ノバルティスの社員が大阪市立大学の肩書で、臨床試験に深く係っていた事件が「ディオバン」という降圧剤の薬である。他社との差別化による売り上げ増を図るため、会社ぐるみでデータ改ざんをやり、脳梗塞を防ぐとかの付加価値をでっちあげ、その論文を御用学者に書かせ膨大な利益を得たのである。英国の一流紙「ランセット」に載ったこの論文は、明らかに宣伝として使用され、その効果は絶大であった。ところが「論文は宣伝媒体ではない」との認識で、データねつ造者は無罪放免となった。製薬会社と大学病院との癒着は今に始まったことではないが、効果のない効能を信じた患者こそいい迷惑である。
この本の評価は意外と低いのであるが、私は面白かった!いや非常に面白かった。スクープ記事合戦というのも、取材時の臨場感、緊迫感がでておりリアルである。
企業は社会貢献とか偉そうなことばかり言っているが、実際は金もうけ集団である。沢山金を儲けたやつが偉いのである。医療現場でも、医者はヘマして患者を殺したとしてもお金は取るのである。被害者の患者の家族から! 人を殺して堂々とお金がもらえるのは医者と軍人さんだけである。
私の母も左腕上腕骨折で入院し、「高齢者だからあまり切らないほうがいいでしょう」とおためごかしなことを言って、いい加減な手術を2回も失敗し、それでも手術代としてしっかり金を取られました。「金返せ~藪医者!」と言いたいところである。
ノバルティスで問題なのはその後である。効果のない付録の効能があるかのように見せて、累計1兆円という莫大な利益
を得た詐欺会社にも関わらす、医療機関の多くはノバルティスのディオバンを使い続けたのである。医療機関のモラルハザードも酷いものである。製薬会社も大学病院などの医療機関も堕落していると言わざるを得ない。
スモンやサリドマイドなどの薬害こそなかったけれど、この事件は同じ穴のムジナ的な不気味な予感がする。新たな薬害の温床はいつまでも残っているからである。

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偽りの薬: 降圧剤ディオバン臨床試験疑惑を追う (新潮文庫) 文庫 – 2018/8/29
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きっかけは1通のメールだった。〈論文不正〉──。製薬業界で売上高世界トップクラスに君臨する巨大企業・ノバルティスファーマ。同社の降圧剤ディオバンは脳卒中や狭心症をも抑えるとして売上累計 1 兆円超の大ヒット薬であった。だがその原点ともいえる臨床試験に疑義が呈されたのだ。飛び交う札束。操作されたデータ。偽りに満ちた効果……。製薬企業と大学病院の癒着を暴くドキュメント。
- 本の長さ326ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2018/8/29
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104101216061
- ISBN-13978-4101216065
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2018/8/29)
- 発売日 : 2018/8/29
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 326ページ
- ISBN-10 : 4101216061
- ISBN-13 : 978-4101216065
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 188,881位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,756位新潮文庫
- - 42,862位ノンフィクション (本)
- - 52,879位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
上位レビュー、対象国: 日本
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- 2018年9月17日に日本でレビュー済みディオバン臨床試験の問題については、関係する業界にいたので当時から製薬専門紙の記事も含めてかなりの情報を集め経緯を把握するようにしていたが、本書の元となった単行本は購入していなかった。今回、文庫本として再刊されたことを知り、その後の経緯も含めて改めて全体像を知るのに良いかと思い購入した。ただ、購入前に単行本についてのAmazonレビューを確認したら非常に評価が低かったので気になったが、実際に読んでみてその理由が良く分かった。
副題に「疑惑を追う」と記されているように疑惑問題の全体像を紹介する本ではなく、あくまでも自分たちがどのように取材し、スクープ記事をいくつ書いたかという記者の奮闘記、取材日記に終わっているのである。「患者不在」や「産学癒着」などの様々なキーワードで本疑惑の問題点を指摘し、問題の真相を解明するために正義感を持って自分たちは努力を惜しまなかったということを示そうとしているのだろうが、スクープで他社を出し抜き、新聞の1面に載るような記事を1本でも多く書くことが取材の原動力であったことが読んでいくうちに伝わってくるから読者は興ざめするのだと思う。著者のみならず「あとがき」で著者らの所属する部の部長が「厚い壁に…穴を開けていくような仕事ぶり」で「調査報道の歴史に新たな1ページを刻んだ」と自画自賛しているが、ノバルティス側、医師側それぞれの中心人物から直接の証言を得たわけでもなさそうだし(少なくともそういった肉声は載せられていない)、彼らの取材が真相にどれだけ肉薄できていたか疑問を持たざるを得ない。一連の報道が日本医学ジャーナリスト協会賞大賞を受賞したことなど一般読者にとって興味はないし、ましてやウォーターゲート事件を暴いた『大統領の陰謀』を持ち出して本書がそれと比肩するような本であると匂わせるに至っては苦笑するしかない。
毎日新聞に150本以上の署名記事を書くほど取材しているのであれば、本疑惑問題の全体像を提示し、何が問題でどういう対策が考えられるのかを明示、提案することに主眼を置いて書籍にすべきではなかったか。当時のニュースを思い出しても、他のメディアに先を越された事実については本書では軽く扱うか省略されているものもかなりあるように思われるが、それらも公平に取り上げ、事実関係を分かりやすく解説して欲しかった。本疑惑は、様々な問題点を含む「事件」であるにも関わらず、法的な不備もあり、警察の捜査、裁判を通しても真相が明らかにはなりそうもない状況なので、尚更記者の自己満足本を出して終わり、であってはならないと思うので。
- 2018年11月10日に日本でレビュー済みSTAP細胞事件の起きた2014年の前後、製薬企業の社員が大学医学部の臨床研究に関与、自社の医薬品に有利なデータをねつ造したことが疑われる事件が明るみになりました。
製薬企業ノバルティスファーマ社の作った薬の名称をとって「ディオバン事件」とも呼ばれる疑惑は、毎日新聞の記者の取材から火がついたものでした。
大学の研究室は企業からの寄付金や知見がなければ成り立たず、薬効をアピールする論文を載せることが研究者の業績につながり、企業の宣伝にもつながるという、いつ癒着や不正が起きてもおかしくない土壌があります。
文庫版では裁判の結果が追記されており、裁判ではデータの改ざんは認められながらも、当事者は無罪という信じがたい判決が下されます。
産と学の癒着を前に、薬を使う患者、医療費を負担する医療保険がないがしろにされている感を強くします。