イラストレーター白狼さんのイラストシリーズ「蒼囲空」にカミツキレイニーさんがストーリーをつけた、ちょっと変わった成り立ちの青春ファンタジー。あと飯テロ小説。
初めにイラストありき、ということでヒロイン蒼囲空の元気な笑顔のかわいらしさを表現するミニストーリー集のようなものかと思いきや、さにあらず。ラノベ界の鬼才と名高いカミツキレイニーさんの手にかかると蒼囲空の魅力を引き出しつつも、ほろ苦くもさわやかで、わくわくするような読み応えのあるひと夏のストーリーに。伏線やどんでん返し、ミスリードがちりばめられたストーリーは特に後半、ページをめくる手が止まらなくなる。カミツキレイニーさんの男性一人称作品は初めて読んだ(同人誌の「赤ずきん喫茶」除く)けれども、主人公がだまされるところや、そもそも障られるきっかけになった事件の前半の甘酸っぱさ、そして後半のあまり後味のよろしくない経験がやたらとリアルに感じられる。まるで自分が春秋として経験したことのようにほぼ1冊読める。でも「ほぼ1冊」であって「1冊まるまる」ではない。終盤、読者は春秋から離れ、8月も終わるという劇内の寂寥感と似た感傷を抱くはず。
そしてひどい飯テロっぷり(誉め言葉)。沖縄料理の数々が魅力たっぷりな描写とともに次から次へと出てくる。それらを食べては吐いてしまう主人公と、食べられずにごくりと唾を飲み込んでしまう読者はどちらが不幸なのか。片耳豚のパーカーデザインがラティメリア(七日の喰い神)と波多野(黒豚姫の神隠し)を彷彿とさせるのもカミツキレイニーファンにはうれしい。あとがきを使った仕掛けもあるので、あとがきを先に読む派の人もぐっと堪えて本文を先に読みましょう。
もともと白狼さんのイラストシリーズから生まれた作品だけに、イラストの力がすごい。これほど蒼囲空のことを分かっているイラストレーターも、作家もいないわけで、だからこそお二人ともが蒼囲空の生みの親なんだなあ、という感じ。こんながっちり噛み合った感じは本作以外には「ノーゲーム・ノーライフ」くらいしかあり得ないんじゃないだろうか。

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かりゆしブルー・ブルー 空と神様の八月 (角川スニーカー文庫) 文庫 – 2017/6/1
悪童〈ヤナワラバー〉が切り結ぶ、神様とのちょっと不思議な“縁”の話。
「人間の上でもなく、下でもなく。私たちのすぐそばにいるもの。それが沖縄の神々さ」
怪異を祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた春秋の前に現れたのは、地元の少女、空。天真爛漫で島想い、どこまでもフリーダムな彼女に呆れる春秋だったが、空は神様との縁を切ることで怪異を祓う“花人”の後継者――春秋が島を訪れた理由そのものだった。未熟ながらも、島の人々とともに怪異解決に挑む少年少女の、沖縄青春ファンタジー!
★イラストシリーズ『蒼囲空』×カミツキレイニーの沖縄タッグが贈る、青春活劇!
「人間の上でもなく、下でもなく。私たちのすぐそばにいるもの。それが沖縄の神々さ」
怪異を祓うため神々の住む島・白結木島を訪れた春秋の前に現れたのは、地元の少女、空。天真爛漫で島想い、どこまでもフリーダムな彼女に呆れる春秋だったが、空は神様との縁を切ることで怪異を祓う“花人”の後継者――春秋が島を訪れた理由そのものだった。未熟ながらも、島の人々とともに怪異解決に挑む少年少女の、沖縄青春ファンタジー!
★イラストシリーズ『蒼囲空』×カミツキレイニーの沖縄タッグが贈る、青春活劇!
