権威的なホテルのポーターの制服を愛する主人公の老人。そしてその制服を着た老人を尊敬する家族やご近所の人達。
でもその制服を取り上げられてしまうと、老人は全ての権威を失い、絶望の淵に沈み、朦朧とした夢の中でかつての誇りを持っていた仕事ぶりを思い出す。そして権威を失った憐れな老人を、ご近所の人たちは露骨に笑いものにし、家族は絶望する。
それに追い打ちをかけるように、老人が新しい仕事場であるホテルの洗面所で、一人寂しく惨めな貧しいご飯を食べるシーンが映し出され、それと対比するようにホテルのレストランでは金持ちたちが豪華な食事をとる。
付け加えられたエピローグも批判は多いのですが、人間の本質に対する皮肉と考えれば私個人としては納得ができました。
ハンディ・カメラを用いて、表現主義的な手法によって二重露出やクロース・アップ、アイリスショットを駆使し、主人公役のエミール・ヤニングスの目や背中による優れた演技(誇りや怯えや卑屈さなどの表現)を、映像だけで物語っていきます。言葉は皆無で登場人物には誰も名前がなく、字幕も二箇所しかありません。それでも見る側には意味が伝わります。
そして、登場人物が無名であることによって、彼らは職業や肩書や制服によってのみ枠組みされます。そしてそれは家族の中においてさえもそうであり、対外的に意味を失った家長は家の中でも立場を失います。
エピローグでは、その老人の悲劇の全てが皮肉的にひっくり返されます。とりあえずはハッピーエンドです。
人間の弱さと悲劇的とも言える本質が、白黒の画像で、言葉も無く、深く描かれています。
最後の人【淀川長治解説映像付き】 《IVC BEST SELECTION》 [DVD]
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フォーマット | ブラック&ホワイト |
コントリビュータ | マリー・デルシャフト, エミール・ヤニングス, F・W・ムルナウ |
稼働時間 | 1 時間 14 分 |
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商品の説明
世界映画をリードしたドイツ表現主義。
映像表現に革命をおよぼしたムルナウの傑作。
原題:DER LETZTE MANN
1924年ドイツ作品/サイレント
登録情報
- アスペクト比 : 1.33:1
- メーカーにより製造中止になりました : いいえ
- 梱包サイズ : 19 x 13.6 x 1.6 cm; 100 g
- EAN : 4933672241951
- 監督 : F・W・ムルナウ
- メディア形式 : ブラック&ホワイト
- 時間 : 1 時間 14 分
- 発売日 : 2013/9/27
- 出演 : エミール・ヤニングス, マリー・デルシャフト
- 字幕: : 日本語
- 販売元 : IVC,Ltd.(VC)(D)
- ASIN : B00DOSV37O
- 原産国 : 日本
- ディスク枚数 : 1
- Amazon 売れ筋ランキング: - 18,545位DVD (DVDの売れ筋ランキングを見る)
- - 1,645位外国のドラマ映画
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2012年7月31日に日本でレビュー済み
字幕(台詞)を一切省き、映像だけでここまで表現できるとは素晴らしい。
特に、ホテルが倒れる幻覚や、ぼかして夢であることを表現、涙で霞むシーンなどは映画好きなら必見。
この時代の、ドイツ・ドイツ映画の活発さ、表現力・技術の高さを改めて実感できる。
しかし、アメリカのために付け加えられたラストは、あまりにも蛇足で、アメリカのアホさ加減にも呆れてしまう。
保存状態が悪く、ノイズが全編に入ってしまっているのも非常に残念。
古いから仕方ないと言えば、
それきりだがしっかり残して欲しいなぁ...
特に、ホテルが倒れる幻覚や、ぼかして夢であることを表現、涙で霞むシーンなどは映画好きなら必見。
この時代の、ドイツ・ドイツ映画の活発さ、表現力・技術の高さを改めて実感できる。
しかし、アメリカのために付け加えられたラストは、あまりにも蛇足で、アメリカのアホさ加減にも呆れてしまう。
保存状態が悪く、ノイズが全編に入ってしまっているのも非常に残念。
古いから仕方ないと言えば、
それきりだがしっかり残して欲しいなぁ...
2019年11月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ぜひ!こちらもご覧ください!
