"僕は本が大好きです。でも、起きている時間のほとんどは本を破壊することに費やしています"主人公の断裁工場で働きつつ、毎朝6時27分発の電車で【生き延びたページ】を朗読する儀式の描写から始まる本書は、ちょっと変な登場人物達が、それでも周囲から好意的に受け止められていく様子が爽やかな読後感を与えてくれる。
個人的には、フランスではないし、朗読でもないけれど、同じく6時台の電車にのってランダムに作品達と向き合う毎朝を重ねている事もあり、不思議な親近感を覚えました。
大作ではないけれど、朝の読書をする方に、そして穏やかな作品を読みたい誰かにオススメ。

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6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む (ハーパーコリンズ・フィクション) 単行本 – 2017/6/24
ジャン=ポール ディディエローラン
(著),
夏目 大
(翻訳)
本を愛するすべての人へ。
フランスで26万部突破、
36カ国で刊行のベストセラー小説
彼は今日も朗読する――死にゆく本を“天国"へ送るため。
パリ郊外の断裁工場で働くギレンは、
本を〝死〟へ追いやる毎日にジレンマを抱えている。
生き延びたページを持ち帰っては翌朝の通勤電車で朗読して〝往生〟させるのが日課だが、
憂鬱な日々はある朝、持ち主不明の日記を拾った時から変わり始める――。
読後きっと、いつもの景色が違って見える。
人生の葛藤と悲哀、希望を描いたベストセラー小説。
フランスで26万部突破、
36カ国で刊行のベストセラー小説
彼は今日も朗読する――死にゆく本を“天国"へ送るため。
パリ郊外の断裁工場で働くギレンは、
本を〝死〟へ追いやる毎日にジレンマを抱えている。
生き延びたページを持ち帰っては翌朝の通勤電車で朗読して〝往生〟させるのが日課だが、
憂鬱な日々はある朝、持ち主不明の日記を拾った時から変わり始める――。
読後きっと、いつもの景色が違って見える。
人生の葛藤と悲哀、希望を描いたベストセラー小説。
- 本の長さ192ページ
- 言語日本語
- 出版社ハーパーコリンズ・ ジャパン
- 発売日2017/6/24
- ISBN-104596552061
- ISBN-13978-4596552068
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登録情報
- 出版社 : ハーパーコリンズ・ ジャパン (2017/6/24)
- 発売日 : 2017/6/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 192ページ
- ISBN-10 : 4596552061
- ISBN-13 : 978-4596552068
- Amazon 売れ筋ランキング: - 805,451位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,256位フランス文学 (本)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2018年7月14日に日本でレビュー済み
本書は、
短編作品
を主体に高く評価され、
本書
が初の長編小説への挑戦となったフランス人作家の、現代庶民街を舞台にした作品です。
その内容は、前半をフランス文学特有と言っても良さそうな、陰湿で暗い雰囲気で満たしており、そこそこグロテスク描写も散りばめられています。
主人公の30代男性が働く、本に「死」を与える断裁工場の情景を、精肉工場に置き換えて表現したり、裁断機に挟まって爆ぜた鼠の様を、散華の様に美しく描写したり、現実で目の当たりにしたなら、概ねトイレに駆け込みたくなる様な光景ばかりです。
これは、おそらく作者自身が抱えている作家としてのトラウマを、思い切って原稿用紙にぶつけたのでは無いかと思われ、裁断されて行き着く先のトイレットペーパーを比喩する様な一文まであったりします。
一方で後半では、憂鬱な日々を転がりつつも、自然と進んでいく人生が描かれ、こちらも「愛の国」フランスらしく狙ったかの様に、ある意味トイレを舞台に恋の華が咲くと言う、ちょっと御都合主義展開なロマンスが展開して、爽やかに〆られます。
ただその意中の彼女も、なかなかの神経衰弱一歩手前な感じで、二人揃って痛々しさは否めず、その癖のある個性も魅力と捉えられる寛容力は必要です。
総じて、エピローグこそ表紙の様な清々しさがありますが、そこに至るまでの重苦しさは尋常では無く、フランス文学を読み慣れた方や、グロテスク描写を好む方で無いと、満点評価を得る事は難しいかもしれません。
それでも、物語としては完成していますし、上述作者が比喩的に織り込んだ想いにも、少し共感を覚えましたので、☆×4とします。
その内容は、前半をフランス文学特有と言っても良さそうな、陰湿で暗い雰囲気で満たしており、そこそこグロテスク描写も散りばめられています。
