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<若田光一宇宙飛行士から学ぶ>
人間は宇宙に果てしなき探求心と希望をもって夢を追いかけている。前回、数回の投稿で宇宙の神秘、壮大さや宇宙飛行士たちの宇宙から地球を見る極めて特異な経験をした人間の内面にいかなる変化がもたらせるのか?宇宙とは、地球とは、人間とは何か?衝撃に満ちた内的経験を述べてきました。
今回は「若田光一、日本のリーダシップ」の本を中心に組織の中のリーダシップについて考えていきたい。会社に長年勤務してきた人でしたら組織のリーダーとしての経験があると思います。私はこの本を読んでハット気づかされることがあります。
ここでは一般的なリーダーではなく若田光一宇宙飛行士が3度の経験し、宇宙では死と隣り合わせでリーダーとしての任務を遂行しなければ大惨事につながってしまうのです。彼の任務を成功させたのは乗組員の環境を整え非常時の時の小さなミスが命取りになってしまうようなとき、時には即決し、強引に皆を引っ張っていかなくてはならなかったのです。彼は常に笑顔で物事に対しで柔軟性がありいつも自分に何ができるかを考えていたそうです。そして仲間から信頼される人でした。まさしく、今述べたものがリーダーの素質に必要な部分でしょう。
NASAが宇宙飛行士を育成する場合人間性を高めることに力を入れているそうだ。表情の見せ方や話し方、身のこなし方を洗練する訓練である。一言でいえば人間としての魅力を引き出すことです。宇宙飛行士はパーフェクトの人という印象があるが、若田氏でさえ大切な訓練がある時に表情がそれまで見たことのないような厳しいものがあり、自負心を隠せず自らの緊張感を人に見せてしまったこともある。
私がこの本を読んでいて若田宇宙飛行士のリーダーとしての経験をリストアップしたものです。
1) 異常事態が起きた時、思い込みを排除し、より全体が見えるようにしなければならない。全体を見ることはすなわち、今の自分の視点から一歩離れて、先入観にとらわれずに状況判断をすることです。
2) 多様な考えを尊重する。彼は「和」という言葉を強調している。『「和」の心は日本人らしい。この和の心を大切にしたい。ハーモーニーを大切にして調和の中からベストの結果を生み出す、世界における日本人らしさをもって任務を全うしたい』
3) しかし、意見を述べないということではなく、チーム内でどんどん言い合う。その上で最終的に一つの方向にもっていく。
4) 緊急時には何が原因であるか調査し、そのことを仲間に伝える。仲間の意見が必要であれば聴く余裕があってもよい。しかし、時間がない時はリーダーが決めそれを伝える。
5) 緊急の時はだれしも一定のストレスがあるのは当然である。それは状況把握や判断にも影響します。自分の判断がはたして正しかったかと、いつまでも悩むのではなく、変化に応じて新しい判断を下し、状況を立て直していくのが重要である。
6) 普段はみんなの意見を取り入れながら行動をしますが。リーダーは時にはトップダウンで、ある程度命令をしなければならないときがある。バランスをとることが必要で日ごろからその訓練をする。
7) 「曖昧さ」が強みになる時がある。若田は「人間のやることに、失敗があって当然のことです。私もその失敗を積み重ねて学んできました」「確かにプロである私たちが失敗を繰り返せば信頼を失いますが、でも最初の失敗は寛容であってよいと思います。リーダーはその失敗をいかに大きな問題に発展しないように、チームを管理しなければなりません」
8) 若田さんは船長の権限を使って一つだけ問答無用で仲間を命令したことがあった。それは全員で食事をとることである。仲間が集いコミュニケーションをとる機会を、食事に求めた。これはチームワークを高めるために非常に効果的であった。
9) 宇宙食のメニューはあらかじめ決まって、栄養のバランスなど考慮されている、しかし、その中で許されているのが「ボーナス食」なのだ。NASAによると宗教心や信仰心を尊重する、精神心理の面のサポートである。極限状況では食べ物が信頼をよぶ。
10) 「和」に込めた真意
