「多様性を尊重しましょう」と昨今マスメディアでよく耳にしますが、今作を読んで本当に多様性を尊重したならば無秩序な世界になってしまうため、「多様性を尊重しましょう」(社会のルールに反するものは除く)だったんだなと気付かされました。
そして、マイノリティ(と言うのも憚れれますが)を尊重するためにはその人の話を聞くことや思いを馳せることが必要なのではないかと内省する機会にもなりました。
正しさ・欲望の価値観について深く考えさせていただいたこの作品に感謝申し上げます。
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正欲 (新潮文庫 あ 78-3) Paperback Bunko – May 29, 2023
by
朝井 リョウ
(著)
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自分が想像できる”多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよな――。息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づく女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり始める。だがその繫がりは、”多様性を尊重する時代"にとって、ひどく不都合なものだった。読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。
- Print length528 pages
- LanguageJapanese
- Publisher新潮社
- Publication dateMay 29, 2023
- Dimensions4.17 x 5.94 x 0.73 inches
- ISBN-104101269335
- ISBN-13978-4101269337
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Product Details
- Publisher : 新潮社; 文庫 edition (May 29, 2023)
- Publication date : May 29, 2023
- Language : Japanese
- Paperback Bunko : 528 pages
- ISBN-10 : 4101269335
- ISBN-13 : 978-4101269337
- Dimensions : 4.17 x 5.94 x 0.73 inches
- Amazon Bestseller: #603 in Japanese Books (See Top 100 in Japanese Books)
- #12 in Shincho Bunko
- #80 in Artistic & Literary Works
- Customer Reviews:
About the author
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岐阜県生まれ。小説家。
2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。
2014年『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞を受賞。
2021年『正欲』で第34回柴田錬三郎賞を受賞。
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斎藤隆
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タマー
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ハッピーエンドが好きなので……この本は辛い。
Amazon カスタマー
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長編なのにあっという間に読み終えてしまった
Amazon カスタマー
Verified Purchase
これは私には少し難しかったです。
最後もなんだか後味が悪かった。
最後もなんだか後味が悪かった。
HARU
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考えても答えが出ない、結論を出さないことが正解で、触れないことが正しいのか
欲について考えさせられる。
読む前と後で何かが変わると思います。
欲について考えさせられる。
読む前と後で何かが変わると思います。
シヨ
Verified Purchase
又は嫌悪感を持つか、でこの作品の感想は全く違うものになります。
読んだ人と話し合ってみたいと思わされました。
読んだ人と話し合ってみたいと思わされました。
Citrus
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批評や感想を書くことをためらってしまう小説だと思った。本作の描く「多様性」を前にすると、どんな表現も、読み手によって意味が反転しうることを突きつけられるからだ。
神が人間を裁くことができない以上、人間が人間を裁くために、法律による線引きを行うことは可能なのだろうか?その線引きを行う正しい人間とは誰なのだろうか?
多様性とは結局のところ「マジでヤバい奴」を社会から抹消するための線引きではないのだろうか?
本作で答えは示されない。ただ、夏月と佳道、八重子と大也の美しい対話に示唆されているように思った。
神が人間を裁くことができない以上、人間が人間を裁くために、法律による線引きを行うことは可能なのだろうか?その線引きを行う正しい人間とは誰なのだろうか?
多様性とは結局のところ「マジでヤバい奴」を社会から抹消するための線引きではないのだろうか?
本作で答えは示されない。ただ、夏月と佳道、八重子と大也の美しい対話に示唆されているように思った。
hi02
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『日本で、男で、五体満足な異性愛者に生まれる。
これで、社会にはびこる理不尽から、九割は免れることができる』
(p.317)
この文章は刺さった。
意識していなかったが、自分が特権階級にいることに気付かせてくれた。
子どもはお母さんに育てられるのが一番。
子どもの昼食はお母さんのお弁当がいい。
こういう考えに対して、遅れている、古い考えだと思っていた。
しかし、
ミスコン存続?廃止? 別に存続してもいいんじゃない。
ルッキズムの増長?性的搾取につながる?そこまでナーバスにならなくても。
アニメの女性キャラの入浴シーン?
