本書は、国民経済計算(GDP統計)、新古典派成長モデル、有効需要の原理と45度線モデル、IS-LM分析、フィリップス曲線など、マクロ経済学の基本の部分について解説した本です。
読んでみると、著者が数式をできるだけ使わず、言葉で説明しようと苦心しているのがよくわかります。また、式を使う場合でも、記号ではなく、できるだけ日本語で数式をあらわしています(例:C+I+Gではなく、消費+投資+政府支出)。
経済学の教科書を読んでいると、式を変形していって「だからこういうことが言える」という本が多いです。私は学生時代に「理論的にはそうだが、それは現実の経済でどういうことになるのか」という印象をもった理論も多かったのですが、本書はそんな違和感を埋めるための丁寧な説明を心がけているように思います。
ただ、その反面、経済学を知らない人が本書を読んでもほとんど理解できないと思われます。基本的な教科書を一通り読んだことがあり、C+I+Gと45度線の図やIS-LMなどの基本的な知識がある人が、副読本として読むと参考になる本ではないでしょうか。
私は遠い昔に経済学をかじったことがあり、仕事でもGDP統計や産業連関分析に携わったことがありますが、「なるほどこういうふうに説明するのか」と興味を持ちながら本書を読ませていただきました。
著者は本書を書くのに何年もかかったということが「おわりに」の部分に書かれていますが、そのご苦労が伝わってくるような内容です。労作であり、貴重な本と思います。経済学を学んでいる人にとっては一読の価値のある本と思います。

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マクロ経済学の核心 (光文社新書) 新書 – 2017/6/15
飯田 泰之
(著)
景気のトレンド、国の政策の是非、会社の先行き、適正な賃金…
的確に判断し行動するには?
自分で考える〝理論の力〟
経済学は決して浮世離れした理論ではない。情勢を冷静に分析し、未来を予測するために拠って立つ礎となる。景気のトレンド、国の政策の是非、勤めている会社や業界の先行き、賃金は適正か、貯蓄か投資かなど、自分で判断し正しく行動するためには、マクロ経済学の知識が不可欠だ。注目を集める著者独自のナビゲートで、現代を生き抜く知性の力を手に入れろ!
飯田泰之(いいだやすゆき)
一九七五年、東京生まれ。エコノミスト、明治大学政治経済学部准教授、㈱シノドスマネジング・ディレクター、内閣府規制改革推進会議委員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『思考の「型」を身につけよう』(朝日新書)、『地域再生の失敗学』(共著、光文社新書)、『これからの地域再生』(編著、晶文社)など多数。
【目次】
第1章 マクロ経済を見る「目」
第2章 長期経済理論としての新古典派成長モデル
第3章 需要サイドによる景気循環モデル
第4章 マクロ経済学の基本モデルとしてのIS‐LM分析
第5章 労働と価格のマクロ経済学
コラム1日本は既に貿易立国ではない
コラム2人口減少悲観論は大げさ過ぎる
コラム3再分配政策としてのインフラ投資
コラム4経済効果って何ですか?
コラム5国際金融から見るトランポノミクスの帰結
コラム6アベノミクスの誤算と雇用者数
的確に判断し行動するには?
自分で考える〝理論の力〟
経済学は決して浮世離れした理論ではない。情勢を冷静に分析し、未来を予測するために拠って立つ礎となる。景気のトレンド、国の政策の是非、勤めている会社や業界の先行き、賃金は適正か、貯蓄か投資かなど、自分で判断し正しく行動するためには、マクロ経済学の知識が不可欠だ。注目を集める著者独自のナビゲートで、現代を生き抜く知性の力を手に入れろ!
飯田泰之(いいだやすゆき)
一九七五年、東京生まれ。エコノミスト、明治大学政治経済学部准教授、㈱シノドスマネジング・ディレクター、内閣府規制改革推進会議委員。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。著書は『昭和恐慌の研究』(共著、東洋経済新報社)、『歴史が教えるマネーの理論』(ダイヤモンド社)、『思考の「型」を身につけよう』(朝日新書)、『地域再生の失敗学』(共著、光文社新書)、『これからの地域再生』(編著、晶文社)など多数。
【目次】
第1章 マクロ経済を見る「目」
第2章 長期経済理論としての新古典派成長モデル
第3章 需要サイドによる景気循環モデル
第4章 マクロ経済学の基本モデルとしてのIS‐LM分析
第5章 労働と価格のマクロ経済学
コラム1日本は既に貿易立国ではない
コラム2人口減少悲観論は大げさ過ぎる
コラム3再分配政策としてのインフラ投資
コラム4経済効果って何ですか?
