山川直人が一杯目のコーヒーを描き出したとき、ボブ・ディランを聴く人がどれだけいただろうか。
まして今日、ノーベル文学賞を受賞すると、いったい、どこの国の誰もが予想さえしなかった、と、絶対、思う。
そのディランが各コマの後ろというか、絵の底にいる。聞こえてくる。
ディランを聴きながら描いていた、と書いている。そうだろうな、と感じる。
第1巻の感動を持ったまま第2巻を開いた。
どの絵も、いい。
どの話も、いい。
ちょっと分からない、なんなんだよ、という話もある。
風邪引いちゃった、それだけのもあるが、そこにある湯たんぽも、湯たんぽの袋も、抱えて布団に入れたような肌触りがくる。
見返しの次のページ、目次の前にカラーの絵がある。
原画のサイズがわからないが、美術展に出ていたとしても不思議ではない、実にすばらしい絵だ。ゴッホ、ルオーを思う、そういう味わいだ。
今回の絵は「夜寝ない子のともだちは~」と歌っているのだろうか、集まり聴く人々がぎっしり!
この群衆が、実によいのだ。
異色作が「一枝と作之助」。
これは、作家・織田作之助と妻の一枝の物語だが、何とも言えない優しさに包まれていて、しかも優しくしているんだ、というタッチはみじんもない。
心にしみる秀作。
第4巻の絵は人物ではない。木製のテーブルに2脚の椅子。
コーヒーと灰皿、本。
いいなあ~。
テーブルに置かれたコーヒーを飲みながら、第4巻を読む気分だ、この絵の椅子に腰掛けて。
「キツネを見破る」 よく知らない人と帰る深夜。猜疑心。そして。
こんなことって、自分にもあったよな。そうだ、あのときだった、と思い出しながら読む。
描かれる女たちが可愛く、いとおしく、そしてやっぱり、男には分からない女でもある。
わかる、女ってこうなんだよな、とうなづきながら、どうしても必要なコーヒー、一杯だ。
第5巻、これで終わりです。
実は5巻揃いをプレゼントしてもらったのです。
初めて出会った作者でした。いま5冊を読み終えて、贈ってくれた友に無限大の感謝です。
「丸山丸子」その正体は。単にトリッキーである、のではない。人間性の本質を突いている。
「ありふれた場所」もいい。自分自身の思い出の場所が現れてしまい、いやもうコーヒーが欲しくなる。
「雨の日の女」この作のよさは、無口な男の心情が描けていることだ、コーヒカップを置く時の擬音に籠る気持ち。
最後に豆太や猫丸がいてくれて嬉しかった。「夜寝ない子供」も、絶対必要だった。
読み終えて終わりじゃない、これからもコーヒーと共に。
しかしなんなんだ、中扉の絵は。
BRONICA じゃないか。格好良すぎじゃないか!

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登録情報
- ASIN : B00B47IZZA
- 出版社 : エンターブレイン (2009/5/30)
- 発売日 : 2009/5/30
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