本場スイスの最近のプライベートバンク事情について、参考になりました。
特に私がハイライトした箇所は
>近年は大手銀行の5年定期預金でも0.01%程度という超低金利が続いています。一方で前年比2%の物価上昇を目指すインフレ政策を進めており、金融機関にただ預けているだけでは相対的にお金の価値が目減りしてしまうでしょう。たとえいまは富裕層であっても、このまま何も対策を講じず、現金・預金で保有し続ければ、今後そのポジションから滑り落ちていく可能性は十分にあります。
>万が一、預金封鎖と資産課税といった事態になると、資産家であればあるほど致命的な影響を受けます。可能性が低いとはいえ、こうした最悪の事態を考えると、日本の資産家は何らかの対策を早めに講じることが不可欠といえるでしょう。具体的な対策としては、日本国内に所有している資産の一部を海外に移転することが考えられます。日本国内に所有している資産はほぼすべて「円建て」です。ハイパーインフレで円安になるならば、円で資産を持っていることがリスクになりますから、円以外の通貨に資産の一部を移すのです。それも預金封鎖の対象外である国外の金融機関に移すことです。
>伝統的なプライベートバンクが目指していること、それは、預かった資産を「減らさない」ということです。ほぼ全てのプライベートバンクの経営者がこの点を強調しています。
>最近のいくつかのプライベートバンクでは、対象のアセットクラスまたは銘柄を金額で分散するのではなく、リスク量の割合が一定になるように配分を調整していくという運用手法を採用しています。投資対象(資産クラス)または銘柄からのリスク量を常に計算・確認し、リスク量が一定になるように分散を図るのです。この考え方は「リスク・バッジェテイング」「リスク・パリテイ」と呼ばれます。
>図表10 リスクコントロールのシュミレーション(1)を見ると、日本国債50%、外国債券50%の長期運用リターン(16.75年)が日本株50%、外国株50%また日本株25%、外国株25%、国内債券25%、国外債券25%の場合のリターンを上回っていることが分かります。
>伝統的プライベートバンクに資産を移す場合、基本的に「ドル」ベースで考えるべきだと思っています。円換算して一喜一憂するのは無意味です。そもそもこれから20年、30年で見れば、円安の方向に進む可能性が高いでしょう。円高のいまは、日本から海外の資産に投資するチャンスと考えていいでしょう。そして、海外で運用して得られたリターンはまた、海外で再投資するのです。将来、そうやって増えた海外資産を使って、日本と海外を行ったり来たりするのもよいでしょう。
>元本確保型の債券は、償還時まで保有していれば元本が返済されるため、日本人に多いリスク許容度の低い富裕層に向いています。
ここからは63歳で退職した私の考えです。
まったく無駄のない著者のロジック展開と品性のある筆致には納得させられます。せっかくのスイスプライベートバンクの紹介ですが、庶民に毛の生えたレベルの私はセルフマネージメントしています。
筆者と同様の合理的予測の下で、MM2Hビザを取得しHSBCバンクに口座を開設して、円、USD、リンギットの通貨で資産配分しています。具体的には生活費は円の年金(いちおうはリスクフリーの疑似国債の金利を貰うようなもの)、そして円資産は円高時の他通貨への投資資金として、USDはゼロクーポン米国債、リンギットは複利の定期預金と、ほぼ金融資産は複利運用で、インフレに負けない、すなわち「減らさない」運用を心掛けています。

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プライベートバンクの嘘と真実 単行本(ソフトカバー) – 2017/5/29
篠田 丈
(著)
スイスの伝統的プライベートバンク経営者が共著・取材協力!
その実態が初めて明かされる!
相続税増税や海外資産の取り締まり強化など、富裕層が持つ資産に対する捕捉は厳しさを増す一方。
そんな中で注目されているのが「プライベートバンク」だ。
銀行や証券会社はプライベートバンキングやウェルスマネジメントといった部隊を設けて
「富裕層のパートナー」体制の強化を標榜している。
しかし、本場スイスをはじめとしたヨーロッパのプライベートバンクと日本のそれは大きく異なるのが実態。
日本では、顧客になる富裕層はもちろん、金融機関の従業員ですらもプライベートバンクの実態を理解していないのだ。
本書では、日本人としては数少ない、本場スイスのプライベートバンクとのパイプを持つ著者が、
実際に現地のバンカーとタッグを組む。
日本人富裕層に蔓延しているプライベートバンクの「嘘」を看破し、「真実」とメリットを存分に伝える一冊。
執筆にあたっては、現地のプライベートバング経営者に共著者として参加してもらい、全面的な協力を得た。
日本の書籍で本場のプライベートバンクの「生の声」が明かされるのはおそらく初めて。
歴史に培われた本物の発想と哲学を知ってほしい。
その実態が初めて明かされる!