主人公の30代男性が働く、本に「死」を与える断裁工場の情景を、精肉工場に置き換えて表現したり、裁断機に挟まって爆ぜた鼠の様を、散華の様に美しく描写したり、現実で目の当たりにしたなら、概ねトイレに駆け込みたくなる様な光景ばかりです。
これは、おそらく作者自身が抱えている作家としてのトラウマを、思い切って原稿用紙にぶつけたのでは無いかと思われ、裁断されて行き着く先のトイレットペーパーを比喩する様な一文まであったりします。
一方で後半では、憂鬱な日々を転がりつつも、自然と進んでいく人生が描かれ、こちらも「愛の国」フランスらしく狙ったかの様に、ある意味トイレを舞台に恋の華が咲くと言う、ちょっと御都合主義展開なロマンスが展開して、爽やかに〆られます。
ただその意中の彼女も、なかなかの神経衰弱一歩手前な感じで、二人揃って痛々しさは否めず、その癖のある個性も魅力と捉えられる寛容力は必要です。
総じて、エピローグこそ表紙の様な清々しさがありますが、そこに至るまでの重苦しさは尋常では無く、フランス文学を読み慣れた方や、グロテスク描写を好む方で無いと、満点評価を得る事は難しいかもしれません。
それでも、物語としては完成していますし、上述作者が比喩的に織り込んだ想いにも、少し共感を覚えましたので、☆×4とします。
2023年6月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
糞みたいな世の中でも光はある的な世界観だが、光があまりにも弱く、クソの描写が記憶に残る。
無駄な肉付けが多い上に、現実味を増したいがための細かなエピソードに非現実的な記述が含まれていてファンタジーにしたいのか現実世界の物語にしたいのか理解できない。
無駄な肉付けが多い上に、現実味を増したいがための細かなエピソードに非現実的な記述が含まれていてファンタジーにしたいのか現実世界の物語にしたいのか理解できない。
2018年9月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
灰色の雨の日々が続いた後に雲の間から薄日がさして、乾きかけのアスファルトの上を歩いていたら気持ちが明るくなってきた、みたいな感じの話でした。
2017年7月20日に日本でレビュー済み
この本に登場する人物はみな、ひとクセもふたクセもあり
エキセントリックだ。しかし、そのエキセントリックさに
対する周囲の目はあたたかい。
それぞれの人物たちの、見方によっては異常ともいえる行動に
対し、まわりの人たちは非難したり諭したりするかわりに
それを許容し、さらには手を差しのべる。
人の心は脆く、常になにかを拠りどころとしなければ
生きてはいけない。
たとえそれが、まわりの目からすれば滑稽で無意味なもの
だったとしても。
この本に登場する人々はみな、心の深いところで
それがわかっているのかもしれない。
ストーリー全体に流れる雰囲気は繊細で物悲しく、
悲愴感もあるけれど、なかにはクスッと笑えるような
場面もあって、ページをめくる手は重苦しくならずに
心地よかった。
そして本書のストーリーにあるように、本にはそこに
書かれているドラマだけではなく、いわゆる物体としての
本そのものにも、ときに壮絶なドラマがあるのかも
しれない。
まさに、本を愛するすべての人へ。
そして、「ふつう」でいることの重圧に押し潰され
そうになっている人へ。
自分やまわりの「異常さ」をちょっと好きになれる、
そんな一冊だと思った。
エキセントリックだ。しかし、そのエキセントリックさに
対する周囲の目はあたたかい。
それぞれの人物たちの、見方によっては異常ともいえる行動に
対し、まわりの人たちは非難したり諭したりするかわりに
それを許容し、さらには手を差しのべる。
人の心は脆く、常になにかを拠りどころとしなければ
生きてはいけない。
たとえそれが、まわりの目からすれば滑稽で無意味なもの
だったとしても。
この本に登場する人々はみな、心の深いところで
それがわかっているのかもしれない。
ストーリー全体に流れる雰囲気は繊細で物悲しく、
悲愴感もあるけれど、なかにはクスッと笑えるような
場面もあって、ページをめくる手は重苦しくならずに
心地よかった。
そして本書のストーリーにあるように、本にはそこに
書かれているドラマだけではなく、いわゆる物体としての
本そのものにも、ときに壮絶なドラマがあるのかも
しれない。
まさに、本を愛するすべての人へ。
そして、「ふつう」でいることの重圧に押し潰され
そうになっている人へ。
自分やまわりの「異常さ」をちょっと好きになれる、
そんな一冊だと思った。
2018年7月23日に日本でレビュー済み
本を裁断しパルプにする機械を運転している主人公は、
裁断を逃れた本のページを通勤電車で朗読する。
そこから、老人ホームで本の朗読を頼まれ
それまでモノクロだった物語に少しずつ淡い色がついていくように話が展開していく。
ある日、通勤電車の中でマモリースティックを拾い、
その中にあった日記に心を惹かれ物語が進んでいく。
主人公の日常の中で起こった出来事と
朗読する文章が本に書かれていることで、
大きな出来事や事件が起こるわけではないが、
最後はなるほどこういう結末になるんだと何か安心できる本。
