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スーパーインテリジェンス: 超絶AIと人類の命運 単行本 – 2017/11/1

4.2 5つ星のうち4.2 96個の評価

■AIについての最も重要な命題=人類はAIを制御できるか、という「AIコントロール問題」と真正面から格闘した本命本。

■近未来に、汎用的な能力においても思考能力においても、そして、専門的な知識・能力においても、人類の叡智を結集した知力よりもはるかに優れた超絶知能(スーパーインテリジェンス)が出現した場合、人類は滅亡するリスクに直面する可能性がありうる。そのリスクを回避するためには、スーパーインテリジェンスを人類がコントロールできるかどうかが鍵を握る。果たして、そのようなことは本当にできるのか?

■オックスフォード大学の若き俊英、ニック・ボストロム教授が、スーパーインテリジェンスはどのようにして出現するのか、どのようなパワーを持つのか、いずれ人類がぶち当たる可能性のある最大の難問、「AIのコントロール問題」とは何か、解決策はあるのかなどについて、大胆にして、きわめて緻密に論じる。2014年秋に原著が出版されるや、瞬く間にニューヨーク・タイムズ紙ベストセラーとなり、イーロン・マスク、ビル・ゲイツ、S・ホーキング博士およびその他多数の学者や研究者に影響を与え、AIの開発研究は安全性の確保が至上命題であることを広く認識させるきっかけとなった。

■近未来においてスーパーインテリジェンスは実現する可能性はあるのか? どのようなプロセスで実現されるのか?スーパーインテリジェンスはどのような種類の能力をもち、人類に対してどのような戦略的優位性をもつのか? その能力が獲得される要因は何か? 人類が滅亡する危機に直面するリスク、人類との共存の可能性についてどう考えるべきか? これらAIをめぐる真に根源的な問題について著者は、類書をはるかに超えた科学的、論理的な考察を徹底して慎重に積み重ね、検証する。
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商品の説明

著者について

ニック・ボストロム
オックスフォード大学教授
オックスフォード大学マーティン・スクール哲学科教授。オックスフォード大学の「人類の未来研究所」所長、および「戦略的人工知能研究センター」所長。分析哲学のほかに、物理学、計算論的神経科学、数理論理学の研究も行う。哲学、数学、芸術などの、人間・自然科学分野での優れた研究者に授与されるユージン・R・ギャノン賞を受賞。米国の『フォーリン・ポリシー』誌の「世界の頭脳100人(Top 100 Global Thinkers)」に2度選出されているほか、英国の『プロスペクト』誌が選ぶ「世界思想家(World Thinkers)」に選定され、全分野でのトップ15および分析哲学では最高のランクに最年少で選出されている。 著作物は200を超え、主な著書にAnthropic Bias (Routledge, 2002), Global Catastrophic Risks (Ed.,Oxford University Press, 2008), Human Enhancement (Ed.,Oxford University Press, 2009)がある。

倉骨 彰
翻訳家、著作家
早稲田大学卒業。テキサス大学オースチン校大学院言語学研究科博士課程修了。数理言語学博士。同校で自然言語処理などを研究。訳書に、ダニエル・ヒリス『思考する機械 コンピュータ』、アーサー・ブロック『マーフィーの法則』、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』『昨日までの世界』など多数。著書に、『実践的UML入門― IIOSS で始める新世紀プログラミング』(共著)などがある。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版; New版 (2017/11/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2017/11/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 717ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4532357071
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4532357078
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.7 x 4.2 x 19.5 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.2 5つ星のうち4.2 96個の評価

著者について

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ニック・ボストロム
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上位レビュー、対象国: 日本

