本書では、福沢の政治、学問、経済、脱亜に関する思想を紹介している。これだけでは、明治維新の福沢の思想の真意を理解し難いが、やみくもに西欧を排斥するのではなく、進化している文明は取り入れるが、日本の文明は残す保守を貫くことで、西欧に侵略されない国家主権を確立することである理解した。
日本の国家主権の確立の観点から清朝、朝鮮に対応するということであろう。その延長線上に脱亜論がある。
経済論では、福沢は通貨・貨幣を正しく理解しており、現在のMMT(現代貨幣論)に相当するマクロ経済観を保持していたという。福沢著の通貨論を読んで見たいと思った。

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福沢諭吉 しなやかな日本精神 (PHP新書) 新書 – 2018/5/15
小浜 逸郎
(著)
日本を守り、西洋を追い抜く気概。そして現代さえ見通す驚きの「先見力」!
政治論、学問論、経済論、脱亜論など、様々なジャンルを縦横無尽に論じて、近代国家の本質を鋭く見抜いた福沢諭吉の議論は、けっして単なる西洋紹介、欧化主義ではなかった。
「放っておけば日本は西洋に滅ぼされる。その強い焦燥感と情熱と憂国の念が、彼をあの鋭く、また常に大局を見失わない言論活動へ駆り立てたものと思われます。その思想は、激情的な攘夷思想とも、新しがり屋の西欧かぶれとも違った、たいへんしなやかで強靱な性格のものでした。この性格に、筆者はあえて『日本精神』という呼び名を与えたいと思います」(本書第一章より)。
西郷隆盛、吉田松陰、勝海舟、横井小楠らとの比較も交えつつ、福沢の代表的な文章を紹介・玩味し、まったく新しい視点から「福沢諭吉の真価」を問う意欲作!
第一章 「天は人の上に人を造らず」の真意──福沢諭吉とは何者か
第二章 討幕は必要だったのか──幕末維新と福沢諭吉
第三章 松陰、小楠、海舟、隆盛──志士・思想家たちと福沢諭吉
第四章 福沢諭吉が考えていたこと──しなやかで強靱な「日本精神」を目指して
◆政治論ブロック ◆学問論ブロック ◆経済論ブロック ◆脱亜論ブロック
終 章 いまこそ甦るべき福沢諭吉──現代日本の危機を超える視座
政治論、学問論、経済論、脱亜論など、様々なジャンルを縦横無尽に論じて、近代国家の本質を鋭く見抜いた福沢諭吉の議論は、けっして単なる西洋紹介、欧化主義ではなかった。
「放っておけば日本は西洋に滅ぼされる。その強い焦燥感と情熱と憂国の念が、彼をあの鋭く、また常に大局を見失わない言論活動へ駆り立てたものと思われます。その思想は、激情的な攘夷思想とも、新しがり屋の西欧かぶれとも違った、たいへんしなやかで強靱な性格のものでした。この性格に、筆者はあえて『日本精神』という呼び名を与えたいと思います」(本書第一章より)。
西郷隆盛、吉田松陰、勝海舟、横井小楠らとの比較も交えつつ、福沢の代表的な文章を紹介・玩味し、まったく新しい視点から「福沢諭吉の真価」を問う意欲作!