ただ前半部分の工場で働く癖のある登場人物の紹介がちょっと長すぎる感じがする。
裁断を逃れた本のページを通勤電車で朗読する。
そこから、老人ホームで本の朗読を頼まれ
それまでモノクロだった物語に少しずつ淡い色がついていくように話が展開していく。
ある日、通勤電車の中でマモリースティックを拾い、
その中にあった日記に心を惹かれ物語が進んでいく。
主人公の日常の中で起こった出来事と
朗読する文章が本に書かれていることで、
大きな出来事や事件が起こるわけではないが、
最後はなるほどこういう結末になるんだと何か安心できる本。
ただ前半部分の工場で働く癖のある登場人物の紹介がちょっと長すぎる感じがする。
2017年7月15日に日本でレビュー済み
主人公に共感できません。
本が好きな為、ついついタイトルと裏表紙側の帯の文句に期待を煽られました。
が、主人公が本が好きな設定であればもっと掘り下げて欲しかったです。
本が工場でズタズタにされるのを日々目にしている主人公が出勤が憂鬱になるまでに心を傷める理由の裏付けがありません。
例えば、亡くなった父親が本の虫だったとか。主人公の部屋がびっしり本で埋め尽くされているとか。
はっきり主人公が本が好きだと記されるのはだいぶ後半になってからです。
他、
友人のように思っていた金魚を弔ったあと
すぐペットショップで似た金魚を買ったり、
誰のものかわからないUSBの文書を勝手に覗き見し、(私だったら早く捨てほしい)
挙げ句に日々の日課として電車の中で内容を読み上げるし、
一人で暮らす老いた母親には自分の職業を偽り続けている。
脚を失った元職場の同僚である友人が
失った脚が原料の本を集めていることに対し、
すでに主人公がまとまった数を手にしているにも関わらず、
それを隠してバレないよう間接的に渡すのは、
その先その友人を何十年も苦しめさせていく行動ではないかと頭をもたげます。
冴えない主人公が人知れずに優越に浸っているようにしか思えません。
そこまでして陰ながら友人に尽力する意味もわかりません。
主人公以外は日記の主であるジュリーをはじめ、
個性的な登場人物が多くて楽しめる部分もありましたし、
最後の2ページは感動しましたが
主人公の行動には釈然としませんでした。
フィクションといえばそれまでですが、
このような作品には主人公への共感が不可欠だと思います。
本が好きな為、ついついタイトルと裏表紙側の帯の文句に期待を煽られました。
が、主人公が本が好きな設定であればもっと掘り下げて欲しかったです。
本が工場でズタズタにされるのを日々目にしている主人公が出勤が憂鬱になるまでに心を傷める理由の裏付けがありません。
例えば、亡くなった父親が本の虫だったとか。主人公の部屋がびっしり本で埋め尽くされているとか。
はっきり主人公が本が好きだと記されるのはだいぶ後半になってからです。
他、
友人のように思っていた金魚を弔ったあと
すぐペットショップで似た金魚を買ったり、
誰のものかわからないUSBの文書を勝手に覗き見し、(私だったら早く捨てほしい)
挙げ句に日々の日課として電車の中で内容を読み上げるし、
一人で暮らす老いた母親には自分の職業を偽り続けている。
脚を失った元職場の同僚である友人が
失った脚が原料の本を集めていることに対し、
すでに主人公がまとまった数を手にしているにも関わらず、
それを隠してバレないよう間接的に渡すのは、
その先その友人を何十年も苦しめさせていく行動ではないかと頭をもたげます。
冴えない主人公が人知れずに優越に浸っているようにしか思えません。
そこまでして陰ながら友人に尽力する意味もわかりません。
主人公以外は日記の主であるジュリーをはじめ、
個性的な登場人物が多くて楽しめる部分もありましたし、
最後の2ページは感動しましたが
主人公の行動には釈然としませんでした。
フィクションといえばそれまでですが、
このような作品には主人公への共感が不可欠だと思います。
2021年1月12日に日本でレビュー済み
グーテンベルグの活版印刷の発明以来、書籍の大量出版が可能になりました。
大量に出版され売れ残った本は、回収されて古紙として廃棄・リサイクルされます。
主人公は、そんなリサイクル工場で働く若者。
彼は仕事場で本を破壊するのを生業としながら、そこで入手した本を朗読するのが趣味です。
読書を趣味とする人には、何ともグッとくる設定に引き込まれ、ぐいぐい読まされてしまいました。
特に何かすごいことが起こるわけでもありませんが、淡々とした文体が良いです。
フランス映画や、小津安二郎の映画を思わせる情緒があって、好きな一冊です。
大量に出版され売れ残った本は、回収されて古紙として廃棄・リサイクルされます。
主人公は、そんなリサイクル工場で働く若者。
彼は仕事場で本を破壊するのを生業としながら、そこで入手した本を朗読するのが趣味です。
読書を趣味とする人には、何ともグッとくる設定に引き込まれ、ぐいぐい読まされてしまいました。
特に何かすごいことが起こるわけでもありませんが、淡々とした文体が良いです。
フランス映画や、小津安二郎の映画を思わせる情緒があって、好きな一冊です。