ネタバレ注意
１巻に引き続き、この世で一人だけの男であり本作の主人公ヨリックに劇的な展開が押し寄せる。イスラエルの女性だけのゲリラ軍隊に襲われたり、麻酔を打たれSMまがいの拷問にあったりとさんざんな目にあう。
女性だらけの社会を日本で描くと、どうしてもハーレム展開だったり、ラブコメ展開になりがちだが一切そんなことはなく淡々と物語は進み、次第にヨリックの幼少期の思い出や性体験、今までにあった嫌な記憶などがフラッシュバックし、主人公のアイデンティティに踏み込んでゆく。
巻末にもあることだが、非常に文学的で退廃的でリアリスティックな展開は往年の名作アメコミ「ウォッチメン」を思い出す内容であり、人物の行動一つ一つが複雑に絡み合い、自然と読者に思考を促せるようになっている。
女性だけになってしまった社会。その中にたった一人だけ生き残った男は果たしてこの世に存在する意味とはなんなのか。
ジェンダー、セクシャリティについて考えるという意味でいま一度読んでもらいたい名作である。
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