第一章 「天は人の上に人を造らず」の真意──福沢諭吉とは何者か
第二章 討幕は必要だったのか──幕末維新と福沢諭吉
第三章 松陰、小楠、海舟、隆盛──志士・思想家たちと福沢諭吉
第四章 福沢諭吉が考えていたこと──しなやかで強靱な「日本精神」を目指して
◆政治論ブロック ◆学問論ブロック ◆経済論ブロック ◆脱亜論ブロック
終 章 いまこそ甦るべき福沢諭吉──現代日本の危機を超える視座
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社PHP研究所
- 発売日2018/5/15
- 寸法10.6 x 1.6 x 17.2 cm
- ISBN-104569840507
- ISBN-13978-4569840505
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商品の説明
出版社からのコメント
はじめに
第一章 「天は人の上に人を造らず」の真意──福沢諭吉とは何者か
福沢にまとわりつく「誤解」
ほとんどの人が見逃す「と云えり」
「society=人間交際」という着眼点
第二章 討幕は必要だったのか──幕末維新と福沢諭吉
明治維新への十一の素朴な疑問
中津から適塾、そしてアメリカへ
安政の大獄と井伊直弼の真意
第三章 松陰、小楠、海舟、隆盛──志士・思想家たちと福沢諭吉
吉田松陰
横井小楠
勝海舟
第四章 福沢諭吉が考えていたこと──しなやかで強靱な「日本精神」を目指して
政治論ブロック
学問論ブロック
経済論ブロック
脱亜論ブロック
終 章 いまこそ甦るべき福沢諭吉──現代日本の危機を超える視座
福沢諭吉「文体」の四つの特長
明快な論理と平易な語り口
あらかじめ反論者を想定する
おわりに
参考文献
第一章 「天は人の上に人を造らず」の真意──福沢諭吉とは何者か
福沢にまとわりつく「誤解」
ほとんどの人が見逃す「と云えり」
「society=人間交際」という着眼点
第二章 討幕は必要だったのか──幕末維新と福沢諭吉
明治維新への十一の素朴な疑問
中津から適塾、そしてアメリカへ
安政の大獄と井伊直弼の真意
第三章 松陰、小楠、海舟、隆盛──志士・思想家たちと福沢諭吉
吉田松陰
横井小楠
勝海舟
第四章 福沢諭吉が考えていたこと──しなやかで強靱な「日本精神」を目指して
政治論ブロック
学問論ブロック
経済論ブロック
脱亜論ブロック
終 章 いまこそ甦るべき福沢諭吉──現代日本の危機を超える視座
福沢諭吉「文体」の四つの特長
明快な論理と平易な語り口
あらかじめ反論者を想定する
おわりに
参考文献
著者について
小浜逸郎[こはま・いつお]
1947年、横浜市生まれ。横浜国立大学工学部卒業。批評家、国士舘大学客員教授。家族論、教育論、思想、哲学など幅広く批評活動を展開。
1947年、横浜市生まれ。横浜国立大学工学部卒業。批評家、国士舘大学客員教授。家族論、教育論、思想、哲学など幅広く批評活動を展開。
登録情報
- 出版社 : PHP研究所 (2018/5/15)
- 発売日 : 2018/5/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 352ページ
- ISBN-10 : 4569840507
- ISBN-13 : 978-4569840505
- 寸法 : 10.6 x 1.6 x 17.2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 659,545位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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2021年10月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年8月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
政治、経済のみならずあらゆる分野における先を見通す眼力には、現在の政治家や経済界の人間にもっと力をつけて
欲しいと願うばかりです。今の政治家には大物がいない。国家・経済を語れる人物が待たれる。
