8ビット時代の『野球拳』を始祖としてエロゲー30年(刊行当時の時点で)の歩みをざっくり読み解く、タイトル通りのエロゲー史概説書であります。
エロゲーすなわち18禁アダルトゲームを軸に据えつつ、家庭用一般ゲーム・アニメ・漫画といった周辺ジャンルに同時代の風俗や時事、行政の規制などもからめて展開されるエロゲー四方山話。これが思いの外に面白い!
エロゲーのタイトル、メーカー、スタッフについては当然ながら手広く押さえられているものの、それ以上に面白いのはエロゲーの外の話題。ファミコンやPCエンジンの非公認アダルトゲームだとか、空のメディアに書き込むソフトベンダーだとか、そんなものがあったのか! とまことに興味津々の話題が満載。近いようでいて遠い日になりにけりの、1980~1990年代風俗のガイドブックとしても役立つのでは。鬼畜ゲームの傑作の誉れ高い『遺作』が、もう数年ズレていたら、携帯電話の普及のせいで設定自体が成り立たなくなっていたなんて話題もあって大笑い。確かにその通りだ!
一方で、エロゲーの内容も世相を反映して、リーマン・ショックで不況の波に呑まれるとシャッター街が舞台になるなんて話題が……こちらはぞっとさせられます。
面白かったのは表現規制との戦い。性描写はなくても未成年の飲酒や喫煙でNGになるという基準に呆れる一方、規制を掻いくぐって新しい表現を模索したり、近親相姦のタブー自体をテーマとして物語の中に深化させたり、あの手この手の対抗手段には感心させられるばかり。ちょっと既視感があるなと考えてみたら……そうだ! 歌舞伎だ! 浮世絵だ! 江戸時代でも現代でも、いつの時代もサブカルチャーの発展形態はそう変わらないということかもしれませんね。
本書がカバーしているのは2012年までなのですが、その時点でもWEBカメラ連動エロゲーだとかオナホール型コントローラーだとか、頭がくらくらするような話題が多数。その他、ヤンデレといい、男の娘といい、淫語といい、人間の欲望の幅広さと業の深さというものをつくづく思い知らされます。この国の文化は、ああ、いったいどこへ向かっているのでしょうか……!?
残念だったのは、版権の都合なのか、参考画像の掲載が限られているということ。とりわけ1980年代の話題となると絵で見せられないことにはぜんぜんイメージがつかめません。
『野球拳』『ナイトライフ』『EMMY』『軽井沢殺人案内』『ヴァーチャル・ヴァレリー』等々、画像を掲載して欲しかったです。
そして、地味にショックだったのは……アニメの『らき☆すた』から10年!! 『崖の上のポニョ』から9年だって!!
マジか!? つい最近だと思っていたのに!!
道理で年齢を食うわけですな……。

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エロゲー文化研究概論 単行本(ソフトカバー) – 2013/1/26
宮本直毅
(著),
エマ・パブリッシング
(編集)
国産「エロゲー」誕生より30年。語り継ぎたいエッチなゲームがある! 古きよき時代に作られた名作から現在に至る「エロゲー」の歩みを徹底研究。1980年代、8ビット機パソコンから幕を開けたエロゲーの歴史と名作たちを、当時の世相や時事問題をまじえながら解説する。黎明期、あの有名ゲームメーカーが作っていたエロゲーの内容とは? 8ビット機、16ビット機、Windowsといったパソコンの進化がエロゲーに与えた影響は? エロゲー30年の軌跡を振り返る!
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社総合科学出版
- 発売日2013/1/26
- 寸法15 x 1.7 x 21 cm
- ISBN-104881818295
- ISBN-13978-4881818299
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商品の説明
出版社からのコメント
語り継ぎたいエッチなゲームたち!
