メディア掲載レビューほか
『アンソロジー』が続々リリースされるなら,パロディ代表としては『アーキオロジー』(考古学)を出さずばなるまいて……と発想するしぶとさはやはり一種の{愛}ゆえでしょうか。演奏の確かさは保証ずみ。⑧の歌詞のキツさは本家以上かも。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)
残念ながら今世紀最高の音楽伝記ドキュメント・バラエティ・テレビ映画『ザ・ラットルズ』(原題『オール・ユー・ニード・イズ・キャッシュ』)は現在我が国ではビデオ/LDともに廃盤である。アメリカでは長年幻の名作として密かに取り引きされてきたが、96年春にライノによってボーナス映像付きで改めて製品化された。ザ・ラトルズは76年に登場、78年に前述のテレビ映画を発表し英米を震憾させた。日本では78年11月に日本語吹き替えで東京12チャンネルで放送された。俺はそれを福生でポンコツなテレビで観た。大笑いしながら身体の芯がひんやりしていった。恐るべき英国人たち。そのラトルズが18年ぶりのセカンド・アルバムを出した。ということになっているが、実はこれはビートルズがやっているのである。世間を騒がせることに飽き飽きしたポールとジョージと、ときどきリンゴも加わって、ジョンの未発表テイクのテープその他をニール・イネスとともに「どうすんべえ」と協議の結果、こうなっただけのことである。ビートルズ名義の『アンソロジー』シリーズに入れるには曲や詞がねじれすぎていてマニア以外は顔をしかめるテイクの処遇に苦慮してのことである。しかしこれら20曲を埋もれさせていたことが世間にバレたら今後のアーティスト活動に支障をきたすであろうことを懸念したポールの苦肉の策が効を奏したのである。まるで自分たちの過去をあざわらうかのごどく、1曲の中に3曲以上の既製のビートルズねたが溶かし入れられているのはニール・イネスの神技的編集術=ラトル・サウンド・モーフィン・システムのおかげである。この技術の特許でイネスは老後をイビサ島でふんぞりかえって暮らす腹だと昨日俺の家に本人からファックスがきた。そこには“本作には実はジェフ・リンと日本のパフィのプロデューサーのタミー・オキタも参加”と記してあったが、なんのこっちゃ。(筆者注・本稿はところどころ妄想かもしれません。) (湯浅学) --- 1999年01月号 -- 内容 (「CDジャーナル・レビュー」より)