STAP騒動は一体何だったのか。
たかだかポスドクに過ぎない若い研究者の捏造劇に第一線の研究者たちが騙された,
というマスコミの筋書きは,冷静に考えると,腑に落ちるものではない。
「捏造の科学者」と「あの日」の双方を読み,
小保方氏の研究姿勢や立ち回りは,杜撰で軽率であり,脇が甘いと思ったものの,
では,この人ひとりに責任があるのかというと,さすがにそうは思えない。
それなのに,なぜ彼女だけが徹底的に糾弾されたのかという,後味の悪さのようなものを感じていた。
この本の筆者は,
問題のSTAP論文,調査委員会の報告,マスコミに対する小保方氏,若山氏,笹井氏等の発言内容,
小保方氏の博士論文,理研上級研究員の論文等を分析した上,
STAP細胞=ES細胞(つまり,STAP細胞発見は捏造であった)
という結論は,立証されていないとする。
その証拠の指摘の仕方や推論過程は,極めて説得的であり,刑事事件の事実認定の素養をお持ちなのかと思うほどである。
ここで断っておくと,筆者も,逆に「STAP細胞の実在は証明されている」と言っているわけではなく,
あくまで,「捏造は証明されていない」と言っているのである。
すなわち,小保方氏は,STAP細胞を捏造したとして,メディアにより徹底的な社会的制裁が加えられたが,
そこまで決めつけた報道をし,皆で徹底的な糾弾をするほど,捏造であることが明らかになっているのか?
ということに疑問を呈しているのが本書である。
あとがきに,この事件の特徴として
①報道の過熱ぶりと事件当事者に対する社会的制裁の過熱さ
②事件の背景にある不正の根の深さ(小保方氏一人に全責任を負わせて他をウヤムヤにする学界全体の不正体質)
③小保方氏に対する執拗な追及(組織内部に潜む激しい悪意の存在)
が挙げられているが,
全く同感である。
STAP騒動に対して同じような感想をお持ちの方は,新たな角度からの検証という意味で,
読んでみると興味深いのではないか。
ちょっと残念なのは,誤字脱字が散見されること。

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STAP細胞 残された謎 (Parade books) 単行本(ソフトカバー) – 2015/12/7
佐藤貴彦
(著)
2014年1月、STAP細胞に関する論文が
英科学誌ネイチャーに掲載された。
論文への疑義が発覚して約2年が経ち、
いまなお検証と小保方氏へのバッシングが続いている。
しかし、本当になかったのか――。
光る胎盤はどこへ行ったのか?
なぜ再現実験は失敗したのか?
矛盾した調査報告がなぜ受け入れられたのか?
様々な観点から、真相の全容に迫る。
英科学誌ネイチャーに掲載された。
論文への疑義が発覚して約2年が経ち、
いまなお検証と小保方氏へのバッシングが続いている。
しかし、本当になかったのか――。
光る胎盤はどこへ行ったのか?
なぜ再現実験は失敗したのか?
矛盾した調査報告がなぜ受け入れられたのか?
様々な観点から、真相の全容に迫る。
- 本の長さ200ページ
- 言語日本語
- 出版社パレード
- 発売日2015/12/7
- ISBN-104434212273
- ISBN-13978-4434212277
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登録情報
- 出版社 : パレード (2015/12/7)
- 発売日 : 2015/12/7
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 200ページ
- ISBN-10 : 4434212273
- ISBN-13 : 978-4434212277
- Amazon 売れ筋ランキング: - 511,383位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 72,402位ノンフィクション (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2016年4月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2017年10月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
細かい説明もあるけれど、
論点を明確にし、示すべきポイント
焦点を当てるべきポイントを
的確に示してくれる。
そこには、どっちサイドみたいな
ブレはない。
公正に、明かされている事実、
判明している証言のみをピースとして
ひとひとつ積み上げて、
完成した画をみてみたら、
ここが抜けてる!
ここがおかしい!
