中国の共産党一党支配体制が近いうちに崩壊することは無い。
中国経済の低成長化の影響は、
中国国内よりもむしろ中国国外のほうが大きくなる。
20年近く仕事で中国に関わってきた僕はこう感じていたけど、
この本は、それをより確信に近づけた。
お上(政府)に過大な期待をする、
過剰に責任を追求する。
これは日本や中国に顕著な事象に思える。
日本はいちおう自由主義・民主主義の国家なのだけど、
西欧米のように革命や独立でそれを奪い取ったわけじゃないから、
主権者たる権利が優先してしまいがちになる。
民主主義のプレイヤーとしての自覚が足りない。
中国は独裁国家と言われるけど、
専制国家とは違う。
民の不信や不満が爆発すれば、独裁体制は容易に崩壊する。
大陸では太古から「徳」を呼ばれていたものが、
独裁体制を合理化してきた。
不信や不満をある程度強権で抑えつけることは不可能じゃないが、
一定の量を超えたら抑えきれなくなるし、
世間(外国)の眼もあるから、かつてのように大虐殺などできないだろう。
中国のトップに立つ人たちはそこまで馬鹿じゃないから、
加減を考えながら、押し引きするだろう。
残念ながら、外国メディアに取り上げられたり、
ネットで話題になるような”人権派"や"民主派"の活動は、
中国国内では然程話題になってはいないし、
彼女/彼らへの抑圧行為は、
外国の民主主義政権が、
腰を上げて問いただすレベル内で収まっているのだろう。
片やこの十年で、多くの中国人民は豊かになり、
生活に選択とゆとりが生まれた。
自分や家族や親戚の暮らしが以前よりましになっていく限りにおいて、
政治は非可視化されていく。
自分や周囲の安寧な生活が脅かされることになると
ようやく政治/政府を思い出す。
近所に火葬場が建つとか化学工場ができるとか、
NIMBY小市民の思考は、中国も日本も大差無い。
理財商品の元本を保証しろ、とか
株が暴落したから何とかしろ、とか
爆発現場に近くて地価が暴落したから買い取れ、とか
そういう時に政府を頼りにするし、
政府も(波及効果も含めて)ボリューム層が騒ぎ出せば、
なんとか対応の姿勢を示す。
しかも、こうしたボリューム層には、
著者が指摘したように、
共産党独裁体制下の既得権益者である場合が多い。
中国でビジネスがそこそこうまく行っている人たちの多くは、
直接的・間接的に政権から利益を享受されてきたと考えて良い。
それは政策そのものからかも知れないし、
役人への心付けからかも知れないし。
もちろん、不幸にもこうした流れに乗れなかった人たち、
乗ることを拒否した人たちもいる。
もはや少数派と言える彼女/彼らが、
政権に対する不満を表現する場として、
インターネットが期待された。
習近平塔城前は、日本のメディアでも
中国のネット書き込みが即、中国の世論を代表するような
取り上げ方をされた。
インターネットを利用した、政府への不満を拡散する手法を
習近平が人民から奪っただけではなく、
かつてネットユーザーが生み出してきた手法を
政権側は活用するようになった、と著者は述べている。
中国においてインターネットの影響力はいまも甚大だ。
口コミによって、思いもよらぬ商品が日本で品切れになるほどだ。
それは、日常生活やエンタテインメント、
普段の暮らしをちょっと豊かにしてくれる情報に関して。
元々多くのネットユーザーは、自分と直接関わりのないテーマに関しては、
野次馬でしかない。
日本もそうだろう。
かつて中国のネットパワーに、特に中国国外の人たちが期待した結果が、
金盾やVPNなど壁超え規制の強化をもたらしたとすら言えよう。
むしろこうした政策は、政治的モチベーションのみから生まれたのではなく、
内国産のネット企業が、
アメリカなどの巨大競合企業と血まみれの競争をせずに済む、
という経済的モチベーションもあったはず。
アリババもテンセントも、こうしたモラトリアムを得て、
悠々と中国国外でも稼ぐ環境を整えた。
経済に関して言えば、
輸出依存からの脱皮への心構えは、
少なくとも日本政府以上に進んでいると思う。
人件費が高くなったとはいえ、
西に行けば、未だベトナムより安く、
ノウハウを持った同一言語を話す指導者が沿岸部より供給される。
中間層の爆買いが内需として取り戻すことができれば、
パワーありそうだと、日本の街角を歩いていれば感じると思う。
日本の10倍の人口の中から、
揉みくちゃにされてのし上がってきた中国の指導者たちだから、
そんな簡単に、崩壊させるようなヘマは犯さないと思う。
最近「中国崩壊論」を日本であまり耳にしなくなったのは、何故だろう。
単に飽きただけなのかな。
捉え方によって中国は僕たちにとって脅威だと思うし、
いつかこの体制が崩壊して大混乱に陥るシナリオだって無くはない。
経済成長から取り残された人たち、
政権に抑圧されている人たちが数多く存在するのも事実。
こうしたことが、一層可視化されなくなることを念頭に置きつつ、