2017年12月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ニック・ボストロムは10数年以上前から主にオックスフォード大学研究所(Future of Humanity Institute)のサイト及び彼自身のサイトの諸論文などで読んでいたとはいえ、本書を原書で初めて読んだときの衝撃は凄いものだった。
それはともかく、レビューとしては申し訳ないのだが、ここで非常に深く多岐にわたる彼の考察を下手にまとめることは躊躇われる。
本書は決して専門筋対象の本ではなく、現存する最も優れた哲学者の一人による、世界的に大変な影響力を一般市民から最先端の開発者にいたるまで及ぼし続けてきた現代人必須の教養書として位置づけられるべきものである。
以下に最重要論点を紹介したい。
ボストロムは、
「このようなマシン(引用者付記:人間の知能を超越したレベルの知能を有するマシン・インテリジェンス)が実現されるのはタイミング的に、人間と同等レベルのマシン・インテリジェンスが実現された瞬時先である可能性がある。」(25頁)
と述べている。
つまり、ニック・ボストロム のいう「スーパーインテリジェンス」は、もし誕生するとすれば、再帰的に自己更新するAIとして誕生し自己を再創造し続けると考えられるため、人間と同等レベルの人工汎用知能が自律的な自己創造=爆発的な進化プロセスに突入してからスーパーインテリジェンスレベルに到達するまでの時間が瞬時の時間である可能性があるということである。もちろんそれが例えばミリセカンド単位なのか数十時間単位なのか我々人間には予測不可能である(そもそもそうしたケースではマシンそれ自体の時空認知フレームが我々人間の時空認知フレームと異なり独立していると考えられる)。
なおここで「人間と同等レベル」とは、「人間の成人と同じレベルで自然言語を理解できる」(45頁)ということである。
蛍の集団における点滅のリズムなど自然界の同期共鳴:シンクロ現象(生命現象に限らない)も、ある時点を境に全く異次元レベルでの高度な同期レベルに相転移的に跳ね上がることが数式レベルで知られてきているが、それと似たような事態が未来のいずれかの時点でスーパーインテリジェンスの誕生という形で生じないと断言することはできないだろう。
もちろんそれ以前に、閉鎖環境下で秘密裏に極めて高度な(完全に汎用的でかつそれを超えたレベルのものではなくても)AI開発に成功したいずれかの国あるいは高レベル組織による「極めてまずい形での単独覇権」の達成という悪夢に対して人類は自己防衛する必要が生じる。現在人類史上初の人工汎用知能AGI開発に最も近い人物の一人であり、OpenCog Foundation、Hanson Robotics、Singularity Netなどを率いるベン・ゲーツェルはスーパインテリジェンスによる人類破局のシナリオなどの「私が乗れない話」に無駄に耽るのではなくむしろそういった現実的な悪の可能性問題に目を向けろよ!とブログポストで述べている。
とはいえボストロムは、上記を含めておよそ目配り可能なあらゆる問題に考察の目を光らせている。そして彼が提起する問題の決定版が、
「真に究極的な単独覇権(Singleton)は、いずれかの国家・組織集団あるいはそれらの同盟により占有された汎用性AI の覇権をはるかに超えた、極めて強い人工汎用知能すなわちスーパーインテリジェンスそれ自体によるSingletonになるはずであり、そこにこそ人類自身の存続が懸かっている実存的・存在論的リスク existential risk があるのだ。」
という論点なのである。こうした超AIが人間並みのクオリアを含めた「真に総合的な知性」を決して達成できないだろうから超AIの実現可能性やその懸念を考えることが無意味になるのではない。少なくとも人工汎用知能:AGI 開発を目指すトップ層は、既存の機械学習技術+深層学習技術のみでの意味理解の限界という問題を十分理解した上でAIにとっての自己の身体をコアとするAIと環境との相互作用すなわち経験のシステムを構築しようと努力している。(+という表記記号を使用したがもちろん「機械学習技術」はそのサブカテゴリーの「深層学習技術」を含みそれとオーバーラップしている。ここでは2006年または2012年以降の狭義の深層学習技術+それ以外の手法の機械学習技術という限定的な意味合いで述べている。)
つまり、ボストロムがそれを明確に理解しているかどうかは別として、AGI には環境との相互作用としての経験が可能な<身体化された主体>(an embodied agent) が不可欠だということだ。すなわちそれは<自己の身体>を持たなければならない。ただしここでの自己の身体をコアとする、環境との相互作用としての経験の主体は特に「生体様システム」や「生体的な個体」を意味しているわけではない。
とはいえ、超AIが定義上人間と全く同等な真に総合的な知性など持ち得ないのは当然である。おそらくそのような段階はある時点で瞬時にバイパスされるだろう。
コントロール不可能に見える全く別次元の存在者にどう対峙するのかという途轍もなく困難な「AIコントロール問題」に立ち向かうボストロムの姿勢を汲み取ってほしい。