- 本の長さ328ページ
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2017/6/1
- 寸法10.5 x 1.6 x 14.9 cm
- ISBN-104041056772
- ISBN-13978-4041056776
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登録情報
- 出版社 : KADOKAWA (2017/6/1)
- 発売日 : 2017/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 328ページ
- ISBN-10 : 4041056772
- ISBN-13 : 978-4041056776
- 寸法 : 10.5 x 1.6 x 14.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,063,428位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
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2017年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年6月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品いろいろ興味深いところがあります。
もともとカミツキレイニーさんのファンなので、「カミツキさんの沖縄を舞台にした小説?そりゃ面白くないわけない」と即買いだったわけなのですが、期待にこたえてくれました。
ただ、沖縄というゆるっとした日常を舞台に少年少女を中心とした、少し不思議な青春要素のある作品なので、刺激的なライトノベル娯楽を期待する人とは合わないかもしれません。
すでにかかれていますが、沖縄地方大好きイラストレーターの白狼さんが作っていたオリジナルキャラ・沖縄離島に住む少女・空に物語を与えるということからスタートしている変わった誕生をしているところも興味深いです。
細かい設定は変更したそうですが、メインは変えずに魅力的なキャラになっており、ユタという沖縄の特殊な巫女の系譜の「花人」という設定がついています。
そのユタとして、沖縄の妖怪と人とが共存するような役割を得ています。
物語の語り手としては、大和からきた、沖縄のことをよく知らない春秋という少年の視点から騙られます。これにより沖縄島ことをよくしらない読者と同じ視点や知識で、物語の世界に入らせてくれます。
序盤の軟骨ソーキそばがすごくおいしそうで、たたみかけるような沖縄の日常と食事に、そこが地続きの現実なんだなと錯覚させてくれます。このあたりは作者のカミツキレイニーさんの身近な現実だからかとても真にせまっています。
沖縄のだらけたような空気と、妖怪や精霊が人の間にふつうに存在している感じがよくでていますし、お得意の青春要素や真剣にやりながらの滑稽な笑いとカミツキレイニー節も健在です。
またキャラクター小説としてもよく、ツンツンのるいなや、萌え入った片耳豚やパーントゥもなかなかです。今回はあまり活躍していないので、続きが出て、さらにキャラを掘り下げてほしいところです。
最後に、この小説、沖縄のあまり知られていない妖怪や神を再構築し、身近なものとして紹介しているという点でも興味深いです。妖怪が日常にいての物語そののものは多いのですが、沖縄の妖怪てよく知らないです。それが日の目をみるよなこの作品は興味深いですし、妖怪好きとしては、妖怪紹介という意味でも続きが沢山読みたいですね。
パーントゥは本来人が祭りで扮装する来訪神。ということは、神の国に行った人間がそこに適応するためになった可能性も物語としてはありそうで、となると、今作のパーントゥの正体は・・・て展開もありえるかなぁ?
もともとカミツキレイニーさんのファンなので、「カミツキさんの沖縄を舞台にした小説?そりゃ面白くないわけない」と即買いだったわけなのですが、期待にこたえてくれました。
ただ、沖縄というゆるっとした日常を舞台に少年少女を中心とした、少し不思議な青春要素のある作品なので、刺激的なライトノベル娯楽を期待する人とは合わないかもしれません。
すでにかかれていますが、沖縄地方大好きイラストレーターの白狼さんが作っていたオリジナルキャラ・沖縄離島に住む少女・空に物語を与えるということからスタートしている変わった誕生をしているところも興味深いです。
細かい設定は変更したそうですが、メインは変えずに魅力的なキャラになっており、ユタという沖縄の特殊な巫女の系譜の「花人」という設定がついています。
そのユタとして、沖縄の妖怪と人とが共存するような役割を得ています。
物語の語り手としては、大和からきた、沖縄のことをよく知らない春秋という少年の視点から騙られます。これにより沖縄島ことをよくしらない読者と同じ視点や知識で、物語の世界に入らせてくれます。
序盤の軟骨ソーキそばがすごくおいしそうで、たたみかけるような沖縄の日常と食事に、そこが地続きの現実なんだなと錯覚させてくれます。このあたりは作者のカミツキレイニーさんの身近な現実だからかとても真にせまっています。
沖縄のだらけたような空気と、妖怪や精霊が人の間にふつうに存在している感じがよくでていますし、お得意の青春要素や真剣にやりながらの滑稽な笑いとカミツキレイニー節も健在です。
またキャラクター小説としてもよく、ツンツンのるいなや、萌え入った片耳豚やパーントゥもなかなかです。今回はあまり活躍していないので、続きが出て、さらにキャラを掘り下げてほしいところです。
最後に、この小説、沖縄のあまり知られていない妖怪や神を再構築し、身近なものとして紹介しているという点でも興味深いです。妖怪が日常にいての物語そののものは多いのですが、沖縄の妖怪てよく知らないです。それが日の目をみるよなこの作品は興味深いですし、妖怪好きとしては、妖怪紹介という意味でも続きが沢山読みたいですね。
パーントゥは本来人が祭りで扮装する来訪神。ということは、神の国に行った人間がそこに適応するためになった可能性も物語としてはありそうで、となると、今作のパーントゥの正体は・・・て展開もありえるかなぁ?
2017年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
設定がカミツキレイニーさんが考えたものではなかったので、あまり面白くありませんでした。
さすがのカミツキレイニーさんもつまらない設定から面白い話は書けなかったようです。
さすがのカミツキレイニーさんもつまらない設定から面白い話は書けなかったようです。
2017年9月6日に日本でレビュー済み
序盤の舞いの下りまでは大変良かったんですが、以降はそんなシーンばっかりです、薄めたカルピスの様な描写の数々、プロットの出来が良いだけにこれが支倉 凍砂だったら、大森 藤ノが手掛ける作品だったらと言う物足りなさばかりが募ります
後、主人公のその残念な喋り口調はなんやねんと、年上キャラと言う溝を埋める為にそんな不快な喋り方で誤魔化す事しか出来ないなら最初から年上キャラに何かするなと思いました
表紙に惹かれましたし、序盤の舞いのシーンを読んでる間は「読了したら星5つけて応援しよう」って思ってたんですけどねぇ・・・
後、主人公のその残念な喋り口調はなんやねんと、年上キャラと言う溝を埋める為にそんな不快な喋り方で誤魔化す事しか出来ないなら最初から年上キャラに何かするなと思いました
表紙に惹かれましたし、序盤の舞いのシーンを読んでる間は「読了したら星5つけて応援しよう」って思ってたんですけどねぇ・・・