関心と注意を怠らないことが大切だと思う。
Kindle 価格: | ¥862 (税込) |
獲得ポイント: | 26ポイント (3%) |
を購読しました。 続刊の配信が可能になってから24時間以内に予約注文します。最新刊がリリースされると、予約注文期間中に利用可能な最低価格がデフォルトで設定している支払い方法に請求されます。
「メンバーシップおよび購読」で、支払い方法や端末の更新、続刊のスキップやキャンセルができます。
エラーが発生しました。 エラーのため、お客様の定期購読を処理できませんでした。更新してもう一度やり直してください。

無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由 (祥伝社新書) Kindle版
中国では、2009年に中国版ツイッター・微博が登場、時事問題を共有するネット論壇が誕生した。その微博をきっかけに政治意識にめざめた辣椒(ラージャオ)の風刺漫画は一世を風靡、ネット論壇を盛り上げた。しかし、習近平政権発足後、ネットのオピニオンリーダーは次々と摘発、検閲も強化。辣椒は日本滞在中、ある作品が危険視され、亡命を余儀なくされた。習近平体制の現在と言論弾圧を、亡命漫画家・辣椒の作品を手がかりに鋭く切り取った一冊!
- 言語日本語
- 出版社祥伝社
- 発売日2015/9/10
- ファイルサイズ16990 KB
この本はファイルサイズが大きいため、ダウンロードに時間がかかる場合があります。Kindle端末では、この本を3G接続でダウンロードすることができませんので、Wi-Fiネットワークをご利用ください。
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
Kindle Unlimited読み放題対象のマンガ
-
エスプレッソ・コーラ「エピソード・オブ・三上」Kindle 価格: ¥ 3303pt (1%) -
溺愛カレシの作り方 セから本命になる女の子の話 (コルクスタジオ)Kindle 価格: ¥ 605160pt (26%) -
魔法少女にあこがれて (5) (バンブーコミックス)Kindle 価格: ¥ 8 -
【電子版】月刊コミック 電撃大王 2024年5月号 【電子版...Kindle 価格: ¥ 7007pt (1%) -
【電子版】少年エース 2024年5月号 [雑誌]Kindle 価格: ¥ 6206pt (1%) -
転生したら皇帝でした~生まれながらの皇帝はこの先生き残れるか...Kindle 価格: ¥ 690439pt (64%) -
薬屋のひとりごと 1巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)Kindle 価格: ¥ 36596pt (26%) -
魔法少女にあこがれて (4) (バンブーコミックス)Kindle 価格: ¥ 5916pt (1%) -
婚活バトルフィールド37 2巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)Kindle 価格: ¥ 660174pt (26%) -
最強地縛霊と霊感ゼロ男【連載版】(1)Kindle 価格: ¥ 2432pt (1%) -
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双...Kindle 価格: ¥ 647161pt (25%) -
バッドエンド目前のヒロインに転生した私、今世では恋愛...Kindle 価格: ¥ 690439pt (64%) -
没落予定の貴族だけど、暇だったから魔法を極めてみた...Kindle 価格: ¥ 605385pt (64%) -
最強地縛霊と霊感ゼロ男【連載版】(2)Kindle 価格: ¥ 2673pt (1%) -
【電子版】電撃マオウ 2024年5月号 [雑誌]Kindle 価格: ¥ 7007pt (1%) -
【kindle限定オリジナルイラスト付】転生した大聖女は...Kindle 価格: ¥ 647161pt (25%) -
婚活バトルフィールド37 1巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)Kindle 価格: ¥ 638168pt (26%) -
ヘルモード ~やり込み好きのゲーマーは廃設定の異世界で無双...Kindle 価格: ¥ 647161pt (25%) -
異世界クラフトぐらし~自由気ままな生産職のほのぼの...Kindle 価格: ¥ 3524pt (1%) -
野生のラスボスが現れた! -黒翼の覇王- 1 (アース・スターコミックス)Kindle 価格: ¥ 647161pt (25%)
この著者の人気タイトル
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
