緩やかに流れる時間に身を任せ、ふわりと漂う感覚を味わう事が出来るはず。
長短16もの短編集がビートルズの「ホワイトアルバム」をキーとして
ひっそりと、でも確実に繋がっている構成を堪能するだけでも見る価値アリ。
世界の果てにある食堂の物語を書きたいのになかなか書けない作家「私」を
この本の主人公と据えているが、「私」の登場するシーンはあまり多くない。
代わりに短編ごとに主役が存在し、短編ごとに不思議な物語が語られる。
紙の余白を見つけると何か書きなくなってしまう作家の物語「白鯨詩人」。
ドアノブだけを展示する奇妙な展覧会「ジュールズ・バーンの話のしっぽ」。
映画ではなく映画の予告編を作る仕事に就くことを夢見る学生「ろくろく」。
市民全員のレインコートを展示する博物館で働く「小さなFB」。
他にも笑ってしまう話、懐かしくなる物語、穏やかな気持ちになる物語など
たった1冊の本が読者を様々な想いへと導いてくれます。
休日にあったかい飲み物とお菓子を用意して、読んでみてはいかがでしょう。
肩の疲れがちょっと和らいだような気になれるかもしれません。
私のオススメは「キリントン先生」「ビザを水平に持って還った話」。
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フィンガーボウルの話のつづき 単行本 – 2001/9/1
吉田 篤弘
(著)
- 本の長さ220ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2001/9/1
- ISBN-104104491012
- ISBN-13978-4104491018
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商品の説明
商品説明
「世界の果てにある食堂の物語」を書きあぐねていた作家である「私」がふとしたきっかけで知ったのは、幻のイギリス人作家の存在と、彼が残したメモに列挙された「6桁、あるいは7桁の数字」の謎。その謎に私はひらめいた。「メモの数字は、ビートルズの〈ホワイトアルバム〉初回プレス版にうたれた通し番号だったのではないか?」
その思いつきをきっかけに、私は「ホワイトアルバム」を持っている人々に思い出話を聞いて回るようになる。
その思いつきをきっかけに、私は「ホワイトアルバム」を持っている人々に思い出話を聞いて回るようになる。
本書は、架空の書物や地図、架空の機械の解説書やパッケージなどを創作するユニット「クラフト・エヴィング商會」の物語作者である吉田篤弘が、正体を明かして書く初の本格的な小説である。ジョン・レノンを待たせた男、巨大な白鯨の幻想に捕らわれた詩人、レインコート博物館に住む奇妙な一家の話に、テイクアウトのピザに初めて外国を感じた10歳の私の物語。ビートルズの「ホワイトアルバム」をカギに、いつしかひとつの物語へと連なっていく16の短編は、どこまでが虚構の世界で、どこまでが現実なのか、その境界があやふやになる不思議な感覚へと私たちを導いてくれる。
本の帯とカバーとをはずすと、そこに現れる表紙は、ホワイトアルバムさながらに白い。著者自身の手による装丁までもがそんな遊び心にあふれた本書は、謎めいていて、どこかなつかしい。(小山由子)
内容(「MARC」データベースより)
物語は「世界の果て」にある小さな食堂を夢見ながら始まり、静かにゆるやかにつづく。どこからも遠い場所で、どこよりも近い、すぐそばで-。クラフト・エヴィング商会の物語作者が語る、ひとつながりの16の短編集。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2001/9/1)
- 発売日 : 2001/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 220ページ
- ISBN-10 : 4104491012
- ISBN-13 : 978-4104491018
- Amazon 売れ筋ランキング: - 192,427位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4,757位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2007年8月22日に日本でレビュー済み
ビートルズの「ホワイトアルバム」に通ずる物語達から、幼い頃の思いや旅先での思い、未来への思いをめぐらせながら読みました。
この本と出会ったのは、旅に出る時に寄った空港の本屋さんでした。
行きと帰りの飛行機で読み切って、その後自宅でも読み返しました。
登場人物像が目の前に浮かぶような、もしかしたら実際にいるような気すらする吉田氏の文章。
この本と出会ってから、優しくなれた気がします。
この本と出会ったのは、旅に出る時に寄った空港の本屋さんでした。
行きと帰りの飛行機で読み切って、その後自宅でも読み返しました。
登場人物像が目の前に浮かぶような、もしかしたら実際にいるような気すらする吉田氏の文章。
この本と出会ってから、優しくなれた気がします。
2002年1月19日に日本でレビュー済み
食堂の主人(通称シナトラ)が話してくれたフィンガーボウルの話の続き、今は亡き父の「おそれいり豆です」という言葉など、淡々と進む16の短編集。優しくて懐かしく切なくなってしまう。ブックカバーをはずしてみると、作者の遊びゴコロが垣間見えたような感じ。1人で静かな午後に紅茶を入れながら楽しみたい。「シナトラ食堂」の話を読むと、なぜかお腹がすいてしまうから。
2007年8月17日に日本でレビュー済み
ビートルズの「ホワイト・アルバム」は、たしかに名盤である。
誰もが、なにかしらの思い出や思い入れを持っているのではないかと思う。
私も、ビートルズと書いてあったので、この本を手に取った。
「ホワイト・アルバム」にまつわる小さな物語をつないでいった話。
物語は入れ子状になっていて、どれが物語でどれが現実(といっても物語の中の)なのか分からない。
