オーストラリアのポスト・ハードコア・バンド,Hands Like Housesが2013年にリリースしたセカンド・アルバム。デビュー作『Ground Dweller』を聴いてすっかりハマってしまいました。陰と陽,激しさと繊細さが絶妙のバランスで交錯するサウンドが最高です。
冒頭を飾るは「Developments」。病院の心電図モニターを思わせる無機質なビープ音に,春の陽光を思わせる明るいギター。さらにスティールパンのようにキラキラしたシンセ。一見ミスマッチとも思える取り合わせが何とも印象的なメロディーを紡ぎ出し,サビでは劇的なギター・リフとエモーショナルなシャウトが炸裂。この1曲で早くもグイッと引き込まれてしまいました。
が,素晴らしいのはここから。無機質でどこか哀感漂うコンピュータ・ゲーム音っぽいシンセから,ワイルドな掛け声とともに情熱的なギターとたたみかけるようなドラムスで疾走する「Introduced Species」,キーボードを基調とした美しくも悲しいサウンドと,激しさの中にも孤高を感じさせるギター・サウンドが交錯する「Weight」。この2曲の何とも劇的な展開がたまりません。
中盤から後半にかけては,「A Tale of Outer Suburbia」に「Oceandust」が秀逸です。「A Tale of Outer Suburbia」は,穏やかな中にも愁いを帯びたギターのアルペジオによるバラードで幕を開け,次第にヒートアップ。サビではストリングスも交えた劇的なサウンドで熱く盛り上がる感動的なナンバー。「Oceandust」は,美しくも愁いを帯びたピアノをバックに深い悲しみと怒りを切々と歌い上げたバラード。
この他にも,エバーグリーンな爽快感あふれるアップテンポ「No Parallels」,疾走感のあるサウンドにサビではメロディアスなギター・リフで決める「Wisteria」,攻撃的なヴォーカルとパワフルなギター・サウンドでたたみかける「Shapeshifters」,スリリングでトリッキーなギターがカッコ良い「The House You Built」など聴きどころは満載。
ギターを中心とした多彩でドラマティックなサウンドで,完成度の高いアルバムですが,渾身のヴォーカルにもあらわれているように技に走るのではなく,まっすぐひたむきに突っ走る・・・そんな気概が感じられます。そのひたむきさに心打たれるアルバムです。