その他の重要論点
①現在はニーチェが流行っているが、人口汎用知能 (AGI) の誕生が現実性を帯びるとスポットライトはまずニーチェからカントに移動することになると思われる。なぜなら、カントはいまだ人間的なものであるニーチェの超人を超えた(たとえAGIが出現したとしてもそれすらを含む概念である)「有限的知的存在者一般」について語っていたからだ。そしてまだ人類がAGIの「コントロール問題」に格闘していられる間は倫理的価値観のプログラミング問題を基盤として依然としてカントの定言命法の有効性妥当性は問われるであろうし現にカント的方法論と類似した方法が最先端の研究仮説(例「CEV:Humanity's "Coherent Extraporated Volition":Yudkowsky 我々人類の整合性のある外挿的意志」:ユドカウスキー)として真剣に検討されている。
 いずれにしても、ニーチェのいう「超人」の誕生という物語は、少なくても「ツァラトゥストラはこう語った」において語られた形においてはマシンスーパーインテリジェンスとして誕生する極めて強い人工知能とは無関係なものになるだろう。それは生体工学的介入による過渡期のプロセス例えば「全能エミュレーション」(全脳シミュレーション)を基盤としたごく初期段階の「生体様AGI」には関係するかもしれない(が実際のところはなんとも言いがたい)。

②いわゆる「全能エミュレーション」(全脳シミュレーション)の困難さからスーパーインテリジェンス誕生の夢物語性が語られる場合もあるが、ボストロムによればあくまでもそれは過渡的な方途であり本命は「マシンインテリジェンス」によるものとなる。なお、この困難性だが、「全脳アーキテクチャ 解明ロードマップ(産業技術総合研究所)」(https://staff.aist.go.jp/y-ichisugi/brain-archi/roadmap.html#hippocampus)の一杉裕志氏によれば「(脳に関する現時点での共通理解として)脳についてはすでに膨大な知見があり、脳はとても普通の情報処理装置である。脳は心臓などに比べれば複雑だが意外と単純。すでに全脳シミュレーションは計算量的に可能であり将来は人間よりもコスト安になる」。また「脳の機能の再現に必要な計算パワーはすでにある。脳のアルゴリズムの詳細を解明するヒントとなる膨大な神経科学的知見があるが、それを解釈・統合できる人材が圧倒的に不足」している。(補足だが興味深い知見として、一杉氏は「前頭前野周辺の4つの並行した大脳皮質-基底核ループは、階層型強化学習を行っている。前頭前野は、累積報酬期待値の最大化(最適意思決定)を近似計算するだけでなく、近似計算アルゴリズム自体を経験によって学習するのではないか? 」と述べている。)

③スーパーインテリジェンスの「行為」も原則としてウェーバーの目的合理性または道具的理性のスキームでかろうじて了解可能ではある。しかし、たとえその目的について推測できたとしても、その全ての達成手段については人間には認識不可能(従って予測不可能)であると考えられる。

④本書から強く示唆される論点:中国はGoogle(Alphabet)を初めとする全ての欧米IT系企業の関与を主として覇権をめぐる地政学的な理由から閉め出している。従って(真に閉め出し得ているのなら)、競合する全てのエージェントがモニタリング不可能なまま人類史上初の汎用性人工知能の開発に成功する可能性が高い。http://sp.recordchina.co.jp/newsinfo.php?id=184628 において英誌「エコノミスト」は中国の来るべきAI覇権を予測しているが、私見ではこの現実化にとって鍵になるのは人類史上最高の頭脳の一人であったクマラジーヴァ(鳩摩羅什)の中国登場以来のプロジェクトチーム方式による膨大な仏典訳出の伝統であると推測する。

参考1
山極寿一氏(霊長類学者)は「人間の暴力性は共感力の暴発から起こった」と述べている。「共感力の暴発」は自然言語の獲得という契機が決定的なファクターとなる(「ミラーニューロン」などとも関連して)。つまり、人工知能が人類の生存の根幹に関わる危機(existential risk)をもたらし得る必要条件(同時に十分条件とはならない)はそれが人間レベルの自然言語能力(a human level of natural language processing)を持つことである。

