新聞で、お母さんとの確執と、昔は押し付けられたような作風に悩んだことを書かれとったけど、エポさんの曲を聴くと、全く逆で、人間性の解放を感じます。内的な苦悩を超えたところに、突き抜けた安らぎがあるんかもしれんですなあ。レナード・バーンスタインが、マーラーやブラームスを指揮する時に見せた人間性の解放いうんでしょうか、エポさんには強いヒューマニズムを感じます。
「Friend」、昔の「音楽のような風」に通じる心を解きほぐす魔法が含まれとります。ベスト盤のレビューでも書きましたけど、マーラーの交響曲群(バーンスタイン指揮など)やベートーヴェンの中〜後期の弦楽四重奏曲(スメタナ四重奏団など)に通じる、心を解きほぐす要素ですなあ。
わての子供に聴かせたい、「海の中で泣いたなら」と「兵隊さんが泣いた」のメルヘン的な、素朴な純粋な世界。
ジャズの「Take five」のコード進行をもじった「苦きは言葉の毒なり」。ボレロをもじったショスタコヴィッチの第七交響曲と同じ境地を感じて、あっぱれですわな。ジャズクラリネットもええ。80年代の曲調からジャズ調に転調する「いとしなみだ」もおもろい。
オリエンタルなコード進行の「夢の後についていく」、コーラスが暖かく深い共感がもてる「希望のバスに乗って」、優しい曲調になぜか地球環境保護を考えてしまう「となりに小さな席をあけて」、爽やかなフルートとコーラスが印象的な「Dance」、澄み渡ったピアノの音がECMの1970年代のキース・ジャレット(Staircase等)を彷彿させて爽やかな「Sanctuary」は、後半パーカッションにより民族的なアレンジとなるところが、1960年代後半のマイルス・デイヴィスの「Bitches Brew」に負けんくらい創造的じゃ。どこをとっても、実に心豊かなアルバムですなあ