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線型代数入門 (基礎数学) 単行本 – 1966/3/31

4.3 5つ星のうち4.3 231個の評価

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刊行から50年、版を重ね続ける超ロングセラー・テキスト

※初版1966年、2018年8月時点で62刷・累計33万部超

線型代数の最も標準的なテキスト。平面および空間のベクトル、行列、行列式、線型空間、固有値と固有ベクトルなど7章のほか、附録をつけ線型代数の技術が習熟できる。各章末に演習問題があり、巻末に略解を付す。日本数学会出版賞受賞。


【主要目次】
はじめに
まえがき

第1章 平面および空間のベクトル
§1. 平面および空間のベクトル
§2. 直線と平面
§3. 平面の回転と行列.線型変換
§4. 三次行列とV³の線型変換
§5. 行列式およびベクトル積
問題

第2章 行列
§1. 行列の定義と演算
§2. 正方行列とくに正則行列
§3. 行列と線型写像
§4. 行列の基本変形.階数
§5. 一次方程式系
§6. 内積とユニタリ行列・直交行列
§7. 合同変換
問題

第3章 行列式
§1. 置換
§2. 行列式
§3. 行列式の展開
問題

第4章 線型空間
§1. 集合と写像
§2. 線型空間
§3. 基底および次元
§4. 線型部分空間
§5. 線型写像とくに線型変換
§6. 計量線型空間
問題

第5章 固有値と固有ベクトル
§1. 固有値と特性根
§2. ユニタリ空間の正規変換
§3. 実計量空間の対称変換
§4. 二次形式
§5. 二次曲線および二次曲面
§6. 直交変換とくに三次元空間の回転
問題

第6章 単因子およびジョルダンの標準形
§1. 単因子
§2. ジョルダンの標準形
§3. 最小多項式
問題

第7章 ベクトルおよび行列の解析的取扱い
§1. ベクトル値ないし行列値函数の微積分
§2. 行列の冪級数
§3. 非負行列
問題

附録I 多項式
§1. 一変数多項式
§2. 代数方程式.代数学の基本定理
§3. 多変数多項式
問題

附録II ユークリッド幾何学の公理
問題

附録III 群および体の公理
§1. 群の公理
§2. 体の公理
§3. 実数体の構成
§4. 複素数体の構成
問題

あとがき
問題略解
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著者について

齋藤正彦(さいとう・まさひこ)
東京大学名誉教授。
1931年、東京に生まれる。1954年、東京大学理学部数学科卒業。1960年、パリ大学理学博士。1962年、東京大学助教授(教養学部)。1974年、同教授。1992年、放送大学教授。1997年、湘南国際女子短期大学学長(2003年まで)。2006年度日本数学会出版賞を本書によって受賞。
著書に、『超積と超準解析』(東京図書、1976)、『線型代数演習』(東京大学出版会、1985)、『数学の基礎――集合・数・位相』(東京大学出版会、2002)、『はじめての群論』(制作・亀書房/発行・日本評論社、2005)、『斎藤正彦 微分積分学』(東京図書、2006)、『数のコスモロジー』(ちくま学芸文庫、2007)、『日本語から記号論理へ』(制作・亀書房/発行・日本評論社、2010)などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 東京大学出版会 (1966/3/31)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1966/3/31
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 292ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4130620010
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4130620017
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 231個の評価

