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イノベーションと科学館 (科学技術政策史資料3) 文庫 – 2016/9/25
國谷 実
(著),
科学技術国際交流センター
(編集)
【内容紹介】
科学館や科学博物館に関しては、多くの関係者により従来から膨大な調査研究がおこなわれてきており、これらの成果を踏まえて科学館・科学博物館の設置・改善・運用が図られてきたところである。これらの成果を筆者も高く評価している。しかし、一方で近年、科学技術政策がダイナミックに変化している中で、政策(特に科学技術政策)から見た科学館や科学博物館の在り方についての調査研究もまた必要となってきている。
平成28年1月に策定された第五期科学技術基本計画(閣議決)では、5年間で26兆円の政府投資を前提に、基礎研究や産学連携などを踏まえたイノベーションの推進を大きな目標に掲げているが、その中で新しく各ステークホルダーの「共創」を進める中で科学館・科学博物館の役割が期待されている。本書ではこうした政策オリエンテッドな観点から、科学館・科学博物館の歴史、現状、そして将来のあるべき姿を考察してみようとしたものである。
科学館は現在三重苦の状況におかれていると言われている。1施設や展示物は昭和50年代をピークに設置されたものが多くこれらが現在かなり老朽化している。一方、厳しい財政状況の中で運営費や改修費も削減され、2老朽化に対する改修・リニューアルの予算確保も困難となっている。また、3科学館の機能を発揮するための人材の確保も十分でない。その結果、科学館の集客力は低迷しており、科学館の存在意義が低下するとともに、入館料などの自己収入も減少するという悪循環に陥っている。こうした負の連鎖から脱却するためには、何らかの政策的な転換が求められるだろう。しかしどのような政策転換で、科学館の危機は解決するであろうか。
このような中で見ておきたいことは、大正初期・中期における「教育博物館の奇跡」である。文部省直轄施設から当時高等師範学校の付属施設に降格されて衰退し、長らく館長不在が続き、明治末年には3万人にまで落ち込んでいた教育博物館の年間入館者数が、10年後に66万人(大正10年)にまで上昇したのである。この数字は、当時にあっては個別の博物館として日本最大の入館者数を示しただけでなく、明治以来戦前を通じて――当然、関東大震災後整備された新東京帝室博物館、東京科学博物館を含めても――最高水準に達しているのである(紀元2600年を記念し熱狂的な特別展があった昭和15年の東京帝室博物館が69万人に達している唯一の例である)。
では、教育博物館(棚橋源太郎館長)が恵まれた条件にあったかと言えば、上述のような不遇な状態は以後も続いていた。例えば、当時の東京帝室博物館(股野琢→森鴎外総長)と比較しても予算規模は15~30分の1程度、嘱託・雇も含めた定員6~9名程度に低迷していたようである。にもかかわらず、恵まれた条件で20~30万人の入館者を確保していた東京帝室博物館を遙かにしのぐ入館者実績を短期間のうちに上げてしまったのである(残念ながら大正12年の関東大震災で教育博物館は全壊し記録は途絶えてしまったが)。
本書は、科学館のこれからのあり方をこの「教育博物館の奇跡」に照らして考えてみようとするものである。もちろん、「教育博物館の奇跡」がそのまま現在の科学館に当てはまるとは思わないが、こうした発想の転換は、科学館の今後を考えるに当たり何らかの役に立つと思われる。現に廃館寸前の行き詰まっていた教育博物館に奇跡は起こったからである。ただ、その前提条件として、博物館や博覧会の由来、当時の行政官署の関係や結びつきも知らねばならない。一方で現在における科学館の現状や科学館をめぐる多端な政策も知っておく必要がある。さらに、今後の科学館のポイントとなる先端的な設備やシステムについて、現在あるものばかりでなく、これから創意工夫して発見していかなければならないだろう。こうした総合的な思考の一端をこの本で示してみたいと考えたものである。
【インタビュー】
毛利衛日本科学未来館館長 結局、大切なことは何かというと、社会にどう還元するかいつも考える、ということだと思います。
科学技術は特別だ、という発想をすると、誰のために科学技術研究に私たちの貴重な税金が使われるのか見えなくなります。社会に役立てるために、いろいろな科学館、科学博物館をつくったはずなのに、それぞれの館が自分たちは特別だと思い込んでしまっているところもあるかもしれません。つねに、社会に還元する、社会の役に立つにはどうすればよいか、という視点で活動することです。そして、その視点で活動していると、おのずと「共創」につながると思います。