欲しいと願うばかりです。今の政治家には大物がいない。国家・経済を語れる人物が待たれる。
2020年1月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
福沢諭吉の先見性に感服するとともに、現在でも通じるその指摘に反省しきりです。
2022年8月13日に日本でレビュー済み
福沢諭吉「脱亜論」は読んだことはありますが、
思想全般について曲解なく述べられた本を読むのは初めてでした。
学ぶべきことが多々あり、読んで良かったと思います。
また、特に左翼勢力に都合よく文章の一部を切り貼りされて、
捻じ曲げられて利用されていることもよく分かりました。
この辺りは注意しないといけないですね。
外交・安全保障・経済など日本が国際社会の中で国益を追求し、国民を守り豊かにする上で、
福沢諭吉の思想は全く古びれていないどころか、今こそ求められているのではないか、
と思わされました。
日本の今の政治は、福沢諭吉が生きた時代よりも明らかに劣化しているからです。
ただ、残念なのは、
現在の日本が抱える問題の定義を三橋貴明氏の主張に完全に依存しており、
問題認識が全て正しいとは言い切れないと言うことです。
例えば、
TPPに反対していますが、実際には日本の国益に叶う方向に進んでいます。
国家戦略特区に反対していますが、これがあったお陰で加計学園獣医学部ができました。
せっかく福沢諭吉の思想をここまでしっかりと整理して解説できているのですから、
現在の日本の問題についても、もっとしっかりと整理した上で、
福沢諭吉の思想に照らしながら炙り出した方が良かったと思います。
ですので、この点について評価を少し下げました。
三橋貴明氏ではなく、高橋洋一氏など、
もっとインテリジェンスの高い方々の問題認識を持ってくるべきでしたね。
2018/7/21読了
思想全般について曲解なく述べられた本を読むのは初めてでした。
学ぶべきことが多々あり、読んで良かったと思います。
また、特に左翼勢力に都合よく文章の一部を切り貼りされて、
捻じ曲げられて利用されていることもよく分かりました。
この辺りは注意しないといけないですね。
外交・安全保障・経済など日本が国際社会の中で国益を追求し、国民を守り豊かにする上で、
福沢諭吉の思想は全く古びれていないどころか、今こそ求められているのではないか、
と思わされました。
日本の今の政治は、福沢諭吉が生きた時代よりも明らかに劣化しているからです。
ただ、残念なのは、
現在の日本が抱える問題の定義を三橋貴明氏の主張に完全に依存しており、
問題認識が全て正しいとは言い切れないと言うことです。
例えば、
TPPに反対していますが、実際には日本の国益に叶う方向に進んでいます。
国家戦略特区に反対していますが、これがあったお陰で加計学園獣医学部ができました。
せっかく福沢諭吉の思想をここまでしっかりと整理して解説できているのですから、
現在の日本の問題についても、もっとしっかりと整理した上で、
福沢諭吉の思想に照らしながら炙り出した方が良かったと思います。
ですので、この点について評価を少し下げました。
三橋貴明氏ではなく、高橋洋一氏など、
もっとインテリジェンスの高い方々の問題認識を持ってくるべきでしたね。
2018/7/21読了
2019年6月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
一つ一つの福沢の著作を実証的に解釈し、人民の啓蒙、帝室論、経済論など、他の知識人との比較も含めて論じている。350頁近い重厚な本だが、この一冊で福沢の思想がよく分かる。一部の著作だけを「つまみ食い」して書いたような本ではない。幕末維新史や吉田松陰についての著者の見方には賛否両論あるだろうが、緻密な解釈と独自性を評価し、5のレビュー評価とする。
2018年11月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