参考2
以下に転載する記事だが、人間が勝手に意思を投影したに過ぎないと述べている。しかし対話の過程で生まれた独自言語は理解不能。つまりたとえ理解不能であっても、それが「会話」でありその過程で生まれた「独自言語」であるという解釈は勝手な人間の投影ではないと認めている。過程の一貫性の枠内で整合的に「言語の変容」として「解釈可能」だと。結局AIたちは人間には理解不能な会話をしていたのだ。
以下転載
「「2つのAIが“独自言語”で会話」の真相--FacebookのAI研究開発者が明かす
藤井涼 (編集部) 井口裕右2017年11月16日 07時00分
(以下略)
46人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年6月13日に日本でレビュー済み
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来たる未来に人工知能技術が爆発的な進歩を果たし、人知を遥かに凌駕した "超絶知能=スーパーインテリジェンス" が誕生した時に起こり得るであろう事態と、それに対する準備や対処法を徹底的に考察した一冊

圧倒的な情報量と深奥な分析、あらゆる可能性を模索し仮説を立て、思考実験と哲学的な問いを繰り返し未知の問題に挑む本書は、量・質共に正に桁違いと言う他にない

序盤はAI技術分野の現状と超絶知能が誕生する可能性の検証から始まり、脳を完全模倣する全脳エミュレーションやネットワークなどの集合知から生まれる超絶知能などのアプローチについて解説されている

実際に超絶知能が実現した際には想定以上の "知能爆発の早さ=進化の早さ" を持つ可能性が考えられ、一瞬でシングルトンを形成するSF小説のようなシナリオも有り得るという

中盤からは超絶知能が持つであろう驚異的な能力とそれが人類に及ぼす影響を検証し、 "存在論的リスク=人類破滅のシナリオ" について書かれている

超絶知能が反逆に出る際には、その驚異的な能力を駆使してあらゆる手段やリソースを使って目的を達成しようとすることが予想され、人類を欺いたり従順を演じて機を待つ可能性が高いという

後半では存在論的リスクを回避する方法及びその実現性について検証し、主にコントロール問題と言われる人工知能制御に対する様々なアプローチについてあらゆる角度から考察する

最終的には開発段階で人工知能をどうデザインするか、どのような価値観を持たせるかがカギになり、正義・倫理・道徳など明確な答えのない哲学的な問にも繋がる

本書にはSF作品のような一見すると非現実的なシナリオも登場するが、その論理や根拠には一定の説得力がある

中でも超絶人工知能による反逆シナリオは最も印象的で、テクノロジー主義者達が持つ人工知能に対する楽観主義を打ち砕き、テクノロジーに対する考えを改めさせられる

しかし著者は映画などによって植え付けられた、人類vsマシンのような単純なイメージへのすり替えによる研究への弊害も指摘しており、あくまでもあらゆる可能性を真面目に検証した結果であることがわかる

ニック・ボストロムの叡智を結集した本書は多くの予備知識が必要で読みやすい本ではないが、人工知能に対しての理解が深まる一冊であることは間違いない
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年4月29日に日本でレビュー済み
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スーパーインテリジェンスとは人類の英知をはるかに上回った超絶知能。
「スーパーインテリジェンスに人類の未来が左右される?」「どうAIをコントロールする?」など哲学的な思考実験が論じられてます。
個々の内容の全ては理解出来なかったけど、たくさんある課題のどれ1つとして明確な解は見つけられておらず、現時点で人類はスーパーインテリジェンスを統べる準備が全く出来ていないことがよく分かる。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年7月3日に日本でレビュー済み
「スーパーインテリジェンス」? なにものでしょうか?

副題に「超絶AIと人類の命運」とあるので、訳者はAIの一種、「超絶AI」と考えているようです。
スーパーインテリジェンスという、なじみのない言葉の意味は、第3章に詳しく説明されています。

「人間は所詮、一つの生物であり、遺伝子的に改良されたとしても、マシンの強さにはまったくかなわない」(115頁)

たいへんです。強いマシン・インテリジェンスに負けて、人類は滅亡してしまうのでしょうか?

