たまたま、安倍元首相の殺害事件で、その動機が単純でなく、現在の政治の暗闇が次第に暴露されつつある。知らんうちに日本はカルト宗教に支配されつつある??
そういう意味からも「リセットしたほうがいいのかな」と思っている昨今である。
リセットするならどこ(どの時代)から?
1945.8.15時点から??
作者(村上龍)は劇的なデビューからほぼ50年弱、彼の視線で日本を見つめて来た。かれも70歳、誘われたら僕もオールドテロリストになる?
50年の間に作者がどのような思考をしてきたのか知らないで読みだす。
意外と面白い、皆さんのレビューを読むと、続編らしいが、それまでの知識がなくてもドンドン進む。
かくいう僕も70を越えたオールド世代になる。別に表面上の不平不満はない。ただ50年前に描いていた日本の姿かと問われれば全くそうではない。
この際「リセット」すべきか?
たまたま、安倍元首相の殺害事件で、その動機が単純でなく、現在の政治の暗闇が次第に暴露されつつある。知らんうちに日本はカルト宗教に支配されつつある??
そういう意味からも「リセットしたほうがいいのかな」と思っている昨今である。
リセットするならどこ(どの時代)から?
1945.8.15時点から??
作者(村上龍)は劇的なデビューからほぼ50年弱、彼の視線で日本を見つめて来た。かれも70歳、誘われたら僕もオールドテロリストになる?
2018年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
閉塞感に満ちた現代は老人も若者も等しく生きにくい。若者は諦め、虚無に逃げ込む。長い年月生き抜いて来た老人たちのパワーは世界を変革出来るかのような幻覚を見る。彼らは徹底的に破壊しつくそうとする。徹底的な破壊なくして再生はありえないからだ。
主人公は全く情けない中年男で、安定剤とアルコールなしでは精神の平衡を保てない。臆病で、軟弱で、卑屈。でも、卑怯ではない。この物語のもう一つのテーマは主人公の再生だ。彼の精神は再三、テロの現場に居合わす事によってズタズタに破壊される。破壊の後、ジャーナリストとしての使命と誇りを取り戻す事を示唆して物語は終わる。
物語から途中退場したマツノ君はその後立ち直れたのかなぁ・・カツラギのキャラクターも最初は、もっとシュールだったのに、だんだん普通のお嬢さんになったなぁ。
でもエンターテイメント性抜群でサクサク読めた。
主人公は全く情けない中年男で、安定剤とアルコールなしでは精神の平衡を保てない。臆病で、軟弱で、卑屈。でも、卑怯ではない。この物語のもう一つのテーマは主人公の再生だ。彼の精神は再三、テロの現場に居合わす事によってズタズタに破壊される。破壊の後、ジャーナリストとしての使命と誇りを取り戻す事を示唆して物語は終わる。
物語から途中退場したマツノ君はその後立ち直れたのかなぁ・・カツラギのキャラクターも最初は、もっとシュールだったのに、だんだん普通のお嬢さんになったなぁ。
でもエンターテイメント性抜群でサクサク読めた。
2017年2月2日に日本でレビュー済み
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希望の国のエクソダスの中学生を取材したライターの後日譚。
出版不況で雑誌はどんどん廃刊になり、雑誌の記者としての職を失い、離婚し妻と子も失い。
細々とフリーライターとして小商いをするも、ホームレス寸前の主人公。
彼を名指しし、テロ現場の取材をさせようとするのは日本を憂える「老人」たち...。
ここまで成熟し、人が死なない社会になってしまうと、閉塞感からか若者には「心の」元気が不足してしまう。
明日の食料に困るような状況にでもならない限り、暴力的な手段ででも社会を変えようとはしないだろう。
大人は保身で精いっぱい。
そんな状況で、これだけ高齢者が増えれば、肉体的にも、経済的にも、更にはノウハウを持っているという意味でも、高付加価値な高齢者の絶対数は増えていくわけで、「もう失うものなんか何もない」と開き直ったハイスペックな高齢者が、本気で日本を変えようとすることは考えられないことではない。
第二次大戦からの再生というプロセスで、日本が幸せな時代を過ごせたというのであれば、彼らの破壊からの日本再生という道筋はあながち100%間違っていると全否定できるものではないかもしれない。
でも...。
そう感じさせる筆の力は伝わっても、過去の村上龍さんの「世界観構築系」の小説と比べると、「モヤッと」ごまかされている部分が散見される気がして。
これまでの龍さんのこの手の小説は、精緻な取材に裏打ちされて、「ありえる話だよな」という読後感だったのだが、これは少し「荒唐無稽」な感じが強い。
希望の国のエクソダスの登場人物を持ってきたあたりも含めて、ここまでの取材をうまく流用して作ったプロットのように思えてしまう。
たまたま、北野武監督の「龍三と七人の子分たち」を見た時期と本作を読んだ時期が重なったのがいけなかったのかもしれないけど、シリアスな作品なのに、緊張感をもって読めなかった。
出版不況で雑誌はどんどん廃刊になり、雑誌の記者としての職を失い、離婚し妻と子も失い。
細々とフリーライターとして小商いをするも、ホームレス寸前の主人公。
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ここまで成熟し、人が死なない社会になってしまうと、閉塞感からか若者には「心の」元気が不足してしまう。
