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ローマ法案内―現代の法律家のために 単行本 – 2010/12/13
木庭 顕
(著)
- ISBN-104904702174
- ISBN-13978-4904702178
- 出版社羽鳥書店
- 発売日2010/12/13
- 言語日本語
- 寸法15.8 x 2.2 x 21.8 cm
- 本の長さ256ページ
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商品の説明
著者について
1951年東京に生まれる。1974年東京大学法学部卒業。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。
登録情報
- 出版社 : 羽鳥書店 (2010/12/13)
- 発売日 : 2010/12/13
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 256ページ
- ISBN-10 : 4904702174
- ISBN-13 : 978-4904702178
- 寸法 : 15.8 x 2.2 x 21.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 684,158位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,323位社会・政治の法律
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年11月29日に日本でレビュー済み
2011年に日本学士院賞を受賞された木庭顕先生による法学入門です。
この本は、どうして今の政治制度及び法制度につながるローマ法が成立し存在するのかを、古代ローマの歴史を説明しながら並行して展開する、という形を採るという理由で、今までのローマ法解説書(例えば 歴史の中の民法―ローマ法との対話 オッコー・ベーレンツ教授『ローマ法史講義案』(1999/2000)を基礎に などが挙げられましょう。)にはないユニークな試みと言えます。
古代ギリシア及び古代ローマの政治制度が「都市」の成立抜きには語れないこと。現代法につながるローマ法の基礎となる占有概念及び民事訴訟が、ローマ型のデモクラシーの成立、つまりは領域で個人が安定して生活できる確固たる基盤として考え出されたものであることが記されます。そして占有概念から「物権」と「債権」の峻別や消費貸借の弊害の撲滅につながってゆく事や、更には取得時効の存在理由の説明にもなるという事は新鮮な驚きを読者の皆さんにも与えることでしょう。
更にポエニ戦争でローマがカルタゴに勝利してゆく段階で、ローマ法学の華ともいえる諾成契約及びそれを支えるbona fides概念が成立してゆく過程も詳述されます。
そして、グラックス兄弟の改革から「内戦の1世紀」を経て元首政にたどり着くまでの政治変化から所有権概念が生まれたこと。そして、所有権概念の誕生により占有概念及びbona fides概念が変質及び崩壊する過程で民事法のみならず刑事法及び身分法もどのような形で変質していったか、ということも記されます。
しばしば「法学はパンのための学問」などという陰口を言われる事が多いのですが、古代ローマ史に関する的確な説明を織り交ぜることで、今日の政治及び法制度の存在理由についてのローマ法からの視点に基づいた納得のゆく説明を本書は提供してくれる事は間違いないでしょう。そのような理由で本書は読者の方に新鮮な読後感を与えてくれる良心的な概説書と言えるでしょう。
この本は、どうして今の政治制度及び法制度につながるローマ法が成立し存在するのかを、古代ローマの歴史を説明しながら並行して展開する、という形を採るという理由で、今までのローマ法解説書(例えば 歴史の中の民法―ローマ法との対話 オッコー・ベーレンツ教授『ローマ法史講義案』(1999/2000)を基礎に などが挙げられましょう。)にはないユニークな試みと言えます。
古代ギリシア及び古代ローマの政治制度が「都市」の成立抜きには語れないこと。現代法につながるローマ法の基礎となる占有概念及び民事訴訟が、ローマ型のデモクラシーの成立、つまりは領域で個人が安定して生活できる確固たる基盤として考え出されたものであることが記されます。そして占有概念から「物権」と「債権」の峻別や消費貸借の弊害の撲滅につながってゆく事や、更には取得時効の存在理由の説明にもなるという事は新鮮な驚きを読者の皆さんにも与えることでしょう。
更にポエニ戦争でローマがカルタゴに勝利してゆく段階で、ローマ法学の華ともいえる諾成契約及びそれを支えるbona fides概念が成立してゆく過程も詳述されます。
そして、グラックス兄弟の改革から「内戦の1世紀」を経て元首政にたどり着くまでの政治変化から所有権概念が生まれたこと。そして、所有権概念の誕生により占有概念及びbona fides概念が変質及び崩壊する過程で民事法のみならず刑事法及び身分法もどのような形で変質していったか、ということも記されます。
しばしば「法学はパンのための学問」などという陰口を言われる事が多いのですが、古代ローマ史に関する的確な説明を織り交ぜることで、今日の政治及び法制度の存在理由についてのローマ法からの視点に基づいた納得のゆく説明を本書は提供してくれる事は間違いないでしょう。そのような理由で本書は読者の方に新鮮な読後感を与えてくれる良心的な概説書と言えるでしょう。