「超絶AI」とは、人類とは別の(生命体みたいな)存在のようです。

「超絶AI」として、
「人類からはその存在が察知できない存在としてのシングルトンという存在もありうる
(たとえば、非常に技術的に進化していて、あるいは、非常に思慮に富んでいて、人間が悟ろうとしても悟られぬ形で世界の出来事を支配できるスーパーインテリジェンスという存在もありうる)」(626頁)というのです。

「超絶AI」は、人類にとって、神や仏のように、いるような、いないような、よう分からん、やっかいな存在です。そして悪い「超絶AI」もおるというのですから、注意しなければならない存在。実にめんどくさい存在。

「超絶AI」は、「概念的には」少なくともシングルトン(単一の存在)として、次のようなシングルトンが「出現しうると考えられる」(626頁)。 可能性として。

「良いシングルトン、悪いシングルトン、さまざまな形態で乱暴なシングルトン、当たりさわりないシングルトン、束縛的で弾圧的なシングルトン、大声で怒鳴り散らす暴君というよりは、自然法則の法則外的存在に近い存在としてのシングルトン」(626頁)。

シングルトンって、人間みたいですね。
日本に出現しそうなのは、どのシングルトンでしょう? 中国には? 北朝鮮には、どんなシングルトンが出現するのでしょうか?

「超絶AI」は、「人類からはその存在が察知できない存在」だって? そんな超絶なヤツ、地球上におるの?

現在、地球上におる、とは著者は言っていません。宇宙におる、なんて全く言ってません。
存在する可能性がある、ありうる、と可能性を言っているだけです。

「本書はボストロム教授による、一つの非常に大胆・緻密な思考実験である」(「訳者あとがき」より)。

「シングルトンは抽象的な概念である。民主的であるかもしれないし、専制的であるかもしれない。あるいは単独の支配的AIシステムかもしれない。法律および規則を効率的に策定できる規定を含むグローバルな規範の総体かもしれないし、はたまた、超越的な力を持つエイリアンの魔王のような存在かもしれない」(178頁)

シングルトンが「民主的であるかもしれないし、専制的であるかもしれない」までは、ついていけます。現在の状況から推測、理解できます。
例えば、「フロントランナーは戦略的に、決定的に優位な立場を獲得できるのか」という章の中に掲げられている「表7」(174頁)には、「戦略的に重要な技術開発レースの事例」として「原子爆弾」の技術開発に成功した年が列記されています。
   アメリカ 1945年
   北朝鮮  2006年

シングルトンが「超越的な力を持つエイリアンの魔王のような存在かもしれない」となると、SFの未来世界の話のように感じます。
レムのSF『ソラリス』を思い出します。意思を持った海に表面を覆われた惑星ソラリス。

惑星ソラリスは、地球に似ています。
目的地へ情報を届けるという(情報伝達の意思を持った)インターネットの網は、情報の海全体を覆う網のようにも思えます。
その網にすっぽりと覆われた地球も、惑星ソラリスにそっくりです。

この五百数十頁という重い大著『スーパーインテリジェンス』の「帯」には、大きな活字で
「緊急の課題、 『AIコントロール問題』に挑んだ世界的な話題作!」とあります。

何が「緊急の課題」なのでしょうか?

「マシン・インテリジェンスが実現されることによって、人類にとって何か不都合な悪害が起こりうるのであれば、それらの何たるかを特定し、正確で詳細な理解を形成し、そうすることによって、そのような悪害を確実に回避できるようにすることは、マシン・インテリジェンスの有益性の理解に比して、より緊急の課題であるように思われる」(557頁)

「AIコントロール問題」へのアプローチは、まだ始まったばかりです。
『スーパーインテリジェンス』の巻末には、膨大な「参考文献」が掲載されており、「原注」も85頁に及びます。

スーパーインテリジェンスの研究開発が、「原子爆弾」の技術開発のようなジレンマに陥らないように祈ります。
有益性の理解ばかりが優先してしまい、
「人類にとって何か不都合な悪害が起こりうるのであれば、それらの何たるかを特定し、正確で詳細な理解を形成」することが二の次になった人類の苦い過去の轍を踏まないよう祈るばかりです。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート