犬との付き合いを猫に替えたため、猫に関する本を探していた。
アマゾンで本書を発見、著者の名が平岩とあったので、、もしかして日本オオカミと日本犬の権威、平岩米吉先生に関係があるか？
と見たら、なんと先生の長女だった。
赤ん坊のころから犬に囲まれ、父に育まれた娘が、私は猫をやる、と伝えたとき父は、大変だよと言ったそうだ。
その半年後に父は他界し、日本猫を軸に、原初の猫からの軌跡を追い、研究し、保護保存に尽力した。
この本は、父娘二代にわたるヒトとイヌ・ネコに関する研究と愛の結晶である。
本書のカバー写真は、親を失った子豚に乳を飲ませる、ブラジル、グァジャ族の母。
これは野生の獣が人との絆を作り、家畜となる第一歩だ、と解説している。
人と野生動物との絆の始まりが「乳」にあることは『神・人・家畜』谷泰著にも詳しく書かれており、平岩由伎子氏が、源まで遡り研究を進めた原点としての、これはモニュメントだろう。
内容は前編後編に分かれており、前編では猫の歴史と日本猫の保存運動。後編では猫の生活について。
日本猫の保存運動では、日本列島くまなく探し回る様子が描かれ、ついで日本ネコの繁殖の努力が語られる。
砂漠が猫の原点だったことから始まる猫の歴史では、19世紀以降の、世界中の乱雑な人の繁殖行為が現在のCMに出演するタレント猫につながって見えて、考えさせられる。
後編の猫の生活では、生殖のパターン、縄張りや雌雄の特徴、犬との対比などがふんだんに盛り込まれる。
砂漠の生まれだったことが、今の猫たちに共通する腎臓の故障の原点である、と初めて知った次第。
そうだったのか、という発見が盛り込まれている流石の平岩、という貴重な本だった。
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