ただ、物語の中で「ホワイト・アルバム」の名前は出てくるけど、そんなに話の中のキーになるわけではない。
小さな物語をつみあげて、ひとつの大きな物語にしようとしているのはわかるのだけど。
せっかくおもしろい設定があまり生かされていないような気がして、そこは残念なところ。惜しい。
それでも、著者の作品らしい、のんびりとしたロマンは健在。
つむじ風食堂にしてもそうだが、この人レストランとか好きなのだなあと思う。
誰もが、なにかしらの思い出や思い入れを持っているのではないかと思う。
私も、ビートルズと書いてあったので、この本を手に取った。
「ホワイト・アルバム」にまつわる小さな物語をつないでいった話。
物語は入れ子状になっていて、どれが物語でどれが現実(といっても物語の中の)なのか分からない。
ただ、物語の中で「ホワイト・アルバム」の名前は出てくるけど、そんなに話の中のキーになるわけではない。
小さな物語をつみあげて、ひとつの大きな物語にしようとしているのはわかるのだけど。
せっかくおもしろい設定があまり生かされていないような気がして、そこは残念なところ。惜しい。
それでも、著者の作品らしい、のんびりとしたロマンは健在。
つむじ風食堂にしてもそうだが、この人レストランとか好きなのだなあと思う。
2007年8月14日に日本でレビュー済み
クラフト・エヴィング商會、物語担当者の連作短編集。
クラフト・エヴィング商會の他の著作と同じく
欧風の香り漂う、日常からちょっと離れた非日常を描いている。
お洒落すぎて、生身の「人間」が感じられないという
物足りなさは残るが、毎度のことながらそのセンスには脱帽。
小説というより、アートの一環なのかも。
クラフト・エヴィング商會の他の著作と同じく
欧風の香り漂う、日常からちょっと離れた非日常を描いている。
お洒落すぎて、生身の「人間」が感じられないという
物足りなさは残るが、毎度のことながらそのセンスには脱帽。
小説というより、アートの一環なのかも。
2004年4月6日に日本でレビュー済み
「世界の果て食堂」にある、フィンガーボウルに思いを馳せて、世界の果てにある食堂の物語を書こうと、一人の作家はもやもやと思い悩んでいた。
世界中のホテルを渡り歩く、未発表作品を大量に書き残したというジュールズ・バーン氏のメモ。その”シッポ”をつかんだ作家が引き出そうとした物語は、一体なんだったか。答えなんて、そもそも存在したのだろうか?細く細く、途切れそうな、けれど煌く蜘蛛の糸につながれたかのようなささやかな物語たち。
ジョン・レノンを 待たせた男、閑人カフェ、六月の月放送局。しわくちゃのワイシャツを着ている音楽家。そのどこかにいそうな人たちを繋ぐキィ・ワードはビートルズの「ホワイトアルバム」だった、のかもしれない。
物語は関数じゃない。キィ・ワードは引数じゃない。答えを引き出すものじゃない。水を掬ぶようにあやふやで、けれどこぼれ落ちる一瞬の光の反射は美しい。この物語もその非日常の中の日常さが、人を惹きつけるのかもしれない。指の隙間からこぼれ落ちるもの。強い光の前では白くかすんでしまいそうなもの。クラフト・エヴィング商會が拾ってくる物語は、いつも非日常さを日常に織り込んでいる。
世界中のホテルを渡り歩く、未発表作品を大量に書き残したというジュールズ・バーン氏のメモ。その”シッポ”をつかんだ作家が引き出そうとした物語は、一体なんだったか。答えなんて、そもそも存在したのだろうか?細く細く、途切れそうな、けれど煌く蜘蛛の糸につながれたかのようなささやかな物語たち。
ジョン・レノンを 待たせた男、閑人カフェ、六月の月放送局。しわくちゃのワイシャツを着ている音楽家。そのどこかにいそうな人たちを繋ぐキィ・ワードはビートルズの「ホワイトアルバム」だった、のかもしれない。
物語は関数じゃない。キィ・ワードは引数じゃない。答えを引き出すものじゃない。水を掬ぶようにあやふやで、けれどこぼれ落ちる一瞬の光の反射は美しい。この物語もその非日常の中の日常さが、人を惹きつけるのかもしれない。指の隙間からこぼれ落ちるもの。強い光の前では白くかすんでしまいそうなもの。クラフト・エヴィング商會が拾ってくる物語は、いつも非日常さを日常に織り込んでいる。
2002年10月1日に日本でレビュー済み
この著者は『じつはわたくし・・・』や『らくだこぶ書房・・・』の
クラフト・エヴィング商會の著作の作者。
クラフト・エヴィング商會のほんとうだかうそだかわからないような、
凝った不思議でかわいらしい本たちを作っている人が書いているっていうのが、
やっぱりこの小説からも伝わってきました。
16編の短編はどれもビートルズのホワイトアルバムというキーアイテムでひっそり繋がっていて、
クラフト・エヴィング商會の本と同様、細部のいろいろにも丁寧にこだわって、
不思議で静かで淡々としていてかわいらしいお話。
クラフト・エヴィング商會の著作の作者。
クラフト・エヴィング商會のほんとうだかうそだかわからないような、
凝った不思議でかわいらしい本たちを作っている人が書いているっていうのが、
やっぱりこの小説からも伝わってきました。
16編の短編はどれもビートルズのホワイトアルバムというキーアイテムでひっそり繋がっていて、
クラフト・エヴィング商會の本と同様、細部のいろいろにも丁寧にこだわって、
不思議で静かで淡々としていてかわいらしいお話。
2002年8月21日に日本でレビュー済み
クラフト・エヴィング商曾の書き手である吉田さんの短篇集。短篇集といっても全部の話がちゃんとどこかで繋がっていて、その繋がり方が面白い。確かにあるというもの、たとえば写真とか本とか、そういうもので繋がっているのではない。ビートルズのホワイトアルバムといったちゃんと形のある"もの"がでていてもそれがメインになっているわけでもなく進んでいく。あそこの話にでてきた何々、さらにそこから出てきた話の何々といったふうに時代や場所や語り手は違えど少しずつ、だけれど確実に世界が広がっていくところが面白い。