異常なピースがあまりに多いことに
気づかされた。
あまりに煽動されていた感が今更ながら
ぬぐえない。
この問題、まだまだ闇が深そうだ・・・
論点を明確にし、示すべきポイント
焦点を当てるべきポイントを
的確に示してくれる。
そこには、どっちサイドみたいな
ブレはない。
公正に、明かされている事実、
判明している証言のみをピースとして
ひとひとつ積み上げて、
完成した画をみてみたら、
ここが抜けてる!
ここがおかしい!
異常なピースがあまりに多いことに
気づかされた。
あまりに煽動されていた感が今更ながら
ぬぐえない。
この問題、まだまだ闇が深そうだ・・・
2016年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
他の読者のコメントにもあるようにSTAP細胞事件の謎に科学的見地から解説した書で事件の詳細を理解するのに大変参考になった。この本を読んだ後2つの気にかかることが浮かんだ。
一つめは「あの日」によると小保方氏はキメラマウスを作る一週間前にマウスを渡されSTAP細胞を作り若山氏に渡したということは小保方氏は7日間の培養を待たず渡したものと解釈した。
STAP細胞は細胞塊ができてから7日目にOCT4の発現が最高になるのでこの一週間前にマウスを渡されるのは大変重要で小保方氏は細胞塊を即刻作り若山氏に細胞塊を渡して若山氏が7日間培養してキメラマウスを作るというと理屈に合うから本当のことだと思う。
調査結果の調査委員会は混入はSTAP細胞の培養期間中と示唆しているがそれは小保方氏の手を離れた後なのでこれも小保方氏が混入犯を否定する一つの根拠になる。
二つめはSTAP幹細胞にFES1が混入した件だが調査報告の反対のケースは考えられないだろうか。つまりFES1のES細胞にSTAP幹細胞が混入した可能性だ。こう仮定すればテラトーマもキメラマウスのDNA試料の鑑定ではFES1由来と結論したが、実はテラトーマ、キメラもSTAP幹細胞FLS3由来ではないのか、その根拠として
1、2011年11月に初めてキメラが出来た際、FES1は若山研になかったので混入するわけがない
2、FL3とFES1,FES2のSNPのゲノム分布図によるとFES1とFES2は同じ同系統のマウスで同日に生まれたのに6と12染色体のDNA構成が極端に違う。調査委員会はマウス系統 の遺伝的背景に不均一性または突然 変異のためと発表 しているが著者も実験に使われるマウスは近交系マウスで99%以上同じSNPを持ったマウスであると,調査委員会の主張には疑問が残る。
ゲノム分布図では6と12染色体にFLS3とFES1は129系統ののホモがありFES2にはない。これはFLS3に突然変異があったFES1が混入したというよりFES1にFLS3が混入したと考えられるのが素人の私には自然な気がするが、そのためFL3が持っていた6と12染色体の129ホモがFES1にも現れたと。
3、 日経サイエンスによるとこのFES1とFES2は山梨大の若山研に2014年の6月に送られたと。だから調査報告の発表以前にFES1とFL3を操作することは可能。
この本は今後STAPに関する疑問が上がる毎に何度も読み返しことになるだろう
一つめは「あの日」によると小保方氏はキメラマウスを作る一週間前にマウスを渡されSTAP細胞を作り若山氏に渡したということは小保方氏は7日間の培養を待たず渡したものと解釈した。
STAP細胞は細胞塊ができてから7日目にOCT4の発現が最高になるのでこの一週間前にマウスを渡されるのは大変重要で小保方氏は細胞塊を即刻作り若山氏に細胞塊を渡して若山氏が7日間培養してキメラマウスを作るというと理屈に合うから本当のことだと思う。