著者について
宮本直毅:「みやも」のペンネームで活躍しているフリーライター、ブロガー。アニメやマンガなど 二次元メディア全般について執筆し、アダルトゲーム関連を主分野とする。インフォレス トの「大全」シリーズへ寄稿し、『ヤンデレ大全』『いちゃラブ大全』では構成を担当。 小説には『修正報告 銀河ツンデレ伝説』(二見書房、二〇〇五)がある。関西在住で、 アダルトゲームの購入はおもに大阪・日本橋の電気街でおこなう。私的に関心が強いのは 児童向けアニメと少年漫画。一九八〇年代OVAのジャケットコレクターでもある。
登録情報
- 出版社 : 総合科学出版 (2013/1/26)
- 発売日 : 2013/1/26
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 256ページ
- ISBN-10 : 4881818295
- ISBN-13 : 978-4881818299
- 寸法 : 15 x 1.7 x 21 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 85,761位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 104位ゲームファンブック
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
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2017年9月14日に日本でレビュー済み
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2013年3月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容は他の方が詳しく書かれていますので割愛しますが
エロゲーの歴史の教科書として、非常に面白いものになっていたと思います
難点は、仕方ないのかもしれませんが、ちょっと価格がお高いところですね
エロゲーの歴史の教科書として、非常に面白いものになっていたと思います
難点は、仕方ないのかもしれませんが、ちょっと価格がお高いところですね
2022年10月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
パラパラと見た感じ、やはり大手寄り。純愛系より鬼畜系多め。全体に悪趣味なセレクション
量産体制に入る前に主軸だった泣き系鬱系に至っては存在すらしていなかった事に
黎明期のコンシューマブランドが作ってた時代から2015年位まで
一時代を築いてきたライターを犯罪者扱いしてる界隈が持ち上げてるような
クソゲーメーカーが多い印象
今は消えていったような派生ブランドとは載ってないかな
量産で売ってるメーカーはもとより
ビジュアルアーツ系列が殆ど無いってなんでやねん
その癖、一発ネタみたいなマイナーなものが延々書かれてたり
どんな基準なんだろ
エロゲ界隈の空気感は感じ取れず中の人の話題に終始してる
ユーザーは蚊帳の外で内輪同士のヨイショが続く内容に満足できるならどうぞ
量産体制に入る前に主軸だった泣き系鬱系に至っては存在すらしていなかった事に
黎明期のコンシューマブランドが作ってた時代から2015年位まで
一時代を築いてきたライターを犯罪者扱いしてる界隈が持ち上げてるような
クソゲーメーカーが多い印象
今は消えていったような派生ブランドとは載ってないかな
量産で売ってるメーカーはもとより
ビジュアルアーツ系列が殆ど無いってなんでやねん
その癖、一発ネタみたいなマイナーなものが延々書かれてたり
どんな基準なんだろ
エロゲ界隈の空気感は感じ取れず中の人の話題に終始してる
ユーザーは蚊帳の外で内輪同士のヨイショが続く内容に満足できるならどうぞ
2013年1月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これまでエロゲーについて現在までに比較的まとまった本としては、『超エロゲー』とその続編の『超エロゲー ハードコア』がありました。こちらはソフト単位でエロゲー黎明期からのエロゲー史を描いていますが、やはりソフト単位だと漏れが多々でてしまいます(といっても内容は非常に面白いですが)
本書は、エロゲーの始まりから現代までにおけるエロゲー史をクールな書きぶりで描きます。とにかく、情報量が豊富。エロゲーについてだけでなく、同時期に創刊した雑誌や社会的な事件、ゲーム会社の設立や萌えについてなど、ゲームの時代背景となる関連する事項が、本論から脇道に逸れた風でなく自然に書かれています。
海外におけるエロを取り入れたゲームの紹介もあり、これはなかなか手に入らない情報なのでとてもありがたい。もっと知りたいなというところ。それだけで一冊を作って欲しいくらい。
さらに本書はただ情報の羅列だけでなく、著者の鋭い分析も多々挟み込まれます。例えば、黎明期におけるエロゲーから、エロゲーとは元々「遊び+エロ」であり、エロとは「遊び」という前置きの後の「ごほうび」であったというのがまず始まりにある、という指摘は(野球拳とかね)、エロゲーだからエロがあるという現在の観念に揺り動かしをかけるものであります。
他にも、1984年に出た『EMMY』というソフトは、キャラクターにひたすら話しかける(文字を打ち込む)だけのゲームで、もちろん中々まともなやりとりが出来るはずがないところを試行錯誤繰り返していくという体験は、「エロゲーがゲームとしてどこまで手間をかけさせるか、さじ加減の変化を見ていく起点として、コマンド打ち込み式AVGは記念される」と述べます。これは、現在の共通ルートがあってフラグを踏んで個別ルートへ至るという選べるようでほとんど一本道のゲームをひたすらクリックしているだけのゲームに対して一考の余地を迫るものであるかもしれません。
もちろんゲームは歴史を踏まえて進化(変化)する内にユーザーの興味に合うように最適化されていくわけですが、その最中にこぼれ落ちた、選ばれなかった歴史というものを本書が描き出すエロゲーの歴史は考えさせてくれます。