著者について
高口 康太(たかぐち・こうた)
1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中華人民共和国・南開大学に中国国費留学生として留学。ライター、翻訳者、リサーチャーとして活動。週刊新潮、週刊SPA!、週刊現代などでコメント、リサーチ多数。ウェブメディアで翻訳、コラム執筆を担当。政治、経済、社会、ネット事情など幅広い分野に精通する。寄稿記事に『第三次世界大戦は本当に起きるのか?』(綜合図書)、『国境を貫く歴史認識』(青木書店)など。
1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中華人民共和国・南開大学に中国国費留学生として留学。ライター、翻訳者、リサーチャーとして活動。週刊新潮、週刊SPA!、週刊現代などでコメント、リサーチ多数。ウェブメディアで翻訳、コラム執筆を担当。政治、経済、社会、ネット事情など幅広い分野に精通する。寄稿記事に『第三次世界大戦は本当に起きるのか?』(綜合図書)、『国境を貫く歴史認識』(青木書店)など。
登録情報
- ASIN : B073QJ4DDH
- 出版社 : 祥伝社 (2015/9/10)
- 発売日 : 2015/9/10
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 16990 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 174ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 334位マスメディア (Kindleストア)
- - 583位祥伝社新書
- - 691位ジャーナリズム (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。

高口康太。
フリージャーナリスト、翻訳家。1976年、千葉県生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。二度の中国留学経験を持ち、中国をフィールドの中心に『月刊文藝春秋』『Wedge』『ニューズウィーク日本版』「Newspicks」などの雑誌・ウェブメディアに、政治・経済・社会・文化など幅広い分野で寄稿している。座右の銘は「実事求是」。中国の現実から感じた自らの驚きを、そのまま読者に伝えることを目指している。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『中国コロナ封じの虚実』(中公新書ラクレ)『現代中国経営者列伝』(星海社)『幸福な監視国家・中国』(NHK出版、梶谷懐氏との共著)など多数。ツイッターは@kinbricksnow
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2015年9月22日に日本でレビュー済み
レポート
Amazonで購入
24人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2017年2月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
信じられない人は、自身の目で履歴を確認してほしいのですが、
自分のレビューの中国史関連のものは、
友人であり同僚でもある中国人の
U(90后< ジョウリンホゥ >の25歳、女性)と、
S(80后< バーリンホゥ >の33歳、男性)が手伝ってくれていて、
すべて実際にその本を読んだ上で
感想などを付けてくれています。
それらは、
「史記(スゥジィ)」や「春秋戦国時代(チュンチュウジャングォーシュディ)」だったり、
あるいは「三国志(サングォージィー)」といったものが中心なのですが、
中には福島香織さんのような、中国社会の暗部や歪みをえぐり出すような作品も読んでもらっています。
ただ、< 暗部や歪み >などと言っても、
それらは彼女たちにとっても周知の事実であることが多く、
Uなどは、福島さんの「現代中国悪女列伝」という本をご飯を食べながら読んでいて、
吹き出しそうになったほどです。
Sなども、その本に登場する郭美美(グゥワメイメイ)の名前を見たとたん、
< あっ、こいつバカだよ! >と笑い転げたほどです(ゆえに、この「現代中国悪女列伝」は傑作)。
・
・
それぐらい彼女たちは、
日本で出ている< 中国を題材にした本 >を読んでくれているのですが、
この本だけは渡すことができませんでした。
いえ、一度は渡したのですが、すぐに返してもらいました。
なぜか。
この本の帯の風刺マンガ、写真、文字を見ただけでSなどは、
< あっ・・・これを描いた人は・・・ >と気付いたからです。