幕末から明治維新を経て西南戦争が終わる明治10年までの記述については著者の言う通りで全く問題ない。特に明治7年~10年にかけて起こった一連の反乱(秋月の乱、神風連の乱、萩の乱、・・・西南戦争等々)に対し、当時の中央政府(主として大久保利通他)が、反乱の原因も調べず、全て弾圧してしまうが、福沢諭吉は『丁丑公論』や『分権論』(明治10年)を出版して、「反乱の原因は、政府の中央集権化であり、地方分権を考慮しなかった事にある。」と断言し、明治10年以降には反乱は起きていない(188頁)。問題は「明治14年の政変」に関する記述(218頁)で、「これは単なる伊藤博文と大隈重信の争いで、大隈が政権から追いやられた時に大隈と仲が良かった福澤もあらぬ疑いをかけられた。」との説明しかないが、これを契機に福沢の運命はがらりと変わるのである。井上毅(いのうえこわし)が「政変の陰の主役」であり、福澤諭吉の文明開化思想(特に教育関係)を葬り去り、儒教思想をベースに教育勅語の原案を作るのである。井上毅の陰の暗躍については、昭和27年の大久保利謙著『明治14年の政変と井上毅』まで明らかにならなかった。結局、明治14年以降の福澤諭吉思想は、昭和20年の太平洋戦争の終戦まで、無視されたのである。但し、終戦後から、また福澤諭吉の思想が見直され、「おわりに」(343頁)にもあるように、昭和59年(1984年)には、1万円札の肖像に福沢諭吉が選ばれ、その後変わっていないのである。他の札は、板垣退助、岩倉具視、伊藤博文などが選ばれているが、その後変わっている。1万円札の肖像は、やはり福澤諭吉以外にはいないのではないか(345頁)。
2018年5月22日に日本でレビュー済み
小浜逸郎さんの『福沢諭吉 しなやかな日本精神』を読んでみました。良書だと思うのですが、いくつかの箇所で疑問が浮かんだので、ウェブサイト「小浜逸郎・ことばの闘い」へ質問してみました。ありがたいことに回答をいただけましたので、その内容を踏まえて感想を書いてみます。
(1)21頁
《福沢諭吉を西欧型のリベラルな進歩主義の代表と見なすとらえ方も、国粋主義的な保守思想の代表と見なすとらえ方も、いずれも自分の都合のよいところだけを切り取った我田引水に他ならないのです。》
ここは誰のことを言っているのか気になったのですが、特定の人物を想定しているわけではなく、一種のレトリックだそうです。ちなみに、「保守思想」の観点から参考になる著作として、西部邁さんの『福沢諭吉―その武士道と愛国心』が挙げられます。あわせて読むことをお勧めします。
(2)23頁
《さて、その数行後に、「されども今、広くこの人間世界を見渡すに」とあって、いかに現実の世が貧富、賢愚、身分、権力においてはなはだしい格差に満ち満ちているかというくだりがあります。『学問のすゝめ』はここを出発点として、この格差にまつわるいわれなき尊卑感情を少しでもなくし、多くの人が自主独立の気概をもって人生を歩めるようにするには、「学問」がどうしても必要だ、というように展開されていくのです。》
『学問のすゝめ』の記述だけから判断するなら、《いわれなき尊卑感情を少しでもなくし》ということではなく、「職業に尊卑はあり、そこでは学問が重要」ということを主張しているのだと考えられます。《いわれなき尊卑感情を少しでもなくし》という思いの反映には、どうやら『福翁自伝』などの背景が想定されているようです。
(3)90頁
《しかし公武合体派の背後には、十分に開明的で優秀な家臣や思想家が存在していたのですから、弱体化しつつある幕府に代わって主導権を握ることも不可能ではなかったはずです。しょせんは、派として結束できるだけの意思統一が育っていなかったのでしょう。こういうところにも、常に周りをうかがいながら空気に迎合してしまう日本人の、主体性のなさと伝統的な政治下手が表れていると感じるのは、筆者だけでしょうか。》
ここでは、主としてイギリスやアメリカがイメージされているそうです。アングロサクソン系ですな…。私個人としては、イギリスやアメリカの政治思想史をきちんと追っていけば、そう簡単に良いものだとは言えないという立場になります。少なくとも、現代の日本の政治ならともかく、当時の明治維新について、安易な批判は慎みたいのですよね。
(4)248~249頁
《福沢が、明治十七年までに経済について論じたものには、『民間経済録』(明治十年)、『通貨論[第一]』(明治十一年)、『民間経済録二編』(明治十三年)、『通貨論[第二]』(明治十五年)、『貧富論[第一]』(明治十七年)などがあります。これ以降、明治二十四年に至るまで、特に経済論らしきものを執筆していません。》