そのような信頼のおける語り口と共に、幅広くエロゲーの歴史に触れていく本書は、結構やりこんでいると思っている私でも本当に様々なゲームがあるんだなということに気付かせてくれます。読んでいる内にどんどんエロゲーがやりたくなる。それだけで、大変良い書籍なのではないかと思います。A5判に文字が詰まっていてボリュームの割この値段は安い。熟読します。
本書は、エロゲーの始まりから現代までにおけるエロゲー史をクールな書きぶりで描きます。とにかく、情報量が豊富。エロゲーについてだけでなく、同時期に創刊した雑誌や社会的な事件、ゲーム会社の設立や萌えについてなど、ゲームの時代背景となる関連する事項が、本論から脇道に逸れた風でなく自然に書かれています。
海外におけるエロを取り入れたゲームの紹介もあり、これはなかなか手に入らない情報なのでとてもありがたい。もっと知りたいなというところ。それだけで一冊を作って欲しいくらい。
さらに本書はただ情報の羅列だけでなく、著者の鋭い分析も多々挟み込まれます。例えば、黎明期におけるエロゲーから、エロゲーとは元々「遊び+エロ」であり、エロとは「遊び」という前置きの後の「ごほうび」であったというのがまず始まりにある、という指摘は(野球拳とかね)、エロゲーだからエロがあるという現在の観念に揺り動かしをかけるものであります。
他にも、1984年に出た『EMMY』というソフトは、キャラクターにひたすら話しかける(文字を打ち込む)だけのゲームで、もちろん中々まともなやりとりが出来るはずがないところを試行錯誤繰り返していくという体験は、「エロゲーがゲームとしてどこまで手間をかけさせるか、さじ加減の変化を見ていく起点として、コマンド打ち込み式AVGは記念される」と述べます。これは、現在の共通ルートがあってフラグを踏んで個別ルートへ至るという選べるようでほとんど一本道のゲームをひたすらクリックしているだけのゲームに対して一考の余地を迫るものであるかもしれません。
もちろんゲームは歴史を踏まえて進化(変化)する内にユーザーの興味に合うように最適化されていくわけですが、その最中にこぼれ落ちた、選ばれなかった歴史というものを本書が描き出すエロゲーの歴史は考えさせてくれます。
そのような信頼のおける語り口と共に、幅広くエロゲーの歴史に触れていく本書は、結構やりこんでいると思っている私でも本当に様々なゲームがあるんだなということに気付かせてくれます。読んでいる内にどんどんエロゲーがやりたくなる。それだけで、大変良い書籍なのではないかと思います。A5判に文字が詰まっていてボリュームの割この値段は安い。熟読します。
2013年2月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容はタイトル通り「エロゲーの歴史」についてのまとめた本です。
フリーライターの方がスッキリとわかりやすくまとめてくれているので、とても読みやすいです。
エロゲー聡明期の1980年から2012年までにおける「エロゲー」の
あり方や歴史、その当時のオタク文化(宮崎ロ○コン事件、佐織事件等々)を絡めて解説されています。
タイトルは「文化研究概論」と少々厳めしいですが、
文体が非常に読みやすいので、サクサク読めるのも高評価でした。
何となくネット上で断片的にしか知らなかった情報をこのようにして纏められると、
理解が深まります。
なかなか理解されにくいジャンルではあるのですが、
日本の美少女オタク文化を理解する上で無視は出来ないジャンルです。
このような本が出版される事は、日本の一つの文化(良いか悪いかは別にして)を知る上でも重要な事だと思います。
フリーライターの方がスッキリとわかりやすくまとめてくれているので、とても読みやすいです。
エロゲー聡明期の1980年から2012年までにおける「エロゲー」の
あり方や歴史、その当時のオタク文化(宮崎ロ○コン事件、佐織事件等々)を絡めて解説されています。
タイトルは「文化研究概論」と少々厳めしいですが、
文体が非常に読みやすいので、サクサク読めるのも高評価でした。
何となくネット上で断片的にしか知らなかった情報をこのようにして纏められると、
理解が深まります。
なかなか理解されにくいジャンルではあるのですが、
日本の美少女オタク文化を理解する上で無視は出来ないジャンルです。
このような本が出版される事は、日本の一つの文化(良いか悪いかは別にして)を知る上でも重要な事だと思います。
2015年6月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
エロゲーの発祥から現在に至るまでの変遷が詳しく書かれており、エロゲー愛好者は一読すべき本。当時の社会規範やゲーム制作に関する法規制などについても述べられており、これからエロゲーを作ろうと考えている人も参考にできる内容が詰まっている。
2013年5月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
80年代のエロゲ揺籃期から現代に至るまで、エロゲー及びその関連項目を年代順に叙述していく一冊
特定のゲーム(たとえば鍵ゲーなど)に極端に注視することなく、全体をうまく俯瞰しているとおもう。
また、ブランドおよびスタッフにも注目した記述になっているのもポイント。
エロゲー史を押さえるならぜひ買いたい一冊
特定のゲーム(たとえば鍵ゲーなど)に極端に注視することなく、全体をうまく俯瞰しているとおもう。
また、ブランドおよびスタッフにも注目した記述になっているのもポイント。
エロゲー史を押さえるならぜひ買いたい一冊
2013年5月31日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
頁的な制約もあり、一つ一つの記述が薄くなってしまうのはやむを得ないですが、それを差し引いたとしても、全体に良くできた本だと思います。
エロゲーを一つの文化と考えた場合、その文化を考察するための必読本だと思います。
エロゲーを一つの文化と考えた場合、その文化を考察するための必読本だと思います。