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斎藤 正彦
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理論線型代数入門・先々の数学を見越した本 線型空間の具体例が豊富
5 星
理論線型代数入門・先々の数学を見越した本 線型空間の具体例が豊富
昔から度々参考にされている. その理由は少しずつ話していきたい. また, このレビューや画像で多少行間を埋めているので, ご参考にされたい.この本では太文字を集合や線型空間に使い, 行列や写像は普通の文字で書いているところが個性的である.「明らか」でないとか, 説明が短くて, 分かりにくい所も有る. 紙面に書き込んで考えないと理解できないことも有る. 初学者向けではないかもしれない.しかし, そうすると多い必須事項を1冊にまとめられる. 「本文に無い論理を補う」「本文を助言として他に考える」「著者とは別の発想で理解する」ことで得られる数学的思考力は, 数学を学び研究していく上で必須になる. これらもいずれ楽しくなる. 無理数や不等式の概念が存在不可能なこと, ベン図による集合と論理の循環論法があり, 実は多く有る集合の例を集合と明記しないこと, などの論理的危険性に満ちた教育数学を考えると, 本当の数学への架け橋として候補に入れるのもいい.私はこの本で理論線型代数の基本を納得して, 専門書に慣れた面がある. かつての私のように, 初級者には専門書への入門としてもいいと思う.○ 著者が言う「入門」とは「私からすると内容は多すぎず線型代数の入門程度である」という意味であろう. 確かに佐武「線型代数学」や足助太郎氏の本よりは内容は平易で少なくて, 必要最低限は書かれてあり, その意味で比較的読みやすいと感じた. いくつかは飛ばしてもよい旨が前書きにある.著者は, 当時は時代の流れで少なかった線型代数の本について, 前書きで「線型代数の入門書は, 数学的な考え方に慣れさせ, 現代数学の構造の理解を深めさせると同時に, 線型代数に固有の技術を身につけさせるものでなければならない」と宣言して, この本を書いたようだ. 確かに行列を発見的に定義して, 予備知識としては初学から読めるが, 薄い本に多くが詰め込まれているから, 今の時代にとっては「予備経験」を積ませて上級者になるために向けていることを前提としている.しかし当時は線型代数の入門書は「これしかなかった」のだ. 高木「解析概論」や伊藤「ルベーグ積分入門」も同じ背景がある. しかも, 2次正方行列の四則演算と連立1次方程式および行列の表す線型変換が, 高校数学で学ぶとは限らないこと(複素平面と交代していること)にも配慮している. (私も高校生時代に古い何冊かの参考書で確かめた. )それで昔から語り継がれてきた. 幾多の人々が本書で学んで思い出が生まれ, 自然に高い評価が付いているのだろう.☆ 第1章で2次元や3次元の高校数学程度の幾何ベクトルと行列を図説している. 受験数学のベクトルではなく幾何学のベクトルであり, 例や問は解法理論の問題ではなく, 数学で意味を持つ難しくないものである.2次元や3次元の幾何ベクトルの正射影は, 正規直交化や正規変換のスペクトル分解の意味を理解するために欠かせない. これら全てが同時に有る本は他にないだろう. 実は無限次元計量線型空間の直和分解の意味と証明の理解にもつながる. 特に3次元の幾何ベクトルの正射影は, 他の本で見たことはない.2次や3次のベクトルと行列と行列式を幾何的な意味と面積や体積(すなわち測度)の意味で理解するのは, n次元の場合と, 線型独立性の幾何的または測度的な理解, 重積分のヤコビアンによる変数変換の測度的理解に必須である. 変数変換の公式の証明は精確な証明が簡単ではないのだが, 2変数と3変数の場合は本書の意味を込めて考えると納得がいく. しかも, 行列式を他の本よりも最低限だけに絞り短くまとめている. 煩わしい概念の説明が煩わしく感じなかった.私の2009年5月からの研究成果では, 全ての(この本なら行列式の章の章末問題にある)巡回行列は行の入れ替えで対称行列に変形できる. すると, 逆向きの対角線に1行n列目の成分が並び, 1行1列目を未知数とする巡回行列の行列式で表現されている代数方程式は, 行列を対称行列に変形して, その行列式を展開すれば, 新たな形の二次方程式の解の公式, 新たな形の三次方程式の解の公式, 新たな形の公式と四次方程式の解法, が得られる. ブログ参照. なお代数方程式については解析的解法もある. 安藤「理系数学サマリー 高校・大学数学復習帳」を参照されたい.☆ (昔は線状空間とも呼ばれた)線型空間の例が「これ以上は無いのではないか」と思うほど多く挙げられている. 他には確率空間における確率変数の成す集合があり, 期待値を対応させる写像は線型写像である. 漸化式や微分方程式の, 解法の背景を述べているのは味わいがある.なお, (k+1)項間定数係数線型漸化式 x_(n+k)+(a_(k-1))(x_(n+k-1))+…+(a_1)(x_(n-1))+(a_0)(x_n)=0 (a_0≠0, n=0, 1, 2, 3, …) により, 一般項 x_n が定められる数列 {x_n} の成す線型空間Sと, 与えられたxの関数yを i 回微分して(0≦i≦k-1)できるyの導関数 y^(i) (y^(0)=y)に, xの関数( a_0 は恒等的に0ではないとする) a_i とy^(i)をかけて足してできる新しい関数 y^(k)+(a_(k-1))(x)y^(k-1)+…+(a_1)(x)y'+(a_0)(x)y を対応させる線型写像 D による, 微分方程式 Dy=0 の解の成す線型空間Fの次元が, 共にkであること, Sについては項を先へ1項ずらす線型変換 T:{x_n} → {x_(n+1)} の, Fについては定数係数とした場合の線型変換 D':y→y' の(実は両者は同じ)表現行列の求め方を, 本文より分かりやすく考えることができた. 理論的に重要なので後に紹介しておく.線型写像T:V→V'の像T(V)={ y | y∈V' , 或るx∈Vに対してy=Tx}={ Tx | x∈V}がV'の線型空間であること:任意のy_1, y_2∈T(V)に対して, 或るx_1, x_2∈Vが存在して, y_1=Tx_1, y_2=Tx_2, よってa, b∈Kに対してay_1+by_2=T(ax_1+bx_2)∈T(V).T^(-1)(o')={ x | x∈V, Tx=o' }がVの線型空間であること:x_1, x_2∈T^(-1)(o')ならばT(ax_1+bx_2)=aTx_1+bTx_2=ao'+bo'=o'ゆえにax_1+bx_2∈T^(-1)(o')だからである.そして142頁の「(n次元)ユニタリ空間Vの正規変換Tの相異なる固有値に対する固有ベクトルは互いに直交する. β_1, β_2, … , β_kをTの相異なる固有値として, W_1, W_2, … , W_kを対応する固有空間とすれば, それらは互いに直交して, VはW_1, W_2, … , W_kの直和である」という定理の証明がヒント程度だが, 証明したので下に書いておいた.☆ 線型空間の基底を「その線型空間を張る順序づけられたベクトルの集合」と明確かつ正当に定義している. これは後に述べる上記定理の証明や関数解析に整合性がある(無限個なら線型結合の極限だから).☆ 有限次元と仮定して, 線型空間の次元が1通りに定まることの連立1次方程式を使わない証明もあり, 連立1次方程式が無くても線型空間論を展開できるようにしている. 「座標系によらない理論を作る」ためである. 多様体論と同じく数学の理論の座標系からの独立は, 数理物理学でも重要である. この命題は他の本に無い.しかし, 連立1次方程式による証明では, 第1段と第2段のmとnは別物であり, 第1段の結論を対偶にしてから同じmとnで再論しなければならない. n個より多くm(>n)個のベクトルが線型従属だからm(≦n)個のベクトルは線型独立である, と結論できるから, 「mとnを入れ替えて第1段と同じ論法によりm個より多くn(>m)個のベクトルも線型従属, ゆえにn(≦m)個のベクトルは線型独立である. これらからm=nが従う」ことを示すのと「m≦nにおいて『m<n』ではなくm=nである」ことを示すのは同じことである. こうすれば第1段と同じ意味の記号で表記されたmとnで証明したことになる. 他書はこの論法のようである.☆ 線型写像の表現行列や, 基底の変換, 基底の変換による線形写像の表現行列の変化の説明に, 写像の図式を用いていて視覚的にも分かり易い. 言葉だけだと伝わりにくい内容を視覚化しているのはこの部分だけではないが, 写像の図式を載せている線型代数の入門書の中で和書としては, この本が最初である. この意味でも名著と呼ばれている.☆ 本文にはないが, 確率行列と, ベクトル(特に関数)に数値を対応させる線型写像の成す線型空間である双対空間と, 或る意味でひとつの部分空間と同値な部分集合の成す線型空間である商空間を, 短くまとめている. 双対空間と商空間は実解析と関数解析において重要で, 実解析では, 斉次ベゾフ空間と斉次トリーベル-リゾルキン空間の定義のために両方が同時に表れる(澤野「べゾフ空間論」, 小川「非線型発展方程式の実解析的方法」参照). 微分幾何においても線型空間のテンソル積がテンソル場やベクトル束や接続などで重要で, その構成に双対空間または商空間の概念が用いられる. また線型空間のテンソル積は代数学において加群のテンソル積の理解の補助になる(藤岡「手を動かしてまなぶ 続・線形代数」, 村上「多様体 第2版」, 小林「接続の微分幾何とゲージ理論」参照).☆ この本で正規変換のスペクトル分解と正則線型変換の極分解まで読めば, 量子力学の基礎であり数理経済学にも応用があって, 偏微分方程式論で不可欠な関数解析の線型代数が由来の部分は理解しやすい. この本で, 谷島「ルベーグ積分と関数解析」の旧版と新版における内容の誤りや有限次元の場合との類似に気づくことができた.かつて, 双対空間と商空間とスペクトル分解の全てについて書かれた絶版でない本は, 私が読んだ範囲では, この本と佐武「線型代数学」と足助「線型代数学」しかなかった. 今では, 「手を動かしてまなぶ 続・線形代数」もあるが, これらの中では難易度としても分量としても最も読みやすい.関数解析のスペクトル分解は, 無限和であっても同様な式で表わされるが, ルベーグ-スティルチェス積分でも表される. 数え上げ測度によるルベーグ積分(=和)の場合を例として知っておけば理解しやすい. スペクトル分解は量子力学にも応用がある. スペクトル分解は正規直交化と同じ図で説明できる. 自己共役でコンパクトな線型変換は無限和により, 一般にはスペクトル測度による積分により, 分解される. 計量線型空間Vの線型変換Tを固有値 λ_i と固有ベクトル u_i から成る正規直交基底〈u_1, … ,u_n〉で展開 Tx=Σ_i λ_i(x, u_i)u_i したときに, 自然に射影子 P_i:V∋x→(P_i)x=(u, u_i)u_i∈W_i が含まれている. ゆえに線型変換Tのスペクトル分解 T=Σ_i λ_i P_i . これは, Tx=Σ_i c_i u_i とすると λ_i x=Σ_i c_i u_i でありj≠iならば(u_j, u_i)=0 だから各iに対してu_iを右から内積させて λ_i(x, u_i)=c_i となることによる.ちなみにかつての大学入試や数検準1級では行列の対角化やスペクトル分解を材料にした問題が何度か出題されていた.△ ジョルダン標準形の単因子による説明は, 著者自身が分かりにくさを認めていているが, 多項式の整除性は代数学やそれを用いる多変数複素解析で大切だから, 数学徒には悪くない. しかしジョルダン標準形の部分だけ, 別の本や資料で学ぶのもいいと思う. 計算方法だけなら簡単である. 代数学については, 例えば, 堀田「代数入門 群と加群」, 多変数複素解析については, 例えば, 倉田「多変数複素関数論を学ぶ」参照.☆ ベクトルおよび行列の解析的取扱いは, 微分幾何, 微分方程式, 位相空間, 関数解析へとつながる.☆ 付録に有る, ユークリッド幾何の公理系, 実数体Rと複素数体 C の構成は参考になる. ここまで書いてある本は他にない. ここだけでも読む価値は高い. Rの構成を読む補助は後に紹介しておきたい. Rの構成や, 本文にもある, 集合Aの同値関係〜によるx∈Aの類[x]={ y | y∈A, y〜x}と商集合A/〜={ [x] | x∈A}および写像T:A→BのA'⊆Aへの制限T_A':A'∋x→T(x)∈T(A)も含めて, 松坂「集合・位相入門」, 森田「集合・位相に親しむ」, 庄田「集合と位相空間」も参考になる. これ(ら)と同時並行で数学に慣れるのも得策だろう. そもそも線型代数や微分積分は集合論を学びながら学ぶことが前提となっているだろう.そして, この本や佐武氏の本でもそうだが, 多くの本では, 線型空間の公理系で, 零ベクトルoや逆ベクトルの一意性を仮定することがある. しかし実は公理系だけから両方とも存在すれば一意的であることがすぐに分かる:o, o'が零ベクトルならばo=o+o' (o'は零ベクトルだから)=o'+o (交換法則)=o' (oは零ベクトルだから);xに対してx'とx''がxの逆ベクトルならばx'=x'+o (oは零ベクトルだから)=x'+(x+x'') (o=x+x''だから)=(x'+x)+x'' (結合法則)=o+x'' (x'はxの逆ベクトルだから)=x''+o (交換法則)=x'' .また, 部分空間Sの定義で線型演算の可能性を保証する「o∈S」または「Sは空集合でない」が明記されていないときもある. この本では部分空間は空でないと明記している. Sが空でなければx∈Sが存在し, ゆえに, -x∈Sだからo=x+(-x)∈S. 逆にo∈SならばSには元oが存在するからSは空でない.(かつての私のように)もっと初級者向けの本を読みたいと感じたら, 例えば, 岩波の「キーポイント 線形代数」, 宮腰「高校数学+α なっとくの線形代数」が助けになる.著者により, 行列の階数の5つの定義が矛盾なく両立している(行列の階数の5つの定義がwell-difinedである)ことが証明され, それにより基本変形を核にして連立1次方程式の理論と解法を同時に述べているのは, 当時にとっては画期的で, その後の線型代数の本はこの本を手本とされたので, その意味でも名著と呼ばれている.線型代数の本を読む時に便利な方法を紹介したい.線型空間Uの基底(base, basis)BとはUに含まれる線型独立な元の順序を考慮した集合(または組あるいは列)でUの任意の元はBの元(Bの成分あるいはBの各々のベクトル)の線型結合で表わされることをいう.基底B=〈v_1, v_2, …, v_n〉 とBの元を横に並べてできる行列もどき (v_1, v_2, …, v_n) を同じ記号Bで表わし同一視すると,Gの元 g_1, g_2, …, g_k の定数 x_1, x_2, …, x_k による線型結合は内積もどきでx_1 g_1 + x_2 g_2 + … + x_k g_k =Gxと考えることができる.行列P=(p_ij)による基底の取り換えE→Fは行列の積もどきと f_j=Σ_[i:1→n] p_ij e_i より形式的にF=(f_1 … f_j … f_n)=(e_1 … e_i … e_n)(p_ij)すなわちF=EPと表わされ,Eを基底とする線型空間VからFを基底とする線型空間Wへの線形写像Tの表現行列A=(a_ij)に対して, TE=(Te_1 Te_2 … Te_n) と定義すると, 行列の積もどきと Te_j=Σ_[ i:1→m] a_ij f_i から形式的にTE=(Te_1 … Te_j … Te_n)=(f_1 … f_i … f_m)(a_ij)すなわちTE=FAであり,Tの線型性T(x_1 g_1 + x_2 g_2 + … + x_k g_k) = x_1 Tg_1 + x_2 Tg_2 + … + x_k Tg_k = T(Gx) = (TG)xと見なすことができる.これを使うと線型代数の本は読みやすく解きやすくなる. (具体例の計算では両辺を転置することがある:縦に並べて i と j を入れ換える. )数列空間Sの元{x_n}の第n項 x_n は, 漸化式にn=0, 1, 2, 3, …を代入して, x_(n+k)について解くと, 最初のk項x_0, x_2, … , x_(k-1)を定めれば, x_(n+k)は適当なk個の数列の線型結合の項であることから分かる.{x_n}=(c_0)y_0+…+(c_(k-1))y_(k-1)と表示するためには, 数列 y_0={1, 0, 0, …}, … , y_i={0, 0, … , 0, 1(i番目), 0, 0, …}, … ,y_(k-1)={0, 0, … , 0, 1(k-1番目), −a_(k−1), …} (k番目以降は漸化式から定まる)をy_i (0≦i≦k-1)とすると最も簡単であり, 例えばE=〈 y_0, y_1, … ,y_(k−1) 〉がSの基底となる. ゆえにSの次元はkである.Fの次元もkであることについて. 本文にもあるように, 与えられた実数 b_0, b_1, … ,b_(k-1) に対してy^(i)の値を (y^(i))(0)=b_i と定めることができる解yが一意的に存在する. そこで関数f_i (i=0, 1, …, k−1)を((f_i)^(j))(0)=δ_ijを満たす解と定める.Dの線型性により定数 c_i を与えたとき Σ_i c_i f_i もDy=0の解であり, Σ_i c_i f_i =0 とすると(f_i)^(j)(0)=δ_ijよりc_i=0が得られるから, f_i (i=0, 1, …, k−1)は線型独立である. 解yの一意性よりyはf_iの線型結合として或るc_iを用いてy=Σ_i c_i f_iと表されるから, Fの次元もkである.ちなみに偏微分方程式の解の空間は無限次元空間である.1項先へずらす線型変換T:{x_n} → {x_(n+1)}の表現行列Aは, 上の基底を取ることによる同型対応(114頁参照)S≅ℝ^k:{x_n}→(x_0, x_1, …, x_(k−1))^tを用いるとT({x_0, x_1, …, x_(k−1), …})={x_1, x_2, … , x_(k-1), x_k, …}={x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_(k-1))(x_(k-1))-…-(a_1)(x_1)-(a_0)(x_0), …}={x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_0)(x_0)-(a_1)(x_1)-…-(a_(k-1))(x_(k-1)), …}←→ (x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_0)(x_0)-(a_1)(x_1)-…-(a_(k-1))(x_(k-1)))^t(同型対応による同一視)=A(x_0, x_1, …, x_(k−1))^tから本文のTの表現行列Aが現れる.関数空間Fの場合も(定数係数の場合の)Dy=0の解(空間の元)yを用意して {x_n} をyに変えて, 同型対応ker(D)∋y→(y(0), y'(0), …, y^(k−1)(0))∈ℝ^kを考えればよい. するとD':y→y' の, 上と同じ表現行列A(対角成分は全て0, 1列目とk列目以外の対角成分0の上の成分は全て1, k行目は(-(a_0) -(a_1) … -(a_(k-1)))でありこれら以外の成分は全て0の行列)が得られる.これらの同じ表現行列は, 数学の応用分野でコンパニオン行列と呼ばれている.142頁にある上述の定理の証明.Vの, Tの固有ベクトルから成る正規直交基底を([1.2]と[2.4]より確かに存在する)E=〈e_1, e_2, … , e_n〉とする. Tの全ての固有値 β_1, β_2, … , β_k (1≦∃k≦n)の各々に対応する固有ベクトルは, 1≦i≦kに対してa(i)個あるとしておく. β_i (1≦i≦k)に対応するTの固有ベクトル e_iℓ (1≦ℓ≦a(i))から成るVのベクトルの集合をB=〈e_11 , e_12 , … , e_1a(1) , e_21 , e_22 , … , e_2a(2) , … , e_k1 , e_k2 , … , e_ka(k) 〉=∪_(i=1, 2, … ,k) 〈 e_i1 , e_i2 , … , e_ia(i) 〉=∪_(i=1, 2, … ,k)B(i)とする. B⊆E, かつ, Eの任意の固有ベクトルは或るB(i)に属するゆえE⊆B, だからB=E.EがVの正規直交基底だから, β_i に対応する固有ベクトル e_i1 , e_i2 , … , e_ia(i) から張られる部分空間 W_i の基底B(i)⊆Eは W_i の正規直交基底である. また, i≠jならばB(i)∩B(j)=∅であるからVは W_i の直交直和:V=Σ_(i=1, 2, … ,k)W_i ,i≠j ⇒ W_i ⊥ W_jとなる.W_i={ c_i1 e_i1 + c_i2 e_i2 + … + c_ia(i) e_ia(i)| c_i1, … , c_ia(i):定数 }.これで証明できた. この定理は正規変換(コンパクトな自己共役作用素)のスペクトル分解の根底である.実数の有理数からの構成では { |a_m -a_n| }_(m∈N) がコーシー列(∈A)であることを, 複素解析以外では必ずしも周知されていない三角不等式| |a|-|b| |≦|a-b|を既知として説明している.これは「 |a|=|(a-b)+b|≦|a-b|+|b|, |b|=|(a-b)+(-a)|≦|a-b|+|a| ∴ |a|-|b|≦|a-b|, |b|-|a|≦|a-b| 」または「|a|-|b|≦|a+b| においてbに-bを代入して |a|-|b|≦|a-b|, aとbを入れ変えて |b|-|a|≦|b-a|=|a-b|」による.ついでに, よく知られているほうの三角不等式|a+b|≦|a|+|b|と合わせると, 解析学でも便利な三角不等式| |a|-|b| |≦|a±b|≦|a|+|b|が得られる.本書を読む時や線型代数を学ぶ時に参考になれば幸いです. 読んでいただきありがとうございました.(2022年12月19日最終推敲. ブログも参照されたい. )
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上位レビュー、対象国: 日本