元々少年マンガ誌に掲載されていたものだから、背景を考えれば問題ないだろう。
こんな感じにも私は考えており、
反対意見に対しては細かいことにうるさいなと思っていた。
これぞ、本書のテーマである“うすっぺらな多様性”だ。
自分の理解できる範囲では理解を示し、
自分の理解できない範囲では拒絶する。
私もそうしていたことに、改めて気付かされる。
本書は特殊性癖を抱えた人に焦点を当てた作品である。
マイノリティの中にも序列があり、
マイノリティの中のマジョリティは
多様性が尊重される風潮の中で理解が進む。
一方、マイノリティの中でもマイノリティは理解されないままであり、
その辛さが丁寧に描かれている。
例えば、特殊性癖を抱える夏月の以下の独白が当てはまる。
『あなたが抱えている苦しみが、他人に明かして共有して
同情してもらえるようなもので心底羨ましい』(p.242)
『性的対象は、ただそれだけの話ではない。根だ。
思考の根、哲学の根、人間関係の、世界の見つめ方の根。
そのことに多数派の人間は気づかない。
気づかないでいられる幸福にも気づかない。
他者が登場しない人生は、自分が生きていくためだけに生きていく時間は、
本当にむなしい』(p.246)
夏月は同じ性癖を持つ高校の同級生・佐々木と再会し、
つながり、2人はより多くの人とつながろうとするが…。
ハッピーエンドで終わらないことは冒頭で示唆され、
その通りハッピーエンドで終わらず、モヤモヤする。
作者の朝井リョウは敢えて、そうしたのだろう。
その方が読者を考えさせるから。
但し、決してバッドエンドではない。
ほのかに希望を感じることができる、ふさわしい終わり方だ。
なお、朝井作品は名言が連発されることが多く、
本にアンダーラインを引きまくることが多いが、
今回もたくさん刺さる箇所があった。
まずは、冒頭の独白。最初読んだ時は気付かなかったが、
途中まで読んで再度冒頭を読むと、書かれている内容の深さに驚く。
『世の中にあふれている情報はほぼすべて、
小さな河川が合流を繰り返しながら大きな海を成すように、
この世界全体がいつの間にか設定している大きなゴールへと
収斂されていく。
その“大きなゴール”というものを端的に表現すると、
「明日死なないこと」です』(p.6)
また、終盤の女子大生の八重子と特殊性癖を抱えている大也との
言い合いにおける、八重子の発言は圧巻だ。
「そうやって不幸でいるほうが、楽なんだよ。
自分が一番かわいそうなんだって嘆くだけでいい。
向き合うべきものに向き合わないでいられる」(p.449)
「この容姿の私を愛してくれる誰かと生きてみたい
っていう憧れをとか全部消したい。
だけど人を好きになっちゃうの」(p.449)
「はじめから選択肢奪われる辛さも、
選択肢があるのに選べない辛さも、
どっちも別々の辛さだよ」(p.452)
「ミスコン廃止したところで誰かの頭の中にある
性的な目線を制御できるわけじゃないってわかっているし、
別に全部の大学からミスコンをなくそうとしているわけでもない。
一つの方向に導きたいとかじゃなくて、
自分を削ってくるものだらけの世の中で
なんとか前向きに生きていく方法を考えたいだけ」(p.452)
他にも、以下の独白に惹かれた。
『映画やドラマでは若い女性同士の関係を陰湿に描くものも多いが、
二十歳を超えても尚異物を排除する力が強いのは圧倒的に男子の方だ。
男は、男であることから降りようとする男を許さない。
嫌うでもなくハブるでもなく、許さないのだ』(p.322)
『若いってああいうことだよな、と思う。自分の暇を埋めるためには
思い付きで誰かの感情を引っかき回してみてもいいと思っていること』(p.244)
『正当な不満は、思考を生み、言葉を練り出す。
出所が正当なのだから、その論理はどこに出ても恥ずかしくないほど
整ってしまう。だからこそ苛立ちは増大していく』(p.245)
ストーリーも名言も、両方楽しめる名作だ。
これで、社会にはびこる理不尽から、九割は免れることができる』
(p.317)
この文章は刺さった。
意識していなかったが、自分が特権階級にいることに気付かせてくれた。
子どもはお母さんに育てられるのが一番。
子どもの昼食はお母さんのお弁当がいい。
こういう考えに対して、遅れている、古い考えだと思っていた。
しかし、
ミスコン存続?廃止? 別に存続してもいいんじゃない。
ルッキズムの増長?性的搾取につながる?そこまでナーバスにならなくても。
アニメの女性キャラの入浴シーン?