調査結果の調査委員会は混入はSTAP細胞の培養期間中と示唆しているがそれは小保方氏の手を離れた後なのでこれも小保方氏が混入犯を否定する一つの根拠になる。
二つめはSTAP幹細胞にFES1が混入した件だが調査報告の反対のケースは考えられないだろうか。つまりFES1のES細胞にSTAP幹細胞が混入した可能性だ。こう仮定すればテラトーマもキメラマウスのDNA試料の鑑定ではFES1由来と結論したが、実はテラトーマ、キメラもSTAP幹細胞FLS3由来ではないのか、その根拠として
1、2011年11月に初めてキメラが出来た際、FES1は若山研になかったので混入するわけがない
2、FL3とFES1,FES2のSNPのゲノム分布図によるとFES1とFES2は同じ同系統のマウスで同日に生まれたのに6と12染色体のDNA構成が極端に違う。調査委員会はマウス系統 の遺伝的背景に不均一性または突然 変異のためと発表 しているが著者も実験に使われるマウスは近交系マウスで99%以上同じSNPを持ったマウスであると,調査委員会の主張には疑問が残る。
ゲノム分布図では6と12染色体にFLS3とFES1は129系統ののホモがありFES2にはない。これはFLS3に突然変異があったFES1が混入したというよりFES1にFLS3が混入したと考えられるのが素人の私には自然な気がするが、そのためFL3が持っていた6と12染色体の129ホモがFES1にも現れたと。
3、 日経サイエンスによるとこのFES1とFES2は山梨大の若山研に2014年の6月に送られたと。だから調査報告の発表以前にFES1とFL3を操作することは可能。
この本は今後STAPに関する疑問が上がる毎に何度も読み返しことになるだろう
2016年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今まで出た雑誌とか本もかなり読んだけれど、なんかスッキリしない納得がいかない読後感が残っていた。
原点に戻って「STAP細胞って実在するのか・」という一番大事な疑問を考えることが多かった。
あれだけ日本でもトップの学者が信じたわけで、なんにもないのに信じる??小娘のたわごとを信じて「ネーチャー」に投稿する??
自分のそれまでの功績を棒に振ってまで「ばくち」に出る??
まず常識的に小保方さん一人で企むことはどう考えても無理だと思うのが僕の見解。
では誰が企んだ????これはなかなか諸説あって暗闇の中に。
ちょっと見方を変えて彼らは本当に「見た」のではないか?という見方もありうるかなと考えた。
どうもSTAP細胞ってシャイなものらしい。
理研が再現しようとしたけれど、理研の監視された環境では何回やっても再現不可能の可能性大です。
普通そうですわ。みんなが見張っていたらシャイなSTAPさんは出てこない。
ものすごく微妙なものらしい。大体発明っていうものそういうものだと思う。
今回の騒動に関しては、やっかみ、ねたみの輩が多く、誹謗中傷の記事に本当にうんざりしてます。
くだらないマスコミにリークしている不逞の輩、ぼちぼち年貢の納め時でっせ。
この本は実に中立、公平、公正な立場で書かれており驚いている。
小保方さんはここはおかしい。
NHKはここがいい加減。理研はここが食い違ってます・・・・。若山さんもここがおかしい・・・というように皆さんの説明の矛盾を
理路整然と説明されております。今後必要なのはこういうスタンスだと思いますね。
どういう経歴のお方なのかな。
原点に戻って「STAP細胞って実在するのか・」という一番大事な疑問を考えることが多かった。
あれだけ日本でもトップの学者が信じたわけで、なんにもないのに信じる??小娘のたわごとを信じて「ネーチャー」に投稿する??
自分のそれまでの功績を棒に振ってまで「ばくち」に出る??