2022年2月18日に日本でレビュー済み
昔から度々参考にされている. その理由は少しずつ話していきたい. また, このレビューや画像で多少行間を埋めているので, ご参考にされたい.

この本では太文字を集合や線型空間に使い, 行列や写像は普通の文字で書いているところが個性的である.

「明らか」でないとか, 説明が短くて, 分かりにくい所も有る. 紙面に書き込んで考えないと理解できないことも有る. 初学者向けではないかもしれない.

しかし, そうすると多い必須事項を1冊にまとめられる. 「本文に無い論理を補う」「本文を助言として他に考える」「著者とは別の発想で理解する」ことで得られる数学的思考力は, 数学を学び研究していく上で必須になる. これらもいずれ楽しくなる. 無理数や不等式の概念が存在不可能なこと, ベン図による集合と論理の循環論法があり, 実は多く有る集合の例を集合と明記しないこと, などの論理的危険性に満ちた教育数学を考えると, 本当の数学への架け橋として候補に入れるのもいい.

私はこの本で理論線型代数の基本を納得して, 専門書に慣れた面がある. かつての私のように, 初級者には専門書への入門としてもいいと思う.

○ 著者が言う「入門」とは「私からすると内容は多すぎず線型代数の入門程度である」という意味であろう. 確かに佐武「線型代数学」や足助太郎氏の本よりは内容は平易で少なくて, 必要最低限は書かれてあり, その意味で比較的読みやすいと感じた. いくつかは飛ばしてもよい旨が前書きにある.

著者は, 当時は時代の流れで少なかった線型代数の本について, 前書きで「線型代数の入門書は, 数学的な考え方に慣れさせ, 現代数学の構造の理解を深めさせると同時に, 線型代数に固有の技術を身につけさせるものでなければならない」と宣言して, この本を書いたようだ. 確かに行列を発見的に定義して, 予備知識としては初学から読めるが, 薄い本に多くが詰め込まれているから, 今の時代にとっては「予備経験」を積ませて上級者になるために向けていることを前提としている.

しかし当時は線型代数の入門書は「これしかなかった」のだ. 高木「
解析概論 」や伊藤「 ルベーグ積分入門 」も同じ背景がある. しかも, 2次正方行列の四則演算と連立1次方程式および行列の表す線型変換が, 高校数学で学ぶとは限らないこと(複素平面と交代していること)にも配慮している. (私も高校生時代に古い何冊かの参考書で確かめた. )

それで昔から語り継がれてきた. 幾多の人々が本書で学んで思い出が生まれ, 自然に高い評価が付いているのだろう.

☆ 第1章で2次元や3次元の高校数学程度の幾何ベクトルと行列を図説している. 受験数学のベクトルではなく幾何学のベクトルであり, 例や問は解法理論の問題ではなく, 数学で意味を持つ難しくないものである.

2次元や3次元の幾何ベクトルの正射影は, 正規直交化や正規変換のスペクトル分解の意味を理解するために欠かせない. これら全てが同時に有る本は他にないだろう. 実は無限次元計量線型空間の直和分解の意味と証明の理解にもつながる. 特に3次元の幾何ベクトルの正射影は, 他の本で見たことはない.

2次や3次のベクトルと行列と行列式を幾何的な意味と面積や体積(すなわち測度)の意味で理解するのは, n次元の場合と, 線型独立性の幾何的または測度的な理解, 重積分のヤコビアンによる変数変換の測度的理解に必須である. 変数変換の公式の証明は精確な証明が簡単ではないのだが, 2変数と3変数の場合は本書の意味を込めて考えると納得がいく. しかも, 行列式を他の本よりも最低限だけに絞り短くまとめている. 煩わしい概念の説明が煩わしく感じなかった.

私の2009年5月からの研究成果では, 全ての(この本なら行列式の章の章末問題にある)巡回行列は行の入れ替えで対称行列に変形できる. すると, 逆向きの対角線に1行n列目の成分が並び, 1行1列目を未知数とする巡回行列の行列式で表現されている代数方程式は, 行列を対称行列に変形して, その行列式を展開すれば, 新たな形の二次方程式の解の公式, 新たな形の三次方程式の解の公式, 新たな形の公式と四次方程式の解法, が得られる. ブログ参照. なお代数方程式については解析的解法もある. 安藤「
理系数学サマリー 高校・大学数学復習帳 」を参照されたい.

☆ (昔は線状空間とも呼ばれた)線型空間の例が「これ以上は無いのではないか」と思うほど多く挙げられている. 他には確率空間における確率変数の成す集合があり, 期待値を対応させる写像は線型写像である. 漸化式や微分方程式の, 解法の背景を述べているのは味わいがある.

なお, (k+1)項間定数係数線型漸化式 x_(n+k)+(a_(k-1))(x_(n+k-1))+…+(a_1)(x_(n-1))+(a_0)(x_n)=0 (a_0≠0, n=0, 1, 2, 3, …) により, 一般項 x_n が定められる数列 {x_n} の成す線型空間Sと, 与えられたxの関数yを i 回微分して(0≦i≦k-1)できるyの導関数 y^(i) (y^(0)=y)に, xの関数( a_0 は恒等的に0ではないとする) a_i とy^(i)をかけて足してできる新しい関数 y^(k)+(a_(k-1))(x)y^(k-1)+…+(a_1)(x)y'+(a_0)(x)y を対応させる線型写像 D による, 微分方程式 Dy=0 の解の成す線型空間Fの次元が, 共にkであること, Sについては項を先へ1項ずらす線型変換 T:{x_n} → {x_(n+1)} の, Fについては定数係数とした場合の線型変換 D':y→y' の(実は両者は同じ)表現行列の求め方を, 本文より分かりやすく考えることができた. 理論的に重要なので後に紹介しておく.

線型写像T:V→V'の像
T(V)={ y | y∈V' , 或るx∈Vに対してy=Tx}
={ Tx | x∈V}
がV'の線型空間であること:
任意のy_1, y_2∈T(V)に対して, 或るx_1, x_2∈Vが存在して, y_1=Tx_1, y_2=Tx_2, よってa, b∈Kに対して
ay_1+by_2=T(ax_1+bx_2)∈T(V).
T^(-1)(o')={ x | x∈V, Tx=o' }
がVの線型空間であること:
x_1, x_2∈T^(-1)(o')ならば
T(ax_1+bx_2)
=aTx_1+bTx_2
=ao'+bo'
=o'
ゆえにax_1+bx_2∈T^(-1)(o')だからである.

そして142頁の「(n次元)ユニタリ空間Vの正規変換Tの相異なる固有値に対する固有ベクトルは互いに直交する. β_1, β_2, … , β_kをTの相異なる固有値として, W_1, W_2, … , W_kを対応する固有空間とすれば, それらは互いに直交して, VはW_1, W_2, … , W_kの直和である」という定理の証明がヒント程度だが, 証明したので下に書いておいた.

☆ 線型空間の基底を「その線型空間を張る順序づけられたベクトルの集合」と明確かつ正当に定義している. これは後に述べる上記定理の証明や関数解析に整合性がある(無限個なら線型結合の極限だから).

☆ 有限次元と仮定して, 線型空間の次元が1通りに定まることの連立1次方程式を使わない証明もあり, 連立1次方程式が無くても線型空間論を展開できるようにしている. 「座標系によらない理論を作る」ためである. 多様体論と同じく数学の理論の座標系からの独立は, 数理物理学でも重要である. この命題は他の本に無い.

しかし, 連立1次方程式による証明では, 第1段と第2段のmとnは別物であり, 第1段の結論を対偶にしてから同じmとnで再論しなければならない. n個より多くm(>n)個のベクトルが線型従属だからm(≦n)個のベクトルは線型独立である, と結論できるから, 「mとnを入れ替えて第1段と同じ論法によりm個より多くn(>m)個のベクトルも線型従属, ゆえにn(≦m)個のベクトルは線型独立である. これらからm=nが従う」ことを示すのと「m≦nにおいて『m<n』ではなくm=nである」ことを示すのは同じことである. こうすれば第1段と同じ意味の記号で表記されたmとnで証明したことになる. 他書はこの論法のようである.

☆ 線型写像の表現行列や, 基底の変換, 基底の変換による線形写像の表現行列の変化の説明に, 写像の図式を用いていて視覚的にも分かり易い. 言葉だけだと伝わりにくい内容を視覚化しているのはこの部分だけではないが, 写像の図式を載せている線型代数の入門書の中で和書としては, この本が最初である. この意味でも名著と呼ばれている.

☆ 本文にはないが, 確率行列と, ベクトル(特に関数)に数値を対応させる線型写像の成す線型空間である双対空間と, 或る意味でひとつの部分空間と同値な部分集合の成す線型空間である商空間を, 短くまとめている. 双対空間と商空間は実解析と関数解析において重要で, 実解析では, 斉次ベゾフ空間と斉次トリーベル-リゾルキン空間の定義のために両方が同時に表れる(澤野「
べゾフ空間論 」, 小川「 非線型発展方程式の実解析的方法 」参照). 微分幾何においても線型空間のテンソル積がテンソル場やベクトル束や接続などで重要で, その構成に双対空間または商空間の概念が用いられる. また線型空間のテンソル積は代数学において加群のテンソル積の理解の補助になる(藤岡「 手を動かしてまなぶ 続・線形代数 」, 村上「 多様体 第2版 」, 小林「 接続の微分幾何とゲージ理論 」参照).

☆ この本で正規変換のスペクトル分解と正則線型変換の極分解まで読めば, 量子力学の基礎であり数理経済学にも応用があって, 偏微分方程式論で不可欠な関数解析の線型代数が由来の部分は理解しやすい. この本で, 谷島「
ルベーグ積分と関数解析 」の旧版と新版における内容の誤りや有限次元の場合との類似に気づくことができた.

かつて, 双対空間と商空間とスペクトル分解の全てについて書かれた絶版でない本は, 私が読んだ範囲では, この本と佐武「
線型代数学 」と足助「線型代数学」しかなかった. 今では, 「 手を動かしてまなぶ 続・線形代数 」もあるが, これらの中では難易度としても分量としても最も読みやすい.

関数解析のスペクトル分解は, 無限和であっても同様な式で表わされるが, ルベーグ-スティルチェス積分でも表される. 数え上げ測度によるルベーグ積分(=和)の場合を例として知っておけば理解しやすい. スペクトル分解は量子力学にも応用がある. スペクトル分解は正規直交化と同じ図で説明できる. 自己共役でコンパクトな線型変換は無限和により, 一般にはスペクトル測度による積分により, 分解される. 計量線型空間Vの線型変換Tを固有値 λ_i と固有ベクトル u_i から成る正規直交基底〈u_1, … ,u_n〉で展開 Tx=Σ_i λ_i(x, u_i)u_i したときに, 自然に射影子 P_i:V∋x→(P_i)x=(u, u_i)u_i∈W_i が含まれている. ゆえに線型変換Tのスペクトル分解 T=Σ_i λ_i P_i . これは, Tx=Σ_i c_i u_i とすると λ_i x=Σ_i c_i u_i でありj≠iならば(u_j, u_i)=0 だから各iに対してu_iを右から内積させて λ_i(x, u_i)=c_i となることによる.

ちなみにかつての大学入試や数検準1級では行列の対角化やスペクトル分解を材料にした問題が何度か出題されていた.