つまり、この本の中に登場する中国人が誰で、どんな人なのかを瞬時に理解できたということです。
おそらく、
この本を読んで不愉快にならない中国人はいないと思います。
それぐらいこの本は、現代中国の暗黒面が噴出しているからです。
だから、
これ以上訊くのは忍びなかったので、
この本のレビューは< 中国を題材にした本 >であるにも拘らず、
本当に、本当に久々に日本人だけの視点で書いた感想になります。
・
・
「 本書の構成を説明しよう。
第1章では習近平体制以前の状況について説明する (中略)。
第2章ではネット論壇の『 遊撃戦 」的手法を習近平がいかに簒奪したのか。(中略) 民衆の支持を強奪する姿を描き出す。
第3章では経済面について取り扱う (中略)。
第4章では社会の側の問題点を考えてみたい。(中略) そこに見えてくるのは自律的な市民ではなく、
他者に責任をゆだねる道を選びつつある人々の姿である 」
・
・・・個人的に最も強烈な印象を受けたのは、
「 そこに見えてくるのは自律的な市民ではなく、他者に責任をゆだねる道を選びつつある人々の姿である 」
という部分。
「 辣椒が語る『 中国社会に対する絶望 』 」というのは、
まさにこのことなのですが、
中国に住む中国人が「 現状に過剰適応している 」、
つまり今の社会状況に満足しているという話は、
中国人の友人・同僚を持つ身としては思い当たるフシが多すぎて、
こちらの心胆を寒からしめるものがありました。
それはなぜかと言えば、
彼女たちの口から中国社会の不満を聞くことがほとんどないからです。
いや、突っ込んで聞けば話してくれますが、
それくらいしないと言いませんし、
かつて杜康潤の「中国トツゲキ見聞録」のレビューでも書きましたが、
まず出てくるのはインフラの不満だったり、制度の不満だったりします。
それくらい口にしません。
もう今から7年ほど前のことですが、
某・明智(ミンチュウ)という青年が、天安門事件のことを
< あんなのは、絶対にダメです >と言っていたのが、
自分が聞いた最初で最後の若き中国人の政治的な発言でした。
したくてもできない、
という土壌があるのは当然ですが、
そういうことに慣れてしまっている、というのもあるのでしょうね。
まさに「 現状に過剰適応している 」のでしょうか。
・
・
この本に記されている内容は、絶望に次ぐ絶望で、
夢も希望もあったものではない内容です。
「日本鬼子(イーベングゥイズゥ)」どころではありません。
中国が、その銃口を自国民にも向けていることだけはハッキリとわかってしまいます。
あまりにも暗い内容なので、
良い本=面白いわけではないという見本のような本ですが(ゆえに☆1個減)、
色々と示唆に富んだ本であることは間違いないので、
現代中国の暗黒面を知りたい人にはオススメの一冊だと思います。
このレビューが参考になれば幸いです。 ( `・ω・) ウーム…
自分のレビューの中国史関連のものは、
友人であり同僚でもある中国人の
U(90后< ジョウリンホゥ >の25歳、女性)と、
S(80后< バーリンホゥ >の33歳、男性)が手伝ってくれていて、
すべて実際にその本を読んだ上で
感想などを付けてくれています。
それらは、
「史記(スゥジィ)」や「春秋戦国時代(チュンチュウジャングォーシュディ)」だったり、
あるいは「三国志(サングォージィー)」といったものが中心なのですが、
中には福島香織さんのような、中国社会の暗部や歪みをえぐり出すような作品も読んでもらっています。
ただ、< 暗部や歪み >などと言っても、
それらは彼女たちにとっても周知の事実であることが多く、
Uなどは、福島さんの「現代中国悪女列伝」という本をご飯を食べながら読んでいて、
吹き出しそうになったほどです。
Sなども、その本に登場する郭美美(グゥワメイメイ)の名前を見たとたん、
< あっ、こいつバカだよ! >と笑い転げたほどです(ゆえに、この「現代中国悪女列伝」は傑作)。
・
・
それぐらい彼女たちは、
日本で出ている< 中国を題材にした本 >を読んでくれているのですが、
この本だけは渡すことができませんでした。
いえ、一度は渡したのですが、すぐに返してもらいました。
なぜか。
この本の帯の風刺マンガ、写真、文字を見ただけでSなどは、
< あっ・・・これを描いた人は・・・ >と気付いたからです。
つまり、この本の中に登場する中国人が誰で、どんな人なのかを瞬時に理解できたということです。
おそらく、
この本を読んで不愉快にならない中国人はいないと思います。
それぐらいこの本は、現代中国の暗黒面が噴出しているからです。
だから、
これ以上訊くのは忍びなかったので、
この本のレビューは< 中国を題材にした本 >であるにも拘らず、
本当に、本当に久々に日本人だけの視点で書いた感想になります。
・
・
「 本書の構成を説明しよう。
第1章では習近平体制以前の状況について説明する (中略)。
