文庫版もノベルス版も全巻揃えていたのですが、この度イラストレーターを一新して
数十年ぶりに新しく復刊したという事で10巻まとめて購入しました。
正直言ってあらゆる面で全然駄目です。
① イラスト
かつて同作者の『斑鳩王朝伝 神霊戦記』などの挿画を手がけていた、
若菜等氏のものになっています。
正直言ってこの人の絵は荒々しく変わったタッチによって、一時期珍しがられて
取り上げられていたというだけのもので、一過性のブームが過ぎて飽きられてしまい、
そのハッタリが剥がれてしまった今見ると、技術力もデッサン力も無くヘタクソそのものです。
表紙だけはカラーの力で毎巻そこそこ見れるのですが、中の挿画は目を覆わんばかりに
稚拙でひどい出来です。
かつてこのシリーズは、ところともかず氏というヘタクソを初代イラストレータの
いのまたむつみさんの代用として挿画担当させていたのですが、あの時の悪夢が蘇ります。
ちなみに昔の作品では金剛山の人間は修験者の服を着ていたのですが、
新イラストではやけにファンタジーなツギバキ服を着ています。
なぜここまでしつこくイラストの事に言及するのかと言うと、この商品の販促ページがあるのですが、
そこにあるこの商品の最大のウリになっているのがこのイラストだからです。
私も釣られて期待して購入したのですが、あまりの挿画の少なさに愕然としました。
はっきり言って旧ノベルス版の半分もイラストが無かった旧文庫版の、
さらに半分もイラストがありません。
しかもそのイラストなのですが、1ページ丸々美麗なイラストを掲載していた旧版と異なり、
ページの下や端、または右下などにちょこちょこ人物のラクガキのようなものが
描いてあるだけだったりするような事が多く、文字と一緒に掲載されていて
読みにくい事といったらありません。
旧ノベルス版では10ページほどにわたって巻頭に見開きカラーイラストが掲載されていてのですが
こちらではカラー口絵は実質1枚だけです。
正直、この復刊本のイラストに期待するようなものは何もないと言えます。
②本編内容
もちろん旧ノベルス版、文庫版とまったく同じですが、今読むと非常に幼稚で、
左巻き思想に毒されたマンガ作品だと思います。
ただただ綺麗な脳内妄想の非現実的な理想を実現したいがために、薄っぺらい正義を唱え、
形ばかりは弱者の味方を気取り、権力を敵視し、貧しく弱小国家に過ぎなかった
日本の国家体制を整え国際社会の一員として成立させようとしている朝廷に対して
執拗に敵視して噛み付き、正義の味方を気取ってテロ行為を繰り返す。
真面目に考えると呆れるばかりです。
バックグラウンドとなっている歴史考証も間違いだらけだったり、古い解釈が目立ちます。
正直、無駄にダラダラ長く全48巻+外伝4巻もあるこの作品を読むよりは、
この作品では主人公の最大の仇敵とも呼ぶべき存在となっている
藤原不比等を主人公に据えた、黒須紀一郎氏の『覇王不比等』全3巻、『役小角』全3巻を
読むほうが何倍も面白いです。
③あとがき
あとがきは旧版のものが削除され、全て新しいものへと入れ替えられています。
正直、現地の人に対して「あの山は“ふたがみやま”と呼ぶんだよな? 違う?
にじょうさん? 呆れた話だ」などと、自分の思い込みだけでこっちが呆れるような言いがかりをつけ
て
逆に読者を呆れさせた話や、おそらく栗本薫氏のグイン・サーガに対して
「私が考えたパロという地名を勝手に盗んだ作品だ」などと おかしな言いがかりをつけて
勝手に激昂していた話など、旧版あとがきは電波垂れ流しで、ある意味非常に面白かったのですが
全て削除さそれてしまったのは殘念です。
しかし相変わらずの臭いポエムであるという点は健在です。
歴史の捉え方も作品を執筆した数十年前から何も変わっておらず、ヤマトという言葉のルーツについて
、
「飛鳥は山の門に覆われているからヤマトという名前になった」などとドヤ顔で言い出したのには呆れ
ました。
今ではもう、日本民族のルーツと言えるユダヤ人が、出エジプト記の頃から自らを「ヤマト」と名乗っ
ていた事や
秦氏のルーツである弓月王国の地にヤマトの地名が今も残っている事、中央アジアの日本民族の
ルーツとなる地に点々とヤマトの名がある事から、外国由来である事は明らかなのですが…。
またあとがきには毎巻使い回しの、誰も望んでいないであろう小角のコスプレをした
作者のイラストが入っているのですが、キモいだけです。
④本のサイズ
内容の薄っぺらさに反比例して、とにかく非常にデカいです。
文字が大きく老人でもみ読みやすくなっている点は良いのですが
反面体積は旧文庫版の4倍ほどになっています。
どうしてこんなにデカくしたのでしょうか。
正直場所を取るだけで誰1人望まない仕様だと思います。
⑤価格
あらゆる面においてお粗末な出来でありながら、1700円以上という価格は
冗談としか言いようがなく、ただただ笑うしかありません。
いのまたさんのイラストで売れただけの「宇宙皇子」天上編以降、何ひとつ
ヒット作の出ない作者と出版社が、一過性のブームで集まった昔の読者を釣って
とにかく金儲けしたいだけでつけたボッタクリ価格なのでしょうが、
適正価格は100円だと思います。

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宇宙皇子 地上編 1: はるかに遠き都よ 単行本 – 2013/9/11
頭に角を持つ少年は〈宇宙皇子〉と名付けられた……累計1000万部を越える大ベストセラー、古代歴史ファンタジーの金字塔が蘇る!
