吉川先生による岩波文庫版が完結し、その全巻を読み通してきた一読者からすれば、先行する鈴木訳のこのガイドブックはなかなか興味深いモノになった。
全巻の構成がほんの少しばかり異なることは、この新書を読むに際してはまったく影響がなく、早くも吉川新訳を再読したい気持ちにさせているくらいなのだ。
登場する重要人物の経緯と成長、あるいは紆余曲折の推移がサラッとまとめてあるので、読者にとっては、再読の楽しみが増えた感じでこれはうれしい。
例えば、この大河小説はヴェルデュラン夫人の出世物語でもある!とする見方はなかなか面白い。確かに貴族ではない裕福なブルジョアで、社交サロン主催者であるこの夫人は、夫の死後、老デュラス公爵夫人となり、最終巻では、ゲルマント大公夫人となっている。社交界のトップに上り詰めたわけだ。
さらに同性愛、ユダヤ人問題、ドレフェス派VS反ドレフェス派といったビミョーな、しかしこの小説にとっては欠かせない点についてもサラッと・・・
小説を完読した者も、今から読もうと思っている読者にとっても、十分に楽しめる好ガイドブック。
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プルーストを読む ―『失われた時を求めて』の世界 (集英社新書) 新書 – 2002/12/17
鈴木 道彦
(著)
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最高のプルースト入門意識や夢、記憶、愛、ユダヤ人、同性愛、文学の意義ーー現代の問題をプルーストが抉り出す。
プルーストは二十世紀西欧を代表する作家で、世界の文学に絶大な影響を与えた。フランスでは彼を読まずに文学に志す人はいないと言っていいほどで、その評価は時代とともにますます高まってきている。十九世紀末から「ベル・エポック」にかけての社会を華やかに描き上げた作家であるとともに、現代文学の先駆者でもある。彼の扱った意識や夢、記憶、愛、スノビズム、ユダヤ人、同性愛、文学の意義などは、今日の問題であり続けている。本書は、大作『失われた時を求めて』の個人全訳を完成した著者が、重要なテーマをスケッチしながら作品を紹介・解説する、贅沢な入門書。密度が濃く、大部な作品を堪能した充実感で、入門者も研究者も満足できる。
[著者情報]
鈴木 道彦 (すずき みちひこ)
一九二九年、東京生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。一橋大学教授、獨協大学教授を経て、獨協大学名誉教授。『プルースト論考』(筑摩書房)『異郷の季節』(みすず書房)など著書訳書多数。プルースト研究では国際的にも知られる。『失われた時を求めて』(全十三巻、集英社)の訳業で二〇〇一年度の日本翻訳文化賞と読売文学賞を受賞。同書の抄訳上下(集英社)と三巻本抄訳(集英社文庫)も刊行されている。
プルーストは二十世紀西欧を代表する作家で、世界の文学に絶大な影響を与えた。フランスでは彼を読まずに文学に志す人はいないと言っていいほどで、その評価は時代とともにますます高まってきている。十九世紀末から「ベル・エポック」にかけての社会を華やかに描き上げた作家であるとともに、現代文学の先駆者でもある。彼の扱った意識や夢、記憶、愛、スノビズム、ユダヤ人、同性愛、文学の意義などは、今日の問題であり続けている。本書は、大作『失われた時を求めて』の個人全訳を完成した著者が、重要なテーマをスケッチしながら作品を紹介・解説する、贅沢な入門書。密度が濃く、大部な作品を堪能した充実感で、入門者も研究者も満足できる。
[著者情報]
鈴木 道彦 (すずき みちひこ)
一九二九年、東京生まれ。東京大学文学部仏文学科卒業。一橋大学教授、獨協大学教授を経て、獨協大学名誉教授。『プルースト論考』(筑摩書房)『異郷の季節』(みすず書房)など著書訳書多数。プルースト研究では国際的にも知られる。『失われた時を求めて』(全十三巻、集英社)の訳業で二〇〇一年度の日本翻訳文化賞と読売文学賞を受賞。同書の抄訳上下(集英社)と三巻本抄訳(集英社文庫)も刊行されている。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社集英社
- 発売日2002/12/17
- ISBN-104087201759
- ISBN-13978-4087201758
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登録情報
- 出版社 : 集英社 (2002/12/17)
- 発売日 : 2002/12/17
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4087201759
- ISBN-13 : 978-4087201758
- Amazon 売れ筋ランキング: - 45,923位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2014年4月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