コラム5国際金融から見るトランポノミクスの帰結
コラム6アベノミクスの誤算と雇用者数
- 本の長さ253ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2017/6/15
- ISBN-104334039839
- ISBN-13978-4334039837
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2017/6/15)
- 発売日 : 2017/6/15
- 言語 : 日本語
- 新書 : 253ページ
- ISBN-10 : 4334039839
- ISBN-13 : 978-4334039837
- Amazon 売れ筋ランキング: - 472,426位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 174位マクロ経済学 (本)
- - 1,650位光文社新書
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トップレビュー
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2018年11月3日に日本でレビュー済み
本書では、経済学の目標を、短期で、失業率を減らすことにおいて、記述するとかかれている。これはとても重要なそして正直な言葉である。色々な経済学者が全く異なる政策を推奨するが、すでに資産を貯めた年金生活者や高級取りの資産の目減りを抑える政策をとると、デフレ政策となり、若者の職がないということになる。これはそれらの不運な世代に当たった人たちには本当に大変でひどいことなのだ。その意味では、本書の著者の考える、自分の経済学の目標というのは健全であり、賛同したい。今の財務省には不満かもしれないが。
最後のところで、勤労者が日本でどんどん増えているということがかかれている。人口減少と高齢化というなかで、今までは足らなかった女性が働き出したり、退職した高齢者も何らかの形で働き続けたり、また外国人が就労したりということがあれば、人口減少による縮小を心配するよりも、日本経済の将来は暗くないのかもしれないと思った。
著者は、内閣府の委員会などにも協力しているらしい。最近の日本の経済の舵取りが安心してみていられるもの、著者の貢献があるのかもしれない。
最後のところで、勤労者が日本でどんどん増えているということがかかれている。人口減少と高齢化というなかで、今までは足らなかった女性が働き出したり、退職した高齢者も何らかの形で働き続けたり、また外国人が就労したりということがあれば、人口減少による縮小を心配するよりも、日本経済の将来は暗くないのかもしれないと思った。
著者は、内閣府の委員会などにも協力しているらしい。最近の日本の経済の舵取りが安心してみていられるもの、著者の貢献があるのかもしれない。
2020年5月1日に日本でレビュー済み
数学的なモデル説明は大学で扱うような教科書で学び、それから本書を手に取る。すると習得済みの経済モデルが実社会とどのように結びつくのかがすっと頭に入ってきます。
2017年10月3日に日本でレビュー済み
経済学は決して浮世離れした理論ではないと言うなら、経済学の理論を提示して証明してもらいたい。自由貿易の理論もクラウディングアウトの理論も現実に合っていない。どのように言うのでしょうかね。
2017年10月1日に日本でレビュー済み
この本は、マクロ経済学の複数の学説・モデルをとそれを理解するために必要な基礎知識を説明しつつ、それらの学説・モデルにはそれぞれ適した経済環境があるということを説明している。簡単にでいいからマクロ経済学を勉強したい、という人や本格的に学ぶ前にマクロ経済学がどのようなものか大雑把に把握したい、という人に適していると思う。
2017年6月16日に日本でレビュー済み
P6
本書は入門書であり、教科書としての利用が可能なようにまとめられているため
これが、すべてを示している。
教科書としては、簡単すぎて(内容ではなく説明が)、中途半端
入門書(経済学を知らない人向け)としても、難しすぎて(内容が)、中途半端
新書で「マクロ経済学」を扱うことには、(ページ数的にも縦書きというにも)限界がある。
むしろ、「入門書」として、もっと簡潔に、シロウトでもわかるような本を出すことが、求められているのでは?シロウトが知りたいのは、
「経済学」ではなく、経済学的に現下の「経済状況」を「解説」してくれる本では?著者に一番求められているのはこういう本では?
筆者は、高等学校向け、清水書院「政治・経済」教科書(現行では、一番良い教科書記述)の執筆者であり、改めて、大学用教科書をしっかり記述した方が良いのでは?
本書は入門書であり、教科書としての利用が可能なようにまとめられているため
これが、すべてを示している。
教科書としては、簡単すぎて(内容ではなく説明が)、中途半端
入門書(経済学を知らない人向け)としても、難しすぎて(内容が)、中途半端
新書で「マクロ経済学」を扱うことには、(ページ数的にも縦書きというにも)限界がある。
むしろ、「入門書」として、もっと簡潔に、シロウトでもわかるような本を出すことが、求められているのでは?シロウトが知りたいのは、
「経済学」ではなく、経済学的に現下の「経済状況」を「解説」してくれる本では?著者に一番求められているのはこういう本では?
筆者は、高等学校向け、清水書院「政治・経済」教科書(現行では、一番良い教科書記述)の執筆者であり、改めて、大学用教科書をしっかり記述した方が良いのでは?
2017年11月23日に日本でレビュー済み
経済学は門外漢です。本書を読むまで、これほど理論的なモデルが組み上げられているとは知りませんでした。
普段、何気なく耳目に触れていた国内総生産(GDP)の元になる考え方である国民所得勘定(GDP統計)を単純化した判りやすい例で示してくれていて、なるほどと思いました。
ただしそれ以降の理論については、「なんとなく判ったような気がする」といったレベルで終始しました。モデルが多すぎて、頭の中で理論と現実とを結びつけることができませんでした。
普段、何気なく耳目に触れていた国内総生産(GDP)の元になる考え方である国民所得勘定(GDP統計)を単純化した判りやすい例で示してくれていて、なるほどと思いました。
ただしそれ以降の理論については、「なんとなく判ったような気がする」といったレベルで終始しました。モデルが多すぎて、頭の中で理論と現実とを結びつけることができませんでした。