若田が掲げたこの「和」は日本人ならではのリーダーシップのかたちです。「私の力でなく日本の技術に対する信頼が高まった延長上に、このISSの船長という仕事があったのだと思います」「日本人はもともと非常に高い調整能力が備わっている。それが和の力です。各国の事情を考慮して様々な意見を取り入れ、その上できちんと意思決定をすること、それが、私たち日本人の特異性です」
最後に若田は「宇宙とは、日本やアメリカだけでなく、世界の多くの人たちに、限りない夢を与え続けてくれる創造の空間だと思います。その価値を共有して、みんなで宇宙を使っていくことで豊かな平和な社会が築くことができると思います」といっています。あらゆる場面でもその物事を柔軟に受け止め進めていく一方、トップダウンで決断しなければならぬ芯の強さをもっていくことが必要であるが、「信頼、信用」が前提条件である。
今まで述べてきたことはリーダーとしての心構えというより人間としての円滑なコミュ ニケーションをいかに取るかということを考えていかなければならないことだと思います。それは決断、予測、経験、和の力、信頼、アイデンティなどが作用してくるが、日本人としては若田光一宇宙飛行士のように「和」の一文字。これが日本人ならではのリーダーシップの形ではなかろうか。

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若田光一 日本人のリーダーシップ (光文社新書) 新書 – 2016/1/19
状況変化への「対応力」、意見を束ねる「調整力」、自分を信じた「決断力」。世界を率いる船長に学ぶ本物のリーダーの条件
2014年7月からのおよそ5か月間、自身初の宇宙飛行で長期滞在を行った油井亀美也は、09年に日本の宇宙開発を担うJAXAによって選抜された。彼が選ばれた背景には、日本の悲願達成への明確な狙いがあった。それは、国際宇宙ステーションの「船長」、すなわち世界を率いるリーダーとなれる人材の獲得である。その船長に日本人として、またアジア人として初めて就任し、13年11月からの半年に及ぶ宇宙でのミッションを見事果たした若田光一。米露を中心に行われてきた宇宙開発の長い歴史の中でなぜ今、若田が選ばれたのか? 日本人は本当に世界のトップとして通用するのか? リーダーの資質とは一体何か?――大好評『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』の著者二人が、若田への密着取材を通じ日本人にとっての永遠のテーマに挑む!
【目次】
第1章 日本人「船長」の誕生
第2章 船長の仕事
第3章 緊急対処訓練
第4章 自分を客観視する力
第5章 「和」の調整力
第6章 試される日本人のリーダーシップ
第7章 次代の船長のために
小原健右(おばらけんすけ)
1977年、宮城県生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHKに入局。報道局・科学文化部記者、ニューヨーク特派員などを経て、現在は報道局・国際部デスク。取材・制作した番組に「宇宙飛行士になりたかった~夢への挑戦から6年~」、「よみがえる記憶~戦艦武蔵 知られざる悲劇~」などがある。 大鐘良一(おおがねりょういち)
1967年、東京都生まれ。一橋大学卒業後、NHKに入局。現在は報道局チーフプロデューサー。制作した番組に「高倉健が出会った中国」、「ともに悩み ともに闘う~長野・いじめ対策チーム」、「宇宙飛行士はこうして生まれた~密着・最終選抜試験~」(すべてNHKスペシャル)などがある。
2014年7月からのおよそ5か月間、自身初の宇宙飛行で長期滞在を行った油井亀美也は、09年に日本の宇宙開発を担うJAXAによって選抜された。彼が選ばれた背景には、日本の悲願達成への明確な狙いがあった。それは、国際宇宙ステーションの「船長」、すなわち世界を率いるリーダーとなれる人材の獲得である。その船長に日本人として、またアジア人として初めて就任し、13年11月からの半年に及ぶ宇宙でのミッションを見事果たした若田光一。米露を中心に行われてきた宇宙開発の長い歴史の中でなぜ今、若田が選ばれたのか? 日本人は本当に世界のトップとして通用するのか? リーダーの資質とは一体何か?――大好評『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』の著者二人が、若田への密着取材を通じ日本人にとっての永遠のテーマに挑む!