マルセル・プルーストの世界に沈潜した著者は、プルーストの打ち立てた巨大な金字塔を「万人に向って開かれた作品」であると言ってはばからない。しかし多くの読者にとってプルーストは謎に包まれた作家であり、彼の作品『失われた時を求めて』は安易な全体像の把握を拒む膨大な作品である。
本書の多彩な登場人物の大方は「スノブ」の呼称に値する。著者はそのスノブ、あるいはスノビズムの解説をした上で、この「作品全体が壮大なスノビズム研究の趣を呈している」と言う。ユダヤ人が抱える問題も「作品全体の隠れた主題である」。ドレーフュス事件はプルーストを社会的な行動に駆り立てた稀有な事件であった。プルースト自身がその一人であった倒錯者の問題(同性愛)も「この小説を支える一つの柱」である。もちろん「(第二編以後は)語り手の経験するジルベルトとアルベルチーヌに対する恋が主要な筋の流れを作って物語が進行する」恋愛小説でもある。
このような、本流と紛らわしい幾つもの支流がやがて大河となって流れる。これらの一つ一つが運ぶテーマのそれぞれが、すべて一巻の書物たり得るところに本書の懐の深さ、偉大さ、途方もなさがある。しかしこれらの書物はやがては中心主題である作家誕生の物語に収斂していく。
これだけの理解に達するためには、この源氏物語をはるかに上回る長編を何度読み返さなければならないだろうか。著者は「日暮れて道遠し」の嘆をかこつプルースト愛好家に貴重な道しるべを立ててくれた。この上さらに欲を言うならば、なぜこの小説が20世紀最大の傑作と呼ばれる地位を占めるのか、この作品の生み出したものが現代の作家たちにどのように汲み上げられているかについてのお考えを伺いたものと思う。
本書の多彩な登場人物の大方は「スノブ」の呼称に値する。著者はそのスノブ、あるいはスノビズムの解説をした上で、この「作品全体が壮大なスノビズム研究の趣を呈している」と言う。ユダヤ人が抱える問題も「作品全体の隠れた主題である」。ドレーフュス事件はプルーストを社会的な行動に駆り立てた稀有な事件であった。プルースト自身がその一人であった倒錯者の問題(同性愛)も「この小説を支える一つの柱」である。もちろん「(第二編以後は)語り手の経験するジルベルトとアルベルチーヌに対する恋が主要な筋の流れを作って物語が進行する」恋愛小説でもある。
このような、本流と紛らわしい幾つもの支流がやがて大河となって流れる。これらの一つ一つが運ぶテーマのそれぞれが、すべて一巻の書物たり得るところに本書の懐の深さ、偉大さ、途方もなさがある。しかしこれらの書物はやがては中心主題である作家誕生の物語に収斂していく。
これだけの理解に達するためには、この源氏物語をはるかに上回る長編を何度読み返さなければならないだろうか。著者は「日暮れて道遠し」の嘆をかこつプルースト愛好家に貴重な道しるべを立ててくれた。この上さらに欲を言うならば、なぜこの小説が20世紀最大の傑作と呼ばれる地位を占めるのか、この作品の生み出したものが現代の作家たちにどのように汲み上げられているかについてのお考えを伺いたものと思う。
2019年10月13日に日本でレビュー済み
まさに鈴木道彦訳の「失われた~」全13巻をもう少しでフィニッシュするところなのだが、この新書のほうを先に読むのはビミョーだと思う。
少なくとも「ゲルマントの方」までをとにもかくにも読み通し、いわゆる「ゲルマントの壁」を自力で超えるとこまで行かないと「失われた~」が「カラマーゾフ」や「戦争と平和」などとはまったく違うタイプの小説(小説でもない?)とわからないのではないか。その「わからなさ」「なんだこれ?」感が醸成されたところでジョゼフ・チャプスキ「収容所のプルースト」を読む。そうするとぼんやり明かりが見えてくる。そこで「失われた~」を「囚われた女」あたりまで読む。またまた「なんでそうなるの?」的な気分になったところでこの新書を伴走者にすると、視界が開けた感じでゴールできそう。「失われた~」を読む前から何となく先行きを教えてくれる本書は少なくとも「失われた~」本文よりは少し遅らせて読み、「あれはそういうことか・・・」と後体験したほうが楽しい。
そしたら、ちがう訳者でもう一度という気分にもなれる。
少なくとも「ゲルマントの方」までをとにもかくにも読み通し、いわゆる「ゲルマントの壁」を自力で超えるとこまで行かないと「失われた~」が「カラマーゾフ」や「戦争と平和」などとはまったく違うタイプの小説(小説でもない?)とわからないのではないか。その「わからなさ」「なんだこれ?」感が醸成されたところでジョゼフ・チャプスキ「収容所のプルースト」を読む。そうするとぼんやり明かりが見えてくる。そこで「失われた~」を「囚われた女」あたりまで読む。またまた「なんでそうなるの?」的な気分になったところでこの新書を伴走者にすると、視界が開けた感じでゴールできそう。「失われた~」を読む前から何となく先行きを教えてくれる本書は少なくとも「失われた~」本文よりは少し遅らせて読み、「あれはそういうことか・・・」と後体験したほうが楽しい。