本書では、松方デフレ期における福沢諭吉の経済思想には、考慮が払われていないそうです。そのデフレ期の経済思想については、藤原昭夫さんの『福沢諭吉の日本経済論』(日本経済評論社)が必読文献だと思います。『時事新報』に連載した社説(明治一九年「節倹論」、二〇年「人民の豪奢は之を勧む可し」、二八年「勤倹説を説く勿れ」や「勤倹は中人以上の事に非ず」、三三年「所謂勤倹貯蓄の説」や「勤倹貯蓄の人民」)を参照し、デフレ期における福沢諭吉の経済思想を的確に描写しています。こちらもお勧めです。
他にも論点があったのですが、あまりに細かいのでここらで止めておきます。気になる方はサイトの方をご確認ください。
(1)21頁
《福沢諭吉を西欧型のリベラルな進歩主義の代表と見なすとらえ方も、国粋主義的な保守思想の代表と見なすとらえ方も、いずれも自分の都合のよいところだけを切り取った我田引水に他ならないのです。》
ここは誰のことを言っているのか気になったのですが、特定の人物を想定しているわけではなく、一種のレトリックだそうです。ちなみに、「保守思想」の観点から参考になる著作として、西部邁さんの『福沢諭吉―その武士道と愛国心』が挙げられます。あわせて読むことをお勧めします。
(2)23頁
《さて、その数行後に、「されども今、広くこの人間世界を見渡すに」とあって、いかに現実の世が貧富、賢愚、身分、権力においてはなはだしい格差に満ち満ちているかというくだりがあります。『学問のすゝめ』はここを出発点として、この格差にまつわるいわれなき尊卑感情を少しでもなくし、多くの人が自主独立の気概をもって人生を歩めるようにするには、「学問」がどうしても必要だ、というように展開されていくのです。》
『学問のすゝめ』の記述だけから判断するなら、《いわれなき尊卑感情を少しでもなくし》ということではなく、「職業に尊卑はあり、そこでは学問が重要」ということを主張しているのだと考えられます。《いわれなき尊卑感情を少しでもなくし》という思いの反映には、どうやら『福翁自伝』などの背景が想定されているようです。
(3)90頁
《しかし公武合体派の背後には、十分に開明的で優秀な家臣や思想家が存在していたのですから、弱体化しつつある幕府に代わって主導権を握ることも不可能ではなかったはずです。しょせんは、派として結束できるだけの意思統一が育っていなかったのでしょう。こういうところにも、常に周りをうかがいながら空気に迎合してしまう日本人の、主体性のなさと伝統的な政治下手が表れていると感じるのは、筆者だけでしょうか。》
ここでは、主としてイギリスやアメリカがイメージされているそうです。アングロサクソン系ですな…。私個人としては、イギリスやアメリカの政治思想史をきちんと追っていけば、そう簡単に良いものだとは言えないという立場になります。少なくとも、現代の日本の政治ならともかく、当時の明治維新について、安易な批判は慎みたいのですよね。
(4)248~249頁
《福沢が、明治十七年までに経済について論じたものには、『民間経済録』(明治十年)、『通貨論[第一]』(明治十一年)、『民間経済録二編』(明治十三年)、『通貨論[第二]』(明治十五年)、『貧富論[第一]』(明治十七年)などがあります。これ以降、明治二十四年に至るまで、特に経済論らしきものを執筆していません。》
本書では、松方デフレ期における福沢諭吉の経済思想には、考慮が払われていないそうです。そのデフレ期の経済思想については、藤原昭夫さんの『福沢諭吉の日本経済論』(日本経済評論社)が必読文献だと思います。『時事新報』に連載した社説(明治一九年「節倹論」、二〇年「人民の豪奢は之を勧む可し」、二八年「勤倹説を説く勿れ」や「勤倹は中人以上の事に非ず」、三三年「所謂勤倹貯蓄の説」や「勤倹貯蓄の人民」)を参照し、デフレ期における福沢諭吉の経済思想を的確に描写しています。こちらもお勧めです。
他にも論点があったのですが、あまりに細かいのでここらで止めておきます。気になる方はサイトの方をご確認ください。
2018年9月12日に日本でレビュー済み
読んでいて筆致・内容に違和感を感じた、、、、なんか福澤ではない。最後に、立憲民主党や「リベラル左派知識人」を福澤の言葉を借りて非難。非常識な筆者だと思って経歴見たら「国士舘大学客員教授」とあり、びっくり。