明日の食料に困るような状況にでもならない限り、暴力的な手段ででも社会を変えようとはしないだろう。
大人は保身で精いっぱい。
そんな状況で、これだけ高齢者が増えれば、肉体的にも、経済的にも、更にはノウハウを持っているという意味でも、高付加価値な高齢者の絶対数は増えていくわけで、「もう失うものなんか何もない」と開き直ったハイスペックな高齢者が、本気で日本を変えようとすることは考えられないことではない。
第二次大戦からの再生というプロセスで、日本が幸せな時代を過ごせたというのであれば、彼らの破壊からの日本再生という道筋はあながち100%間違っていると全否定できるものではないかもしれない。
でも...。
そう感じさせる筆の力は伝わっても、過去の村上龍さんの「世界観構築系」の小説と比べると、「モヤッと」ごまかされている部分が散見される気がして。
これまでの龍さんのこの手の小説は、精緻な取材に裏打ちされて、「ありえる話だよな」という読後感だったのだが、これは少し「荒唐無稽」な感じが強い。
希望の国のエクソダスの登場人物を持ってきたあたりも含めて、ここまでの取材をうまく流用して作ったプロットのように思えてしまう。
たまたま、北野武監督の「龍三と七人の子分たち」を見た時期と本作を読んだ時期が重なったのがいけなかったのかもしれないけど、シリアスな作品なのに、緊張感をもって読めなかった。
2018年5月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
想いをどこかに置いてきたり、抱えて生きている人へ。
思っているよりも、自分自身という生き物は変わらないと諦めと希望を持って気付いた人へ。
その先は…読んでその言葉に出会う為の本。
思っているよりも、自分自身という生き物は変わらないと諦めと希望を持って気付いた人へ。
その先は…読んでその言葉に出会う為の本。
2015年8月17日に日本でレビュー済み
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だから現状をどう打開していくのかという作者の主張がどこにも見当たらない。仏を作って魂を入れず、装飾に拘りすぎて中身がない、という感じ。優れた取材スタッフに恵まれ、今のティーンエイジャー、今の70,80代の内情をよく調べ、描いているが、映画でいうところ、巨匠が無名の助監督に撮らせ、そこに自分の監督作とサインを入れたが、肝心の監督の本気が見えてこない。
オールドテロリストならぬオールドファンとしては、コインロッカーベイビーズの頃の村上龍の叫び、人間捨てたもんじゃない、きっとこうすれば変わる、が聞こえてこない。
商業ベースの要求が厳しいから、巨匠はどこの世界でもそうだけどね。
オールドテロリストならぬオールドファンとしては、コインロッカーベイビーズの頃の村上龍の叫び、人間捨てたもんじゃない、きっとこうすれば変わる、が聞こえてこない。
商業ベースの要求が厳しいから、巨匠はどこの世界でもそうだけどね。
2015年7月3日に日本でレビュー済み
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村上龍氏のファンで、ほとんどの著作を読み、その中の半分くらいは繰り返し読んでいるものです。
特に、「五分後の世界」「最後の家族」などが好きです。
私は、最近の著作やエッセイをことごとく批判してきました。
簡単にいうと「エネルギーを感じない」からです。読後の「何かを変えなければ」と思える感覚が欠如した作品が多いからです。
もちろん今回の作品も、例えば「五分後の世界」と比べればエネルギー量はやや少ないかもしれません。
連載だったものですから、昔のことを振り返る場面も多く、少し冗長にも感じます。
しかしながら、村上氏らしさがところどころに垣間見え、正直読む手は止まりませんでした。
少しずつ物語が展開していくところ、はっとするような急展開、セキグチへの心理描写、そしてラスト。
「静かな怒り」については、「そうきたか」と思いました。セキグチの揺れる振り子とうまくシンクロしていると感じます。
昔からのファンも、初めて読む人も、著者らしさが詰まった、読んで損はない一冊です。
特に、「五分後の世界」「最後の家族」などが好きです。
私は、最近の著作やエッセイをことごとく批判してきました。
簡単にいうと「エネルギーを感じない」からです。読後の「何かを変えなければ」と思える感覚が欠如した作品が多いからです。
もちろん今回の作品も、例えば「五分後の世界」と比べればエネルギー量はやや少ないかもしれません。
連載だったものですから、昔のことを振り返る場面も多く、少し冗長にも感じます。
しかしながら、村上氏らしさがところどころに垣間見え、正直読む手は止まりませんでした。
少しずつ物語が展開していくところ、はっとするような急展開、セキグチへの心理描写、そしてラスト。
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昔からのファンも、初めて読む人も、著者らしさが詰まった、読んで損はない一冊です。
2018年5月21日に日本でレビュー済み
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愛と幻想のファシズム、希望の国のエクゾタスの並びとして、高齢者がクーデータするという面白い作品。
先の2作が好きならば楽しめると思います。
先の2作が好きならば楽しめると思います。