これまでSONYのPHA-1を使ってきて満足していました。PHA-1は解像度が高くて音の粒立ちが良く、低域から高域までフラットな特性で音楽データを忠実に再生するイメージです。とても優等生な音ですが悪く言えば音響的特徴がなく、少し飽きて来たところでこのMojoと出会いました。
このレビューのシステムは、iPhone 6 → HF Player → 純正カメラアダプタ → Stereo Sound付録AIM USBケーブル → Mojo → SHURE SE846(brightインサート) になります。曲はPOP、R&Bなどの洋楽を中心に聴いています。音の感想はPHA-1が比較対象です。
Mojoを最初に聴いた時、唖然とするほどの音の違いに感動しました。音の一つ一つが他の音から綺麗に分離して空間に定位し、超立体的な音響空間が頭の中に展開するのです。初めに結論を言えば、Mojoの良さはこの立体的音場再現力の良さ、音のリアリティーの素晴らしさに尽きると思います。
ただし、この音の良さを実感できるのはSHURE SE846だからかもしれません。SHURE SE846自体が音の解像力が高く、音の定位が非常に良いイヤホンです。周波数特性もMojoの特性と近い感じで、狙っている音のイメージが同じで相性が良いのだと思います。ひょっとするとMojoはSHURE SE846を音創りのリファレンスの一つにしているのかもしれません。
比較のためイヤホンをAKG K3003(ノーマルフィルタ)で聞くと、音の立体感は増すもののSHURE SE846ほどの音場の向上は感じられませんでした。MojoでシングルドライバのSennheiser IE800やEtymotic Research ER4S-Bも聴いていますが音の立体感やリアリティーは、SHURE SE846で聴く音の方が圧倒的に良く聴こえます。
Mojoの音はボーカル帯域が盛られた感じで、高音はそれほど伸びませんし低音もさほど強くなく、カマボコ型の周波数特性です。どこまでも伸びる高音やキラキラした金属的な高音を期待するとハズレたと思うことでしょう。AKG K3003は伸びの良い高域が魅力で高音寄りの音創りだと思っていましたが、Mojoで聴くと高音域が抑えられてバランスが良くなり聞きやすくなりました。
SHURE SE846で聴くMojoの低音域は重さのあるドーンと来る音は鳴りません。低音を音として聞かすのではなく、音場を作る大地のような空気感へ変化させており、まさにサブウーファーの音のようになります。好みによっては低音不足を感じるかもしれませんが、それは低音を盛り過ぎないよう考えたSHURE SE846(brightインサート)のチューニングなのです。AKG K3003はダイナミック型のウーファーを搭載していますが、PHA-1で聴いていたときはそれほど低音が強いわけではありませんでしたが、Mojoでは程よく量感を感じる音に変化しました。またアンプ出力の弱い機器との接続を想定した低価格帯のドンシャリ型イヤホンでは、まさにその通りの過剰に重々しい低音を鳴らします。また、Etymotic Research ER4S-Bは高域だけの音のイメージでしたが、Mojoでは低音不足感が抑えられ良くなったのは驚きです。
また、Mojoの音はボーカルが豊かでその周囲に楽器が置かれ、離れた位置から音が鳴っている感じを良く再現します。逆を言うとこれまで聞こえていた音が遠くなり、悪く言えば音が聞こえなくなったと感じます。そのため音量を上げないと迫力が出ない現象が起こります。これは44.1kHzのサンプリングでは上下に振幅する波形が細かく描けないため、連続した大きな波形となって「音」にしてしまうのに対して、谷は谷として細かく書き足したMojoの波形では音として鳴らない部分が出てくるため、音圧が減るからではないかと思います。この音として鳴らない成分をしっかり再現することで、音の遠近感が描けるのでしょう。このあたりはPHA-1の音場全体に音がある感じと大きく異なる点です。ある意味「創られた音」であり、ミキシング現場で作られた「原音」とは異なる、より強調された表現になっている感じはします。が、そこがMojoの個性です。空間的リアリティーを加えて音楽を一層楽しく聴かせてくる他に代えがたい魅力です。聴いた瞬間、戸惑いを感じるようなら相性が悪いってことです。私はすっかりハマっている日々ですが。買って良かったです。
アルミ製筐体は黒のアルマイト処理で程よい梨地仕上げです。高級感があります。好みの問題ですが電源とボリュームのデザインが派手で嫌いです。ラバーバンパー付きのiPhoneにゴムバンドで抱かせ配線した状態でコンクリートの上にうっかり落下させてしまいましたが、運よく無傷で故障もしませんでした。
最後にMojoの欠点。
・イヤホンの性能をフルに引き出してくれますが、性能の低いイヤホンでは逆に物足りなさを感じてしまうかもしれません。
・Mojoは空間を演出してくるので音を分析的に聞くには適さないと思います。また、音楽ソースの録音状態の悪さもそのまま反映してしまいます。
・高音の輝きや深い低音は期待しないでください。
・iPhoneが基地局と無線通信を始めると(キャリアや電波の種類にもよるかもしれませんし、原因はケーブルかもしれませんが)電波ノイズが音声信号に混入してきます。対策は航空機モードにして無線機能を停止させるしかありません。
・USBコネクタがちょっとタッチしただけで接触不良になり音楽再生が停止してしまいます。(初期不良か、ケーブル側の問題か?)
・ボリュームはカバンの中で何かに触れてしまい急に上昇してしまい大慌てしたことがありますので、ケースに入れるなどの対策が必要です。
電池 | 1 リチウムポリマー 電池 |
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商品モデル番号 | MOJO-BLK |
メーカーにより製造中止になりました | いいえ |
カラー | ブラック |
コネクタ | usb |
材質 | アルミニウム |
カラースクリーン | いいえ |