【目次】
第1章 日本人「船長」の誕生
第2章 船長の仕事
第3章 緊急対処訓練
第4章 自分を客観視する力
第5章 「和」の調整力
第6章 試される日本人のリーダーシップ
第7章 次代の船長のために
小原健右(おばらけんすけ)
1977年、宮城県生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHKに入局。報道局・科学文化部記者、ニューヨーク特派員などを経て、現在は報道局・国際部デスク。取材・制作した番組に「宇宙飛行士になりたかった~夢への挑戦から6年~」、「よみがえる記憶~戦艦武蔵 知られざる悲劇~」などがある。 大鐘良一(おおがねりょういち)
1967年、東京都生まれ。一橋大学卒業後、NHKに入局。現在は報道局チーフプロデューサー。制作した番組に「高倉健が出会った中国」、「ともに悩み ともに闘う~長野・いじめ対策チーム」、「宇宙飛行士はこうして生まれた~密着・最終選抜試験~」(すべてNHKスペシャル)などがある。
- 本の長さ259ページ
- 言語日本語
- 出版社光文社
- 発売日2016/1/19
- 寸法10.8 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-104334038980
- ISBN-13978-4334038984
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登録情報
- 出版社 : 光文社 (2016/1/19)
- 発売日 : 2016/1/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 259ページ
- ISBN-10 : 4334038980
- ISBN-13 : 978-4334038984
- 寸法 : 10.8 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 400,766位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 1,495位光文社新書
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2024年2月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
若田さんが好人物なのは佇まいからもわかるが、若田さんの妻がドイツの名門の出身という事実は、白人優位(宇宙飛行士の人種割合を見てもわかる)の世界では、日本人宇宙飛行士の中にあっては暗黙のうちに、若田さんの立ち位置は白人側にはより親近感というか、好印象が潜在的にあるのではないか?
船長を白人側が推薦するとしたら、そういった優位性もあるのだろうなぁと、私なんか思えてしまうのだが、そういった側面からのアプローチはなされてなかったのが残念である。その点で星一つ減点。
船長を白人側が推薦するとしたら、そういった優位性もあるのだろうなぁと、私なんか思えてしまうのだが、そういった側面からのアプローチはなされてなかったのが残念である。その点で星一つ減点。
2016年12月10日に日本でレビュー済み
『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』の出版から5年強。そのコンビによる続編とも
言うべき内容が本書だ。前作は、2008年にJAXAが実施した宇宙飛行士選抜試験
のドキュメントであり、その中から宇宙飛行士に必要な資質や人間力を見出すという
テーマであったが、本書は、日本人初の国際宇宙ステーションの船長となった若田光
一氏への密着取材を通じ、世界に通じるリーダーシップとは何かをテーマにしている。
前作でも感じたが、まずは徹底した密着と取材振りに感心させられる。限られた紙数
に、それを余すところなく表現しているのは何より素晴らしい。
そして本書のテーマについても、若田光一氏が訓練で見せた行動から単なるリーダー
像でなく、自分を客観視する力をベースにしながら、客観視した自分を一つの機能と
してチームを機能させるリーダーシップの在り様を見事に描き出している。
日本人としてのグローバルリーダー像として「和」を重んじること。若田氏のリーダー
としての在り様は、多くの日本人リーダーの参考であり、目標であり、励みになるので
はないだろうか。
言うべき内容が本書だ。前作は、2008年にJAXAが実施した宇宙飛行士選抜試験
のドキュメントであり、その中から宇宙飛行士に必要な資質や人間力を見出すという
テーマであったが、本書は、日本人初の国際宇宙ステーションの船長となった若田光