藤澤秀一NHKエンジニアリングシステム理事長 ・・・これからの4K、8Kの普及と、一方で低コスト化が進んで行きますから。システムコストはずいぶん下がるのではないでしょうか。
2018年の実用放送のときには、メーカーも8K受信機をつくると思います。それが一旦出ると、今度、4Kと同じように値段が下がってくると期待しているのです。そうしたらオリンピックの2020年以降には、8K受信機も今の4Kテレビと同じくらいに安くなってきて8Kもみられるような時代が来るような気がします。
2018年とか2020年をターゲットに、――オリンピックもありますから、博物館に行ったらオリンピックも観られるけれども面白いコンテンツも観られるというような、メリットがあるといいですね。会会員(筆名筑紫磐井)。
科学館や科学博物館に関しては、多くの関係者により従来から膨大な調査研究がおこなわれてきており、これらの成果を踏まえて科学館・科学博物館の設置・改善・運用が図られてきたところである。これらの成果を筆者も高く評価している。しかし、一方で近年、科学技術政策がダイナミックに変化している中で、政策(特に科学技術政策)から見た科学館や科学博物館の在り方についての調査研究もまた必要となってきている。
平成28年1月に策定された第五期科学技術基本計画(閣議決)では、5年間で26兆円の政府投資を前提に、基礎研究や産学連携などを踏まえたイノベーションの推進を大きな目標に掲げているが、その中で新しく各ステークホルダーの「共創」を進める中で科学館・科学博物館の役割が期待されている。本書ではこうした政策オリエンテッドな観点から、科学館・科学博物館の歴史、現状、そして将来のあるべき姿を考察してみようとしたものである。
科学館は現在三重苦の状況におかれていると言われている。1施設や展示物は昭和50年代をピークに設置されたものが多くこれらが現在かなり老朽化している。一方、厳しい財政状況の中で運営費や改修費も削減され、2老朽化に対する改修・リニューアルの予算確保も困難となっている。また、3科学館の機能を発揮するための人材の確保も十分でない。その結果、科学館の集客力は低迷しており、科学館の存在意義が低下するとともに、入館料などの自己収入も減少するという悪循環に陥っている。こうした負の連鎖から脱却するためには、何らかの政策的な転換が求められるだろう。しかしどのような政策転換で、科学館の危機は解決するであろうか。
このような中で見ておきたいことは、大正初期・中期における「教育博物館の奇跡」である。文部省直轄施設から当時高等師範学校の付属施設に降格されて衰退し、長らく館長不在が続き、明治末年には3万人にまで落ち込んでいた教育博物館の年間入館者数が、10年後に66万人(大正10年)にまで上昇したのである。この数字は、当時にあっては個別の博物館として日本最大の入館者数を示しただけでなく、明治以来戦前を通じて――当然、関東大震災後整備された新東京帝室博物館、東京科学博物館を含めても――最高水準に達しているのである(紀元2600年を記念し熱狂的な特別展があった昭和15年の東京帝室博物館が69万人に達している唯一の例である)。
では、教育博物館(棚橋源太郎館長)が恵まれた条件にあったかと言えば、上述のような不遇な状態は以後も続いていた。例えば、当時の東京帝室博物館(股野琢→森鴎外総長)と比較しても予算規模は15~30分の1程度、嘱託・雇も含めた定員6~9名程度に低迷していたようである。にもかかわらず、恵まれた条件で20~30万人の入館者を確保していた東京帝室博物館を遙かにしのぐ入館者実績を短期間のうちに上げてしまったのである(残念ながら大正12年の関東大震災で教育博物館は全壊し記録は途絶えてしまったが)。
本書は、科学館のこれからのあり方をこの「教育博物館の奇跡」に照らして考えてみようとするものである。もちろん、「教育博物館の奇跡」がそのまま現在の科学館に当てはまるとは思わないが、こうした発想の転換は、科学館の今後を考えるに当たり何らかの役に立つと思われる。現に廃館寸前の行き詰まっていた教育博物館に奇跡は起こったからである。ただ、その前提条件として、博物館や博覧会の由来、当時の行政官署の関係や結びつきも知らねばならない。一方で現在における科学館の現状や科学館をめぐる多端な政策も知っておく必要がある。さらに、今後の科学館のポイントとなる先端的な設備やシステムについて、現在あるものばかりでなく、これから創意工夫して発見していかなければならないだろう。こうした総合的な思考の一端をこの本で示してみたいと考えたものである。