第2章ではネット論壇の『 遊撃戦 」的手法を習近平がいかに簒奪したのか。(中略) 民衆の支持を強奪する姿を描き出す。
第3章では経済面について取り扱う (中略)。
第4章では社会の側の問題点を考えてみたい。(中略) そこに見えてくるのは自律的な市民ではなく、
他者に責任をゆだねる道を選びつつある人々の姿である 」
・
・・・個人的に最も強烈な印象を受けたのは、
「 そこに見えてくるのは自律的な市民ではなく、他者に責任をゆだねる道を選びつつある人々の姿である 」
という部分。
「 辣椒が語る『 中国社会に対する絶望 』 」というのは、
まさにこのことなのですが、
中国に住む中国人が「 現状に過剰適応している 」、
つまり今の社会状況に満足しているという話は、
中国人の友人・同僚を持つ身としては思い当たるフシが多すぎて、
こちらの心胆を寒からしめるものがありました。
それはなぜかと言えば、
彼女たちの口から中国社会の不満を聞くことがほとんどないからです。
いや、突っ込んで聞けば話してくれますが、
それくらいしないと言いませんし、
かつて杜康潤の「中国トツゲキ見聞録」のレビューでも書きましたが、
まず出てくるのはインフラの不満だったり、制度の不満だったりします。
それくらい口にしません。
もう今から7年ほど前のことですが、
某・明智(ミンチュウ)という青年が、天安門事件のことを
< あんなのは、絶対にダメです >と言っていたのが、
自分が聞いた最初で最後の若き中国人の政治的な発言でした。
したくてもできない、
という土壌があるのは当然ですが、
そういうことに慣れてしまっている、というのもあるのでしょうね。
まさに「 現状に過剰適応している 」のでしょうか。
・
・
この本に記されている内容は、絶望に次ぐ絶望で、
夢も希望もあったものではない内容です。
「日本鬼子(イーベングゥイズゥ)」どころではありません。
中国が、その銃口を自国民にも向けていることだけはハッキリとわかってしまいます。
あまりにも暗い内容なので、
良い本=面白いわけではないという見本のような本ですが(ゆえに☆1個減)、
色々と示唆に富んだ本であることは間違いないので、
現代中国の暗黒面を知りたい人にはオススメの一冊だと思います。
このレビューが参考になれば幸いです。 ( `・ω・) ウーム…
2015年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
風刺漫画家が事実上の亡命に追いやられたことを糸口として、
習近平体制の支配の有り様に迫ります。
中国では、英明な専制君主が待望され、人々が「愚民」を演じ
ることで、自律を自ら阻んで来たとされます。
その中で習近平体制は、反汚職運動にて人気を集め、一方では
改革派の活動家らを拘束します。
また、情報統制の重要性から、ネット陣地を占拠せよとの掛け
声のもと、誤読を戦略としていたネット論壇を瓦解させます。
著者の見立では、毛沢東以来の「皇帝」として、民に推戴され
たカリスマとして、超長期政権になるとされますが、ネット論檀
崩壊後は不満が溜まっているので、爆発リスクも高いとしてい
ます。
そうは言っても、完成されたディストピアに近づく習近平体制
からすれば、新たなガス抜きの方法も確立するかもしれません。
何れにしてもこの本には、現代中国の内実に迫る、濃密なもの
がありました。
習近平体制の支配の有り様に迫ります。
中国では、英明な専制君主が待望され、人々が「愚民」を演じ
ることで、自律を自ら阻んで来たとされます。
その中で習近平体制は、反汚職運動にて人気を集め、一方では
改革派の活動家らを拘束します。
また、情報統制の重要性から、ネット陣地を占拠せよとの掛け
声のもと、誤読を戦略としていたネット論壇を瓦解させます。
著者の見立では、毛沢東以来の「皇帝」として、民に推戴され
たカリスマとして、超長期政権になるとされますが、ネット論檀
崩壊後は不満が溜まっているので、爆発リスクも高いとしてい
ます。
そうは言っても、完成されたディストピアに近づく習近平体制
からすれば、新たなガス抜きの方法も確立するかもしれません。
何れにしてもこの本には、現代中国の内実に迫る、濃密なもの
がありました。
2015年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
簡易な言葉で記されているので読みやすい。共産党を批判するものは、日常生活そのものが成立できないよう直接圧力を受ける。
真実の記録なのでしょう。中国には住みたくないですね。
真実の記録なのでしょう。中国には住みたくないですね。
2016年2月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
楽しく読めました。これからもどんどんと怒らせて世界に知らしめてください。しかし、命は大切に!存命の喜び 日々に楽しまざらんや。