まず常識的に小保方さん一人で企むことはどう考えても無理だと思うのが僕の見解。
では誰が企んだ????これはなかなか諸説あって暗闇の中に。
ちょっと見方を変えて彼らは本当に「見た」のではないか?という見方もありうるかなと考えた。
どうもSTAP細胞ってシャイなものらしい。
理研が再現しようとしたけれど、理研の監視された環境では何回やっても再現不可能の可能性大です。
普通そうですわ。みんなが見張っていたらシャイなSTAPさんは出てこない。
ものすごく微妙なものらしい。大体発明っていうものそういうものだと思う。
今回の騒動に関しては、やっかみ、ねたみの輩が多く、誹謗中傷の記事に本当にうんざりしてます。
くだらないマスコミにリークしている不逞の輩、ぼちぼち年貢の納め時でっせ。
この本は実に中立、公平、公正な立場で書かれており驚いている。
小保方さんはここはおかしい。
NHKはここがいい加減。理研はここが食い違ってます・・・・。若山さんもここがおかしい・・・というように皆さんの説明の矛盾を
理路整然と説明されております。今後必要なのはこういうスタンスだと思いますね。
どういう経歴のお方なのかな。
2020年11月20日に日本でレビュー済み
佐藤貴彦さんの本です。
名古屋大学理学部卒ですから、こういう理系には強いライターさんのようです。
小保方晴子のSTAP細胞騒動を、再検討した話です。
理研の最高レベルの研究者が、オボちゃんに色目を使われたからとて、実験結果を歪めますかね。オボちゃんがいくらお間抜けだからとて、「ポカ」を連発しますかね。いくらなんでも、ちょっとおかしくね?という疑問がわくわけですね。
報道の再検討、NHKスペシャルの再検討、調査委員の再検討、遠藤高帆論文への再検討、という、とにかく再検討を繰り返していきます。
確かに、オボちゃんは研究者の最高レベルとしては、かなり杜撰な人だったけど、実験した事実はあるようです。
とにかく、この事件に関しては、かなり入り組んでいるということが、よくわかりました。わかりづらいことこの上ない。
この本では、論文不正を小保方一人に帰することは、おかしい、ということを言ってます。
論文を一つ書くために、たくさんのスタッフが関わっているわけだし、実験結果を偉い先生方がチェックしているはずで、
オボちゃんがいくら誤魔化そうとしても、誤魔化しきれないでしょ、というわけです。
となると、実は今回の論文不正って、もうそもそも生命科学って分野が、論文不正をする温床があったんじゃねえか、という。
さらに、オボちゃんに対する、マスコミの対応です。マスコミが、あまりにオボちゃんに対して「悪意」がありすぎる。
マスコミのネタ元は理研内部からのリークだから、
となると、実は理研内部に、オボちゃんに対する「悪意」があるのではないか。
解析調査の担当者の中立性や公正性が疑われたりします。
したがって、STAP細胞の再検証も疑わしい、ということになるわけです。
理研内部には小保方氏に対して敵意を抱く人物が複数いる確実と思われるが、それでは、なぜこの人物は小保方氏に対して敵意を抱くのだろうか。その理由として考えられるものをいくつか挙げると、
(1)笹井氏・竹市氏らをはじめとする理研上層部が小保方氏を囲い込み、寵愛したため、それが彼らの激しい嫉妬をかった。
(2)万一、STAPが本物なら世紀の大発見であるため、巨額の予算と報酬が小保方氏らに集中する。自分たちはその栄誉の陰で片隅に押しやられるという不安。
(3)そうしたところに論文不正が発覚したため、「なぜあんな奴をチヤホヤするのか」「あんな奴に手柄をたてさせてたまるか」「許せない」といった憤りが募っていった。
これらのことを理研内部の不正・腐敗に対する有志の義憤とみなす向きもあったようだが、しかし、小保方氏に対する追及が度を越していること、そしてリークされた内容が偏向し歪んだものであることを考えると、これはやはり悪意に近いものと解する以外にないように思われる。(101~102㌻)
もちろん、STAP細胞は再現できなかったし、オボちゃんにも研究者として未熟な面はあった、というのは事実。
「STAP細胞はありましたぁ」とは、そうは問屋はおろさない。
とはいえ、すべて「オボちゃんが捏造した」という物語には吸収できないでしょ、という内容の本でした。
うーん、ただ、やはり、オボちゃんが再現実験できないってことに、すべて帰結しちゃうんですよね。
