私は生粋のDIR EN GREY好きなのですが、その関係からかYotuTubeで動画を漁っていると「vanitas」のPVがヒットしまして、それはもう物凄い衝撃を受けました。vanitasといえば、DIR EN GREYのDUM SPIRO SPERO収録曲を思い出す人が多いでしょう。
Voの聖は、DIRの京から多大な影響を受けているとのことをインタビューで見たのですが、それにしてもこのレベルのホイッスルボイスを出せるというのは、凄まじい努力に加えて、凄まじい才能です。しかもDIMLIMが最初のバンドとのことですが、どうしたらバンド初心者ともいえる方が、このような声だけでなくメロディーセンスを持てるのか理解できません。それほど凄いです。
vanitasから入った私ですが、2017年11月に2名が脱退しています。この2名の影響は多大で、音作りがかなり違います。それ以前は、メタル色が強いです。ドラムとベースというのは音作りの根本ですから、その2名の影響は多大で、猛烈に叩かれるドラムが印象的でした。
そのドラムとベースが変わったことで、DIMLIMは明らかに変わりました。vanitasで感じるのは、音の間に存在する空間です。2017年11月以前の楽曲にはほとんど隙間が存在しません。ドラムが特に叩き続けているので、余裕がないのです。しかしこのアルバムでは、空間に余裕が生まれました。広さがあるのです。この広さが、圧倒的にこのアルバムの完成度を高くした理由の1つだと私は確信しています。
M-1 EXORDIUMとM-6 狂の理はSEです。実際の曲は10曲です。しかしSEが良い仕事をしています。これもDIR EN GREYらしさを継承していると言えばそうかもしれませんが、私はこれが好きです。
Musicビデオが作成されたのは、愛憎につき…、シガラミ、vanitasの3曲ですが、それぞれ素晴らしい。YouTubeで公開されているので、是非聴いてからこのアルバムを購入ください。
DIRの話に戻りますが、彼らの楽曲はメロとサビの組み合わせが独特です。メロとサビの関係性をぶち壊したTHE BLOSSOMING BEELZEBUBもそうですが、何回もサビを繰り返すような楽曲とは違い、メロディックな場面が登場しにくい傾向にあります。これが功を奏していると思います。この音作りは、DIRの薫のセンスが光るところですが、それに影響されているのでしょうか。この「真っ暗なドス黒い闇に、一輪の花に光が差す」ような曲作りが本アルバムにも散見されますが、このような音作りこそが聴くものを感動に陥れるのだと感じています。
先に紹介した3曲が素晴らしく、またキャッチーで、私はvanitasが猛烈に好きになりましたが、アルバム曲も素晴らしいです。GROTESQUEとD. Hymnusが特に好きです。これらの曲には趣、つまり空間が広がっていて、アルバムが窮屈になっていません。またDIRだけではなくthe Gazetteらしさを感じます。烈(Gt)がthe Gazetteを尊敬しているからかもしれません。D. Hymnusはまさにそんな雰囲気です。
そしてラストの曲、「人」と「形」も凄い。というのもVoのメロをどうやって思い付いたのか全く意味がわからないから、です。こんな曲を今この段階で作れるとは、末恐ろしいと思います。いやしかし、ファーストが最高傑作というバンドも、そこかしこにあります。だからこそ、反対の意味で恐ろしい。彼らはこれを超えていけるのでしょうか。
まだまだ知名度が低いバンドであるのですが、すでに1つの完成形に到達しています。この完成形を壊してまた次のステージへ彼らは到達できるのだろうかと、少し心配するレベルでこのアルバムの完成度は高いのです。そこが心配ですが、私は全力で彼らを応援したい。大祐が亡くなり、Sadieが休止した今、私は彼らを今後も応援し続けたいと思います。