- 本の長さ350ページ
- 言語日本語
- 出版社河出書房新社
- 発売日2013/9/11
- ISBN-104309911218
- ISBN-13978-4309911212
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商品の説明
著者について
1934年東京生。慶應義塾大学国文科卒。放送作家・脚本家・小説家。代表作に『ウルトラマン』『ウルトラセブン』『宇宙戦艦ヤマト』『ゴッド・マーズ』等の脚本、『紅のサザンクロス』『篁・変成秘抄』等の小説。
登録情報
- 出版社 : 河出書房新社 (2013/9/11)
- 発売日 : 2013/9/11
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 350ページ
- ISBN-10 : 4309911218
- ISBN-13 : 978-4309911212
- Amazon 売れ筋ランキング: - 854,709位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年8月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
文庫版が欲しかったがなかなか揃わずこちらを購入。新装版をなぜ文庫にしなかったのかと不満だが、内容は全く色褪せず時を経ても変わらず面白い!!
2016年8月4日に日本でレビュー済み
久しぶりに読みました。とても良かったです。宇宙皇子の世界観が見事に表現されていました。大好きな作品です。
2014年3月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
絶版となったので、今読むとしてもオークションや古本屋で探し回るしか無いのですが、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、一部は新書のみ、一部は文庫のみと形態も異なるので、本を探すのも困難な昨今です。
さて、復刻版ですが・・・正直、本の体裁としてはガッカリです。
まず、本として大きすぎます。カバンに入れて持ち歩くには大きすぎます。厚さ的には少年ジャンプ一冊分はありますので、これがシリーズ全巻揃ったときには大変な量になります。
つぎに、中身ですが、イラストがいのまたむつみさんから代わったのは仕方がないとしても、文章の下の方に挿絵を入れる部分が多々あり、個人的には気になって文章に集中できませんでした。
これであれば、旧版のKindle版を作った方が良かったのではないか?と思います。
さて、復刻版ですが・・・正直、本の体裁としてはガッカリです。
まず、本として大きすぎます。カバンに入れて持ち歩くには大きすぎます。厚さ的には少年ジャンプ一冊分はありますので、これがシリーズ全巻揃ったときには大変な量になります。
つぎに、中身ですが、イラストがいのまたむつみさんから代わったのは仕方がないとしても、文章の下の方に挿絵を入れる部分が多々あり、個人的には気になって文章に集中できませんでした。
これであれば、旧版のKindle版を作った方が良かったのではないか?と思います。
2018年6月6日に日本でレビュー済み
かつてはファンでした。
しかし作者殿は未だに「理由」を理解していないようで残念です。
<何故売れたのか?>
・いのまたむつみ氏のイラストがあったから
・ストーリーもそこそも面白かったから(天上編まで)
<何故売れなくなったのか?>
・いのまた氏がイラストが本文から無くなったから
・ストーリーがいきなり詰まらなくなったから(妖夢編以降)
これが全てです。
Webを見ると作者殿はいのまた氏にイラストを打診したようですね。断られたようですが。
それはそれで残念ですが、この装丁のイケて無さを見るに、断って正解だったのでしょう。
この大きさ、価格設定、売る気があるのでしょうか?
というか、いのまた氏に断られた時点で復刊企画は諦めるべきでした。
新しいイラストレータの方も努力されたのでしょうが、ハッキリ言って
「これは宇宙皇子ではない」
これが正直な感想です。往年のファンはこんなものを見たかったのではない。
ついでに本文についても言及しましょう。
何故妖夢編から詰まらないのか?
「皇子が成長しなくなったから」です。
かりにも帝釈天に認められた者が、地上編で既に通り過ぎた葛藤をループする
姿は何とも魅力がありませんでした。トドメは萎えるイラストです。
思い出は美しいままにしておいた方が良かったのかも知れません。
しかし作者殿は未だに「理由」を理解していないようで残念です。
<何故売れたのか?>
・いのまたむつみ氏のイラストがあったから
・ストーリーもそこそも面白かったから(天上編まで)
<何故売れなくなったのか?>
・いのまた氏がイラストが本文から無くなったから
・ストーリーがいきなり詰まらなくなったから(妖夢編以降)
これが全てです。
Webを見ると作者殿はいのまた氏にイラストを打診したようですね。断られたようですが。
それはそれで残念ですが、この装丁のイケて無さを見るに、断って正解だったのでしょう。
この大きさ、価格設定、売る気があるのでしょうか?
というか、いのまた氏に断られた時点で復刊企画は諦めるべきでした。
新しいイラストレータの方も努力されたのでしょうが、ハッキリ言って
「これは宇宙皇子ではない」
これが正直な感想です。往年のファンはこんなものを見たかったのではない。
ついでに本文についても言及しましょう。
何故妖夢編から詰まらないのか?
「皇子が成長しなくなったから」です。
かりにも帝釈天に認められた者が、地上編で既に通り過ぎた葛藤をループする
姿は何とも魅力がありませんでした。トドメは萎えるイラストです。
思い出は美しいままにしておいた方が良かったのかも知れません。