△ ジョルダン標準形の単因子による説明は, 著者自身が分かりにくさを認めていているが, 多項式の整除性は代数学やそれを用いる多変数複素解析で大切だから, 数学徒には悪くない. しかしジョルダン標準形の部分だけ, 別の本や資料で学ぶのもいいと思う. 計算方法だけなら簡単である. 代数学については, 例えば, 堀田「
代数入門 群と加群 」, 多変数複素解析については, 例えば, 倉田「 多変数複素関数論を学ぶ 」参照.

☆ ベクトルおよび行列の解析的取扱いは, 微分幾何, 微分方程式, 位相空間, 関数解析へとつながる.

☆ 付録に有る, ユークリッド幾何の公理系, 実数体Rと複素数体 C の構成は参考になる. ここまで書いてある本は他にない. ここだけでも読む価値は高い. Rの構成を読む補助は後に紹介しておきたい. Rの構成や, 本文にもある, 集合Aの同値関係〜によるx∈Aの類[x]={ y | y∈A, y〜x}と商集合
A/〜={ [x] | x∈A}
および写像T:A→BのA'⊆Aへの制限T_A':A'∋x→T(x)∈T(A)も含めて, 松坂「
集合・位相入門 」, 森田「 集合・位相に親しむ 」, 庄田「 集合と位相空間 」も参考になる. これ(ら)と同時並行で数学に慣れるのも得策だろう. そもそも線型代数や微分積分は集合論を学びながら学ぶことが前提となっているだろう.

そして, この本や佐武氏の本でもそうだが, 多くの本では, 線型空間の公理系で, 零ベクトルoや逆ベクトルの一意性を仮定することがある. しかし実は公理系だけから両方とも存在すれば一意的であることがすぐに分かる:

o, o'が零ベクトルならば
o
=o+o' (o'は零ベクトルだから)
=o'+o (交換法則)
=o' (oは零ベクトルだから);

xに対してx'とx''がxの逆ベクトルならば
x'
=x'+o (oは零ベクトルだから)
=x'+(x+x'') (o=x+x''だから)
=(x'+x)+x'' (結合法則)
=o+x'' (x'はxの逆ベクトルだから)
=x''+o (交換法則)
=x'' .

また, 部分空間Sの定義で線型演算の可能性を保証する「o∈S」または「Sは空集合でない」が明記されていないときもある. この本では部分空間は空でないと明記している. Sが空でなければx∈Sが存在し, ゆえに, -x∈Sだからo=x+(-x)∈S. 逆にo∈SならばSには元oが存在するからSは空でない.

(かつての私のように)もっと初級者向けの本を読みたいと感じたら, 例えば, 岩波の「
キーポイント 線形代数 」, 宮腰「 高校数学+α なっとくの線形代数 」が助けになる.

著者により, 行列の階数の5つの定義が矛盾なく両立している(行列の階数の5つの定義がwell-difinedである)ことが証明され, それにより基本変形を核にして連立1次方程式の理論と解法を同時に述べているのは, 当時にとっては画期的で, その後の線型代数の本はこの本を手本とされたので, その意味でも名著と呼ばれている.

線型代数の本を読む時に便利な方法を紹介したい.

線型空間Uの基底(base, basis)BとはUに含まれる線型独立な元の順序を考慮した集合(または組あるいは列)でUの任意の元はBの元(Bの成分あるいはBの各々のベクトル)の線型結合で表わされることをいう.

基底B=〈v_1, v_2, …, v_n〉 とBの元を横に並べてできる行列もどき (v_1, v_2, …, v_n) を同じ記号Bで表わし同一視すると,

Gの元 g_1, g_2, …, g_k の定数 x_1, x_2, …, x_k による線型結合は内積もどきで

x_1 g_1 + x_2 g_2 + … + x_k g_k =Gx

と考えることができる.

行列P=(p_ij)による基底の取り換えE→Fは行列の積もどきと f_j=Σ_[i:1→n] p_ij e_i より形式的に

F=(f_1 … f_j … f_n)=(e_1 … e_i … e_n)(p_ij)

すなわちF=EPと表わされ,

Eを基底とする線型空間VからFを基底とする線型空間Wへの線形写像Tの表現行列A=(a_ij)に対して, TE=(Te_1 Te_2 … Te_n) と定義すると, 行列の積もどきと Te_j=Σ_[ i:1→m] a_ij f_i から形式的に

TE=(Te_1 … Te_j … Te_n)=(f_1 … f_i … f_m)(a_ij)

すなわちTE=FAであり,

Tの線型性

T(x_1 g_1 + x_2 g_2 + … + x_k g_k) = x_1 Tg_1 + x_2 Tg_2 + … + x_k Tg_k = T(Gx) = (TG)x

と見なすことができる.

これを使うと線型代数の本は読みやすく解きやすくなる. (具体例の計算では両辺を転置することがある:縦に並べて i と j を入れ換える. )

数列空間Sの元{x_n}の第n項 x_n は, 漸化式にn=0, 1, 2, 3, …を代入して, x_(n+k)について解くと, 最初のk項x_0, x_2, … , x_(k-1)を定めれば, x_(n+k)は適当なk個の数列の線型結合の項であることから分かる.

{x_n}=(c_0)y_0+…+(c_(k-1))y_(k-1)と表示するためには, 数列 y_0={1, 0, 0, …}, … , y_i={0, 0, … , 0, 1(i番目), 0, 0, …}, … ,y_(k-1)={0, 0, … , 0, 1(k-1番目), −a_(k−1), …} (k番目以降は漸化式から定まる)をy_i (0≦i≦k-1)とすると最も簡単であり, 例えば
E=〈 y_0, y_1, … ,y_(k−1) 〉
がSの基底となる. ゆえにSの次元はkである.

Fの次元もkであることについて. 本文にもあるように, 与えられた実数 b_0, b_1, … ,b_(k-1) に対してy^(i)の値を (y^(i))(0)=b_i と定めることができる解yが一意的に存在する. そこで関数f_i (i=0, 1, …, k−1)を((f_i)^(j))(0)=δ_ijを満たす解と定める.

Dの線型性により定数 c_i を与えたとき Σ_i c_i f_i もDy=0の解であり, Σ_i c_i f_i =0 とすると(f_i)^(j)(0)=δ_ijよりc_i=0が得られるから, f_i (i=0, 1, …, k−1)は線型独立である. 解yの一意性よりyはf_iの線型結合として或るc_iを用いてy=Σ_i c_i f_iと表されるから, Fの次元もkである.

ちなみに偏微分方程式の解の空間は無限次元空間である.

1項先へずらす線型変換T:{x_n} → {x_(n+1)}の表現行列Aは, 上の基底を取ることによる同型対応(114頁参照)S≅ℝ^k:{x_n}→(x_0, x_1, …, x_(k−1))^tを用いると

T({x_0, x_1, …, x_(k−1), …})
={x_1, x_2, … , x_(k-1), x_k, …}

={x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_(k-1))(x_(k-1))-…-(a_1)(x_1)-(a_0)(x_0), …}

={x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_0)(x_0)-(a_1)(x_1)-…-(a_(k-1))(x_(k-1)), …}

←→ (x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_0)(x_0)-(a_1)(x_1)-…-(a_(k-1))(x_(k-1)))^t
(同型対応による同一視)
=A(x_0, x_1, …, x_(k−1))^t

から本文のTの表現行列Aが現れる.

関数空間Fの場合も(定数係数の場合の)Dy=0の解(空間の元)yを用意して {x_n} をyに変えて, 同型対応ker(D)∋y→(y(0), y'(0), …, y^(k−1)(0))∈ℝ^kを考えればよい. するとD':y→y' の, 上と同じ表現行列A(対角成分は全て0, 1列目とk列目以外の対角成分0の上の成分は全て1, k行目は(-(a_0) -(a_1) … -(a_(k-1)))でありこれら以外の成分は全て0の行列)が得られる.

これらの同じ表現行列は, 数学の応用分野でコンパニオン行列と呼ばれている.

142頁にある上述の定理の証明.

Vの, Tの固有ベクトルから成る正規直交基底を([1.2]と[2.4]より確かに存在する)E=〈e_1, e_2, … , e_n〉とする. Tの全ての固有値 β_1, β_2, … , β_k (1≦∃k≦n)の各々に対応する固有ベクトルは, 1≦i≦kに対してa(i)個あるとしておく. β_i (1≦i≦k)に対応するTの固有ベクトル e_iℓ (1≦ℓ≦a(i))から成るVのベクトルの集合を

B=〈e_11 , e_12 , … , e_1a(1) , e_21 , e_22 , … , e_2a(2) , … , e_k1 , e_k2 , … , e_ka(k) 〉

=∪_(i=1, 2, … ,k) 〈 e_i1 , e_i2 , … , e_ia(i) 〉

=∪_(i=1, 2, … ,k)B(i)

とする. B⊆E, かつ, Eの任意の固有ベクトルは或るB(i)に属するゆえE⊆B, だからB=E.