一氏への密着取材を通じ、世界に通じるリーダーシップとは何かをテーマにしている。
前作でも感じたが、まずは徹底した密着と取材振りに感心させられる。限られた紙数
に、それを余すところなく表現しているのは何より素晴らしい。
そして本書のテーマについても、若田光一氏が訓練で見せた行動から単なるリーダー
像でなく、自分を客観視する力をベースにしながら、客観視した自分を一つの機能と
してチームを機能させるリーダーシップの在り様を見事に描き出している。
日本人としてのグローバルリーダー像として「和」を重んじること。若田氏のリーダー
としての在り様は、多くの日本人リーダーの参考であり、目標であり、励みになるので
はないだろうか。
2016年7月31日に日本でレビュー済み
読み始めて、引き込まれました。
もっともっと読みたいという気持ちが生まれる本でした。
もっともっと読みたいという気持ちが生まれる本でした。
2020年2月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2016年刊。日本人の宇宙飛行士で初めて国際宇宙ステーションの船長を務めた若田光一に密着する一冊。
緊急事態に対処する際、リーダーはチームで危機感を共有できるよう仲間の思考スピードに合わせて状況を的確に説明できなければならない。プロ集団を率いるために重要な心がけは、部下の言うことにしっかり耳を傾け、チームにとって最もスムーズな仕事の進め方を見いだすこと。解決策の提案を忘れることなく、時には怒ることを相手に伝えることを恐れない。
若田が目指すのは異なる意見を出し合って最終的にチームとして自然にまとまっていく「和」のリーダーシップ。ミッションに相応しい人員配置を行って、気がついたら仕事が終わっていた、という形を理想とします。
宇宙飛行士のドキュメントが優れたリーダーシップの教科書でもあることを気づかせる一冊です。
緊急事態に対処する際、リーダーはチームで危機感を共有できるよう仲間の思考スピードに合わせて状況を的確に説明できなければならない。プロ集団を率いるために重要な心がけは、部下の言うことにしっかり耳を傾け、チームにとって最もスムーズな仕事の進め方を見いだすこと。解決策の提案を忘れることなく、時には怒ることを相手に伝えることを恐れない。
若田が目指すのは異なる意見を出し合って最終的にチームとして自然にまとまっていく「和」のリーダーシップ。ミッションに相応しい人員配置を行って、気がついたら仕事が終わっていた、という形を理想とします。
宇宙飛行士のドキュメントが優れたリーダーシップの教科書でもあることを気づかせる一冊です。
2016年1月26日に日本でレビュー済み
著者の小原健右さん、大鐘良一さんは、「宇宙飛行士選抜試験」で、日本で10年ぶりに行われた宇宙飛行士の選抜試験を密着取材しましたが、
本書では、若田さんが、船長に選ばれる過程、背景、そして、船長になってからの活動を追ったものになっています。
そういった意味では、本書は、前著の続編ということもできると思います。
現在、ISSは、アメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパ、そして、カナダの15か国が参加し運営されています。
そして、若田さんがISSの船長になるまで延べ38名の船長が誕生していますが、その殆どは、米、露の宇宙飛行士で占められています。
しかし、そこにベルギーの船長が誕生したことから、出資金、貢献度の高さから日本人の船長をという機運が高まりました。
日本が密かにNASAとロシアにその旨を打診したところ、若田なら、という回答を得たそうです。
しかし、過去3度の宇宙飛行を経験しているとはいえ、若田は、組織のマネージメント能力、
宇宙の緊急事態でのリーダーシップが、まだ不足ということで、その面での訓練も描かれています。
この緊急対処訓練の取材は、よく許可されたものだと思いますが、非常に迫力があります。
そして、若田さんは、第38次ISS船長、オレッグ・コトフの後を継ぎ、2014年3/9 第39次ISSの船長に就任します。
その時のことばが「和の心をもって舵取りしたい」で、ここに若田さんの日本流のリーダーシップのとり方がよく表れています。
本来宇宙飛行士は、命の危機にさらされることをどれだけ体験しているか、ということが非常に重要になるので、
必然として、軍事パイロット出身の者が圧倒的に多くなり、当然、船長も多く選ばれることになります。
ところが、若田さんは、そうではありません。そんな彼が、なぜ宇宙飛行士に成れ、
自分より優れたキャリアを持つ、アメリカ、ロシアの宇宙飛行士があまたいる中で、なぜ船長に成れたのか?