【インタビュー】
毛利衛日本科学未来館館長 結局、大切なことは何かというと、社会にどう還元するかいつも考える、ということだと思います。
科学技術は特別だ、という発想をすると、誰のために科学技術研究に私たちの貴重な税金が使われるのか見えなくなります。社会に役立てるために、いろいろな科学館、科学博物館をつくったはずなのに、それぞれの館が自分たちは特別だと思い込んでしまっているところもあるかもしれません。つねに、社会に還元する、社会の役に立つにはどうすればよいか、という視点で活動することです。そして、その視点で活動していると、おのずと「共創」につながると思います。
藤澤秀一NHKエンジニアリングシステム理事長 ・・・これからの4K、8Kの普及と、一方で低コスト化が進んで行きますから。システムコストはずいぶん下がるのではないでしょうか。
2018年の実用放送のときには、メーカーも8K受信機をつくると思います。それが一旦出ると、今度、4Kと同じように値段が下がってくると期待しているのです。そうしたらオリンピックの2020年以降には、8K受信機も今の4Kテレビと同じくらいに安くなってきて8Kもみられるような時代が来るような気がします。
2018年とか2020年をターゲットに、――オリンピックもありますから、博物館に行ったらオリンピックも観られるけれども面白いコンテンツも観られるというような、メリットがあるといいですね。会会員(筆名筑紫磐井)。
- 本の長さ213ページ
- 言語日本語
- 出版社実業公報社
- 発売日2016/9/25
- 寸法18.8 x 12.8 x 1.5 cm
- ISBN-104880380539
- ISBN-13978-4880380537
商品の説明
著者について
【執筆者プロフィール】
國谷 実(くにや みのる)
1950年東京生まれ。74年一橋大学法学部卒。同年科学技術庁入庁、文部科学省科学技術政策研究所長、科学技術振興機構理事、同社会技術研究開発センター上席フェローを経て、現在科学技術国際交流センター理事・調査研究センター長。文部科学省科学技術週間標語選考委員長。研究書として共著『生命と法―クローン研究はどこまで自由か―』(大蔵省印刷局)、『科学技術庁政策史―その成立と発展』(科学新聞社)、『日米科学技術摩擦をめぐって―ジャパン・アズ・ナンバーワンだった頃―』(科学技術国際交流センター)、『1980年代の基礎研究政策―創造科学技術推進制度と科学技術振興調整費をめぐって―』(科学技術国際交流センター)。評論に『標語誕生! ―大衆を動かす力』(角川書店)等。日本文藝家協会会員(筆名筑紫磐井)。
國谷 実(くにや みのる)
1950年東京生まれ。74年一橋大学法学部卒。同年科学技術庁入庁、文部科学省科学技術政策研究所長、科学技術振興機構理事、同社会技術研究開発センター上席フェローを経て、現在科学技術国際交流センター理事・調査研究センター長。文部科学省科学技術週間標語選考委員長。研究書として共著『生命と法―クローン研究はどこまで自由か―』(大蔵省印刷局)、『科学技術庁政策史―その成立と発展』(科学新聞社)、『日米科学技術摩擦をめぐって―ジャパン・アズ・ナンバーワンだった頃―』(科学技術国際交流センター)、『1980年代の基礎研究政策―創造科学技術推進制度と科学技術振興調整費をめぐって―』(科学技術国際交流センター)。評論に『標語誕生! ―大衆を動かす力』(角川書店)等。日本文藝家協会会員(筆名筑紫磐井)。
登録情報
- 出版社 : 実業公報社; 第1版 (2016/9/25)
- 発売日 : 2016/9/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 213ページ
- ISBN-10 : 4880380539
- ISBN-13 : 978-4880380537
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 1.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,705,400位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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