監督はマルセル・カルネ、監督デヴュー作品です。撮影は『天井桟敷の人々』のロジェ・ユベール、音楽は『大いなる幻影』のジョゼフ・コスマ、1936年の作品です。
パリで「ジェニィの家」というナイトクラブを経営するジェニイ(フランソワーズ・ロゼー)は、6年前に娘のダニエル(リゼット・ランヴァン)を音楽の勉強のためにロンドンに留学させます。ダニエルは金持ちの若い男と婚約をしていたのですが身辺調査をされた結果、婚約の破棄を伝えられパリに戻ってきます。そしてジェニイの若い愛人のリュシアン(アルベール・プレジャン)と愛し合う関係になってしまいます。
終盤でダニエルとリュシアンの仲の良い姿を目撃するジェニイの表情が何とも言えずに凄いです。そして最後、自分の居場所である「ジェニイの家」に寂しげに帰っていきます。たとえ辛いものだったとしても、自分の現実を知ることは必要な事であり、これで良かったのだと思います。カルネはそのリアルを冷たく突き放すように映しとっています。