その秘密の一端を解き明かしています。
本書はその秘密の一端を解き明かしています。
本書では、若田さんが、船長に選ばれる過程、背景、そして、船長になってからの活動を追ったものになっています。
そういった意味では、本書は、前著の続編ということもできると思います。
現在、ISSは、アメリカ、ロシア、日本、ヨーロッパ、そして、カナダの15か国が参加し運営されています。
そして、若田さんがISSの船長になるまで延べ38名の船長が誕生していますが、その殆どは、米、露の宇宙飛行士で占められています。
しかし、そこにベルギーの船長が誕生したことから、出資金、貢献度の高さから日本人の船長をという機運が高まりました。
日本が密かにNASAとロシアにその旨を打診したところ、若田なら、という回答を得たそうです。
しかし、過去3度の宇宙飛行を経験しているとはいえ、若田は、組織のマネージメント能力、
宇宙の緊急事態でのリーダーシップが、まだ不足ということで、その面での訓練も描かれています。
この緊急対処訓練の取材は、よく許可されたものだと思いますが、非常に迫力があります。
そして、若田さんは、第38次ISS船長、オレッグ・コトフの後を継ぎ、2014年3/9 第39次ISSの船長に就任します。
その時のことばが「和の心をもって舵取りしたい」で、ここに若田さんの日本流のリーダーシップのとり方がよく表れています。
本来宇宙飛行士は、命の危機にさらされることをどれだけ体験しているか、ということが非常に重要になるので、
必然として、軍事パイロット出身の者が圧倒的に多くなり、当然、船長も多く選ばれることになります。
ところが、若田さんは、そうではありません。そんな彼が、なぜ宇宙飛行士に成れ、
自分より優れたキャリアを持つ、アメリカ、ロシアの宇宙飛行士があまたいる中で、なぜ船長に成れたのか?
その秘密の一端を解き明かしています。
本書はその秘密の一端を解き明かしています。
2016年1月24日に日本でレビュー済み
2013年に放映された「NHKスペシャル 日本人船長(コマンダー)宇宙へ」をベースに、若田光一さんの国際宇宙ステーション(ISS)第39次長期滞在(2014年)で船長を務めるまでの訓練、ISS滞在時の様子等を記録したものである。
NHKでは、2008年に行われた宇宙飛行士選抜試験の様子を、2009年に「NHKスペシャル 宇宙飛行士はこうして生まれた」で放映し、2010年に書籍化しているが、本書はその続編とのことである。私は前著もとても興味深く読んだのであるが、2008年の選抜試験が「世界各国の宇宙飛行士のリーダー(=船長)になれる人材」を求めたもので、昨年ISSでの長期滞在を果たした油井亀美也さん(元航空自衛隊の戦闘機パイロットの隊長)ら3名がそうした観点で選ばれたことは本書で初めて知った。そうした意味では、若田さんがISS船長となるまでの軌跡を記録した本書は、日本人宇宙飛行士全体の歴史の中での続編と言い得るのかも知れない。
そして本書では、若田さん以前にISS船長となった宇宙飛行士38人のうちの大半が、緊急事態対処能力を日頃から鍛えられている(米ロの)軍人パイロットである中で、若田さんが如何にして船長に不可欠と言われるその能力を身に付けたのか、また、若田さん本人が強いこだわりを持っていた「日本人らしい“和”のリーダーシップ」とはどのようなもので、若田さんはそれを如何に発揮したのか等が描かれ、著者の狙った上達論として十分な魅力がある。
加えて、NASAとの交渉を経て初めて可能となったISSや宇宙飛行士たちの世界に関しても多くが記されており、そうした観点からも貴重な記録となっている。
(2016年1月了)
NHKでは、2008年に行われた宇宙飛行士選抜試験の様子を、2009年に「NHKスペシャル 宇宙飛行士はこうして生まれた」で放映し、2010年に書籍化しているが、本書はその続編とのことである。私は前著もとても興味深く読んだのであるが、2008年の選抜試験が「世界各国の宇宙飛行士のリーダー(=船長)になれる人材」を求めたもので、昨年ISSでの長期滞在を果たした油井亀美也さん(元航空自衛隊の戦闘機パイロットの隊長)ら3名がそうした観点で選ばれたことは本書で初めて知った。そうした意味では、若田さんがISS船長となるまでの軌跡を記録した本書は、日本人宇宙飛行士全体の歴史の中での続編と言い得るのかも知れない。
そして本書では、若田さん以前にISS船長となった宇宙飛行士38人のうちの大半が、緊急事態対処能力を日頃から鍛えられている(米ロの)軍人パイロットである中で、若田さんが如何にして船長に不可欠と言われるその能力を身に付けたのか、また、若田さん本人が強いこだわりを持っていた「日本人らしい“和”のリーダーシップ」とはどのようなもので、若田さんはそれを如何に発揮したのか等が描かれ、著者の狙った上達論として十分な魅力がある。
加えて、NASAとの交渉を経て初めて可能となったISSや宇宙飛行士たちの世界に関しても多くが記されており、そうした観点からも貴重な記録となっている。
(2016年1月了)