ホントにSTAP細胞があったとするなら、どこかで再現実験が完璧に成功しているはずだし……。
理系って、「結果が全て」「数字ですべて割り切れる」という、さっぱりした世界というイメージでしたが、意外と、「実は曖昧」「割り切れないこともありうる」という、思いっきり文系チックな世界だよなぁ、と感じました。
「悪意」とか、足を引っ張る奴がいたりするところが、もろ文系。(笑)
名古屋大学理学部卒ですから、こういう理系には強いライターさんのようです。
小保方晴子のSTAP細胞騒動を、再検討した話です。
理研の最高レベルの研究者が、オボちゃんに色目を使われたからとて、実験結果を歪めますかね。オボちゃんがいくらお間抜けだからとて、「ポカ」を連発しますかね。いくらなんでも、ちょっとおかしくね?という疑問がわくわけですね。
報道の再検討、NHKスペシャルの再検討、調査委員の再検討、遠藤高帆論文への再検討、という、とにかく再検討を繰り返していきます。
確かに、オボちゃんは研究者の最高レベルとしては、かなり杜撰な人だったけど、実験した事実はあるようです。
とにかく、この事件に関しては、かなり入り組んでいるということが、よくわかりました。わかりづらいことこの上ない。
この本では、論文不正を小保方一人に帰することは、おかしい、ということを言ってます。
論文を一つ書くために、たくさんのスタッフが関わっているわけだし、実験結果を偉い先生方がチェックしているはずで、
オボちゃんがいくら誤魔化そうとしても、誤魔化しきれないでしょ、というわけです。
となると、実は今回の論文不正って、もうそもそも生命科学って分野が、論文不正をする温床があったんじゃねえか、という。
さらに、オボちゃんに対する、マスコミの対応です。マスコミが、あまりにオボちゃんに対して「悪意」がありすぎる。
マスコミのネタ元は理研内部からのリークだから、
となると、実は理研内部に、オボちゃんに対する「悪意」があるのではないか。
解析調査の担当者の中立性や公正性が疑われたりします。
したがって、STAP細胞の再検証も疑わしい、ということになるわけです。
理研内部には小保方氏に対して敵意を抱く人物が複数いる確実と思われるが、それでは、なぜこの人物は小保方氏に対して敵意を抱くのだろうか。その理由として考えられるものをいくつか挙げると、
(1)笹井氏・竹市氏らをはじめとする理研上層部が小保方氏を囲い込み、寵愛したため、それが彼らの激しい嫉妬をかった。
(2)万一、STAPが本物なら世紀の大発見であるため、巨額の予算と報酬が小保方氏らに集中する。自分たちはその栄誉の陰で片隅に押しやられるという不安。
(3)そうしたところに論文不正が発覚したため、「なぜあんな奴をチヤホヤするのか」「あんな奴に手柄をたてさせてたまるか」「許せない」といった憤りが募っていった。
これらのことを理研内部の不正・腐敗に対する有志の義憤とみなす向きもあったようだが、しかし、小保方氏に対する追及が度を越していること、そしてリークされた内容が偏向し歪んだものであることを考えると、これはやはり悪意に近いものと解する以外にないように思われる。(101~102㌻)
もちろん、STAP細胞は再現できなかったし、オボちゃんにも研究者として未熟な面はあった、というのは事実。
「STAP細胞はありましたぁ」とは、そうは問屋はおろさない。
とはいえ、すべて「オボちゃんが捏造した」という物語には吸収できないでしょ、という内容の本でした。
うーん、ただ、やはり、オボちゃんが再現実験できないってことに、すべて帰結しちゃうんですよね。
ホントにSTAP細胞があったとするなら、どこかで再現実験が完璧に成功しているはずだし……。
理系って、「結果が全て」「数字ですべて割り切れる」という、さっぱりした世界というイメージでしたが、意外と、「実は曖昧」「割り切れないこともありうる」という、思いっきり文系チックな世界だよなぁ、と感じました。
「悪意」とか、足を引っ張る奴がいたりするところが、もろ文系。(笑)
2019年12月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ページ数はそれ程でもないが、この分野の専門的知識の全く無い私には読み切れない内容がビッシリ。但し、小保方嬢並びに彼女の論文や実験についての批判に対して一つ一つ論理的且つ丁寧に解説をして反証している姿勢は大変好感が持て説得力抜群。彼女には早く復活してもらい是非ともSTAP細胞を極めてもらいたい。