相続税増税や海外資産の取り締まり強化など、富裕層が持つ資産に対する捕捉は厳しさを増す一方。
そんな中で注目されているのが「プライベートバンク」だ。
銀行や証券会社はプライベートバンキングやウェルスマネジメントといった部隊を設けて
「富裕層のパートナー」体制の強化を標榜している。
しかし、本場スイスをはじめとしたヨーロッパのプライベートバンクと日本のそれは大きく異なるのが実態。
日本では、顧客になる富裕層はもちろん、金融機関の従業員ですらもプライベートバンクの実態を理解していないのだ。
本書では、日本人としては数少ない、本場スイスのプライベートバンクとのパイプを持つ著者が、
実際に現地のバンカーとタッグを組む。
日本人富裕層に蔓延しているプライベートバンクの「嘘」を看破し、「真実」とメリットを存分に伝える一冊。
執筆にあたっては、現地のプライベートバング経営者に共著者として参加してもらい、全面的な協力を得た。
日本の書籍で本場のプライベートバンクの「生の声」が明かされるのはおそらく初めて。
歴史に培われた本物の発想と哲学を知ってほしい。
- 本の長さ221ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2017/5/29
- ISBN-104344912225
- ISBN-13978-4344912229
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商品の説明
著者について
■ 篠田 丈/シノダ タケシ
アリスタゴラ・アドバイザーズ代表取締役会長。
1985年に慶應義塾大学を卒業後、日興証券ニューヨーク現地法人の財務担当役員、
ドレスナー証券(ドイツ大手金融機関)及び ING 証券(オランダ最大手金融機関)で
エクイティ・ファイナンスの日本及びアジア・オセアニア地区最高責任者などを歴任。
直前はBNP パリバ証券(フランス最大手金融機関)東京支店の株式派生商品本部長として、
日本での株式関連ビジネスの責任者。
トレーディング部門の経験が長い。
現在、アセットマネジメントビジネスの一環として伝統的プライベートバンクとともにビジネスを行っている。
アリスタゴラ・アドバイザーズ代表取締役会長。
1985年に慶應義塾大学を卒業後、日興証券ニューヨーク現地法人の財務担当役員、
ドレスナー証券(ドイツ大手金融機関)及び ING 証券(オランダ最大手金融機関)で
エクイティ・ファイナンスの日本及びアジア・オセアニア地区最高責任者などを歴任。
直前はBNP パリバ証券(フランス最大手金融機関)東京支店の株式派生商品本部長として、
日本での株式関連ビジネスの責任者。
トレーディング部門の経験が長い。
現在、アセットマネジメントビジネスの一環として伝統的プライベートバンクとともにビジネスを行っている。
登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2017/5/29)
- 発売日 : 2017/5/29
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 221ページ
- ISBN-10 : 4344912225
- ISBN-13 : 978-4344912229
- Amazon 売れ筋ランキング: - 103,376位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 364位金融・ファイナンス (本)
- - 5,937位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2021年1月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とても読みやすかったです。
何度も読んでいます。プライベートバンクに益々興味を持ちました。
何度も読んでいます。プライベートバンクに益々興味を持ちました。
2017年11月26日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プライベートバンクへの誤解を払おうとの記述が目立つ印象ですが、まず表紙が怖い。
内情を垣間見る資料としてはまだこの手の書籍の読書量を積んでないので特に言えませんが、プライベートバンクは高額な預金を準備しなくても口座を持てるとの敷居の低さが書かれてますが、どこかの本で読んだ一定の資産を持たないと断られるという話に関してはスルーされてるので、そこは他の書籍に当たる必要があります。
スタッフは自分が所属するプライベートバンクの歴史や精神に関して丁寧に解説してくれるそうなので、一行だけでもいいので深く知りたいと思いました。
内情を垣間見る資料としてはまだこの手の書籍の読書量を積んでないので特に言えませんが、プライベートバンクは高額な預金を準備しなくても口座を持てるとの敷居の低さが書かれてますが、どこかの本で読んだ一定の資産を持たないと断られるという話に関してはスルーされてるので、そこは他の書籍に当たる必要があります。
スタッフは自分が所属するプライベートバンクの歴史や精神に関して丁寧に解説してくれるそうなので、一行だけでもいいので深く知りたいと思いました。
2017年6月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
普通の暮らしをしていると知ることのない貴重な情報が多いです。
いわゆるプライベートバンク部門は邦銀にもありますが、篠田さんが書かれているのは本当の意味でのプライベートバンク。
おもしろい内容で役に立ちます。私が富裕層になったらもっと役に立ちます!笑
いわゆるプライベートバンク部門は邦銀にもありますが、篠田さんが書かれているのは本当の意味でのプライベートバンク。
おもしろい内容で役に立ちます。私が富裕層になったらもっと役に立ちます!笑
2018年9月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何か特別なことが書いてあるのかと思って手にしましたが既に知っていることしか書いてありませんでした。他のプライベートバンクものを複数読んだことのある方が、この本から新たな知識を得ることはないと思います。値段が半分なら時間つぶしに読み流すには良いかも知れません。
書中で著者は(おそらく敢えて)1億円くらいからプライベートバンクの顧客になりうると書いていますが、その額でプライバートバンクなりのサービスを期待したら先方が困惑しそうです。(笑)
書中で著者は(おそらく敢えて)1億円くらいからプライベートバンクの顧客になりうると書いていますが、その額でプライバートバンクなりのサービスを期待したら先方が困惑しそうです。(笑)
2017年8月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
プライベートバンクの情報の中では、最近の確かな情報を記載したよい本だと思います。
2017年6月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
真意を理解すれば、社会や業界の現"常識"に大きく撃破することになるでしょう。たとえ小さな火花でも広野を焼き尽くすことができると共振共感です。
2017年9月18日に日本でレビュー済み
プライベートバンクとは何かがざっくりわかります
「日本の大手証券会社や銀行が行っているプライベートバンク業はスイス本来のプライベートバンクとは異なる」
それぞれのプライベートバンクの歴史などは
飛ばして読めば1時間かかりません
飛ばすところが多かった分だけマイナス1
「日本の大手証券会社や銀行が行っているプライベートバンク業はスイス本来のプライベートバンクとは異なる」
それぞれのプライベートバンクの歴史などは
飛ばして読めば1時間かかりません
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