元々少年マンガ誌に掲載されていたものだから、背景を考えれば問題ないだろう。
こんな感じにも私は考えており、
反対意見に対しては細かいことにうるさいなと思っていた。
これぞ、本書のテーマである“うすっぺらな多様性”だ。
自分の理解できる範囲では理解を示し、
自分の理解できない範囲では拒絶する。
私もそうしていたことに、改めて気付かされる。
本書は特殊性癖を抱えた人に焦点を当てた作品である。
マイノリティの中にも序列があり、
マイノリティの中のマジョリティは
多様性が尊重される風潮の中で理解が進む。
一方、マイノリティの中でもマイノリティは理解されないままであり、
その辛さが丁寧に描かれている。
例えば、特殊性癖を抱える夏月の以下の独白が当てはまる。
『あなたが抱えている苦しみが、他人に明かして共有して
同情してもらえるようなもので心底羨ましい』(p.242)
『性的対象は、ただそれだけの話ではない。根だ。
思考の根、哲学の根、人間関係の、世界の見つめ方の根。
そのことに多数派の人間は気づかない。
気づかないでいられる幸福にも気づかない。
他者が登場しない人生は、自分が生きていくためだけに生きていく時間は、
本当にむなしい』(p.246)
夏月は同じ性癖を持つ高校の同級生・佐々木と再会し、
つながり、2人はより多くの人とつながろうとするが…。
ハッピーエンドで終わらないことは冒頭で示唆され、
その通りハッピーエンドで終わらず、モヤモヤする。
作者の朝井リョウは敢えて、そうしたのだろう。
その方が読者を考えさせるから。
但し、決してバッドエンドではない。
ほのかに希望を感じることができる、ふさわしい終わり方だ。
なお、朝井作品は名言が連発されることが多く、
本にアンダーラインを引きまくることが多いが、
今回もたくさん刺さる箇所があった。
まずは、冒頭の独白。最初読んだ時は気付かなかったが、
途中まで読んで再度冒頭を読むと、書かれている内容の深さに驚く。
『世の中にあふれている情報はほぼすべて、
小さな河川が合流を繰り返しながら大きな海を成すように、
この世界全体がいつの間にか設定している大きなゴールへと
収斂されていく。
その“大きなゴール”というものを端的に表現すると、
「明日死なないこと」です』(p.6)
また、終盤の女子大生の八重子と特殊性癖を抱えている大也との
言い合いにおける、八重子の発言は圧巻だ。
「そうやって不幸でいるほうが、楽なんだよ。
自分が一番かわいそうなんだって嘆くだけでいい。
向き合うべきものに向き合わないでいられる」(p.449)
「この容姿の私を愛してくれる誰かと生きてみたい
っていう憧れをとか全部消したい。
だけど人を好きになっちゃうの」(p.449)
「はじめから選択肢奪われる辛さも、
選択肢があるのに選べない辛さも、
どっちも別々の辛さだよ」(p.452)
「ミスコン廃止したところで誰かの頭の中にある
性的な目線を制御できるわけじゃないってわかっているし、
別に全部の大学からミスコンをなくそうとしているわけでもない。
一つの方向に導きたいとかじゃなくて、
自分を削ってくるものだらけの世の中で
なんとか前向きに生きていく方法を考えたいだけ」(p.452)
他にも、以下の独白に惹かれた。
『映画やドラマでは若い女性同士の関係を陰湿に描くものも多いが、
二十歳を超えても尚異物を排除する力が強いのは圧倒的に男子の方だ。
男は、男であることから降りようとする男を許さない。
嫌うでもなくハブるでもなく、許さないのだ』(p.322)
『若いってああいうことだよな、と思う。自分の暇を埋めるためには
思い付きで誰かの感情を引っかき回してみてもいいと思っていること』(p.244)
『正当な不満は、思考を生み、言葉を練り出す。
出所が正当なのだから、その論理はどこに出ても恥ずかしくないほど
整ってしまう。だからこそ苛立ちは増大していく』(p.245)
ストーリーも名言も、両方楽しめる名作だ。