純度１００％の遺伝でどれほど人間の性格や行動、犯罪率に影響を与えるのか。
本の内容に驚愕するとともに、理解し難い言動を行う人への理解が多少できたことに対する納得感も得られました。
確かに言われてみれば、外見の顔も体の作りも人により全く異なるのだから、超複雑な回路で成り立っている脳の構造が多少でも違えば、考えや感じ方が千差万別あることにも頷けます。
このようなことが、具体的たデータや実験に基づき説得力ある展開がされていく他、ではどう対処すれば社会生活に馴染み、上手くやっていくことができるかのヒントも学べるので、是非実際読んでみて自身の考えをアップデートすることをお勧めします。
以下、個人的に特に印象的だった箇所を少し紹介します。
１ 善悪の分別、犯罪率の遺伝
運動能力や音楽的才能に比べ、知能の優劣を語ることは差別意識が強く持たれるが、しかし、人種による（＝遺伝による）知能レベルの差は事実として明らかにされている。
そして同様にタブー視される項目が、犯罪率の遺伝。
これは、身体的特徴で言えば「心拍数」の低さにあたる。
心拍数が高いと、発汗や喉の渇きなど、不快感を感じやすく、それが良心を学ぶことに繋がる。
しかし心拍数が低く上がりにくいと、日常生活の中で罪悪感やストレスを感じられる機会が少なく不快感を学習することができず、それに伴い他人の気持ちを推し量ることも困難となる。
加えて常に心拍数が低い状態は生理的不快感になるので、望んで常軌を逸した問題行動をとることにより緊張感を高め、不快感を軽減していると言える。
なお、男性よりも女性の方が平均して１分間に６回心拍数が多い。
なお、”普通の人よりも強く刺激を求める”ことを逆手に取り、上手く導くことができれば、企業の立ち上げや競争、スポーツでの活躍などに繋げることも可能。
２ 親による子○し、レイプ
この２つはいずれも非人道的行為として認知されている行いであるが、”種の保存”の観点からすると合理的とも言える一面を持つ。
種の保存という動物の最大欲求の上で、大きな損失となるのは「他人の種の保存に貴重な資源を投じること」である。
だから、継父による虐待、暴力の数は多いし、シングルマザーとなった女性も「育てても将来別の男性に○される」損失を感じ、考えられない行動をしてしまう、と考えられる。
多くの社会で一夫多妻制が取り入られているのは、女性一人で子育てをすることが困難だからである。
一方レイプにあっても、競争力がなかった種は淘汰され、力尽くでも性行為を遂げた種が現代まで残っているのは確かである。
いずれにしろ社会的生物であり理性的な人間の倫理観からしたら許されざる蛮行であるが、感情が強く理性が弱い脳構造の人にとっては「合理的」な行いなのかもしれない。
３ 教育・子育て
遺伝のみならず、環境も人間形成に多大な影響を及ぼす。
それは家庭環境ももちろんだが、同等かそれ以上に学校内での役割や立ち位置が影響を与える。
１９５４年、アメリカ、２グループのボーイスカウト少年団を競わせる実験が行われた。
詳細は本書を読んでいただきたいが、結論として、「本能的に敵を作ろうとすること（＝それにより縄張りを守り、または広げてきた）」「敵対勢力とは別の性格を持った（例：一方は罵倒、一方は軽蔑により相手を挑発）」の２つが分かった。
どうしたところで派閥はでき、「みんな仲良く」は幻想となる。
そして、自分が属するグループ内で生き残るためには、他方とは異なる性格を持つことが求められる。
運動神経が良いやつと悪いやつ、勉強ができるやつとできないやつ、真面目と非行、、、
あらゆる特徴があり、そのような微妙な環境の中で子どもは自らの役割を見つける。
ここでも、上手く環境を設定してやることができれば、子どもを導くことが可能。
もしも子どもを、勉強をし、大人の言うことを聞かなければどんなグループでも「生き残れない」環境に置くことができれば、そうせざるを得なくなる。
「孟母三遷」は、親として子どもにできる最高の行動の１つである。
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