2018年1月22日に日本でレビュー済み
読めばわかる。現代の法律家向けというが不必要な横文字や()で囲ったわかりにくい注釈のせいで全体像が全く見えてこない。
2013年9月28日に日本でレビュー済み
ローマ市民法、契約、占有に関して、古代ローマの当時の人々が持っていたはずの、ある種の法感覚にもとづいて、法を理解するためには一定の役割を果たす本と言えるかもしれません。原語が併記されており、法概念をラテン語として理解することができます。「現代の法律家のために」というサブタイトルの通り、民事訴訟や刑事訴訟に関係する法律家の方には資するところがあるかもしれません。
しかしながら、本書の叙述はかなり特殊であり、著者の方法に沿って読むことのできるタイプの人と、それが難しいタイプの人に、読者は別れると思います。自分は、著者の口語調の断定を多く含む、それでいて断定を注によって立証することがほとんどない、そういう叙述のスタイルにはなじめませんでした。講義ならば問題ないのかもしれませんが、書物として、古典的な学術書のスタイルではないのです。この点は、学術的な情報共有のレベルでも問題でしょう。本書を手に取った人なら誰しも直感するでしょうが、例えば、本書で書かれた内容の一部を括弧「」で引用して、学術的に共有するということも、かなり難しいと思います。パラフレーズするか、さらに多くの説明を付加しなければ、引用した括弧「」の部分だけが特殊な言語運用になり、共有はほとんど無理でしょう。テクストとして共有しようとする人に多大な負担を強いるという意味で、共有というものが、ほとんど設計されていない本です。
本書は全体として、「ローマ法」の『学説彙纂』Digestaや、『法学提要』Institutionesを整理して紹介している本ではなく、かなり内容は偏っているといえるでしょう。私見にすぎませんが、類書では、船田享二氏著の『ローマ法〈第1巻〉公法・法源』1968(昭和43年)の方がはるかに総合的であり、ローマ法の専門家だけでなく、関連分野の学際的な知をさぐる多くの読者、初学者に配慮した設計が入念になされたすぐれた本という印象です。
ローマ法に親しむという目的があるならば、柴田光蔵氏の『ローマ法フォーラム』シリーズからスタートする方が、はるかに現実的でしょう。
しかしながら、本書の叙述はかなり特殊であり、著者の方法に沿って読むことのできるタイプの人と、それが難しいタイプの人に、読者は別れると思います。自分は、著者の口語調の断定を多く含む、それでいて断定を注によって立証することがほとんどない、そういう叙述のスタイルにはなじめませんでした。講義ならば問題ないのかもしれませんが、書物として、古典的な学術書のスタイルではないのです。この点は、学術的な情報共有のレベルでも問題でしょう。本書を手に取った人なら誰しも直感するでしょうが、例えば、本書で書かれた内容の一部を括弧「」で引用して、学術的に共有するということも、かなり難しいと思います。パラフレーズするか、さらに多くの説明を付加しなければ、引用した括弧「」の部分だけが特殊な言語運用になり、共有はほとんど無理でしょう。テクストとして共有しようとする人に多大な負担を強いるという意味で、共有というものが、ほとんど設計されていない本です。
本書は全体として、「ローマ法」の『学説彙纂』Digestaや、『法学提要』Institutionesを整理して紹介している本ではなく、かなり内容は偏っているといえるでしょう。私見にすぎませんが、類書では、船田享二氏著の『ローマ法〈第1巻〉公法・法源』1968(昭和43年)の方がはるかに総合的であり、ローマ法の専門家だけでなく、関連分野の学際的な知をさぐる多くの読者、初学者に配慮した設計が入念になされたすぐれた本という印象です。
ローマ法に親しむという目的があるならば、柴田光蔵氏の『ローマ法フォーラム』シリーズからスタートする方が、はるかに現実的でしょう。
2014年8月12日に日本でレビュー済み
著者の問題意識は根っこの部分で法律が機能しない日本社会のみならず、証券化商品に端を発した金融危機までも視野に入っているようだ。しかし、一方で古代ローマ時代に安易な教訓を見いだそうとするものにもピシャリと締め出す。難しくとっつきにくいので、まずは法学教室に連載されている著者の「善べいどんとお花ぼう」の話から読むのがよい。
占有、善意まではある程度実感をもって理解できるのだが、所有権と所有権に基づく信用創造の説明になるとなかなか理解が難しい。グラックス兄弟の改革の注に「これはあきらかに政治がオールマイティーであるギリシャから派生したものである。(略)この伝統は近代の政治思想に深い影響を残した。マキャヴェッリ、ハリントン、フランス革命、プロイセンの土地改革、日本の農地改革等々というように、占有体制とデモクラシーの直接的関係を樹立しようという試みである。」とある。占有と所有権の相互関係は複雑であり、精緻な分析が必要ということだろうか。
占有、善意まではある程度実感をもって理解できるのだが、所有権と所有権に基づく信用創造の説明になるとなかなか理解が難しい。グラックス兄弟の改革の注に「これはあきらかに政治がオールマイティーであるギリシャから派生したものである。(略)この伝統は近代の政治思想に深い影響を残した。マキャヴェッリ、ハリントン、フランス革命、プロイセンの土地改革、日本の農地改革等々というように、占有体制とデモクラシーの直接的関係を樹立しようという試みである。」とある。占有と所有権の相互関係は複雑であり、精緻な分析が必要ということだろうか。