成程「アメリカ版」ってよく聞く言葉ですが、この雰囲気ですか。
実は初鑑賞。ムルナウ作品は起承転結ものすごく分かり易い。
そのなかでも、特に分かりやすい本作は、非常に万人受けする作品。
この欄お読みになる方に、今更ネタバレも何もないと思いますので、
フランク・キャプラ監督「素晴らしき哉、人生!」(1946年)の
大ファンとしては勿論「最後の人」大好きです。ドライヤー監督の
「あるじ」(1925年)と同じくらい好きです。
もう1枚欲しいなあ、でも高いんだろうなあ、と思いつつ検索したら
このシリーズが!…実はこのシリーズも好きなのです。
特に淀川長治氏ファンではないのですが、ご存命の頃、上映会で
お目にかかっていて懐かしい。初対面の時「あなた、女性ですか?」
といきなり訊かれて驚きました。人生最大の謎の質問でした。
とゆうわけで、紀伊國屋書店版を検索し忘れたことに、いま気付く。
成程「アメリカ版」ってよく聞く言葉ですが、この雰囲気ですか。
実は初鑑賞。ムルナウ作品は起承転結ものすごく分かり易い。
そのなかでも、特に分かりやすい本作は、非常に万人受けする作品。
この欄お読みになる方に、今更ネタバレも何もないと思いますので、
フランク・キャプラ監督「素晴らしき哉、人生!」(1946年)の
大ファンとしては勿論「最後の人」大好きです。ドライヤー監督の
「あるじ」(1925年)と同じくらい好きです。
もう1枚欲しいなあ、でも高いんだろうなあ、と思いつつ検索したら
このシリーズが!…実はこのシリーズも好きなのです。
特に淀川長治氏ファンではないのですが、ご存命の頃、上映会で
お目にかかっていて懐かしい。初対面の時「あなた、女性ですか?」
といきなり訊かれて驚きました。人生最大の謎の質問でした。
とゆうわけで、紀伊國屋書店版を検索し忘れたことに、いま気付く。
2023年9月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
グリフィスやルビッチによって、ようやくサイレント映画にもなじみはじめたのに、また躓いてしまった。これ、それほどの傑作だろうか?お話は単純で、淀川長治氏が簡潔に語っているように、ホテルのドアマンをしていた男が、加齢を理由に(でも当方が見た限りでは雨の中、必死にお客様のために働いて一息ついている所を上司に見られたのが原因のようだった)、ドアマンの役割を剥奪され、地下の(というところがミソか?)トイレット係(といっても靴磨きなどの奉仕も兼務)に転属させられるというもの。双方の職務の最も顕著な違いは、ドアマンの軍服のような制服と、トイレット係のみすぼらしい白衣にある。この制服の違いが、彼を権威づけたり、失墜させたりするという話なのだ。あえて話だけをとると、ここに何ほどの感銘もない。権威を着たり脱いだりし、それが周りの人の態度を変えることに主人公(エミール・ヤニングス40歳!)が右往左往するというに過ぎない。ヤニングスの好演もあって一抹の真実を描いてはいるが、だからどうだというのだろう?だからこそ観る者が感銘を受けるとでも?―いや、受けてきたからこその“名作”なのかもしれない。
しかし、当方にとって、<中間字幕を一切使わないという試みを行い、映像技術とともに高く評価され、表現主義の傑作と呼ばれた>というのは理解できなくもないが、それ以上でもそれ以下でもない。ストーリーは明確に“表現”されている。カメラのアングルなど興味深い点も色々あった。ところが、<映像技術ととも>表現されたものが、権威をめぐるエトセトラだけというのではあまりに淋しい。権威とは“虎の威”ではないのか?そんなものだけで人間の価値は決まるものか?“感銘”にはほど遠いお話でしかない。
しかし、当方にとって、<中間字幕を一切使わないという試みを行い、映像技術とともに高く評価され、表現主義の傑作と呼ばれた>というのは理解できなくもないが、それ以上でもそれ以下でもない。ストーリーは明確に“表現”されている。カメラのアングルなど興味深い点も色々あった。ところが、<映像技術ととも>表現されたものが、権威をめぐるエトセトラだけというのではあまりに淋しい。権威とは“虎の威”ではないのか?そんなものだけで人間の価値は決まるものか?“感銘”にはほど遠いお話でしかない。