EがVの正規直交基底だから, β_i に対応する固有ベクトル e_i1 , e_i2 , … , e_ia(i) から張られる部分空間 W_i の基底B(i)⊆Eは W_i の正規直交基底である. また, i≠jならばB(i)∩B(j)=∅であるからVは W_i の直交直和:

V=Σ_(i=1, 2, … ,k)W_i ,
i≠j ⇒ W_i ⊥ W_j

となる.

W_i

={ c_i1 e_i1 + c_i2 e_i2 + … + c_ia(i) e_ia(i)

| c_i1, … , c_ia(i):定数 }.

これで証明できた. この定理は正規変換(コンパクトな自己共役作用素)のスペクトル分解の根底である.

実数の有理数からの構成では { |a_m -a_n| }_(m∈N) がコーシー列(∈A)であることを, 複素解析以外では必ずしも周知されていない三角不等式
| |a|-|b| |≦|a-b|
を既知として説明している.

これは
「 |a|=|(a-b)+b|≦|a-b|+|b|, |b|=|(a-b)+(-a)|≦|a-b|+|a| ∴ |a|-|b|≦|a-b|, |b|-|a|≦|a-b| 」または「|a|-|b|≦|a+b| においてbに-bを代入して |a|-|b|≦|a-b|, aとbを入れ変えて |b|-|a|≦|b-a|=|a-b|」
による.

ついでに, よく知られているほうの三角不等式
|a+b|≦|a|+|b|
と合わせると, 解析学でも便利な三角不等式
| |a|-|b| |≦|a±b|≦|a|+|b|
が得られる.

本書を読む時や線型代数を学ぶ時に参考になれば幸いです. 読んでいただきありがとうございました.
(2022年12月19日最終推敲. ブログも参照されたい. )
カスタマー画像
5つ星のうち5.0 理論線型代数入門・先々の数学を見越した本 線型空間の具体例が豊富
2022年2月18日に日本でレビュー済み
昔から度々参考にされている. その理由は少しずつ話していきたい. また, このレビューや画像で多少行間を埋めているので, ご参考にされたい.

この本では太文字を集合や線型空間に使い, 行列や写像は普通の文字で書いているところが個性的である.

「明らか」でないとか, 説明が短くて, 分かりにくい所も有る. 紙面に書き込んで考えないと理解できないことも有る. 初学者向けではないかもしれない.

しかし, そうすると多い必須事項を1冊にまとめられる. 「本文に無い論理を補う」「本文を助言として他に考える」「著者とは別の発想で理解する」ことで得られる数学的思考力は, 数学を学び研究していく上で必須になる. これらもいずれ楽しくなる. 無理数や不等式の概念が存在不可能なこと, ベン図による集合と論理の循環論法があり, 実は多く有る集合の例を集合と明記しないこと, などの論理的危険性に満ちた教育数学を考えると, 本当の数学への架け橋として候補に入れるのもいい.

私はこの本で理論線型代数の基本を納得して, 専門書に慣れた面がある. かつての私のように, 初級者には専門書への入門としてもいいと思う.

○ 著者が言う「入門」とは「私からすると内容は多すぎず線型代数の入門程度である」という意味であろう. 確かに佐武「線型代数学」や足助太郎氏の本よりは内容は平易で少なくて, 必要最低限は書かれてあり, その意味で比較的読みやすいと感じた. いくつかは飛ばしてもよい旨が前書きにある.

著者は, 当時は時代の流れで少なかった線型代数の本について, 前書きで「線型代数の入門書は, 数学的な考え方に慣れさせ, 現代数学の構造の理解を深めさせると同時に, 線型代数に固有の技術を身につけさせるものでなければならない」と宣言して, この本を書いたようだ. 確かに行列を発見的に定義して, 予備知識としては初学から読めるが, 薄い本に多くが詰め込まれているから, 今の時代にとっては「予備経験」を積ませて上級者になるために向けていることを前提としている.

しかし当時は線型代数の入門書は「これしかなかった」のだ. 高木「[[ASIN:4000052098 解析概論]]」や伊藤「[[ASIN:4785313188 ルベーグ積分入門]]」も同じ背景がある. しかも, 2次正方行列の四則演算と連立1次方程式および行列の表す線型変換が, 高校数学で学ぶとは限らないこと(複素平面と交代していること)にも配慮している. (私も高校生時代に古い何冊かの参考書で確かめた. )

それで昔から語り継がれてきた. 幾多の人々が本書で学んで思い出が生まれ, 自然に高い評価が付いているのだろう.

☆ 第1章で2次元や3次元の高校数学程度の幾何ベクトルと行列を図説している. 受験数学のベクトルではなく幾何学のベクトルであり, 例や問は解法理論の問題ではなく, 数学で意味を持つ難しくないものである.

2次元や3次元の幾何ベクトルの正射影は, 正規直交化や正規変換のスペクトル分解の意味を理解するために欠かせない. これら全てが同時に有る本は他にないだろう. 実は無限次元計量線型空間の直和分解の意味と証明の理解にもつながる. 特に3次元の幾何ベクトルの正射影は, 他の本で見たことはない.

2次や3次のベクトルと行列と行列式を幾何的な意味と面積や体積(すなわち測度)の意味で理解するのは, n次元の場合と, 線型独立性の幾何的または測度的な理解, 重積分のヤコビアンによる変数変換の測度的理解に必須である. 変数変換の公式の証明は精確な証明が簡単ではないのだが, 2変数と3変数の場合は本書の意味を込めて考えると納得がいく. しかも, 行列式を他の本よりも最低限だけに絞り短くまとめている. 煩わしい概念の説明が煩わしく感じなかった.

私の2009年5月からの研究成果では, 全ての(この本なら行列式の章の章末問題にある)巡回行列は行の入れ替えで対称行列に変形できる. すると, 逆向きの対角線に1行n列目の成分が並び, 1行1列目を未知数とする巡回行列の行列式で表現されている代数方程式は, 行列を対称行列に変形して, その行列式を展開すれば, 新たな形の二次方程式の解の公式, 新たな形の三次方程式の解の公式, 新たな形の公式と四次方程式の解法, が得られる. ブログ参照. なお代数方程式については解析的解法もある. 安藤「[[ASIN:4903342077 理系数学サマリー 高校・大学数学復習帳]]」を参照されたい.

☆ (昔は線状空間とも呼ばれた)線型空間の例が「これ以上は無いのではないか」と思うほど多く挙げられている. 他には確率空間における確率変数の成す集合があり, 期待値を対応させる写像は線型写像である. 漸化式や微分方程式の, 解法の背景を述べているのは味わいがある.

なお, (k+1)項間定数係数線型漸化式 x_(n+k)+(a_(k-1))(x_(n+k-1))+…+(a_1)(x_(n-1))+(a_0)(x_n)=0 (a_0≠0, n=0, 1, 2, 3, …) により, 一般項 x_n が定められる数列 {x_n} の成す線型空間Sと, 与えられたxの関数yを i 回微分して(0≦i≦k-1)できるyの導関数 y^(i) (y^(0)=y)に, xの関数( a_0 は恒等的に0ではないとする) a_i とy^(i)をかけて足してできる新しい関数 y^(k)+(a_(k-1))(x)y^(k-1)+…+(a_1)(x)y'+(a_0)(x)y を対応させる線型写像 D による, 微分方程式 Dy=0 の解の成す線型空間Fの次元が, 共にkであること, Sについては項を先へ1項ずらす線型変換 T:{x_n} → {x_(n+1)} の, Fについては定数係数とした場合の線型変換 D':y→y' の(実は両者は同じ)表現行列の求め方を, 本文より分かりやすく考えることができた. 理論的に重要なので後に紹介しておく.

線型写像T:V→V'の像
T(V)={ y | y∈V' , 或るx∈Vに対してy=Tx}
={ Tx | x∈V}
がV'の線型空間であること:
任意のy_1, y_2∈T(V)に対して, 或るx_1, x_2∈Vが存在して, y_1=Tx_1, y_2=Tx_2, よってa, b∈Kに対して
ay_1+by_2=T(ax_1+bx_2)∈T(V).
T^(-1)(o')={ x | x∈V, Tx=o' }
がVの線型空間であること:
x_1, x_2∈T^(-1)(o')ならば
T(ax_1+bx_2)
=aTx_1+bTx_2
=ao'+bo'
=o'
ゆえにax_1+bx_2∈T^(-1)(o')だからである.

そして142頁の「(n次元)ユニタリ空間Vの正規変換Tの相異なる固有値に対する固有ベクトルは互いに直交する. β_1, β_2, … , β_kをTの相異なる固有値として, W_1, W_2, … , W_kを対応する固有空間とすれば, それらは互いに直交して, VはW_1, W_2, … , W_kの直和である」という定理の証明がヒント程度だが, 証明したので下に書いておいた.

☆ 線型空間の基底を「その線型空間を張る順序づけられたベクトルの集合」と明確かつ正当に定義している. これは後に述べる上記定理の証明や関数解析に整合性がある(無限個なら線型結合の極限だから).

☆ 有限次元と仮定して, 線型空間の次元が1通りに定まることの連立1次方程式を使わない証明もあり, 連立1次方程式が無くても線型空間論を展開できるようにしている. 「座標系によらない理論を作る」ためである. 多様体論と同じく数学の理論の座標系からの独立は, 数理物理学でも重要である. この命題は他の本に無い.