そしたら、ちがう訳者でもう一度という気分にもなれる。
2003年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「新書で、「失われた~」の読みやすい解説が出たらしいよ」と聴いたので、読んでみた。訳者でもある鈴木氏の本で、確かにわかりやすい。既にプルーストの研究書は様々あるし、『失われた~』についての本も解説というよりついついエッセイに流れてしまっているものも多いが、長大な話なのでなかなかまとめにくいのは確か。実際に邦訳を成し遂げ、更には「もう一度初心者として読み直すつもりで書いた」というこの本は、鈴木氏ならではの読みやすさ。とても要領よくまとまっているし、作品の面白さや文学史上の意義もわかりやすく伝わってくる。これから読む人にも読み方のポイントがわかるし、一度読んだけれど読み返すのはちょっと、という人にもまた読む力が湧いてくる。
2012年1月18日に日本でレビュー済み
マルセル・プルーストが14年かけて書き継いだ『失われた時を求めて』は、多くの訳者によって訳されているが、私は鈴木道彦の訳が一番だと確信している。
その鈴木道彦の『プルーストを読む――「失われた時を求めて」の世界』(鈴木道彦著、集英社新書)は、『失われた時を求めて』の最高の入門書である。プルーストがこの長編小説の中で扱った意識、夢、記憶、スノビズム、愛、同性愛、ユダヤ人、文学、読書などのテーマが、分かり易く解説されている。
その鈴木道彦の『プルーストを読む――「失われた時を求めて」の世界』(鈴木道彦著、集英社新書)は、『失われた時を求めて』の最高の入門書である。プルーストがこの長編小説の中で扱った意識、夢、記憶、スノビズム、愛、同性愛、ユダヤ人、文学、読書などのテーマが、分かり易く解説されている。
2013年12月8日に日本でレビュー済み
本書は『失われた時を求めて』全巻の訳業で日本翻訳文化賞と読売文学賞を受賞した、1929年生まれのフランス文学研究者が2002年に刊行した、20世紀西欧を代表する作家マルセル・プルースト(1871〜1922年)の入門書である。プルーストはカトリックの医師の父とユダヤ教徒の母との間に生まれ、喘息と同性愛に悩まされる人生を送った。彼は文学に対する強い志向を一貫して持ち続け、小説、翻訳、模作、時評などを書いたが、それらの集大成がサント・ブーヴ批判に端を発した未完の主著『失われた時を求めて』である。この「虚構の自伝」では、冒頭部分でほぼ全てのテーマの萌芽が凝縮されて描かれ、それが全篇を通じて展開されていく。たとえば、後に一体化する伝統的なフランスを体現するゲルマント家と、富裕なユダヤ人であるスワン家の記述などである。主人公は前者に憧れをもつが、その社交界に出入りするうちに、そのスノビズムなどに幻滅を感じて行く。他方、後者は他人を「所有する」ことの難しさと共に、反ユダヤ主義の時代の同化ユダヤ人の社会的地位の不安定さとの関係で注目される。さらに注目すべきは、プルーストがこうした周縁的な人々に関連づける形で、同性愛や愛国心批判などのテーマをも盛り込んだことであり、それが不安定な意識や夢、意志的・無意志的記憶が詳細に描かれたこととも相まって、この小説の新しさを示している。主人公は以上のような経験を踏まえ、無味乾燥な実人生に魂の交流としての直接的な感動を与えるものとして、幸福な記憶を現在化する芸術を志向するに至るが、このようにこの小説は20世紀における方法論的な反省と、一つの主観を通してベル・エポックという一時代を描いた19世紀的な小説としての面白さとを、両立させた稀有な作品であり、それがプルーストの魅力なのだということが、本書の主張である。
2006年7月9日に日本でレビュー済み
プルーストは「私」殺した書き方をしている。マルセルという登場人物には意味がない・・こういう出発点から始めた著者のプルーストに関する集大成。母の問題、スノビズムの問題、同性愛の問題、ユダヤ人問題。取り上げられている問題は多岐に亘っているようですが、実はこれらはひとつ「私」の問題なのではないかという気がします。
「私」は一生その人について回る問題です。そして「私」を殺す?そういう「私」がいる。お母さんがすきで、スノッブで、それが証拠に医者の家に生まれた金持ちのユダヤ人。ママが好きで崇拝の余り、同性愛者になっちゃった「私」。そういう「私」が本当はすごく嫌いで、すごくどうしようもなく好きな「私」。
自分サイズのプルースト。それが我々が到達出来る最高のプルーストであり、限界だ。とこの著者は言いたかったんだと思います。
「私」は一生その人について回る問題です。そして「私」を殺す?そういう「私」がいる。お母さんがすきで、スノッブで、それが証拠に医者の家に生まれた金持ちのユダヤ人。ママが好きで崇拝の余り、同性愛者になっちゃった「私」。そういう「私」が本当はすごく嫌いで、すごくどうしようもなく好きな「私」。
自分サイズのプルースト。それが我々が到達出来る最高のプルーストであり、限界だ。とこの著者は言いたかったんだと思います。