しかし, 連立1次方程式による証明では, 第1段と第2段のmとnは別物であり, 第1段の結論を対偶にしてから同じmとnで再論しなければならない. n個より多くm(>n)個のベクトルが線型従属だからm(≦n)個のベクトルは線型独立である, と結論できるから, 「mとnを入れ替えて第1段と同じ論法によりm個より多くn(>m)個のベクトルも線型従属, ゆえにn(≦m)個のベクトルは線型独立である. これらからm=nが従う」ことを示すのと「m≦nにおいて『m<n』ではなくm=nである」ことを示すのは同じことである. こうすれば第1段と同じ意味の記号で表記されたmとnで証明したことになる. 他書はこの論法のようである.

☆ 線型写像の表現行列や, 基底の変換, 基底の変換による線形写像の表現行列の変化の説明に, 写像の図式を用いていて視覚的にも分かり易い. 言葉だけだと伝わりにくい内容を視覚化しているのはこの部分だけではないが, 写像の図式を載せている線型代数の入門書の中で和書としては, この本が最初である. この意味でも名著と呼ばれている.

☆ 本文にはないが, 確率行列と, ベクトル(特に関数)に数値を対応させる線型写像の成す線型空間である双対空間と, 或る意味でひとつの部分空間と同値な部分集合の成す線型空間である商空間を, 短くまとめている. 双対空間と商空間は実解析と関数解析において重要で, 実解析では, 斉次ベゾフ空間と斉次トリーベル-リゾルキン空間の定義のために両方が同時に表れる(澤野「[[ASIN:4535786453 べゾフ空間論]]」, 小川「[[ASIN:4621065149 非線型発展方程式の実解析的方法]]」参照). 微分幾何においても線型空間のテンソル積がテンソル場やベクトル束や接続などで重要で, その構成に双対空間または商空間の概念が用いられる. また線型空間のテンソル積は代数学において加群のテンソル積の理解の補助になる(藤岡「[[ASIN:4785315911 手を動かしてまなぶ 続・線形代数]]」, 村上「[[ASIN:4320014197 多様体 第2版]]」, 小林「[[ASIN:4785310588 接続の微分幾何とゲージ理論]]」参照).

☆ この本で正規変換のスペクトル分解と正則線型変換の極分解まで読めば, 量子力学の基礎であり数理経済学にも応用があって, 偏微分方程式論で不可欠な関数解析の線型代数が由来の部分は理解しやすい. この本で, 谷島「[[ASIN:4254116063 ルベーグ積分と関数解析]]」の旧版と新版における内容の誤りや有限次元の場合との類似に気づくことができた.

かつて, 双対空間と商空間とスペクトル分解の全てについて書かれた絶版でない本は, 私が読んだ範囲では, この本と佐武「[[ASIN:4785313013 線型代数学]]」と足助「線型代数学」しかなかった. 今では, 「[[ASIN:4785315911 手を動かしてまなぶ 続・線形代数]]」もあるが, これらの中では難易度としても分量としても最も読みやすい.

関数解析のスペクトル分解は, 無限和であっても同様な式で表わされるが, ルベーグ-スティルチェス積分でも表される. 数え上げ測度によるルベーグ積分(=和)の場合を例として知っておけば理解しやすい. スペクトル分解は量子力学にも応用がある. スペクトル分解は正規直交化と同じ図で説明できる. 自己共役でコンパクトな線型変換は無限和により, 一般にはスペクトル測度による積分により, 分解される. 計量線型空間Vの線型変換Tを固有値 λ_i と固有ベクトル u_i から成る正規直交基底〈u_1, … ,u_n〉で展開 Tx=Σ_i λ_i(x, u_i)u_i したときに, 自然に射影子 P_i:V∋x→(P_i)x=(u, u_i)u_i∈W_i が含まれている. ゆえに線型変換Tのスペクトル分解 T=Σ_i λ_i P_i . これは, Tx=Σ_i c_i u_i とすると λ_i x=Σ_i c_i u_i でありj≠iならば(u_j, u_i)=0 だから各iに対してu_iを右から内積させて λ_i(x, u_i)=c_i となることによる.

ちなみにかつての大学入試や数検準1級では行列の対角化やスペクトル分解を材料にした問題が何度か出題されていた.

△ ジョルダン標準形の単因子による説明は, 著者自身が分かりにくさを認めていているが, 多項式の整除性は代数学やそれを用いる多変数複素解析で大切だから, 数学徒には悪くない. しかしジョルダン標準形の部分だけ, 別の本や資料で学ぶのもいいと思う. 計算方法だけなら簡単である. 代数学については, 例えば, 堀田「[[ASIN:4785314133 代数入門 群と加群]]」, 多変数複素解析については, 例えば, 倉田「[[ASIN:4535785937 多変数複素関数論を学ぶ]]」参照.

☆ ベクトルおよび行列の解析的取扱いは, 微分幾何, 微分方程式, 位相空間, 関数解析へとつながる.

☆ 付録に有る, ユークリッド幾何の公理系, 実数体Rと複素数体 C の構成は参考になる. ここまで書いてある本は他にない. ここだけでも読む価値は高い. Rの構成を読む補助は後に紹介しておきたい. Rの構成や, 本文にもある, 集合Aの同値関係〜によるx∈Aの類[x]={ y | y∈A, y〜x}と商集合
A/〜={ [x] | x∈A}
および写像T:A→BのA'⊆Aへの制限T_A':A'∋x→T(x)∈T(A)も含めて, 松坂「[[ASIN:4000298712 集合・位相入門]]」, 森田「[[ASIN:4768704115 集合・位相に親しむ]]」, 庄田「[[ASIN:4254115881 集合と位相空間]]」も参考になる. これ(ら)と同時並行で数学に慣れるのも得策だろう. そもそも線型代数や微分積分は集合論を学びながら学ぶことが前提となっているだろう.

そして, この本や佐武氏の本でもそうだが, 多くの本では, 線型空間の公理系で, 零ベクトルoや逆ベクトルの一意性を仮定することがある. しかし実は公理系だけから両方とも存在すれば一意的であることがすぐに分かる:

o, o'が零ベクトルならば
o
=o+o' (o'は零ベクトルだから)
=o'+o (交換法則)
=o' (oは零ベクトルだから);

xに対してx'とx''がxの逆ベクトルならば
x'
=x'+o (oは零ベクトルだから)
=x'+(x+x'') (o=x+x''だから)
=(x'+x)+x'' (結合法則)
=o+x'' (x'はxの逆ベクトルだから)
=x''+o (交換法則)
=x'' .

また, 部分空間Sの定義で線型演算の可能性を保証する「o∈S」または「Sは空集合でない」が明記されていないときもある. この本では部分空間は空でないと明記している. Sが空でなければx∈Sが存在し, ゆえに, -x∈Sだからo=x+(-x)∈S. 逆にo∈SならばSには元oが存在するからSは空でない.

(かつての私のように)もっと初級者向けの本を読みたいと感じたら, 例えば, 岩波の「[[ASIN:4000078623 キーポイント 線形代数]]」, 宮腰「[[ASIN:4320018400 高校数学+α なっとくの線形代数]]」が助けになる.

著者により, 行列の階数の5つの定義が矛盾なく両立している(行列の階数の5つの定義がwell-difinedである)ことが証明され, それにより基本変形を核にして連立1次方程式の理論と解法を同時に述べているのは, 当時にとっては画期的で, その後の線型代数の本はこの本を手本とされたので, その意味でも名著と呼ばれている.

線型代数の本を読む時に便利な方法を紹介したい.

線型空間Uの基底(base, basis)BとはUに含まれる線型独立な元の順序を考慮した集合(または組あるいは列)でUの任意の元はBの元(Bの成分あるいはBの各々のベクトル)の線型結合で表わされることをいう.

基底B=〈v_1, v_2, …, v_n〉 とBの元を横に並べてできる行列もどき (v_1, v_2, …, v_n) を同じ記号Bで表わし同一視すると,

Gの元 g_1, g_2, …, g_k の定数 x_1, x_2, …, x_k による線型結合は内積もどきで

x_1 g_1 + x_2 g_2 + … + x_k g_k =Gx

と考えることができる.

行列P=(p_ij)による基底の取り換えE→Fは行列の積もどきと f_j=Σ_[i:1→n] p_ij e_i より形式的に

F=(f_1 … f_j … f_n)=(e_1 … e_i … e_n)(p_ij)

すなわちF=EPと表わされ,

Eを基底とする線型空間VからFを基底とする線型空間Wへの線形写像Tの表現行列A=(a_ij)に対して, TE=(Te_1 Te_2 … Te_n) と定義すると, 行列の積もどきと Te_j=Σ_[ i:1→m] a_ij f_i から形式的に

TE=(Te_1 … Te_j … Te_n)=(f_1 … f_i … f_m)(a_ij)

すなわちTE=FAであり,

Tの線型性

T(x_1 g_1 + x_2 g_2 + … + x_k g_k) = x_1 Tg_1 + x_2 Tg_2 + … + x_k Tg_k = T(Gx) = (TG)x

と見なすことができる.

これを使うと線型代数の本は読みやすく解きやすくなる. (具体例の計算では両辺を転置することがある:縦に並べて i と j を入れ換える. )

数列空間Sの元{x_n}の第n項 x_n は, 漸化式にn=0, 1, 2, 3, …を代入して, x_(n+k)について解くと, 最初のk項x_0, x_2, … , x_(k-1)を定めれば, x_(n+k)は適当なk個の数列の線型結合の項であることから分かる.

{x_n}=(c_0)y_0+…+(c_(k-1))y_(k-1)と表示するためには, 数列 y_0={1, 0, 0, …}, … , y_i={0, 0, … , 0, 1(i番目), 0, 0, …}, … ,y_(k-1)={0, 0, … , 0, 1(k-1番目), −a_(k−1), …} (k番目以降は漸化式から定まる)をy_i (0≦i≦k-1)とすると最も簡単であり, 例えば
E=〈 y_0, y_1, … ,y_(k−1) 〉
がSの基底となる. ゆえにSの次元はkである.

Fの次元もkであることについて. 本文にもあるように, 与えられた実数 b_0, b_1, … ,b_(k-1) に対してy^(i)の値を (y^(i))(0)=b_i と定めることができる解yが一意的に存在する. そこで関数f_i (i=0, 1, …, k−1)を((f_i)^(j))(0)=δ_ijを満たす解と定める.

Dの線型性により定数 c_i を与えたとき Σ_i c_i f_i もDy=0の解であり, Σ_i c_i f_i =0 とすると(f_i)^(j)(0)=δ_ijよりc_i=0が得られるから, f_i (i=0, 1, …, k−1)は線型独立である. 解yの一意性よりyはf_iの線型結合として或るc_iを用いてy=Σ_i c_i f_iと表されるから, Fの次元もkである.

ちなみに偏微分方程式の解の空間は無限次元空間である.

1項先へずらす線型変換T:{x_n} → {x_(n+1)}の表現行列Aは, 上の基底を取ることによる同型対応(114頁参照)S≅ℝ^k:{x_n}→(x_0, x_1, …, x_(k−1))^tを用いると

T({x_0, x_1, …, x_(k−1), …})
={x_1, x_2, … , x_(k-1), x_k, …}

={x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_(k-1))(x_(k-1))-…-(a_1)(x_1)-(a_0)(x_0), …}

={x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_0)(x_0)-(a_1)(x_1)-…-(a_(k-1))(x_(k-1)), …}

←→ (x_1, x_2, … , x_(k-1), -(a_0)(x_0)-(a_1)(x_1)-…-(a_(k-1))(x_(k-1)))^t
(同型対応による同一視)
=A(x_0, x_1, …, x_(k−1))^t

から本文のTの表現行列Aが現れる.

関数空間Fの場合も(定数係数の場合の)Dy=0の解(空間の元)yを用意して {x_n} をyに変えて, 同型対応ker(D)∋y→(y(0), y'(0), …, y^(k−1)(0))∈ℝ^kを考えればよい. するとD':y→y' の, 上と同じ表現行列A(対角成分は全て0, 1列目とk列目以外の対角成分0の上の成分は全て1, k行目は(-(a_0) -(a_1) … -(a_(k-1)))でありこれら以外の成分は全て0の行列)が得られる.

これらの同じ表現行列は, 数学の応用分野でコンパニオン行列と呼ばれている.

142頁にある上述の定理の証明.

Vの, Tの固有ベクトルから成る正規直交基底を([1.2]と[2.4]より確かに存在する)E=〈e_1, e_2, … , e_n〉とする. Tの全ての固有値 β_1, β_2, … , β_k (1≦∃k≦n)の各々に対応する固有ベクトルは, 1≦i≦kに対してa(i)個あるとしておく. β_i (1≦i≦k)に対応するTの固有ベクトル e_iℓ (1≦ℓ≦a(i))から成るVのベクトルの集合を

B=〈e_11 , e_12 , … , e_1a(1) , e_21 , e_22 , … , e_2a(2) , … , e_k1 , e_k2 , … , e_ka(k) 〉

=∪_(i=1, 2, … ,k) 〈 e_i1 , e_i2 , … , e_ia(i) 〉

=∪_(i=1, 2, … ,k)B(i)

とする. B⊆E, かつ, Eの任意の固有ベクトルは或るB(i)に属するゆえE⊆B, だからB=E.

EがVの正規直交基底だから, β_i に対応する固有ベクトル e_i1 , e_i2 , … , e_ia(i) から張られる部分空間 W_i の基底B(i)⊆Eは W_i の正規直交基底である. また, i≠jならばB(i)∩B(j)=∅であるからVは W_i の直交直和:

V=Σ_(i=1, 2, … ,k)W_i ,
i≠j ⇒ W_i ⊥ W_j

となる.

W_i

={ c_i1 e_i1 + c_i2 e_i2 + … + c_ia(i) e_ia(i)

| c_i1, … , c_ia(i):定数 }.

これで証明できた. この定理は正規変換(コンパクトな自己共役作用素)のスペクトル分解の根底である.

実数の有理数からの構成では { |a_m -a_n| }_(m∈N) がコーシー列(∈A)であることを, 複素解析以外では必ずしも周知されていない三角不等式
| |a|-|b| |≦|a-b|
を既知として説明している.

これは
「 |a|=|(a-b)+b|≦|a-b|+|b|, |b|=|(a-b)+(-a)|≦|a-b|+|a| ∴ |a|-|b|≦|a-b|, |b|-|a|≦|a-b| 」または「|a|-|b|≦|a+b| においてbに-bを代入して |a|-|b|≦|a-b|, aとbを入れ変えて |b|-|a|≦|b-a|=|a-b|」
による.

ついでに, よく知られているほうの三角不等式
|a+b|≦|a|+|b|
と合わせると, 解析学でも便利な三角不等式
| |a|-|b| |≦|a±b|≦|a|+|b|
が得られる.

本書を読む時や線型代数を学ぶ時に参考になれば幸いです. 読んでいただきありがとうございました.
(2022年12月19日最終推敲. ブログも参照されたい. )
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2024年5月10日に日本でレビュー済み
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高3の夏、集合に関する受験参考書をあれこれやるよりは、この線形代数入門を1冊読む方が効率的やと友人が言うので、2,3週間かけて読みました。あと忘れていたのですが、大学入試本番(京大)で、よく似た出題があり、えらくスマートな解答を書き上げた記憶があり、ありがたく懐かしいです。
2024年3月28日に日本でレビュー済み
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良書です。定番ですね。
今でも全然行けます。ただ、厳密性は1番なんですがとにかく説明が簡略化されすぎてて分かりにくいので、この本1冊では無理だと思います。
他にも今はいい本多いので他のでもいいんじゃないかなとは思いますね。
2023年8月24日に日本でレビュー済み
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一読した。理解できない部分もあるが、ロングセラー本なので、個人評価抜きで☆5つにした。大学1年生が学習する内容としては多すぎる。大学1年生が学習する内容としては、第2章「行列」と第3章「行列式」は必修だとしても、第1章「平面および空間のベクトル」の前半と、第4章「線形空間」の前半と、第5章「固有値と固有ベクトル」の1節くらいだろうか。講義内容を本にすれば、100頁位なので妥当な内容だと思う。固有値を求めると、行列Aのn乗が計算しやすくなるが、それでも解けない問題は、ジョルダン標準形にする方法が、本の終わり頃に出てくる。初学者向けの線形代数学の本にはジョルダン標準形の内容は無いので、お得感はある。これだけの内容は要らなくて必要な部分だけを学習したい人には、佐藤和也、只野裕一、下本陽一著「はじめての線形代数学」(講談社)がある。工学部向けの本らしいが、3色刷で、内容は14講に分かれていて読みやすい。行列や行列式以外に固有値やベクトル空間・基底ベクトル、対称行列の性質・対角化、2次形式・最小2乗法まで書かれていて内容は十分ある。わかりやすさに重点をおいて記述されている教科書なので大いに納得できる本だと思う。
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2022年10月16日に日本でレビュー済み
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厳密に書かれている
難しいと聞いていたので怖かったが比較的わかりやすかった
もっと勉強したくなった。
p171の問題2のト)に謎の線が入ってるがこれはなんなのだろうと思った。
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2021年10月4日に日本でレビュー済み
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やっぱりいい本です。ですが、単因子論は初学者向けではないのでふ~んくらいで流して、一般的な広義固有空間分解を使った証明を他の本で参照するとよいと思います。(おすすめは斎藤先生の線形代数学)
ただ、基礎数学の本は字が細かい。
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2021年9月24日に日本でレビュー済み
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学術的な数学書なんてこんなものもかもしれませんが、その中でも行間が広い方ではないでしょうか。
論理構成うんぬんよりもまず、証明の式変形の経過も省きすぎなので、どうやったのか気になって寝られなくなります。昔、大学で指定されましたが、独学には向かないです。
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2021年7月16日に日本でレビュー済み
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一番わかりやすい線形代数の入門書だと思う。
機械学習を行う機会があったので一から勉強したが、他の書籍はなんだかあやふやで厳密性にかける所があって逆に分かりづらかった。
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